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愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた__指名式、BNL/560


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77: ジーク/第一皇子 [×]
2020-09-21 03:50:36


>>セレーナ姫(>>75)

ジーク。そうお呼び下さい。
(紳士様、他人行儀な呼称では距離感も縮まらないだろうと、目を伏せて顎を引くような小さなお辞儀を見せつつ改めて名乗りを置いてから、彼女の名を聞いていなかったと遅ればせながら気が付いて。返された微笑みはまさに聖母のようで、ずっと見つめていたいが前方不注意で何かにぶつかっては彼女の怪我に響きかねず前を見据え「 藤の花弁のように嫋やかな姫。あなたのお名前は__ウィスタリア、でしょうか 」我ながら安直だとは承知の上で、言葉遊びのように藤を文字った名を挙げてはちらりと藤色の双眸を盗み見て。「 確かに庭園は美しい場所ですね。あなたが花や草木を愛でるお姿も、さぞや画になる事でしょう 」日課、その言葉に胸中に芽生えた感情__造られたダミーの記憶に対する憐憫に似たそれにそっと蓋をして。勿論表情を濁らせるようなへまを打つはずも無く、庭園へ思いを馳せるその顔は夢見る少女のようだと内心感想を抱きつつ「 噴水を抜けた先、温室の中に夜来香が咲いているのをご存知ですか?宜しければ近々ご案内させて下さい 」この辺りに咲くはずもない、海を越えた遠い遠い国の花。もし彼女が花を慈しむ人ならきっと興味を持ってくれるだろう、そんな打算や期待を込めてデートのお誘いを終えたところで医務室に到着し。偶然にも駐在医や怪我人は不在の様子、薬品の香りがほんのりと漂う静かな空間に二人きりになりつつ純白のシーツが敷かれたベッドの縁へ腰かけさせるようにそっと彼女を下ろして。手近にある薬品棚から湿布と包帯を手に彼女の傍へ戻り、出会った時のように片膝を付いて跪き"失礼、"と前置きの後そうっと右足首に手を添え「 あなたは姫なのだから、王宮を歩く事に障るものなどありませんよ。万が一 難癖を付けられたら第一皇子の名をお出し下さい。 」手慣れた__やんごとなき身分にしては不自然なほどに熟練し過ぎている手つきで湿布の上に包帯を巻き終え。そうして彼女の背後から差し込む夕日を受けながら見上げるような姿勢で見つめ「 いつでも直ぐに駆けつけますから 」微笑んでいるようで決意を固めたような、そんな真摯な表情は精悍な騎士を彷彿とさせるだろう)




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