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770:
レオ [×]
2021-10-03 14:24:31
>ラザロ(>750)
(地を駆けずった鼠への己の反応を可愛い等と呵々大笑され、羞恥に似た感情が芽生えたのも束の間、自身の問いに答えが返される。「…ほう。不思議なものだな。」最早すっかり信じきった出鱈目に、再び興味津々とその細い花火を見詰めていれば、不意に彼が視界から落ち、それを追いかけた視線の前に二本、見詰めたものが差し出される。「ふむ、勝負事か。私はあまり得意ではないが…」次いで成されたのは、競うという事そのものに慣れていない自身にも、至極簡単で簡潔なルールでの勝負の提案。「…君とならば、面白そうだ。」勝負事に娯楽や愉悦は見出だしていない筈で、しかし祭りに浮かされた今、それが随分と魅力的に思えて口角が上がる。続けてはしゃぐ色に染まる返事と共に、その仕草で誘われたまま、彼の手にある花火の片方を掴み、自らも火の前へと屈む。「……では、やるぞ。」仄かな緊張に花火持つ手と頬に力を僅かに籠め、それから少しの間を置いて、勝負開始の宣言の後に手の物を火の玉へ。先端が燃えて一秒、ぱち、ぱっ、ぱらぱら、と弾ける細い音を立てて、地に広がる松葉達や樹木の枝先にも似た灯りが、花火を中心に何度も飛び回る。「…おお。」一瞬の合間に散り消えてはまた新しく生まれるその灯りに見惚れて、思わず勝負である事を寸時頭から逃し、感嘆を洩らしながら些か呆けた顔を近付ける。だが、直ぐ様はっと慌てて顎を引き、崩れかけた体勢を整えんと身動いだ瞬間──ぽた、と小さな灯火の種が地面へと落下した。「……む?落ちた、のか?」それから間も無く、輝きさえ失っていく様まで見届けた目を二度程瞬かせて初めて、その火は先の花火と違い、糸に似た見た目同然に極繊細で、振れば露の如く落ちるものなのだと理解する。「先程のものよりも随分脆い…いや、弱いもの、なのだな、これは…」呆気無く終わった線香花火の、その残りを未だ持ったまま、知れず名残惜しげに眉尻を垂らして呟いた。)
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