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 炎の灯に照らされて、 /61


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54: 下級妖怪 [×]
2021-05-06 21:06:07



外が騒がしい。まさしく喧騒と呼べる騒ぎの中には、言葉にしたくもないほどに酷い罵声も混じっているようだった。はっきり言って異常としか言いようのない騒ぎようである。いや、まだ、ただ単に周りがうるさいだけならばまだ良いのだが、問題は、

(……これ、どう考えても家の近くだよな)

ギルが住処としている廃屋敷付近でその騒ぎが起こっている可能性があることだ。此処に自分が居ることがとうとうバレたのかもしれない。少なくともそう思ってしまうくらいには大問題だし、はっきり言って緊急事態である。
そもそもギルが住んでいる場所は滅多に人が来ないような場所なのだ。つまるところ、普段は静かなのである。だというのに、珍しくも何かしらの騒ぎが屋敷内にまで聞こえているのだから、屋敷の近くに大勢の人がいるかもしれないという風にしか考えれない訳で。

できれば騒ぎが収まるまで身を潜めていたいが、自分を殺しにあいつらがやってきたのかもしれない──その可能性を踏まえると、屋敷周辺はともかくとして最低限屋敷の様子は確認しなければならないと否応なしに思い直させられる。もしあいつらが自分を殺しにやってきたならば、間違いなく屋敷の扉を破壊してでも屋敷に侵入して自分を探しにくるだろう。そうなれば、確実に自分は此処で命を散らすことになる。

(せめてナイフくらいは持っていくか)

そう思い、屋敷の中に元々あった物である(廊下に落ちていた)錆びているナイフを手に取る。完全に安心はできないが、せめてものお守りくらいにはなるだろう。いつか使うかもしれないと拾っておいて良かった。そう思いつつナイフを懐へ仕舞い込み、そして明かり代わりの手燭を手に持つと、部屋からそっと抜け出して




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