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□ 160万℃のレチタティーヴォ / 〆/4381


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自分のトピックを作る
321: 宝飾 周 [×]
2020-05-27 22:04:35





………
(どう見ても人間の首を縦に振らせるための懇請であった。それに再考する間もなくノーを突き付けられる貴重なマイノリティーであった己は何処やら、口の開いた間抜け面で返答に詰まるくらいには籠絡されていて。__視診した限りでは何ら問題は無い、このまま運動着に着替え何時ものスタート地点まで案内したっていいほど健康そのものに見える、のだが。太陽が真上に登るまでぴくりとも動かなかった蛹を思えば、それはどうにも最適でないように感じた。繕いの痕すら残らない綺麗な顔。靭やかな細身に蓄えられた莫大なエネルギー。いっそ機械仕掛けと言われた方が納得できてしまいそうな彼という存在は、血と肉と想いの詰まった料理で出来ている。どれだけ秀でていたとしても人間として生きるからには休息を取らねばならない__それを怠ったが最後、心の臓まで撥条で動く無機物と成ってしまうから。歯車に組み込まれているからといって歯車で動く必要はないだろう。少なくとも己はオイルを飲むのに抵抗を覚えるし、今は相手にだってそれを求めたい。目蓋を上から下、そしてまた上へ。とはいえ息を抜くのが下手なのは此方とて同じである。揃って静養を命じられた手前、目の前の小悪魔を置き去りにするのも気が引けるが必要以上の運動を許してしまうのも愉快でない。大抵の人々が笑顔で享受する空白の時間。その穏やかな消費というのは、我々森の住人にとってどうにも難しい問題であった。"普通"の脳味噌で普通を考えること数拍。何気なく彼の発言をなぞっていると、ぴこんと音を立てんばかりに感嘆符が飛び上がった。)
…やめた。走るんじゃなくて歩くことにする、そろそろこの近辺を散策したいと思ってたんだ。君も仕事以外の外出なんて殆どできていないだろう?二人で穴場でも見つけに行こうよ。
(少し距離はあるが書店もビデオショップも立派なものが建っている。娯楽がないなら揃えればいい、選択の時間だって楽しみに変えられる。苺のタルトが有名な焼き菓子屋、センスの良い衣類を取り扱うセレクトショップ、珍しい品々の並ぶ輸入雑貨店。人伝いに蓄積されたあれやこれやの情報に蓋をしつつすっかりと温くなった椅子から腰を浮かせて。端から空いている升目に関心は注がれない、二人分の目と足があれば白紙に戻した地図も直ぐに埋まるだろう。低くなった額を指の先で突付いてはぽろり溢れ落ちるような笑みをひとつ。思い描く選択肢はイエスとイエス、返事を待つ事なく出立の準備を始め)






322: 漆戸 アゲハ [×]
2020-05-30 00:13:13




え、でもきみ、走りたいんじゃ……そりゃあきみには敵わないだろうけど俺だって多少は、んみっ、
(一緒にいたいのは事実だけれど、それで相手を制限するのは本意ではないと声あげて。理由はそこではないと知りながらも体力プレゼンテーションを繰り広げようとした矢先に伸びてきた指、思わず目を瞑り、開いた先にあったマーガレットの咲んだような顔に言葉の続きを忘れてつられて笑ってしまうあたり、自分は彼の笑顔に余程弱いらしいと知る。「きみと出掛けるの、去年の秋以来な気がする」さっさと支度を始めてしまった相手を横目に、どうしてか彼の中で決定事項になってしまったらしいそれをまるで初めからそう取り決めていたような口振りで。今日は最後まで甘やかされる日なのかもしれない。ふへへ、緩みきった口元から自然と笑い声が漏れた)





(またMA-1が翻る。アイドルによるアイドルのための楽園では息苦しい変装すら必要ない__なんてことは多分恐らくないのだが、新しいものを見つけるのにフィルタをかけたくないとごねてみたらなんとびっくりお許しが出てしまったのである。やっぱり甘やかされる日のようだ。こそばゆさを隠すためにその手をとって、ちょっぴり走り出すようにして出立した超絶お手軽二人旅、これが中々悪くない。あてどなく、されど彷徨わず。どこかに行ってもいいし、行かなくてもいい。曲がるも進むも、白線を踏むも塀を伝うも全て自由。途中で窓越しに何かを見つけてふらりと立ち寄るその行為さえ寄り道とは呼ばれない。直感と本能に何の細工もなく、素直に率直に従っても咎められない時間は、少しだけ肯定とか無償の愛に似ているようだった。そしてそれこそが多分、補充が必要なものだったのだろう。普通に差し出されても受け取れないところまで含めてちゃんと頭のどこかで理解して、彼はここまで己を導いてみせたのだ。全く敵わない、まよいの森の住人に相応しい翠眼である。ただ惜しむらくは、やはりと言うべきか気質柄此方が振り回す形になることが多かったことだろうか。何だかんだ言って、それなりに楽しそうに見えたあの顔が演技でなければ良いのだけれど。__不意に。)
……ねえ周、こっち。
(それは何かが見えたのかもしれないし、聞こえたのかもしれない。匂ったのかもしれないし、ただの風だったのかもしれない。ただ何かがあるのに気づいたか、或いは思い出したかしたのは確からしいようで。結局そんなに増えなかった手持ちの袋と反対の手で人差し指から小指の根元の関節をきゅっと捕まえると腕を引き、視線の先に人気のなさそうな路を示しては意思を確認するように振り返って)





323: 宝飾 周 [×]
2020-06-02 00:08:42





(愉快であったり、幸福であったりする時間ほど儚く過ぎ行くものだという。科学的根拠などただの一つもない与太話ではあるけれど、左手首の文字盤がやけに急いているように感じたのはつまりそういうことなのだろう。偶像を愛し、夢を重ねる皇帝の箱庭がいっそ恐ろしいくらいに快適で、白皙の紅玉を剥き出しにしておくことへの心配が早々に薄められてしまったのも原因の一つだと言えそうだが。花々を飛び交うミツバチの如く、導きの糸に引かれるままあちらこちらへ顔を出していれば、何時の間にやら揃いのショッパーがひとつ増えていた。沈む間際の太陽から抜き取ったような夕空の色。右端と左端で揺れるそれらがカサと音を立てる度、二人ぼっちの旅路にささやかな充足が添えられていくようで。__真白のシャツをカラフルな彩りで埋める散歩もそろそろ後半戦。すっかりとリードの役割に慣れた腕の先に従えば、数秒前より随分と真剣さを増したように見える表情に遭逢し。示されたその場所に顔を向ける。陽光の侵入を許さない鈍色の空間は、何処か退廃的な雰囲気を醸していて。相手が屈強な荒くれ物なら金銭を、目の据わった不審人物なら信仰を強いられそうなシチュエーションなのだが、絡まる片手の持ち主は隣を許す相方の君ときた。それならばもう、意思の宿る双眸と対峙する、そんな些細な切っ掛けさえ仕掛けられれば追従を除く選択肢は遥か遠くへ追いやられてしまうのだった。)
ん。どうしたの、猫でも見つけた?
(迷う素振りも見せず進路を切り替える。ゆったりと問うてはみたものの、其処に何があるのか、はたまた何も無いのか、そんなことは問題にすら挙がらない。気の向くまま流されるまま、自由を具現化した時の中で全ての選択は平等であった。言葉を形作るのに協力を仰いだ生物は一瞥する限り生憎の不在であるようだけれど。彼の齎す未来を敢えて予想しないまま、暗い空気の中に侵入して。)



(/重いかな~と悩んだんですが我慢できなかったので失礼します。お部屋作成より本日で1周年!本当に本当~~~にありがとうございます!!!!いつもお世話になっております!!(四方八方から飛ばされるクラッカーの絵文字)日頃の感謝を込めてサプライズができないものかとうんうん悩んだ結果納得できる案が浮かばずお返事が遅れるだけの最悪な結末となってしまい号泣しているのですが、せめて何かメッセージくらいはと思い唐突ではございますがこうして背後が登場させていただきました。個人的にはまだ1年!?と驚愕しているのですが如何でしょうか?なんかもう濃い時間を過ごしすぎて3周年くらいの気分になってます…有難や…。
小説が出来上がりそうなくらいのやり取りをして、背後様とアゲハ君のことを少しずつ知っていって。1年という月日が流れた今、あの2人の、そして貴方様の存在は私にとってかけがえのない宝物になっています。あの時、あの場所で声を掛けたこと。森に住む2人のキャラクターを生み出したこと。紡いだ言葉、選択したシチュエーションまで今に至るまでの全てが幸福な運命で繋がっていて、どれか一つでも違えばこんなメッセージを考えることもなかったのかもしれないと思うと何だか本当に……すごいなあと……肝心な所で語彙力がゼロになるのそろそろやめたいんですが来年には治ってますかね(??)
話がごちゃごちゃしてきましたが伝えたいことをまとめると!長い間本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします!以上です!長ったらしくて申し訳ございません、今日も今日とて大好きで~~~~す!それでは!)






324: 漆戸 アゲハ [×]
2020-06-02 02:55:46




(/いや嘘……ほんとにもうあなたって人はどうしてこう……好き……(語彙力の敗北)うわーん此方の台詞ですありがとうございます~~~~!!予想通り無事欠乏症を発症致しまして精神的に死にかけてたんですが今大変回復しましたうっうっ……ぜんぜん重くないですし寧ろそんなこと言ったら此方の方こそ背後様の100万倍ヘヴィーでアレな人です、というのも当方ちょっとしたテキストを用意してまして。正直全く予想してなくて奇襲用(?)に作ってあったのでもう存在ごと抹消してもいいかなとも思ったのですが、折角背後様がいらしてくださりましたし、多少色々と書き連ねましたので、勿体ない精神で改変を加えて載せるだけ載せておこうかなと。ただちょっと、どうしても勇気が出なくて良くないかなと思いつつも提供の口調を借りておりまして、半なりですらないのでもし苦手でしたら全く読まなくても問題ないものですからどうかスルーしていただければと思います……!あれでしたら削除申請も視野に入れております故……!!)






325: 漆戸 アゲハ [×]
2020-06-02 03:04:24



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ハッピーバースデー俺たち!

__フライングだって? あはは、違いない! でも一番分かりやすいところに書いてあるとつい記念日にしたくなっちゃう。とりあえず今年は今日ってことで、ね。
それにしても1年かあ。全然実感はないけど納得はできそうなこの感じ、少し不思議だけど、きみと話すようになってから地球が太陽の周りをだいたい一周したってだけの無機質な事実に、感慨を覚えてるのは確かだ。ふふ、こういう考え方すると自分が小さく思えて結構好き。

大したもの書いてる訳でもないのに、あんまり来られなくてごめんね。忙しい……っていうのは言い訳に過ぎないけれど、事実としてこれまでよりやることが増えてるって実情はあって。辛くて苦しいけど、せっかくきみにもらったチャンスだから、自分なりに頑張ってるよ。
どういうこと、ってなってそうだなあ。丁度いいや、一周年だし辛気臭い話でもしようか。去年の今頃ね、辛いことがあってちょっと挫折してて、逃げて逃げて逃げた先に見つけたのがきみなんだ。そのとき俺は俺のことが大嫌いだったんだけど、赤の他人でも、つくりもので仮初だったとしても、きみを好きでいる自分は、その気持ちくらいは肯定できる自分でいたいと思って、それから、ちょっとずつ前を向けるようになった。……ありがとうって、ずっと言いたかった。きみは何もしてないって言うんだろうけど。嗚呼ううん、無理に受け取ってくれなくてもいいんだ、俺がそれを伝えたい意思だけ知っておいてくれれば、それで。__それで、今有難くもあれやこれやと追われているのも、きみが引き上げてくれたお陰だから、簡単に折れたら駄目だなって。まあ、言うなら、俺が勝手に救われて勝手にそう思って勝手に頑張ってるだけなんだけど。
そんなだから、きみには関係ないって言われちゃったらその通りだし、きみに寂しい思いとかさせてるのかなって。俺の自意識過剰なら盛大に笑ってもらうだけで済むんだけど、前に限られた対象に入れ込む性質って言ってたから、ちょっと気になってる。もうイベントもストーリーも久しく追えてないからそのうち齟齬が出てきてもおかしくないし、時間も話も俺よりきみに合う奴が多分いるから、辛くなったり面倒になってきたりしてたら我慢せずにちゃんと言うんだよ。

次まとめて時間が取れるとしたら8月とか、それくらいになりそうかなあ、まだ分からないけど。前に予定の話し合いしたけど、次に沢山話せるときはそれとは関係なくきみのやりたいことを優先したいから、良かったら考えておいてほしいな。……うーむ。3月にあれだけしてもらったのに俺の方は時間取れないなんて、これはいよいよ愛想尽かされてもおかしくない気がするぞ。当日とかその前後の1日2日くらいはなんとか空けるから、近くなったら都合の良い日を教えてね。

最後に。何か言いたいことはない? ……うん、そう、いつもの。何でもいいよ、不満があるならできたらそれを聞かせてくれたら嬉しいけど、無理強いはしない。なければ、最近は何作ったのかとか、知りたいな。
さて、俺も言っておかないと。周、今までありがとう。これからもよろしく……は、言っていいのかな、ちょっと分かんないや。でもきみが良いなら、こっちは受け取ってほしい。あとはそうだな、俺も大好き。……あのときもきみからだったし、毎回先越されてるから今度こそ先に言おうと思ってたのになあ。ここまで読んでくれたなら分かってるかもしれないけど、きみが言ってくれるから同じのを返してるんじゃないってこと、一応知っておいてね。
それじゃ、月の変わり目、一部では梅雨入りもしてるようだし、情勢も変化してるときだ。どうか体調には気を付けて。



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326: 宝飾 周 [×]
2020-06-02 20:13:14





(/こっちのセリフ~~~~!!!!えっえっもう……なんでこうお互いの首を絞めるような真似を……朝ごはんは涙の味がしました、ありがとう…ありがとうございます…本当に…。
脳内会議の結果これに返さないのは末代までの恥だという結果に至ったため稚拙ではありますが息子の口からお返事の言葉を送らせていただきます。キャラ崩壊も甚だしいのですがこれはパラレル!気にした方が負けの精神で!!(理不尽)伝えたいことは全て込めたつもりですのでこちらの返答は簡素なもので失礼致します、もう私のお相手様がこんなに素敵って世界中にプレゼンしたい…う~…蹴っていただいて構いませんのでどうぞ気を楽にして受け取ってくださいませ…。)






327: 宝飾 周 [×]
2020-06-02 20:18:04





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誕生日おめでとう、君と俺。

…やられた。人、というか主に俺を驚かせるのが得意だよね、本当に。太陽と月が何回登ったとか、カレンダーを何回破いたとか、君の中に広がる広大な世界の中では一つの島にも満たないちっぽけな問題だと思っていたんだけど。案外目を掛けられていたみたいで少し安心した、__うん、嬉しいよ。とっても。

さて。かけがえのない片割れへ。聡明で臆病なお馬鹿さんへ。君って奴はいつだって、……嗚呼いや、俺の事を考えてくれてるのは痛いくらいに伝わってくるんだけどね。思いきり愛して与えるのは得意なくせに、それを受け取るのは如何にも苦手なんだろう。責めてる訳じゃないよ、水瓶の穴を少しずつ埋めようとしてくれてるのは知ってるし。
他に合う存在もいると思うだとか、愛想を尽くす可能性だとか。それじゃあ逆に訊くけれど、君は俺以外の手を取る自分を想像できる?心を持った人間である限り可能性はゼロではないだろうけど、少なくとも今の俺は否と答えるし考える気すら起こらない。君だってそうでしょ?首を縦に振ったなら「これからもよろしく」の続きを切り取ってしまうことだね、人に言われて嬉しい言葉を濁す必要は無いだろう。未来を願うのは何も悪いことじゃないんだから。…勿論、考えが変わったなら伝えるさ。だけどそうじゃないうちから"かもしれない"を考えるのは性に合わないな。折角胸を張って幸せって言えるのに、それを後回しにするのは勿体無いと思うんだ。

感謝の気持ちも貰えるなら遠慮なく貰っておこう。1年間溜め込んだありがとうはとんでもない重さになっているのかもしれないけど、その質量に少なからず喜びを覚える変わり者もいるようだから。寂しくない、…と言えば嘘になるかな。でも、忙しいのはお互い様だし、一緒に頑張ろうって気持ちの方が強かったりする。会いたくなったら頭を働かせるんだ。やりたい仕事とか、行きたい場所とか、もしもの話も沢山。考え過ぎ?ふふ、知ってる。孤独への対抗措置だ、大目に見てほしいな。過剰なくらいの前向きもこういう時には役に立つね。

8月か。いいね、夏真っ盛りだ。その辺りには今度は俺の用事が立て込みそうだけど、…まあ、お互い状況がはっきりしてから話し合いをしよう。やりたいことねえ、いつも何だかんだと聞いてもらってる気がするけど、君がそう言うなら考えておくよ。ああでも君の意見も聞かせてね、その魔法みたいな発想力にいつも助けられてるんだから。

今回は割とあれこれ口を出した気がする。満足してもしなくても、これ以上は砂糖しか出せないからそのつもりで。いつも楽しい時間をありがとう、この先もよろしく、好きだよ、…君ならちゃんと受け取ってくれるって分かってるから駄目押しはこのくらいにしておこうか。
心も体も、どうか大切に。あとは、俺の事を考えられるくらいの気力を残して頑張って。応援してるよ。ずっとね。



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328: 漆戸 アゲハ [×]
2020-06-04 03:17:10




分かんない、……急がなきゃ、
(別に何も潜んでいないと分かってはいても、あの暗がりと狭まりで警戒心が微塵も煽られない奴がいるとすればそいつは多分社会的どころか生物学的な危険察知の本能すらぶっ壊れている。だというのに躊躇どころか迷う素振りのひとつも見せない、盲目的とも取られかねないような全幅の信頼にふにゃり、とても嬉しいのを周囲には更々伝える気のないような、湯に粉末がほわぼわと瞬時に溶けるような、具体的に何が変わったとも、強いて言うなら雰囲気としか言えないような息遣いで応え。けれど質問には明確に答えられない、分かるのはそれがある場所だけだから。なんとなく何かに急かされるように、けれど深刻さはない調子で何もない行き止まりの路地へその手を引くと離し、少しの助走を伴って垂直に立つブロック塀を駆けて難なく登り。後ろを振り返って手を伸ばし引き上げる手伝いをしてから、建物と建物の間を縫うように進み。凡そ人間が通るべき場所でないと思えるような通路なら一通り通ったと言えるような小さな冒険を経た後、横たわった鉄柱の山を降りた先に開けたスペースがあった)
__随分遅咲きだ。
(ぶわり、桜のにおい。斜陽が丁度何者にも遮られずにその木を照らす角度に、それこそスポットライトみたいに綺麗に射していた。周りにはブルーシートも祠もなく、まるでそれとは無関係だとでも主張するかのようにただ人工物とその残滓だけが秩序だって並んでいる。切り倒せずにそのままにされたのか、これから切られてしまうのか。どちらにせよ、自分たちがこれに出会えたのはきっと、誰かの躊躇があってのことだ。この国で、この瞬間に一番美しいものをここに揃えられたとしたらこうなるのではないかと思う。ほんの瞬きの間にもしかしたら無くしてしまうかもしれないものに焦がれるような、恋しいと寂しいの間にあるような、胸がぎゅうとなるこの感覚を、先人ならもののあはれとでも言うのだろうか。朝食べたものに確実に影響されていると知れる思考もそこそこに心許ない足元に転んでしまわないように後続の手を確と支えてから、得がたい刹那を最高に贅沢なやり方で消費するように、ひらひらと舞う桃色の中を同じように踊って)
あ。……ふはは、きみ、この子がここにいるって実は分かってた?
(近づいた拍子に、低い近くの枝に1匹の猫が休んでいるのが見えた。振り返っておかしそうに笑いかけると手招き、「俺よりよっぽど贅沢な奴だなあきみ、」人馴れしているのか警戒されていないのをいいことに腕を伸ばしてそろりと身体を撫で)



(/えっ返信嘘でしょえっ!!?!?現実!?!?ひい~~~~ありがとうございます幸せであたま溶けそう……すみませんやりたいこと考えといてとか抜かした端から本当に申しわけないんですが次もし即レス形式する機会があったらぎゅーってさせてくださいお願いします無理耐えられない……。周くんの方にもお返事したすぎて悶えてるんですがただでさえ遅い上に延々続けられてしまいそうなので正直心の底から蹴りたくないんですがここで切らせていただきます……!うっ素敵が過ぎて蹴らなきゃいけないのシンプルな蹴りよりずっと辛いですね……!?ともあれ、この度は本当にありがとうございます、全てのことにお礼を言いたいです。大切な人に丁寧に説かれでもしないと毎度頑なに理解できないような人間の言葉で、その上拒絶がないと分かってからの卑怯な言葉で大変恐縮なのですが、よければこれからも、末永くどうぞよろしくお願いいたします……!)





329: 宝飾 周 [×]
2020-06-06 16:18:24





うわあ、
(壁にへばりついたり、逆さまの顔と鉢合ったり。万有引力を鼻で笑うような輩とは入学以来多少なりとも関わりを持ってきたつもりなのだが、道端の段差を避けるのと変わらぬ調子で五尺八寸を優に越す垂直を突破されては乾いた笑いが溢れるのも致し方ないと思う。見た目だけは脆そうな細腕に難なく助けられては見慣れた背中の羽ばたきに誘われて。ご丁寧に示された道の終わりを無視した以上、概ね歩道と分類できない場所を踏む事に抵抗は無い。登って潜って飛び越えて、一息ついたところで前を見据えた双眸は忽ちに桃の光を映し出した。)
……綺麗。
(柔く駆ける春風に思考が攫われる。無意識のうちに瞬きの回数が減っていたのは、天恵の美を記憶に擦り込もうとする本能が故か。導きのまま一歩ずつ大地を踏み締めると顔の角度は自然と上の方へ。一種の芸術品が宿すのと同じ神秘的な美しさが其処にあった。きらりきらり、太陽の仕事中にも関わらず瞳に星を散らしていれば、その存在に気付くのも当然遅くなる。前方の可笑しそうな声にはたと照準を合わせると、驚きを表情に乗せたのち「おや。いつの間にか新しい特技でも発掘したかな」くすり、控えめな笑みを浮かべつつ軽口のお返しを。招く手に応え戯れに加わろうかと距離を詰めれば、ひらはらり、舞い落ちる花弁が漆の髪へ着地した。反射的に伸びる片手。それが対象を摘む直前で、透明な壁に阻まれるようぴたと進行を中止する。何か考える素振りで旋毛を凝視すること暫し、唐突に背を向けたかと思えば無言のまま枝先の方へ歩みを進め。__それほど時間はかからなかったはずである。掌に十分な"材料"を集めて帰ってくれば彼の真後ろに陣取りつつ、)
よし。そのままその子と遊んでていいから、あんまり動かないでね__…うん、うん。良いね、似合ってる。
(一枚、二枚、最初の欠片を起点に少し前まで踊りを楽しんでいたそれらを輪の形に乗せていけば、簡素ではあるものの可愛らしい花冠が出来上がり。少し離れた位置からの出来栄えチェックは合格ラインに達したようで、上記台詞に何処か得意気な頷きを乗せ。流れるように取り出した端末を起動させるとシャッター音がひとつ、温かそうな毛並みに埋もれる手を捉えながら、あくまでメインはこちらだというように形の良い頭と手製の装飾にピントを合わせ。「みて」の一言と共にカメラロールの新人を被写体の前へ提示する顔は、見ようによっては背景の桜と同化していたかもしれない。気に入りの玩具を披露する子どもの口角で高評価の共感を待機して。)



(/ぎゅっぎゅしたい!!!します!!!え~ん大歓迎です当方も愛しさが爆発してちょっと今大変なので……。重ね重ねの言葉とはなりますが、もちろんこれからもよろしくさせていただくつもりですので変わらずのんびりとお付き合いをしていただけますと幸いです…!改めて色々考えていると感慨深さで泣きそうになってきたので一先ずこの辺りで、また区切りの良いところで顔を出しますね。それでは失礼致します…!/蹴可)






330: 漆戸 アゲハ [×]
2020-06-08 21:40:21




……? はーい。
(貴重なにゃんこ体験をふいにしてまで何をするつもりかと首を傾げるも、気にした様子もなく目の前の毛むくじゃらとコミュニケーション。「ふふ、かぁわいい、この辺に住んでるのかな」「にゃーう」視線の高さを合わせ、小さな頭を両の手で抱え込んで、ゆるゆると顔の周りを指先で撫でること暫し。シャッター音に反応したのか身を起こしたところを、そろりと手を差し入れることでちゃっかりと猫ちゃんをゲットしてからその声に振り返り)
花冠……。あはは、ちょっと可愛すぎじゃない?
(誰が、とは言わずに。ただ腕に抱えた推定5kgの頭に口元を埋めて一緒に画面を覗き込み、自信に満ちた目で見上げながらにんまりと得意気に言い放てば誤解させるのも容易いだろう。__宝物を飾りつけているから宝飾、それを周りで見ているから周、だったか。何か大切なものがあったとして、己が柔らかい糸で幾重にも巻いて繭にしておきたいのに対して、彼はそれのために全てを整えたいのではないだろうか。それを阻む須らくを淘汰し、それの望む道を自分の支配下に。素晴らしいものは素晴らしくあるべきで、絢爛に飾り立てて、それでやはり素晴らしく見えるのは装飾のお陰などではなくやはりそれが素晴らしいから。傍に控えずとも侵されない程に脅威を滅ぼした上で、穢さないように距離を取って眺めているのが一番好き、とか。……もし当たっていればどこぞやの執事とは随分気が合いそうでちょっぴり相反しそうな思考回路だ。ただ困ったのはこの花びらが、ピンク頭の雛鳥ちゃんの言う“茶色のお弁当”が全く嫌いではないところだろう。けれど、「……えい」掛け声とは裏腹、勿論驚かせないようにそっと、着地点はふわふわ頭のてっぺん。すかさず此方も携帯を取り出してはワンタップでカメラを起動。真正面からぱしゃりと響いた音と共に収められたあちらに負けず劣らずファンシーな画は自分のための意味合いは薄いために、程なくしてホールハンズで相手の元に届けられる筈だ。ただ、そう、たとえば万一汚れていたとして、同じところに、触れられる場所にいるのだという証明、いてほしいという意思表示。「……ありゃ、行っちゃった、残念。__ん、とって」1.8m弱の高度をものともせずに華麗な着地を披露したそれは、相手の足下を軽く彷徨いたあと気侭に姿を眩ませてしまった。撮影の時間の終わりを告げるちいさな足跡、けれどお遊びといえ戴冠した端から王冠を投げ捨てられるほど彼の王さまでいるのが嫌いな訳ではなくて、撫でるがよいと頭を差し出すが如く。先刻見えない壁に阻まれた指がもし今度はその濡羽に触れて、彼のお陰で何にでもなれるとっても素敵なしがないちょうちょに戻ってしまったなら、命令でもなんでもない、ただの友達に言うような台詞を酷く嬉しげに口にすることだろう)
俺たちも帰ろっか、暗くなる前に。





331: 宝飾 周 [×]
2020-06-11 23:02:57





そう?俺は良いと思うんだけど。__っな、……まったく、今のは俺があの子でも迷わず逃げてると思うよ。
(研磨された思考は思惑通りに誘導され、単純な意見を垂れるに留まった。美術品を評価するのは何時だって人間の側。クリアケースの主が何を叫ぼうが大抵の場合凡庸な主観が一般の価値を形成する。彼を素敵だと感じるのは己にとって事実であるし、限りなく大衆に近い脳味噌がそう判断するであれば少なくともこの感情に間違いはないはずで。向こう側に向けていた手首を返し再度視界を横切る画面越しの貴族に微笑んで、電源を落としつつ元の居場所へ…などと悠長なことをしていればカウンターを喰らったところで文句は言えない。不意に乗せられた重石に驚いている間に撮影は終わり、遅れて伸ばした手は去りゆく毛玉を掠めるだけに留まった。対面の手には状況故間抜けに拍車が掛かった顔が収められていることだろう。やれやれと、それでも何処か愉快そうに目を細めては、適当な相槌を打って艶めく黒に手を伸ばす。所々欠けてしまったサークルを丁寧に破壊すると、勝手に解釈した望みを叶えるべく一色に戻った其処へ掌を乗せ緩く二往復。離すと同時に鼻孔を擽るオリエンタルが深部にて優越を掻き立てる。広がる前に蓋をした感情へ目の前の喜色を上書きすれば、)
そうだね、探索は十分できたし。…ああそうだ。良い物見せてくれてありがとう。
(口許へせっかちな三日月が登る。次の春に見られるかも分からない背中の景色に視線を投げては、ささやかな奇跡に感謝の言葉を。踏み出した一歩で彼の隣へ。黒猫に横切られる事のないように、影を並べて歩幅を合わせ。)





__疲れた。
(ベッドサイドを軋ませては仕事終わりであれど滅多に吐かない呟きを口にする。結局そこらを走り回るのと同程度の運動をしてしまった本日、全身を蝕む疲労には貴重で大切となった時間が刻一刻と終わりに近付いていることへの喪失感も関係しているのかもしれない。ともすれば不満の表出にも捉えられそうな音の並びであるが、それを拾うであろう両耳は四文字の中にマイナスが含まれていないことをきちんと理解してくれるはずである。信頼故に補足を怠けては産声を上げようとする欠伸をぐっと噛み殺し。普段より多めの夕御飯、のんびりとしたバスタイム、取り込んだばかりの部屋着、何もかも丁寧な休日仕様の日常は心の容器をあっという間に満たしていく。睡気は確かに存在しているけれど、まだ少しだけ目を開けていたいような、意識を手放すには惜しいような、そんな気分。緩く伸びをしては紡いでいた口を僅かに開き深呼吸。日頃いじめ抜いている筋肉を労うよう、まずは足先のマッサージから。)






332: 漆戸 アゲハ [×]
2020-06-14 03:24:13




わかる、良い疲れってどうしてか口に出したくなるよね。良く眠れそうでなにより……なんてね、隙ありー!
(ふす、と抜けるように笑い。相手の全身に根を張ったそれが昨日の自分のものの種類でないことも、もしそうだったなら彼は絶対にそれを口にしないことも理解していて。対する自分は寧ろ調子が良いくらいで、生憎と感覚の共有は叶わないけれど、なんとなくこんな感じかなと想像することならできる。重くて蕩けて、少し眠いような、けれど眠るには些か早すぎる時間で、生活リズムを妄りに乱すのは宜しくない。……なんてのは建前で、実の所まだ彼と喋っていたいだけなのだけれど。手入れしたてのつやつやの髪を揺らしながら後ろ手に手を組んで座る相手に近づいて、揉み込む手元を覗くように声を掛けるも、視線が此方を向かないのをいいことに晒された白いうなじへよく冷えたそれをぴとり)
じゃーん。お昼のおにぎりがアイスに化けました、食べよ。
(正体はパックに入ったふたつのお餅。反応を十分に楽しんでから両端を摘むようにパッケージを正面に向けてにぱ。「時間あるし何か見ながらにしようよ、何がいい?」隣に腰掛けて膝を抱え、筋肉を解す作業が終わるのを待つ傍らその上に乗せた顔を柔らかく緩めながら尋ねる様子からはまだ寝させないという意思が垣間見える。提案がゲームの類でない辺り一応は気を遣っている様子)





333: 宝飾 周 [×]
2020-06-15 22:49:32





っ!?……こっ、の……
(気の緩みと油断は直線で結ばれている。死角からの奇襲に大きく肩を跳ねさせては冷気の移った皮膚へ反射的に片手宛てがい、見開いた二つの満月で犯人を照らし。可笑しそうな顔を眺めるうち目の蓋はじっとりと下の方へ、同時に少しばかり上がった口の端をひくつかせ悔しさが滲む声でぽつり。定住地を探す睡魔はすっかりと逃げ出してしまったようだが、掲げられた誘いの前ではそちらの方が好都合なのかもしれない。己の預かり知らぬ所で成功していたらしいわらしべ長者の疑似体験、戦利品を分けてやるからつまみを考えろとは何とも彼らしい要求で、いっそ何処か安心してしまう自分が居る。__さて、何を差し出そうか。テレビを点ければ無害なバラエティー、端末を開けば話題に事欠かない動画サイトに見慣れたライブ映像。そもそも映像ばかりに固執する必要は皆無であり、書籍でも写真でもデータでもだらだらと平和**した時間を埋めるものであれば何だって構わないのである。簡単そうな顔で案外難易度の高い問いに重石を降ろしたばかりの思考を巡らせていたのも束の間、数秒の間真面目な顔をしては「__ちょっと待ってて」何事かを決心したようすっくと立ち上がり徐に自身の机まで。一番下の抽斗へこっそりと収納した対象は本来であればたった一人、無人の部屋でこっそりと再生する予定だったのだけれど。丁寧に引き出したそいつを片手に生温さの残るシーツへ戻れば、改めて隣へと向き直り)
これ。君は見飽きたかもしれないけど、前々から興味があったんだ。主要キャスト直々の解説も聞きたいし…ね、いいでしょう、" ハル " ?
(レンタル用の袋から取り出したBlu-ray。パッケージにちらと映るルビーは隣のそれと同じ紛れもない真作で。紅葉がすっかり裸になった頃、公開初日から瞬く間に世間の話題を攫ったこいつは抜群の話題性故かどんな寂れた映画館だとしても視聴が可能であったはずなのだが。あの台詞が身体を伝えば、鮮血を垂らした瞳に射抜かれれば、それだけで心に巣食う彼の存在が大きくなるような気がして、当時の己はそのタイトルを徹底的に遠ざけており。だがしかし一年と約半年、人間の変化というのは恐ろしい。既に隅の方まで広がった夜の色は今更上塗りされた所で何の影響も及ぼさないだろう。それならば、何者にも染まらない純白の上で彼が見繕ってくれたあの言葉が生きている姿を捉えたい。提案が終わりに差し掛かる頃には二人鑑賞も存外悪くないかもしれないと前向きに、傾げた首と垂らした目尻で悪戯っぽく。)






334: 漆戸 アゲハ [×]
2020-06-18 20:27:48




(恨みがましそうな視線に此方は満足げ。幾ら驚きが愛に通ずるからといって多用してしまっては果てに変態仮面と呼ばれかねないので上手く控えなければいけないのだけれど、可愛い顔がお手軽に見られるからと相手には特に手が滑りがちである。ごめんねとこれ幸い、頭をぽふり撫でては耳を擽るように滑らせ離脱。雑談程度に振った質問に何やら考え込んでしまった相手に何でもいいんだよと声をかけようとしたのを飲み込んで、差し出されたそれに)
! これかあ、また重いのを選ぶね。寝る前にはちょっと刺激が強いかもしれないけど……いいよ、見ようか。
(雑な手書き風のフォントでシンプルにHighteens、とタイトルが配置されている。「役者に7ヶ国語喋らせる作品なんて後にも先にもこれっきりだろうなあ」「15歳にR15撮らせるなんてほんとぶっ飛んでるよね」映画賞でもかなりの高評価を得た理由のひとつはその拘りの高さだろう。集められた人種の異なる同年代、容姿端麗語学堪能、演技実力に申し分なしの条件を6人揃い踏みで同時に揃えられたのはほとんど奇跡に近いと言われている。内容はヒューマンドラマ、抑圧されたハイティーンズが差別と偏見とブラックジョークたっぷりに繰り広げる群像劇。彼らを突き動かすのはキリストの血でも流れていない限り誰もが一度は抱いたことのある仄暗い感情で、覚えのある身近な理由に裏付けられた至極フランクで軽快な罵倒の応酬は笑えるにも関わらずどこか冷ややかで恐ろしい。鮮血をはじめとする主演達の残酷なまでのカリスマは視聴者が感情移入から逃れることを決して許さず、米国産らしく上向きなラストを迎える頃にはわけも分からずに泣いていたり、そうでなくとも臓腑が縮む想いを抱えたりするのだという。なんでも監督によれば無垢で無知な子供でも分別という名の無視を覚えた大人でもいけなかったらしく、世界中に発信する必要があるからと、主要言語は字幕も翻訳もいらない仕様にするために子供ばかりの面子で顔を突き合わせて台本を7冊分読み合わせたのは良い思い出である。裏面の説明書きから日本語版であることが窺えるがお勧めは原本の英語版、いくら台詞といえどあんなに汚い言葉を使ったのは初めてだった。「__あときみ、エレオノールとはあんまり似てないと思うよ」偶然似通ったのか意識して似せたのか、彼女の口調に胡座をかきつつ返答。こうは言えど、彼女が兄と確執を持つ時点で彼は彼女を少なからず理解してしまうのだろうけれど。相手がこの作品を選んだ意図は未だ正確に図らぬまま、甘いバニラが乳成分だけ分離したような味になってしまう前にと、恐らくは相手が準備を進めてくれている間にぺりぺりと上蓋を剥いで)





335: 宝飾 周 [×]
2020-06-23 00:31:54





よかった、ありがとう。__ん?似せたつもりは無かったけど、何か引っ掛かったかな。
(了承を得れば忽ちのうちに花が咲き。手際良く機器の準備を進めながら後方の呟きに耳を傾ければ何とも衝撃的な内容に好奇心が擽られる。上等なのは分かっている、とすれば両の瞳で見定めるのみ。設定を終えて帰る途中、不意に投げられた評価には無自覚らしく疑問符を浮かべるも、既に画面へと寄せられた意識に急かされては軽く受け流す事を選択したようで。さて、と肩を並べては眼前に向けて構えたリモコン、その再生のマークから赤外線の命令を飛ばし。)





___…
(開きっぱなしの眼球がオアシスの恵みを求め目蓋を引き寄せる。白玉の片割れは何時の間にやら姿を消し、舌上に纏わり付く仄かな乳の甘味だけが手掛かりとして残っていた。自らピックを掴んだのか、はたまた自身のそれより白い片手に餌付けをされたのかは覚えていないが、後者であればさぞつまらない反応を返してしまっただろうな、と。表情、台詞、視線、息遣いから指先の動き一つに到るまで、全てが紛れも無い本物であった。瞳の色も国籍も異なる役者達は皆一様に人間のそれを超えて人間らしく、よく飼い慣らされた狂気を連れてフィルムの中で燃え盛っており。オブラートの強要を常識として受け入れる現代日本の住人にとってはどうにもセンセーショナルな内容で、圧倒的なクオリティーも然ることながらとめどなく撃ち込まれる毒が視聴者の記憶に抜けない滲みを残す事は容易く想像できた。無論黒点の飛沫は日溜まりの脳にも降り掛かり、その意識を丸ごと攫う事に成功していて。心からの感動に出会った時、夢中になれる何かを見付けた時、真一文字に結ばれた唇が解けたら最後凝縮された言の葉が雪解けの水の如く溢れ出る様は隣の彼であればそろそろ見慣れてきただろうか。)
……エメラルドの彼。セドリックだったよね、彼のアドリブは何回あった?ここはそうだろうって箇所は三つくらい見付けられたんだけど、あれだけ上手ければ他にも手を加えてるはずだよね。何でもないシーンでも自分の印象を上手く操作してる、彼の声が聴こえるだけで客席側に緊張が走ったんじゃないかな。スピネルの彼女は視線の誘導が滑らかで驚いたよ、気を付けていたはずなのに何度も引っ掛かった、悔しいな。あの手のタイプは手先の動きが__
(名称は度々消失し、独自の認識に置き換わる。留まるところを知らない所感は反応を求めているというよりは整理の意味合いが強いらしく、相槌の確認もしないままつらつらと並べられていき。面白いだなんて率直な意見は出て来なかったけれど、顔中に散りばめられた輝きが楽しさの証明を果たしていた。一通りのレビューが揃い漸く短い息を吐いた後。ふと、思い出したかのように相手の正面を覗き込んでは、「__ああ、それと、納屋の炎に照らされた君の顔。凄く綺麗だった、あんな表情もできるんだ」ぽつり、短い賞賛を。その音はきっと向けた目許と同じくらい柔らかなものであったと思う。連動する口角は機嫌良さげに弧を描き、美と呼ぶそれへ真っ直ぐに向けられて。)






336: 漆戸 アゲハ [×]
2020-06-24 02:31:14




……。
(一度熱中したらそこに入り込んでしまうのはこれまでの付き合いで承知していたとはいえ、充血しかかった目や静かなシーンで逐一止まる呼吸は危なかっかしくて見ていられなかったし、なんとなく此方も声をかけづらくなって物音一つにも気を遣うことになったのは駄弁りながらのゆるーい鑑賞を想定していた己には大変嬉しくない誤算であった。「ねえ、溶けちゃうよ」肯定、「周ってば」返事、「1+1は」齟齬。「……。」聞こえてはいても聞く気がないらしい。しびれをきらして一口大に切り分けたそれを捩じ込むのも致し方のないことだ。歩行と同じように咀嚼からの嚥下という一連の動作は本能にプログラムされていると聞いたことがあるが、液晶に釘付けになったまま緩慢に口が動いているのは確実にそれによるものなのだろうと思った。この様子では放映中に雑用のために何度か席を立ったことにも気がついていないのだろう、用意した目薬はおろか天然水でさえ一度も手をつけられた形跡はない。身体を縮めて小さくなって、クッション代わりに抱いた枕に口許を埋め、画面よりもそこからの光に照らされ色を変える床とか机の表面を見ていたように思う。決して飽きからではない褪せた退屈があった。映画鑑賞にどこまでも向いていない気分だった。『__地獄がお似合いだよ』『……死に方すら__』作品の期待値を上げるのに一役買ったそのシーンに、そう言えばそんなこともあったなと過去の秋の日を現実逃避のように思い出す。秀逸なカメラワークによってカットの直前にエレオノールのおぞましく美しいつり上がったなめらかな唇の両端が映った。悲劇のヒロインの快楽に酔って、それにしかなれなくなった少女。態々違うと己に前もって訂正を入れさせた所以。ただ、そんなものは全く必要なかったのだろうと横目で見ながらに思う。全て見逃すまいと見開かれた両目が見ているのは作品の世界ではなくあくまで役者の所作と技術に終始していて、恐らく終わったあとの話題は己を含めた出演者の品評とそこから得られた彼自身へのフィードバック内容で埋め尽くされるのだろうと容易に想像できてしまったから。楽しみ方は人それぞれ、けれど、脚本家の思いが届いていない時点で、徹頭徹尾映画ではなく教材であった時点で、我々は多分、彼の真摯さに敗北した。持ち上がりかけている第二弾の話がもしも実現したなら二つ返事で再戦でもすべきだろうか。嗚呼でも、果たしてそれに意味があるのか__血の色をしているのに温度を感じない、冷たさすらない、物言わぬ骸が万一生きていたときのような静けさと虚ろのある目で、前方に視点を雑に縫い止めてそんなことを考えていた。)
__そう、なら良かった。
(にこ。相手ならばもうよくよく見慣れたことだろう、名前とかけてかしばしば麗しいと評される、カメラに向けるために生産される完成された商品があった。上映中に一瞬でも顔を窺った者ならばその変わりようが信じられずに自身の錯覚さえ疑うだろうが、知らなければただの目の保養として捉えられるようなそれは、大きな感動に興奮する心にどう映るのだろう。「……目。明日に障らないようにね」柔和に、思いやるように、近くにやってきた頭を手癖で撫でてから目許を最後に手を離し。水を差したいとは露ほども思わない、から、もう眠ってしまいたいように思えた。)





337: 宝飾 周 [×]
2020-06-25 12:03:37





(きっと間違いではないのである。綺麗な花を注文したら値札の付いた一級品の薔薇が届いた。何も可笑しな話ではないし、それが放つ魅力に依頼人の誰もがきっと満足する。賞賛の声だって上がるだろうし、気品に当てられ生ける前から鑑賞を始める者も現れるだろう。__けれど己は、誰からも愛される一輪より乱雑に舞う無邪気な桜が見たかった。そういえば四六時中聴いている彼の声が殆ど無くなっていた気がする。というより、蓋をしていたという方が正しいのだろうか。新たに生成されようとしていた言葉は瞬きの間に四散し、綺麗に飾られた微笑だけがこびり付いて。変えたいだなんて願うのは自己満足だ。それでも笑顔の品種に対する違和感が、胸の奥を妙にざわつかせた。心咎めを感じるには自覚が薄い。とすればその行動原理は感情のミラーリングを求める少しばかりの執着か。向けているのは無機質なカメラではなく生きた水晶体なのだから、美しいだけの笑みを向けられるのはどうにも納得致しかねる。つまらない感想を羅列している場合ではない、そんなものは後日チラシの裏側にでも思う存分描き殴ればいいのだ。「アゲハ、」呼び掛けながらすると引いていく片手を追うように腕を伸ばしては、その先の肩を掴み寄せるように力を固定する。正面を真っ直ぐに見据えては準備完了、語るは毒にも薬にもならない閑談を、)
えっと、……そういえば、あの猫の名前、なんだと思う?タマとかミケ、…と、か……
(思春期真っ只中の男女でももう少しまともな会話を試みると思う。解熱の直後だからであろう、適当な話題を探しても脳髄が自身の役目を放棄した以上ぐちゃぐちゃの何かを絞り出すことしか出来なくて。仕掛けたのは此方だというのに、酷く恥をかいた気分だった。ディミヌエンドを命じられた言葉尻と並行し指先へと参集する熱、じわじわと上昇する温度が汗腺を呼び起こす前に強ばった掌を土台から外しぎこちなく元の場所へ。顔なんて合わせられる訳がない。つつと下に垂れる瞳は蓄えていた陽光をすっかり消尽してしまったらしく、弱々しい後悔を浮かべていて。塗り替えの材料を探す金魚の口は不可能を悟ると共に固く閉ざされ、漸く開いたと思えば「……ごめん、何でもない。忘れて」短い懇願を投げ付け沈んでいき。予想だにしない躓きは不器用さの加速を呼ぶ。本音を言えば今すぐ逃げ去りたいのだが、ここで動けば余計に意識してしまいそうで。理由は全くもって異なれどあの日と同じく縮こまり、刺さるような秒針の音に責め立てられるまま。)






338: 漆戸 アゲハ [×]
2020-06-28 06:09:31




(掴まれた肩に眉根を寄せ。痛みに歪んでいたり強制に苛立っていたりというよりは怪訝そうな色が濃いが、先程大輪の下に隠した不満はもしかすると表出していただろうか。「なに」語尾は上がらず強調もされず、目に角は立たない、然れど慮るための空白のテンポもない、ただただひたすらに淡白にその二文字が鳴った。普段傍目から見ても鬱陶しい程にコミュニケーションの矢印を飛ばしまくる様を鑑みれば現状は間違いなく異常事態なのだけれど、それに気づいてなお取り繕えないということはその程度には感情に余裕がなかったということだろう。耐え忍ぶことが美徳だとは思わないが、醜いものを醜いまま晒すことには抵抗があった。適当に言いくるめて離脱することもできたし事実そうしたかったのだけれど、あんまりに真っ直ぐ見据えられるものだから、さて何が飛び出してくるのやらと身構えていれば、__うん? 疑問符を浮かべてしまえば恐らくはそのまま彼へのダメージに変換されてしまうのだろうけれど、それもちょっと致し方ないくらいの話の飛び方だと思う。驚きの受け入れと意図の解釈のために要した時間だけできた空白に秒針の音がよく響いた。自滅するみたいに轟沈しながらするすると撤退していく手。よく見えない表情は消えてしまいたいとでも訴えているのだろう。……喉が鳴って肩が震える。抱えた枕を両腕で胸腹部に縫い付けるようにして、くつくつと噛み殺すようにしていた笑い声はいつの間にか分かりやすいそれへと姿を変えていた)
ああ、おっかしい、話題の変え方へったくそ! ふくく、ねこって、ふ、あはは……!
(巧みな話術は今や見る影もない。これでよくもまあ器用を売りに出せたものである。誰だって情がある相手にほど空回りしやすいもので、元々高レベルでかつ乱されることのない彼の立ち回りをここまでの体たらくに引きずり下ろしてしまう程度に位置づけられていると知れれば、たった15秒の弱気で4時間弱の放置を許してしまえるのだから我ながら全く現金なものだ。ひいひいと一頻り笑ったあとに)
きみはほんとに……ふふ。ごめんね、寂しくて拗ねてただけなんだ。露骨だったかな、やっぱりきみの前だとぼろが出ちゃうなあ……次はもう少し上手くやるね。でも、__程々にしてくれよ、結構妬けちゃうからさ。
(やっぱり俺の相棒が一番可愛い。言ってもきっと上手く伝わらないそれを大笑の残滓で濁して、相手がこんなことになるリスクを冒してまで(多分本人も想定外だったろうけど!)動いた原因たるへそ曲がりから脱却しよう。俯いて垂れた髪の下からかきあげるように右側から片手をそろりと差し入れて、頬から耳に添えあくまで促す程度の力の強さで視線を合わせようと。「けど、もうちょっと、きみと話したかったなあ。もう寝ないと」眉を八の字にして残念そうに笑い、もう一つ本心の付け足し)





339: 漆戸 アゲハ [×]
2020-07-01 20:54:30




__だめ、限界( ぜえ / 息切れ / ばたんきゅう一歩手前 )……周、いるかなあ。忙しそうだし、なら俺よりも生活の質を優先してほしいし、いない方がもしかしたらいいんだろうけど( そろり顔覗かせ / ぽつ、 )




(/毎度突然失礼しております!!!(?)この度ちょっとお相手様を供給しないと当方の豆腐メンタルが限界だったことと、ご相談したいことがございまして急浮上させていただいております、驚かせてしまって本当に毎度申し訳ございません……!お忙しいところ大変恐縮なのですが、よろしければ少しばかりお時間をいただければ恐悦至極に存じます、勿論難しいようでしたら全く構いませんので!また両方に返事するの面倒だなと感じられましたらどちらか好きな方に絞っていただければ合わせますのでこちらもお気兼ねなくどうぞ……!!)






340: 宝飾 周 [×]
2020-07-01 22:31:35





(忘れろと言ったのに、などとこうもやらかした後では文句を垂れる気力も無い。ひっくり返りそうな笑声をBGMに、喉の奥で羞恥を嘆く獣が鳴いた。そうこうしているうち滑り込んできた陶器の手にぴくと反応しては、若干の逡巡ののち巣穴から顔を出す鼠のようにそろそろと。__ふわり、春告げの風が過ぎる錯覚。支配者の顔をした憂いが溶け、生まれたての熱が広がる。何より優しくて何より柔らかい、一等愛らしい特別な花。嗚呼、己はきっと、此方だけを向いて咲く希少性のそれに呪いを受けてしまったのだと、本能が理解する事を止められなかった。全く、これではどっちか羽虫なんだか。少しだけ上を向いた意識で濁った金色を細めては、言葉の端へ被せるように)
……自室の中でまで演技を続ける必要はないでしょ、程々にしろって言うなら寧ろ分かりやすく下手くそになってくれないと。画面に釘付けにされた人間でも気付けるくらいに、ね。
(超能力の素質に恵まれない一般人は心の内を憶測でしか読み取れない。叶うなら嘘偽りなく、ありのままのそれを受け入れたいと望むのは鱗粉に絆された故の冀求なのだろうか。見据えた焔がへにゃりと下がる。此方がその顔にとんと弱いのを知っているのだとすれば、鮮やかで鋭い仕返しに盛大な拍手を送ってやりたい所だが。数秒後には撤退してしまいそうな片手を己の五指で留めては冷却材代わりのそいつに頬を擦らせる。喫驚か疑問か、そうでなくとも何かしらが浮かぶであろう顔を眺めながら後ろに引いては緩慢に両手を広げ)
ほら。…どうだい、これなら短い時間でも満足できるんじゃないかな。
(恥じらいは突き抜けると強気になるらしい。話言葉で分泌される予定であったオキシトシンを満たす目的であれば、こうするのが一番効果的ではないだろうか。パーソナルスペースの内側に手招きし、あまつさえスキンシップを誘うなど頭でも打ったのかと心配されそうな行為だけれど。長時間に渡る悪行の埋め合わせとすれば妥当な内容、それに__彼の補足は、己にとって理解出来ない訳でもないから。「来るなら早くおいで、別にいいなら早く言って。これ以上恥ずかしい奴にはなりたくないんだ」どこか吹っ切れた何でもないような表情で。抱き着くでもそれ以外でも何だって構わないけれど、あわよくばの矛先は前者の側に向けておこうか。)






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