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1446:
ニール・グレイ [×]
2024-08-30 19:16:46
>クォーヴ(>1435)
(たっぷりの果物に冷たい泉、座る其処はふかふかの芝生。考えられる限りの恵みを詰めたような居心地の中、頬張る林檎は何処を齧っても甘く、幾ら口に放っても飽きが来ない。その何度目かの咀嚼中、隣に並んだ姿へと目は向かい、「ふふ、確かにちょっと意外。」静穏と優雅を形にした彼が、片足とはいえ水に浸かる姿は意想の外と、その光景に口から笑う声が零れて。そのまま合った視線はやはりきらきら輝き、「だって、ホントに甘くて美味しいんだもの。」既に半分は欠けたその赤い実を掲げてにんまり満足を満面に。それでも表し足りない高揚は、ぱしゃぱしゃと水の内で跳ね回る爪先に。それからまた齧り付いて味わう最中、届いたその呟きへ一度ゆらり首を傾げる。しかし直ぐには何も言わず――やっと彼の方を見たのは、林檎を丸々一つ、固い蔕から芯まで全て腹に納め終わって、指先の果汁さえ舐め取ってから。「……クォーヴも食べちゃえば?」口の端を悪戯に吊り上げ、誘いを軽やかに投じる。そうして手にした二つ目の林檎を泉に浸して両手ごと灌ぎながら、「貴方が言ったんでしょ。この楽園には貴方とオレちゃん、二人だけ。追放するものなんて何処にも居ないって。」実を手にする前に得た彼の言葉を引っ張って、滔々と滑らかに赦しを謳った後、「…ならさ、」雫の滴る禁断の果実を彼の前へ。それを持つ手がご丁寧に甲を晒しているのは、わざとか否か。もう一方の五指は、しゅるり彼の爪へと絡み纏わりつく。「……一緒に罪を犯しちゃおうよ。」誰に聞かれる訳でもない、けれど密やかに吐息を籠めた誘惑。その紅の瞳にも違いは無く、蜜のような艶熱を籠めて水色をとろりと見詰め、蛇は彼を唆す。)
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