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 炎の灯に照らされて、 /61


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41: 下級妖怪 [×]
2021-05-06 20:54:03



 それは学校からの帰り道だった。
 この後模試があるから急いで帰らなくてはならなくて、だから一人で帰っていた。歩いているうちに17時の鐘が鳴ったから、これは急がなくてはならない、と思ったことも覚えている。
 それでいつもは通らないような小さな抜け道を通ってみて、気づいたら辺りは真っ暗だったのだ。
 
「ええ……なんでそうなるかな、わっ……!」

 こつん、と足になにかが触れる。石で作られた鳥居だ、と気付くのに少し時間がかかった。足元をよく見てみれば、その鳥居は列になってはるか向こうまで続いているのが分かる。
 綺麗だ、と思う。それに誘われるように、何となく鳥居を追い始めた。その列の終わりが見えて、また息を飲む。
 ───大きな、本当に大きな鳥居だった。とても綺麗な赤色で、奥には古びた神社が見える。その光景は、まるで現実じゃないような。
   
「わあ……」
 
 まるで魅せられたように、星莉は足を踏み出した。そっと鳥居を潜って抜けたところで、呪いが解けたように我に返る。
 待って帰らなくちゃ、と思い振り向けば、もうそこに鳥居はなく。その代わり、手には今どきキャンプでしか見ないようなランタンがある。しっかり火もついていて、LEDのものではない暖かさがあった。
 とりあえずその火を見つめて、恐怖心を紛らわそうとするが、ばくばくと心臓は鳴ったままで。
 恐怖を振り払って、正面に向き直せば、そこにはまるでアニメの中でしか見ないような光景が広がっていた。提灯、屋台、そして明らかに人間ではない者たち。異世界という言葉が相応しいような、幻想的な場所だった。

「ほんとになんで……?」

 ふと足元へ目を転じれば、そこにはなにやら黄色い動くものが見える。目を凝らせば、それがなにやらカワウソのような動物であることが分かって。黄色いカワウソなど聞いたことがない、と思う。
 先程の景色が相まって、やはりなにかの霊かなにかでは、と思い身体を震わせて、地面へランタンを突き出せば




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