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【 指名制 / Remake 】耽溺のグランギニョル【 提供人外 / マルチエンド式 】/1157


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965: ニール・グレイ [×]
2024-05-26 12:54:42



>ハイネ(>963


(己以外の、音が響いた。途端足はぴたりと床に揃って、“それ”が近付いて来るのを佇んで待っている。その間に、首はぎいぎいきりきり、ぎこちなくも傾いで捻って回してと忙しなく。絡繰り仕掛けの玩具にも似たその仕草は、名を呼ばれた瞬間半端に止まる。「……ハイネ。」いやに静かな、ただ書かれた文字を読み上げたような無味の声。そこに小さな唸りを続けた後、「――ふ。ふふ、ごめんね。」シーツから覗く口元だけが、弧を描いてゆっくりとお詫びを。それから、「でも、今日が約束の日、でしょ?いっぱい、我慢したから、早く貴方に、会いたくて。」彼方此方から切って張って繋ぎ合わせた、そんな抑揚も感情も滅裂極まりない言葉を紡いで。「ねぇ、」一歩、進む。するり、捲り落ちるベール。その下から露になった、盲に濁る瞳が――寸分違わず、目の前の彼の金色を捉えた。「許して、ハイネ。」見えている筈も無い、しかし確かに彼の瞳を見詰めて離さない。その内に再び、ぎりぎりきいきい、首が回って彼の音を探り出す。「約束。破るつもりは、無かったの。」歪なまま固められた唇から、牙を数度鳴らしながらも赦しを乞うのに、その視線はケダモノそのもの。……一度人間の味を覚えた獣が、今度は意図してそれを狩るように。明確に彼を獲物と認識した蛇の赤目は、この貪欲な飢えを、強欲な渇きを、“貴方で満たしたい”と赫々煌々、雄弁に彼へと訴える。「…お願い、ね、ハイネ。」首の動きが止まる。空洞だらけのおねだりと共に、両手がゆらゆら持ち上がり。視線と同じく真っ直ぐ迷わず、彼の組まれた腕を目指して伸び始めた。)




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