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795:
レオ [×]
2024-04-29 22:59:37
>ラザロ(>794)
(彼が問いをはぐらかし、顔を反らす直前。それまでの表情から明らかに険しさが顕れたのを見て、疑を重ねかけたその前に、もう一つ言葉が被れば、意識は容易にそちらへ逸らされる。「ああ、そうだな。互いの無事が何よりも一番だ。」そのまま疑問は霧散して、拒む事の無い彼の手元を視線で追う。――刹那。聞き覚えのある火の爆ぜる音に、身を再び竦ませながら、反射的にそちらに顔を上げる。ぴんと緊張を巡らせ見開く視線で光を見詰め、それからまた彼を窺いに目を動かし、ドラゴンの姿を捉える、前に。肩を抱き寄せる手、澄んだ彼の機嫌良い声が己の元に届いて。「…ああ、確かに。」その安堵に溢れた笑いを編んで、肯定を返した。「……君に聞いていた通り、派手で凄まじいな、花火は!」幾つも幾つも、昇っては咲く炎の華。音にさえ慣れてしまえばその瞳に映る絢爛さに心を踊らせて、燥ぎ色付く笑顔を彼に向かわせる。……それから、暫し。「…あ、今のは君に似ていたな!」身を寄せたままに空の大輪の色を指差し、あれはどうだ、これはどうだと口を何時に無く雄弁に回し、彼との夜を過ごす。「……どれも素晴らしいな。」高揚のまま語る声が少し鎮まった辺り。瞬いた瞼の重さを自覚して、微かな唸りを漏らす。「この夜は生涯、忘れられんだろう、な…」言葉は緩やかに沈みかけた意識に辿々しく、身体は彼の方へと傾ぐ。――先程の事など無かったように、警戒も無く、恐怖も無く、彼へと凭れて。「……ありがとう、ラザロ。」至極心地良さそうに、柔らかく、安心しきった顔で何度も舟を漕ぎ、夢と現を曖昧に往来しながらも、その一言だけははっきりと彼へ伝えた。)
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