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806:
ニール・グレイ [×]
2024-05-04 12:21:09
>クォーヴ/ハイネ(>805)
はは、ごめんねぇ。でも、嬉しいっていうのは全部本当。心からそう思ってるから、許してね。
…そう、そっか。じゃあ、待ってる時間も寂しくないねぇ。オレちゃんも、いつかクォーヴとお散歩出来る夜、楽しみにしてるね。
失礼なんて、オレちゃんきっと気にしないよ。でも、ありがとう、クォーヴ。それじゃあ、またね。貴方も、良い夜を…なんてね。ふふ。
***
――ねぇ、蝶々さん、
(月明かりの部屋の中、窓辺に寄り掛かって声を落とす。他にも使い魔が作業をするその中で、選んだ相手に理由は無かった。強いて挙げるなら、丁度伸ばした指の先を舞っていたから。「オレちゃん、誰かと散歩したいなぁ。…良い人居たら、教えてよ。」春先の木漏れ日に微睡むような、まったりと安穏が溶ける音にジョークを粧したねだりを、蝶々はどう聞いていたのだろうか。当たり前に返事も無く、己の指先から離れていくその羽ばたきを見送って、また硝子の外を見上げていた。――ふと、ノックが響く。ぱっと意識がそちらに向く刹那に、言葉が重なる。「…はーい、今開けるねぇ。」その声に、頬は一気に色めいていく。返事にも花咲くそれを織り込み歩んだドアの前、警戒や躊躇いなど放った手で緩やかに其処を開く。「……わあ、」対面した姿に、白髪のカーテンが掛かった瞳を僅かに瞠って、喜色混ざりの感嘆が漏れた。「はは、本当に来てくれたんだねぇ。オレちゃんのお誘い、受けてくれてありがとう、エルフさん。」それから、身を半歩退け部屋に招く意思を仕草で伝えながら、弧を描いた唇で第一印象の愛称を添えた謝意を捧げて、「早く貴方と出かけちゃいたいけど、まずは、」浮き上がりそうな足を退けた位置に揃え、姿勢をしゃんと正す。胸元に手を当てる何処か芝居掛けた所作は、目の前の彼の燕尾服に合わせて戯れに作った仕草。「オレちゃん、ニール・グレイ。」もう片方の手は腰に、そのまま小ぢんまりとしたボウアンドスクレープと共に名乗って顔を上げた先。「貴方のお名前教えてくれる、エルフさん?」自らの仕草にか、それとも現れた彼への嬉々か、くすくすと溢れる笑いを含ませた問いに首を傾げてみせながら、期待の熱を滲ませる瞳で彼を見詰めた。)
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