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 炎の灯に照らされて、 /61


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13: 下級妖怪 [×]
2021-05-06 20:02:16



ざく、ざく、ざく。地面を踏む音に、ぽきぽきぽきと時折小枝の折れる音が混じる。
街灯が無い田舎にある夜道という表現が似合う暗さだろうか。毎日のようにこの道を通っている環にとってはすっかり慣れ親しんだ闇路であるが、後からついてきているであろう青年にとってはそうではないだろう。今歩いている道の輪郭さえもよく見えないのではないだろうか。暗闇とも言えるほど暗い場所にいる。こんな時だけはあの外来者の証とも言えるあの提灯が役に立つのだろうな、とそう思うと同時にその事実が少し皮肉めいたものに感じてしまい。

――しばらく歩いただろうか。感覚的には家まで半分くらい歩いた気がするから、もう折り返し地点といったところか。ふと、きちんと相手がそばにいるかどうか気になってしまい、歩く速度を幾分か緩くしては相手が居るであろう方向へと顔を向けて

「……周くん。ちゃんとついて来ていますか?」

彼に対して発した言葉通り、確認するような声音でそう問いかけて。無意識に細められた目からは心配や不安の感情も少しばかり表れ出ているようであり。
しかも奇妙なことに、日比谷が持っている提灯以外には光が感じられないほど晦冥とした場所だというのにも関わらず、環の瞳はまるで暗闇にいる猫の目のように爛々と輝いていた。眼光は淡く黄味を帯び、平常時よりも輝きが増している。人間には無い特徴故だろうか。どことなくこの世界の不気味さを増幅させるような、そんな雰囲気が環に纏わりついていて




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