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 炎の灯に照らされて、 /61


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35: 下級妖怪 [×]
2021-05-06 20:45:49



「え、あっ! ご、ごめん。この海から出たことがないって言ってたからっ」

 彼女の明らかに不機嫌になった様子に少し慌ててたように謝る。理由を言いつつ、心底申し訳なく思っている、という表情で。
 少し脳がいかれていたみたいだ。普段なら滅多としない失敗をしてしまった。

「(負の感情を持たれたら、少しめんどくさいんだよな)」

 その場限りならば良い。だが、自分は家に帰らなきゃいけないし、現状周囲には彼女しか人がいない。それなのに今彼女を逃したらまた元道理、八方塞がりな状況に戻ってしまう。

「あぁ、もう、言うつもりじゃなかったんだけど……気分を悪くさせちゃった、よね。本当にごめん」

 ガシガシと頭を書きながら、考える。
 ――彼女にこれが通じるかは分からないが、やらないよりはマシだろう。

「その俺、突然ここに迷い込んで、君に会うまで誰にも会えなくて、帰り道も分かんないし……だから情けないんだけど、すごい怖くなっちゃってさ。君に会えてちょっと気がゆるんじゃったみたい」

 眉を八の字に下げた“捨てられた仔犬フェイス(友達命名)”。
 友達はなぜか、俺が悪いことをしてもこれで謝れば大抵許してくれる(まあ、通じない相手も一定数いるが)。なぜか聞いてみたら、「その顔で何度も謝られているとこっちが酷いことをしているような気分になってしまって許してしまう」らしい。よくわからない。
 もしかしたら彼女も通じないうちの一人かもしれないが、とりあえず自分の場合ここがどこかと帰る道を聞ければ十分だし、多少なりともほだされていてくれたらいいんだが……と言う思考は伝わらないように注意して、彼女を見つめてダメ押しにもう一度「本当にごめん」と謝って




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