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11407:
呉蘭花&天笠&恵人 [×]
2020-08-11 01:59:56
>11397 >禁忌さん(&刹那さん&烏丸さん)
【ニシの組織 本部 蘭花】
禁忌さんの声に心臓を跳ねさせ手放してしまったトレーを即座に手に取り中身を掴む。チューブが揺れ地面スレスレを揺れ動く様を蘭花は呼吸を荒くしてしばらく見つめていた。
蘭花は確かに秀でた戦力も経験もほとんど無い。それでも悪の組織に所属することになって、魔法が使える存在で、疾風に乱用されていたのだからそれなりに気配を消すのは上手い方だと当人は思っていた。
あの武器やっぱり怖い。
未だ小走りに刻む心臓を誤魔化すように息を吸うと呼吸だけでも整えて小声で「よしっ。」と自分自身に喝を入れるが、いざ足を進めればその威勢はどこに行ったのか物の怪を警戒する子供の様に恐る恐る覗き込んで苦笑いを見せた。
「にゃはは……だって入りずらかったあrるるるららるるるるるるる!?!?」
そしてその瞳に反射した美女を見て驚くほどの巻き舌を見せた。それが禁忌さんとも露知らず中身のチューブやシール等の道具がややごちゃごちゃとなったトレーを持ってわなわなと肩を震わせると蘭花は消えた。
否、トレーを持ったまま美女(禁忌さん)の傍に鮮やかなスライディングで近寄っていた。一般人から見たら瞬間移動と言われても仕方の無い速さで、蘭花は己の肉体の限界をその瞬間だけ発揮していた。原動力はただ一つ。
トレーをすぐ側に適当に置くと美女(禁忌さん)の手を両手で包み上目遣いに顔を合わせ、燃える狩人の魂を瞳に宿して言葉を紡いだ。
「____? 真的 漂亮……!【貴女はとても美しい……!】」
周りに漫画に見えるようなラメと薔薇の花を撒き散らすのも束の間、手から伝わる冷たさに蘭花はいつものお調子者に戻り「アイヤ!冷たい!」と声を上げた。
>11387 >11388 >那由多さん&穂乃花さん
【デネブ以下略 七種さんの部屋:恵人 廊下:天笠】
scene:天笠
「まぁ……!」
那由多さんが撒いた降り注ぐ水の結晶が天笠の白腕当たり、初めは冷たさに驚き警戒したもののその美しさに圧巻される。
何より、水を掬うように手を作って落ちる結晶を受け止めた時に感じ取れる清らかさと自分が使う治癒魔法に似た温かみにこれが問題のあるものではないと天笠は判断する。
那由多さんの使える魔法が根本から変化したのだろうか。今はこうして降り注ぐものだがこの魔法を上手く使えば様々な活用が出来るのでは?そもこの魔法にどれだけの魔力の負担がかかるのだろうか。天笠の医者としてのプライドと本人の性格が編み込むように思考を巡らせて暫く硬直する。それ故に那由多さんが掛けた言葉に対して大分反応を遅らせてしまった。幸運だったのは発言を聞き取れてはいた事だったか。
「ぇあっ、はい、分かりました!でもお気をつけて下さいね……?」
ハッとして顔を上げてから天笠は慌てて那由多さんに出した声は心配とほんの少しの混乱だった。
scene:恵人
恵人は言葉を放つことなくただ穂乃花さんの言葉に対して巻かれた小指を自分からも絡めていけば空いた手を穂乃花さんの背に回して綿菓子にふれる位の緩さで抱きしめ返事をした。
何度も何度も、涙を流す穂乃花さんの背中をあやす様に撫で、メトロノームの様に規則正しくポンポンと刻むその姿はヒーローであるかもしれないし、高校性の余裕にも見えるかもしれない。ただ少なくとも恵人は年相応の青年らしさを見せなかった。
それは恐らく穂乃花さんが落ち着くまで、言葉を出すこと無く傍に居続けるかもしれない。
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