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個人用・練習用
自分のトピックを作る
14:
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2022-10-05 11:43:35
(記憶もない。恐らく公共的な書類にも僕の存在は記されていないだろう。ともすればこの国での扱いでは僕は存在していないと同義であり、いてもいなくても変わらないということだ。勿論その待遇に不満がある訳では無い。教育機関に行かずともこの世のあらゆる知識は既にこの頭の中にあるし、生きていくための衣食住も今のままで十分満足だ。だけどたまに、ほんと一瞬の揺らぎの中であるが『寂しい』とも思うのだ。地に足が着いていないような不安定さ。一瞬息が詰まって正常な呼吸が乱れる。存在がなくなれば僕がいた痕跡すら消えて初めから居なかったことになるような、そんな虚無感を抱けばそんな不安から逃げるように知識の海に飛び込んだ)
15:
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2022-10-08 16:10:33
(酷く執着した想いは蓄積していくばかりだ。全てを独り占めしてしまいたいと不健全な欲が蠢いてしまうのを必死に押し留めるのが日課になっている。誰にも触れさせたくないと思う。危害を加えるような敵にも彼が愛する人にも。例え彼が死んだとしても神様や死神にもその手を取られたくない。彼はいつまでも自分のものだ。)
16:
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2022-10-09 12:12:05
(温かさとは命の温度と同じであると今改めて感じていた。流れ出る赤は自分の身体から出ているものなのに指先より随分と温かく感じる。否この身体が徐々に冷たくなっているからと言った方が正しいだろうか。これは駄目だろうなと何となく察した。あまりにも多く生きる為に必要な温かさが家出してしまっている。あと少しでこの命は終わってしまうだろう。心臓は活動を辞めて酸素を取り込むことのない、ただの冷たい物となっていく。だが、不思議と怖くはない。自分が他の多数の人と同じく全身に血が通っていて温かな赤を持っていたただの人間だったという事実に酷く安心している自分がいる。自然と口元が弧を描いた。いつの間にかあんなにも身体を貫いていた痛さも感じなくなってきた。冷たさも温かさも分からなくなって意識がゆらゆらと遠のいていく。死後の魂が何処に行くか分からない。天国や地獄と呼ばれるところにいくのか、そのまま消えてしまうのか。だけど間違いなく今生の自分は幸せだった。そんな暖かさを胸に抱いたままこの世界は動きを止めた)
17:
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2022-10-15 15:04:22
きみは『人格の同一性』若しくは『意識の連続性』という話を知っているかい?人は生きるために睡眠を摂る必要がある。これは普段動かしている脳を休める為だとか記憶の整理・定着、身体の細胞の回復が目的であり、睡眠欲というのは生きていくための生理的欲求の一つだ。
そして人が睡眠をとる時、外的刺激に対する反応が低下して意識を喪失する。そして目が覚めた時に意識を取り戻して活動を始める。つまり眠りに入った時と目が覚める時との間には主観的に見て何も感じることのない『無』の時間が発生するということだ。医学的にはノンレム睡眠を行っているとされているその時間、意識の連続性を確保できない状態で果たして眠る前の自分と目が覚めた自分が本当に同一の存在なのかというのを疑う一種の哲学みたいな話さ。
勿論眠る前と起きた後の身体が同じだからという反論も出来るだろうね。だけど、例えば眠る度に自分のDNAから作った見た目も組成もまるっきり同じ複製に意識を移し替えていたとしたら、まるっきり同一人物と言えるだろうか? 持っている思い出とか記憶に関してもただデータとして埋め込まれただけならば本当にあったことなのかを確かめるすべはないんだ。今持っている意識や記憶もあくまで主観的な観測に過ぎない。
…まあ正直、屁理屈をこねているような思考実験ではあるのだけど、ぼくがぼくであり、きみがきみであるのは絶妙なバランスや都合なのかなと思ってね。変なことを色々と考えてしまったみたいだ。
18:
[×]
2022-10-26 17:54:56
今見えている星の光がいつ瞬いた物か知っているかい?勿論、星によって地球からの距離は様々ではあるけど、数十年か数百年前に発した光を今ぼく達が観測しているんだ。つまり空に見えている光は星にとって過去の物ということになる。何だか不思議な感じがするけどね。そして今この瞬間に発された光は少なくとも数十年後じゃないとぼく達は観測することは出来ないんだけども
……きみとなら何時か見られるだろうね。
19:
[×]
2022-10-31 22:19:28
「Trick or Treat…ってね」
20:
[×]
2022-11-10 16:11:31
(落丁した本のように僕には過去の記憶が無い。「僕」としての意思を持ったのもこの名前を授かったのもあの日の夜からだ。君は共に過ごす中でその名前を呼ぶ。何気なく呼んだり、怒ったように呼んだり、慰めの言葉の代わりに呼んだり、嬉しそうに呼んだり、叫ぶように呼ばれたことだってある。何度も、何回も。無くしたページを埋め合わせるように君が僕を形づけていく。本名では無いけれど大事な大切な僕個人を表す音を君の声が発する。それだけで今日も胸が満たされて、応えるように僕も君の名前を紡いだ。)
21:
[×]
2022-12-05 08:10:42
(起き上がるには面倒で、眠るには睡眠を取りすぎていて中途半端な微睡みの中にいた。ソファーを独占するように横になっているとそこに近付く足音一つ。まぶたは閉じていたけど直ぐにそれが彼だと気付いた。顔に影が落ちる。きっと顔を覗き込もうとしているのだろう。だが声は掛からない。いつもなら起こす為に声がかかるのに。直ぐに目を開くことだって出来たが自分が寝ている時の彼の様子が気になって狸寝入りすることにした。そのまま観察するような視線を何となく感じていると何かが近付く気配がする。それは自らの前髪に触れて軽く払うように動いた。顔を隠す物がなくなるとより見られている感じがしてつい表情が出そうになるのを必死に堪える。そのまま彼の指先はおでこから頬、顎を撫でていき何だか擽ったい。そのまま好きにさせているとまた深く影が落ちて、同時に唇に柔らかな感触が触れた。思わぬことについ目を開いてしまうとニヤリと笑った彼がこちらを見つめていた。「寝たふりしてんのバレバレだぞ」なんて言うものだから顔に熱が登り始めた)
22:
[×]
2022-12-15 20:03:52
√405 Method Not Allowed
(無色で何の彩りのない世界に差し込んだ一筋の光。暖かくて明るくて綺麗なその太陽が消えようとしている、奪われてしまう。それを認識した途端、ぐらりと足元が揺らいで息が出来なくなった。手先が冷えていく感覚がするのに頭には血がのぼって全てがちくはぐだ。気付けばその原因の胸倉を掴んでいた。僕の大切な人を傷付けた極悪人。何でこいつが無事で彼が傷ついているのだろう。やっぱり彼は甘すぎる。優しい所は美徳で好きなところでもあるがそれが行き過ぎてしまえばただの欠点だ。そのせいでこいつに裏切られあまつさえ暴力を受けた。彼が許したとしても僕は許せそうにない。相手の体に足を乗せる。人の体、特に胸部から腹部にかけては重要な臓器が詰まっていて圧迫されると様々な障害が現れる。それくらい受けてもらわなければ彼の苦しみとは釣り合わない。徐々に体重をかけて膝が肉に沈めば下の物体は震えて呻き声をあげている。さぞ苦しいことだろうと熱に浮かれた頭で冷静なことを考える。どれくらい圧迫すれば人は息絶えるのか知識はあっても実体験はない。この異常状態にすっかり頭もバグって何故か口角がつりあがる。悲しいはずなのに妙に楽しくて今ならなんでも出来そうな気分だ。更に膝が沈むと嫌な音がする。遠くで彼の引き止める声が聞こえた気がするがきっと気の所為だろう。彼が守ろうとした平和と秩序。彼が笑顔で望んでいた世界だったからこそ僕もそれに従ってきたが、それで彼の身が脅かされるのならそんなものは守る価値は無い。無意味だ。世界が現実味を失せていく。白黒の世界では今自分が下にしている物の生死すら判別が出来なくなっていた)
23:
[×]
2022-12-18 01:01:53
(寒いのはあまり好きじゃない。冷えると身動きが取りにくくなるし、手も悴む。朝は布団の外に出たくないと思うし暖かくしようとすると色々着込むことになってちょっと窮屈だ。そしてなにより冬の寒さは一人の時の寂しさとよく似ているから。吐いた息はすっかり白い。手袋を忘れた手は冷えすぎて赤くなってしまっている。早く家に帰りたい。そんなことを考えながら帰り道を歩いていると曲がり角に見慣れた姿を発見した。なんでこんな所にいるのだろう。思わず立ち止まった自分に気付いたのか彼は近づいてくる。不機嫌そうに寄せられた眉は何について向けられたものか判断つかない。呆然としていると帰るぞといって手を引かれる。繋がった手が異様に暖かくて逆に驚いてしまう。向こうもこの温度差に気づいたのか一瞬目が見開かれた後両手で包み込むように握られる。安心できるような人の温もり、ずっと欲しかった物だ。思うがまま触れた手を握ってみると小さく彼の身体は震えたかいつものような文句は飛んでこない。寧ろ先程よりも強く握り返された。ずっと張っていた氷が溶けていくような、温まっていくようなそんな感覚。何も言わずに分け与えてくれる熱が心地よくて自然と硬かった表情も緩んでいた。)
24:
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2022-12-25 11:58:15
「クリスマスは本来キリスト教におけるイエス・キリストの降誕をお祝いする日というイベントであるのにあまり関連のない日本でここまで盛大に祝ってるなんて思わなかったよ。…ふふ、クリスマスについては既に検索済さ。中でも興味惹かれるのはサンタクロースという存在だ。全世界共通に知られているトナカイと共に空を駆け巡り子供たちにプレゼントを配る赤い服のおじさん…このような風習が代々受け継がれているのは面白い文化だね。……話は変わるけれど僕の年齢は正確には分からないが体付きを考えるならまだ未成年、つまり子供だと思うんだ。いつもは君と対等な相棒だけど今日くらいは年相応になっても良いと思ってね。……楽しみにしてるよ、相棒。」
25:
[×]
2023-01-01 11:58:36
(いつもより夜更かしをして年越しを共にして迎えた朝。おじさんが丹精込めて作ってくれたおせち料理がテーブルに並ぶと昨日から年が一年重なった実感が湧いてくる。少し前まで二人で過ごした元日だが今日は二倍以上の人がテーブルを囲んでいて見慣れない料理の数々に感心した声や疑問っぽい声があがる。賑やかな一日の始まりだ。向かい合った彼も同様、わかりやすい笑顔とは言わないが言動の端々に興奮が伺える。去年も仲間と共に楽しい一年を過ごすことが出来た。この時代ならではの新しい経験をして、帰り道に寄り道やテスト勉強に付き合って貰ったりと何気ない日々を共に過ごしてどれも大切な思い出ばかりだ。年を1つ重ねても彼が生きていた時代まではまだまだ遠い。だけど確実に最低最悪だった未来は変わってきている気がする。また今年も充実した日々を過ごして約束した未来へと繋げていけるよう決意を改めて固めると「あけましておめでとう、今年もよろしくね。」と告げる。すると彼から少し照れ臭そうに、だけどしっかり目を見て同じ挨拶が帰ってきてますます表情が緩んだ。今年も良い一年になりそうだ。)
26:
[×]
2023-01-05 11:40:45
(暖かな太陽の光に誘われるまま外に出る。珍しく今日は目がパッチリと冴えて特にすることも無かった。一人で外出するのは久しぶりだ、彼はあまりいい顔をしないだろうがこの陽気で地下に籠っておくのは何となく勿体ないように思えたしいざと言う時は小さな僕専用の護衛もいる。そのまま公園にたどり着いて空いていたベンチに座る。ぽかぽかとした温かさは心地よくて気の抜けた息が洩れた。事務所で入れてきた紅茶と行きつけのパン屋のパンといつもの本、これだけ揃えば日向ぼっこセットの完成だ。柔らかな日差しに包まれながら本を開く。さて彼が探しに来るのは何時になるだろうか、そんな予想を立てながらも意識を集中させていった。)
27:
[×]
2023-01-14 22:22:21
(いくぞ、と声を掛けられ小さく頷いた後身構える。耳元でぱちんっと大きな音が鳴ると同時に鋭い痛みが耳朶に走った。思わず眉根を寄せて身体を固くしたがあやすように頭を撫でられたのと直前まで保冷剤で冷やして痛覚を鈍らせたおかげが次第に痛みは収まっていく。ふと鏡を見てみると耳朶に光る銀色の飾り。わざわざ特殊な道具で健康な皮膚に穴を開けるなんて何とも不思議な話だが何処か儀式めいてもいて興味惹かれたのだ。本来傷を受けた皮膚はその部位を埋めようと修復し始めるがそこをずっと金属などで塞いでいればやがて異物を除いて傷が塞がり穴が出来る。安定してしまえば暫くはそのまま残り続け、定期的に処置をすれば一生塞がることはない。彼に伝えては無いがその点に背徳的魅力を感じたのも事実。自分でもそっと耳元で光る銀色に触れる。動かす度にズキっと走る痛みは確かな救いだった。)
28:
[×]
2023-02-04 16:30:36
(今日は本当に何も無い。残っていた事務作業も午前中には終わってしまって依頼もなく要するに暇だった。相棒も最初の方は依頼人が来るかもしれないといつものスタイルを崩さなかったがそれが3時間を過ぎる頃にはやる気を失ったようでソファーでお気に入りの推理小説を読み始めた。僕も特に熱中するようなキーワードも無く気まぐれに手を取った本を隣で読んでいた。外からは街の風車が回る音が聞こえてくるほど静かで窓際から暖かな日差しが差し込むと次第に気持ちが良くなってきて眠気が頭を支配する。恐らくもう依頼人も訪れないだろうし、今日はこのまま昼寝してしまうのも良いかもしれない。いよいよ口から小さな欠伸が溢れるとパタンと持っていた本を閉じてベッドで寝てしまおうと立ち上がる。だがその腕は直ぐに引かれてしまって体勢を崩した身体は相手にもたれかかったような状態になる。頭に手を置かれてぽんぽんとそこを撫でられる。思わず相手の方を伺うが視線は小説に注がれたままで心地の良いクッションを抱くようなそんな体勢だ。色々文句を言っていたが降り注ぐぽかぽかとした日差しと相手の体温、一定の心臓の音と髪を撫でる仕草は一気に抵抗する意欲を奪ってとろりと脳が微睡む。いつ人が来るか分からない状態で離れるべきであるのに離れたくない。心地の良い温かさは思考を奪うのに十分で、クリップを外し優しく髪を撫でる相手の優しい手つきを感じれば大人しくその微睡みに身を任せた)
29:
[×]
2023-02-09 22:36:43
(君には沢山の可能性がある。その気になれば素敵な女性と付き合うことだって出来るし恵まれた仲間も手を貸してくれる友人も沢山いる。 だから端的に言えば怖かったのだ。万が一に他の人の手を取った時、自分は一人になる。君にとって多くの人の一人でも僕にとっては数少ない、唯一といっても過言では無い大切な人なのだ。だから彼の善性を利用した。君は決して困った人を見過ごさない。いつだって救いの手を伸ばすからずっとそれを握っていることにした。振りほどかないのを知っているからくっついて自分には君が必要だと刷り込んだ。狙い通り君はずっと傍にいてくれた。可哀想に、悪魔に魅入られたせいで自由に動くことが出来なくなってしまったのだ。それが分かりつつもこの手を離す気はさらさらない。どれだけ傲慢なことだと罵られようが僕には君が必要でずっと傍にいて欲しい。だから今日も君の名前を呼ぶのだ。)
30:
[×]
2023-02-18 21:25:24
…何だか変だと思ったんだ。やっとモヤモヤしていた謎が解けたよ。 …僕は、君と出会うずっと前から死んでいたんだ。この身体もデータの塊で、本当は食事も睡眠も必要ない。…君と違って人間じゃないんだよ。
(ぽつりと吐き出すように紡いだ言葉は自分が思うよりも落ち着いた物だった。衝撃的で信じ難いことであるはずなのに、あるべき場所にぱちんとピースがハマったようなそんな感覚さえした。まっすぐと目の前の相手を見据える。その目は分かりやすく見開かれていてこちらを凝視している。普通ならば大切なこの相棒とも出会うことも無かったのだ。そんな相手に今度は自分の口でその事を伝える。その声は酷く凪いでいて自分のことながら別人の話をしているような気分だった。自分の手のひらに視線を落とす。一度自覚すればそうとしか思えなくて試しに指先に意識を向けてみるとデータは分解されて淡い緑の発光を伴って空気中に解けていく。それを見た相手の顔は苦しそうに顰められる。そんな顔をさせたい訳じゃないのに。再構成した指先で相手の頬に触れる。データではない相手の身体は命の温もりを宿した温かさを持っている。慣れ親しんだそれに口許が穏やかに笑みを作る。再び目を合わせる。相手に伝えるように、そして自分に言い聞かせるように吐き出した言葉は僕らが導き出した真実だった。)
31:
[×]
2023-04-01 15:56:21
(今の彼にとって自分が一番という自惚れではない自負はある。相棒として恋人として彼の傍にいるし大切に思われているのも事実だろう。だけど僕が知っているのはあくまで出会ってからの数年で、それより前は文章上でしか知らない。彼が見た夢の中で探偵ではない彼を見た時衝撃と何とも言えない気持ちが胸に募った。当然生きてきたのだから子供の時の彼だっていると分かっているのに、それを受け入れられないでいた。今までも似たようなことはあった。今の彼を構成しているであろう場所、出来事、顔馴染み。それらを知る度に喜びとそこに自分が居ないことへの寂しさにも似た想いに心臓を締め付けられているようだった。どう頑張ろうと過去には介入出来ない。今と未来を与えられてもなお足りないと嘆くなんてどれだけ我儘なのだろう。頭を巡るは自己嫌悪と被害妄想。変なことを考えるのもいつも隣にいる彼がいないせいだろう。夢の中では、もしくは起きた時には彼が居ることを願いながらそっと目を閉じた)
32:
[×]
2023-04-02 18:44:25
「 4月1日がエイプリルフールで嘘をついても良い日とされているのは有名な話だけど4月2日が嘘をついては行けない日、つまり真実しか言ってはいけない日とされているのは知っているかい?これも誰かが1日についた嘘の話とも言われているけど面白い試みだと思うんだ。嘘を付けないという事は照れ隠しやカッコつけも禁止だよ。…じゃあそういうことでよろしく頼むよ、相棒 」
33:
[×]
2023-04-08 23:13:17
(今日は依頼が立て込んで帰るのが遅くなってしまった。すっかり2人の家となった場所に戻ってくればどちらからとも言わずに抱き締め合う。肩口に顔を埋めると彼の匂いがする。いつも使っている洗剤の匂いと愛用しているという香水の匂い、それに僅かに汗と彼自身の匂いが混ざりあったものだ。そして何より安心出来る匂いでもある。疲労が溜まっているのもあって顔を埋めたまま深呼吸をすれば閉じ込めた腕の中から抗議の声があがる。だがそんなもので引き下がる自分ではない。腕に力を込めて再びその匂いを堪能する。僕の大切な相棒の匂い。風呂に入ればシャンプーやボディーソープの匂いが混ざるし潜入先によってはその場所の匂いも持って帰ることはあるが、この匂いが一番落ち着くのは内緒だ。そのまま抱きしめていると抗議は諦めたのか彼が擦り寄ってくる。髪が揺れる度にそこからも良い匂いがすれば口元を緩め更に深く息を吸った。)
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