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1対1のなりきりチャット
自分のトピックを作る
301:
宝飾 周 [×]
2020-04-23 23:18:41
(刻んだ蔬菜も焼き目の付いた魚も二人分。味見皿に注いだ味噌汁に口をつければ広がる旨味は何時もの風味、火を止めて出来上がり。自身の名前をメモに記し一帯を不可侵の領域へと変貌させては、優しい匂いの残るエプロンを外し館の奥に構える根城へと舞い戻ろう。歩を進めつつ記憶の秒針を巻き戻すと、浮かぶのは昨日会話らしい会話をした覚えのない同居人の姿。早朝のロケに駆り出された己と入れ替わるように出動した彼は意識を手放すその時まで姿を見せることはなく、朝日が登った頃にはこんもりとした布団の山に成り果てていた。何に巻き込まれたのかは不明であるが少なくとも愉快でなかった事は明白で、そんな彼に対する労いとして浮かんだのが安らかな睡眠と温かい栄養の提供であった。研ぎ澄まされた爪と牙を有していたとして、人間世界の面倒事からは逃れられない。強者も時には息を抜くべきだろう__此方だって最近は甘やかすのが随分と上手くなったのだ。)
おはよう、アゲハ。そろそろ起きた方がいいんじゃ、っな、ぃ?
(一ミリも動いた形跡のない蛹をぺりぺりと剥いて、現れた中身にモーニングコールをしようとしたのだが。飛び出したのは蛸の腕。あっさりと捉えられては驚愕の隙も与えられずに海の底へ引き摺り込まれる。ぱちぱちと瞬きをしつつ、思案。直前に捉えた不満顔、絞り出すような声、目の前の壁を絶対に離すまいと強まる腕の力。それぞれの点が繋がったところに過去の経験が加えられれば、__危険信号。間違いない、幼子のようだと油断すれば忽ち牙を向くタイプの猛獣である。手負いだろうが関係ない、むしろ手負いだからこそたちが悪い。ホールドを回避した片手で押し付けられた頭をそうと撫ぜれば、針を落とさないように、導火線に触れないように、一番柔らかい音を選んで、ゆっくり、ゆっくり。)
……布団じゃなくて君の片割れだからね。ねえアゲハ、もう朝とも昼とも言えない時間だけどね、共同スペースのキッチンでご飯を作ってみたんだ。起き上がる元気があれば一緒に食べに行こう、多めに作ったからおかわりもあるよ。…もう少し寝たいなら…そうだね、邪魔はしないからこの腕だけ離してくれると嬉しいな。
(/わ~~~出だし提供ありがとうございます早速都合のいい展開にさせていただきましたありがとうアゲハ君!欲望に忠実!サラッと同室前提にしてしまったのですがそのあたりは大丈夫でしょうか…?解釈違い等発見されましたら遠慮なくご報告をお願い致します…!
お題系本当に大好きなので願ったり叶ったりです…!あ~~ちょこっと影響与えられたのが嬉しいなんてそんなことは全然思ってます(小声)温かいお気持ち本当に力になります、楽しくオタ活するぞ~!
特にご質問等なければ背後はこの辺りで失礼させていただきますね。毎度毎度ではございますが、この度もどうぞよろしくお願いします!!)
302:
漆戸 アゲハ [×]
2020-04-24 16:37:55
__いいにおい……。
(酷い空腹を前に鋭敏化されるのは生憎と視覚でも聴覚でもなく嗅覚なのであった。調理場から引き連れてきたものか、もしくは柔軟剤か相手自身のそれか。顔を埋めた拍子にすん、と鼻腔に漂った好きに分類されるにおいに刺激された脳は目の前の光景をいとも簡単に改変して、恐らくは蜜をたっぷりと貯えた花々でも見せたに違いなかった。相手の奮闘も虚しく頭蓋と頚椎の接合部をがっちりと掴むと、ゆるゆると口を開きながら晒された首元へ正面から噛み付いて。林檎を齧るにしては随分と優しい食み方だったのは、もしかしたら直前に宥めすかしていたのが功を奏したのかもしれない。戯れのような力加減で何度もやわやわと、その間から時折味わうように舌が通り過ぎる。甘噛みながら犬歯の宛てがわれた部分だけはつぷ、つぷと毎度深く沈みこんでいた。__その間およそ数秒。満足したのか噛みちぎれないと気付いたのか、固定していた手を離すと用は済んだとばかりに元の位置に頭部を押し付けてはまた静かに寝息をたてて。離す気は全くないらしく、朝から働いている立派な片割れに身動ぎも難しい状態を強要するも、これでも優秀な身体、迎えがきたとあらば寝不足だろうと一分もしないうちに活動のための準備を終えて、長い睫毛を震わせながら今度こそ覚醒)
__……あまね? ……ほんとにあまねだ、ふふ。おはよ、
(ふにゃ。眠っている間が死に喩えられるなら、起き抜けの今は生まれたてとでも言えようか。“目が覚めた瞬間にきみがそばにいて幸せ”と背後に文字が浮かんできそうな蕩けた顔で動きの悪い声帯を鳴らし、半ば習慣のように先程後頭部を引っ掴んだその手で相手の頭を撫でて。数分前の一連の出来事を全く覚えていない様子で、自分が引き込んだことも忘れて昨日入ったベッドがちゃんと冷たかったことと今の状況の差異に若干の疑問を抱きつつも特に気にせず身体を起こしぐぐーっと伸びを一つ、高くなった陽と時計を目にしては「うっわあ、久々に清々しい寝坊だ」苦々しさとからりとした楽しさが両立した声で)
(/同じく引っこもうと思っていたのですがすみませんどうしても一つだけ、朝ごはん作るエプロン周くんの良妻感!!!!辛!!!!好!!!!!以上です失礼しました。同室設定感謝でしかないですありがたや……了解しました、背後様の方も何かございましたらご遠慮なく仰ってくださいね!
それでは当方も一旦失礼しますね、こちらこそ今回も宜しくお願い致します……!/蹴可)
303:
宝飾 周 [×]
2020-04-25 22:41:39
ぅ、
(酷く穏やかに、酷く無慈悲に。雨粒が石を穿つよう一寸刻みに侵食する牙の跡にどろどろの砂糖が塗りたくられていく。けして非力ではない、寧ろ平均以上の筋肉量を保持している己の自由を根こそぎ奪う細腕に若干のジェラシーを抱きつつ、断続的な刺激の隙間に "筋トレ増やそうかな" などと能天気に。以前であれば蜘蛛の糸に捕らわれた羽虫よろしく決死の抵抗を試みた場面であるが、照明係の足場を降りて彼の隣に寄り添うと諦めるべき状況というのを理解し認められるようになった。予防線が突破された今、ひんやりとした巣の中心において逃亡の為の手段は残されていない。けれど警戒していた獣は太陽で弱った幼子で、皮膚を喰い破るよりも柔々とした戯れを御所望のようだ。撹乱効果のある美しくも危うい花、その密集地を彷彿とさせる彼の香りに意識を傾け過ぎないように、こそばゆさの中に潜む得体の知れない何かに気付かないように、葉身の下に紛れる尻尾を踏まないように、静かに静かにやり過ごせば__ぷつん。電池が切れた。固まったまま安らかな寝息を立てる旋毛と見つめ合うこと暫し、「……もう。わざとなら許さないからね…」嵐の撤退を悟る溜息を一つ、絞り出すような文句をぶつけ)
……はい、おはよう。随分とお疲れだったみたいだね、夢の中で御馳走にありつけたなら起きがけの食事は要らないかな?
(拘束具として仕事を終えたばかりの腕が伸びれば反射的に身体が強張るも、与えられたのは安堵を齎す温かなスキンシップ。ほうと弛緩する表情筋で笑みを作りつつ挨拶の言葉を贈り返し。然し乍ら容疑を否認するどころか事件の存在すら知らない無垢な顔と平時を司る朝の声、そんな光景を目の当たりにしてしまえば優男の顔にも複雑な色が混じる。言葉の先端で突付くくらいの仕返しならば許されるだろう。勝手に判断すれば不自然に湿った首筋を引き上げた襟で覆う仕草で上記。所詮は自己満足、隠したそこに人の歯の形をした窪みがあろうが、他と比べて赤くなった皮膚があろうが、それが見えていようがいまいがさして問題ではないのだけれど。)
304:
漆戸 アゲハ [×]
2020-04-26 06:59:27
え、いるけど、何のはな、……! __うそ。なにそれ、
(手を伸ばした際の顔の強ばり、複雑な表情に覚えのない刺々しさとくれば理由の一つも探したくなるもので。口撃が標準装備されていたのも随分前の話で、時たまこうやって姿を見せるのも何か理由があるときだけだ。そしてなにより、その何気なくとも不自然な動きを動体視力に優れた両目が捉えない訳がなかった。__驚いたというにはかなり冷えた声だったと思う。己の大事な宝物が何者かに侵害されたかもしれない事実を看過できないのは当然だから仕方ないのかもしれないが、それを差し引いても少し威圧感に過ぎた。何故? 何故こんなにも落ち着かない? そもそもそれを彼が望んで受け入れた可能性だってあるのに。でもそんな相手がいるなら教えてくれたって__はた。「……待って、もしかして……?」基本的に他人を自分の領域に招かない彼に、自分にすら気付かれない内にそんな相手ができる可能性の低さ。殆ど会話もしていないが、昨日此処を出る前に相手が帰宅して、あの時間から外に出たとは考えにくいこと。揃って休みを捩じ込まれたとはいえ腐っても繁忙期、昨日今日と親しい寮生の多くが出払っていること。夜の時点で相手が相手のベッドで寝ていて、自分は自分のベッドで死んだように眠ったこと。そして今の状況、駄目押しに相手の台詞。一つ一つのピースが合わさって一つの解を得たとき、さあっと全身から血の気が引く音を聞いた)
~~っごめんっ! 無意識でもきみを傷つけちゃうなんて、嫌だったよね、撮影だってあるのに、痛くない? ああどうしよう、明日までに治るかなあ、
(己の独占欲が露呈したとかそんなのは些細なことだった。先程まで存在しない誰かに向いていた敵意はくるっと自分に方向転換し、相手に向くそれは見えなくなっていた心配のみとなって。己に動物でいうマーキングの習性がわりかし強く備わっていることには早い段階で気付いていたのに、こうなることを想定できなかった、完全にこちらの落ち度だった。__いや、腹が減りすぎて食べ物と勘違いした線もなくはない、だろうか。どちらにせよどうでもいい、後悔も反省も自己嫌悪もいつでもできる、そんな何の足しにもならないものより相手が今損なわれている事実の方が何倍も重要で。面白いくらいにあわわわと狼狽え、いっそ泣き出しそうな調子で隠されたそこを凝視するも、手を出した分際で今彼にできることが何一つ思いつかずに伸ばしかけた手を引っ込める動作を何度か繰り返して)
305:
宝飾 周 [×]
2020-04-27 16:27:58
(犯人として第三者が存在したならば小さな羽虫がトラウマになるような仕打ちを受けていたのかもしれない。絶対零度の息吹を感じては陽光の届かぬ森の最深部から音となった疑問が渦巻いた。刃の輝りに掠められた喉が反射的に説明を献上しようとするも、彼の頭ならば先導は不要だろうと込み上がるそれを既の所で押し留め。予想は的中。優秀な脳細胞は数秒のうちに合わせ絵を完成させたようで、ターニングポイントを過ぎれば瞬く間に表情が塗り変わっていった__そこまでは良かったのだが。いっそ気の毒になるくらいの別人じみた狼狽は仕掛け人の罪悪感すらも扇動する。自己評価との乖離が甚だしいため忘れてしまいがちだが、己が彼にするように彼は己をかけがえのない大切へと分類しているのだ。溢れだす謝罪と懸念が、一点に注がれる視線が、鳴りを潜めた圧に代わり浮かんだ顔が何よりの証拠として息衝いていた。少々やりすぎた感がある。状況把握は大切だが、気を病む程の関心は望んでいない。傷付く様を見たくないのは此方とて同じなのだから。)
ええと、……大丈夫だから落ち着いて、ほら、そんなに深いわけじゃないし直ぐ見えなくなるよ。少し擽ったくて驚いただけだから気にしないでいい。…それよりも、
(視覚での確認がとれれば多少は安心できるだろうか。掩蔽したそこを摘み瞳から伸びる線を招き入れれば、捉えられる模様は混乱した頭で思い描くほど深刻ではないはずで。危惧するところの不快や嫌悪を否定する声は変わらぬ穏やかさを保ち、嘘偽りのない真実である事を証明している。ちらり、注目の対象を下にすると同時に言葉を途切れさせては、彷徨う迷子を己の片方でぎゅうと包み。「俺は美味しいものを美味しいうちに食べられない方が嫌だ。ほら行くよ、どうしても気が済まないなら皿洗いでもしてくれればいいから」ぐい、渦中の花畑を抜け出し強制連行。多少の強引であれば立派な刎が破けないことは証明済み、厳重に保管した強気が顔を出すのはとある蝶々を対象に据えているからに他ならず。それでも最低限の気配りは意識下に残留しているようで、「あ。着替えてく?」エスコートという名の緩い拘束はそのままに振り向きざまの問いを一つ。)
306:
漆戸 アゲハ [×]
2020-04-28 19:30:20
だって、
(揺らぐ目で勢いよく、対照的に穏やかな黄金色を見て。反射的に飛び出したその三文字は、その後には駄々か言い訳しか並べられないと知れればどんな言葉も続けられない。たった1年で、彼への『大切』が見事なまでに変性していた。「……嗚呼、赤くなってる」嘆かわしく眉尻を下げて。程度の甚だしさがより強い心配に結びつきはしても、その軽さが安心に繋がるかといえばまた別の話。傷がついたその事実は変わらない。それでも以前ならじゃれついた程度の甘噛み痕で死ぬ訳でなし、のらりくらりとかわした果てに、強く言及されたとてにへらりとした笑みで上っ面のごめんねを吐いて終わりの場面である。育てる、先導するの意識が隣にいることで息を潜めたことで、かえって箱に入れてしまっておきたい気持ちが強まったようであった。侵害された状態は勿論だが、それよりも、侵害があったという出来事そのものが許せないのだ。シーツに垂れたままの手がそこに皺を作る。過保護にしても度の過ぎたそれが齎すのが素晴らしいものでないことは知っているのだけれど。__包まれる。伏し目に憂いを帯びていた瞳が見開かれ、睫毛が2,3度上下して。)
え、あ、うん、皿洗い、任せて……?
(話が見えないながらに引かれるまま。美味しいもの、とは。昨日のロケーション先で何か見つけてでもきたのだろうか。ともかく切り替えのスイッチを入れたのは確かなようで、沈んでいたのを引き上げてチャンネルを相手に合わせると、相手の予想通り足の一つも縺れさせずに1歩後ろを追い掛けて。「ん、だいじょぶ。……けど、」寝間着といえど最低限外の人間に見られても構わない程度の抜け感。本人的にはそちらより毎朝梳かす髪の方が気になるようで。手近に置いてあったつげ櫛と髪紐を繋がれていない方の手で咄嗟にそっと、器用に掴むとポケットに転がして。わくわくする遊びに友だちを誘う少年のような力加減だけれど、此方からも握ったら気付かれてしまうだろうか。どこへ続くかも分からないのに、照らされた蝶道を往くのが、なかなかどうして気に入っていた。)
307:
宝飾 周 [×]
2020-04-29 20:01:16
__はい、ここ。座ってて、すぐ用意するから
(覚醒前に寄越したもので説明に関しては必要十分だと判断したようで、相手を一角のテーブルへ案内すると主語を伏せたまま放置して。再び調理場へ立ち温め直しと盛り付けをてきぱきと。杓文字片手に少々悩む素振りを見せたのち、通常であれば大盛りとなる彼の茶碗の山はやや緩やかに調整が入り。仕上がりを迎えたものから直送便で賓客の元へ。つやつや眩しい白米に鰹節を乗せた青菜の煮浸し、優しい香りを広げる味噌汁にはくたりと柔らかくなった春野菜が惜しみなく。ふっくらと塩焼きにした鯵には大葉とレモンを添えて。中央まで詰まった出汁巻きは自信作、サンプル品になり得そうな焦げ一つない山吹を映えさせようと皿選びにそれなりの時間をかけたのは秘密にしておこう。見計らったように湯気を立てる湯沸かし器の中身を急須に移し、二つ並んだ湯呑みへ注ぎ込めば__どこか懐かしさを醸す和の食卓の出来上がり。彼も己も日の本の国で育った人間、疲弊しきった身体にも故郷の味ならば受け入れられるだろうと考えたのだが。卓上の配置を整え、仕事を続ける換気扇を宥めれば満を持して相手の対面へ。ちらとその顔に矢印を向けて言うことには、)
お待たせ。…どうかな、全体的にあっさりした味付けにしたんだけど、食べられそう?苦しかったら残してね。夜食にでも回すから。
(出来栄えに問題は無し。がしかし、提供先の胃腸の機嫌ばかりは覗き見ることができない。少し観察した様子だと相当量のエネルギーを消費していると感じたのだが、果たしてその見立ては正しいのか否か。「逆に。足りなかったらご飯とお吸物はおかわりがあるからご自由にどうぞ」補足をしつつ双眸の位置は固定したまま。無理をして腹に収める、その可能性が否定できぬうちは何時でもストップをかけられるよう構えておかなければならない。良くも悪くも彼とは互いに影響を与えやすいようだから。反応を窺いながらも静かに両手を併せては食前の祈りに備えようと)
308:
漆戸 アゲハ [×]
2020-04-30 17:14:53
(指示された通りに着席を。馴染みの深い席であった。一食を面倒がってゼリー状の10秒チャージャーを手にした途端に、独学だろう専門家顔負けの栄養論混じりに懇切丁寧なお叱りを頂戴しながら余り物かつ即席で作ったとはとても思えない栄養満点の食事を口に突っ込まされる定位置である。しょんぼり顔でもしゃもしゃしながら合間に「おいしい……」と力なく呟くかの稀代の天才漆戸アゲハと、それに全く臆することなくお玉片手にぽこぽこ怒る相棒宝飾周は入寮当時一部の間でかなり話題になったとかなっていないとか。ともあれそんな場所であるから、ああ朝ごはん作ってくれたのかなと推し量ることも容易で、垂れた髪が食事の邪魔にならないように前と横からかきあげて乱雑にハーフアップを作るとぎゅうと空腹を訴えてくる腹を宥めながら待機。宣言通り経たずして顔を覗かせた相手が目の前に並べる品々に俄に僅かに目を見開き。舌の裏からじわりと唾液が染み出してくる感覚に唇の両端をきゅっと引き結ぶ。味覚以外の全てでこれが美味しいものだと分かるような作品。気を抜くと勝手に頬が落ちてしまいそうで、強ばった顔を作るも凄い凄いと語る瞳の輝きは失われず。今の自分に効果抜群のメニュー、それも相手のお手製、誰かと一緒の食事、おまけにできたて。残すなんてとんでもないと首を左右に振り、おかわり有の言葉には分かりやすく喜色浮かべ。「__いただきます」箸を片手に手を合わせ、両目を閉じて唱える姿は日本式食前挨拶のお手本といっても差し支えなく)
ん……うん。きみの料理、いつでも優しくて好きだ。……うち、なんでアイドルなんかしてるんだって思うような突飛な才能を持ってる奴が結構いるけど、きみも案外その類だよなあ。
(箸でひと掬いの白米を口に転がして。程よい水分を含んだ粒は少し噛めば特有の甘さを齎す。意外にも味覚の嗜好は蝶々らしく菜食寄りのようで、旬菜のたっぷり入ったお味噌汁をどことなく嬉しそうに啜ってはしゃくしゃくと。「ES追い出されたらお店開こ。俺が接客して、周がご飯作るの」最早芸術的とも言えそうな綺麗に巻かれた出汁巻きに切れ目を入れながら。勿論冗談に過ぎず、死に場所を既に決めた己にとっては生まれ変わりでもしなければ訪れることのない未来の話だけれど。それでも自分が死んだらなどとは言い出さなくなったのは相手にとっては少しは成長したといえるかもしれない。客に適当な知り合いを放り込んでは中々悪くないな、と想像上の店内に思いを馳せてぱくり)
309:
宝飾 周 [×]
2020-05-01 21:13:34
(野良犬か、野良猫か、野良蝶か。あるいは子どもがいればこんな感じなのかもしれない。馴染みの椅子に腰を下ろす度現れる頭上の尻尾がぴょこぴょこ揺れる錯覚を目の前にすれば観察の理由が杞憂に終わったことを悟り一安心、水晶体に映る映像を鮮やかな眼下に切り替えて。美味しいの四文字を用いずとも届けられる幸せオーラに浮かぶ感情は同じ色で、緩く上がる口許が忽ち春陽に染まっていく。優しくて好き。そんな賛辞に対するレスポンスとして、数ヶ月程時間を巻き戻せば添加物を控えて調味料を計算し、素材本来の食味が引き立つ調理法を選択したから…などとつまらない現実が陳列されていたのだろうが。どんな材料を使っているだとか、どれくらい時間を掛けただとかはきっと些細な問題で、振る舞う相手に贈る温かな思い遣りさえ存在すれば何にだって温かい魔法がかけられる。そんな現実味のない不思議も針が周回を重ねるにつれ何となく理解できるようになった。"隠し味は愛情"なんて気取った台詞は出てこないけれど、「誰かさんのこと考えながら作ったからね」と両目を細めるくらいなら狙わずともこの通り。パリと音の鳴りそうな魚の半身を切り分け銀飯と共に放り込めば、感覚を舌の上に集中させ丁寧に咀嚼。食卓を埋める品々に対し、たった一つの椀を相手にするように、丁寧に丁寧に。)
料理は好きだけど厨房に籠もりきりになるのは嫌だな。君の家の家政夫くらいなら引き受けてもいいよ、健康体に仕立てて俺の分までバリバリ働いてもらおう
(軽い冗談として投げられたそれにおやと眉を上げれば、数歩遅れて小さな歓が込み上げる。引き上げられて引き上げ返して、逃されてやるもんかと掴んだ手が未だ離れていない事を悟った。くだらないと吹き飛ばされそうな寝言の類だけれど、夢で遊ぶ事さえ禁じられては本当の地獄に捕まってしまう。釜で茹でられ針に貫かれるのはもっとずっと先でいい。汁椀の熱を掌に広げつつ悪戯に返したのは、可笑しなもしもの塗り潰し。他人の選択肢が意識の範疇から擦り抜けたのは気付かぬまま、楽しそうにくすくすと。ステージの上、鍋の並ぶ厨房、何処かの一軒家、どんな舞台であってもきっと何も変わらない。__皿の上を半分ほど片付けたところで、ふと考える。姿を捉えることのできなかった昨日の彼。行動の全てを把握したいとは望まないけれど、その活動内容には純粋に興味がある。聴けば起きがけの気掛かりも晴れるであろう。思い立ったが吉日、手を止める代わりに口を開き)
そういえば、昨日は何の仕事をしてたんだっけ?随分と遅くまで頑張ってたみたいだけど。
310:
漆戸 アゲハ [×]
2020-05-03 01:34:53
(奥歯で押しつぶすと、行き場をなくしたダシがじわりと染み出してくる。食べる前から美味しいと分かるような雰囲気だったけれど、やはり期待を裏切らない味をしていた。細まる目に赤い首がはえて痛々しく見えたのは努めて顔に出さないように。「通りで。美味しいわけだよ」誰かさんが誰のことなのかを認識した上で、別段照れるでも驚くでもなくただ納得したという風に。愛されていることが当然なのではなくて、彼程の観察力の持ち主ならば作る相手のことを1ミリでも意識すればその相手を満足させることなど他愛もないと考える故であった。相手に対する信頼が時折こうして裏目に出て好意を上手く受け取れないようなことがあるのは、愛される振る舞いを意識するそのくせ、愛そのものを期待していないからかもしれなかった。全ては最期に裏切るため、十数年の習慣は此方も相当にしぶとい様子。ただその我慢比べの相手は近年は特に稀に見る努力の鬼、いつかは本能ごと、その料理の味すら変えてしまう愛情というやつが少なからず自分に向いていることを理解する日が来るのかもしれないけれど。閑話休題)
ええ、俺ばっかりきみの料理食べてて勿体ないからお店しよって話なのに。家政夫さんは俺が嫌だな、俺だってきみの世話焼きたいもん、何より一緒にいる時間減るのがやだ。まあ、うちに帰ったら絶対きみに会えるっていうのは嬉しいんだけど。……やっぱり今が一番かも。
(手の形を変えずに箸の先を差し向け軽く開閉して不満の合図。今のところ料理番組くらいでしか日の目を見ない才能が惜しいと思っての発言だったのに、何の衒いもなく己のためだけにそれを使うと言い出したものだから驚きが混じるのも致し方ない。毎日朝晩彼お手製の食事と栄養バランスが確約されるだなんて、バチの一つや二つ当たっても文句は言えない気がする。もしも話でしかないと気づけば途端に杞憂でしかなくなる不安も、想像だからこそ少し楽しかった。お互いの案がお互いに棄却されたところで、指の代わりに箸を唇に宛てがいながら落とし所に選ばれたのは現在という締まりのないオチ、これこそ正に取り留めのない話。__小鉢から鰹節ごとかっさらった青菜を咀嚼し終えてから、少し苦いような気のする顔で笑って質問に答えることには)
PV撮影と舞台稽古。予定ではもっと早く帰ってこれるはずだったんだけど、たまたまリハ見に来てたお偉いさんと人脈作ってたら遅くなっちゃった。
(初日を間近に控える公演、千秋楽のチケット2枚が未だ行方を決めていないことはさておき。出番は限られているとはいえど、非常に魅力的なキャラクターを頂いたのには文句など全くないのだけれど、どうにも面倒な輩を引っ掛けてしまったことはいただけない。そも、役の問題ではないのだろう、一部のコレクター気質の人間の支配欲だとか所有欲のようなものをいやに刺激してしまうのは昔からだ。とどのつまり、熱心な勧誘を受けていた事実を、モザイク機能のあるオブラートで三重ほど巻いてへらりと笑いながら差し出して)
(/はあ~~~~~インフォレ結婚しろ~~~~してた~~~~(唐突)(??)背後から失礼します、この度ちょっとしたご連絡を差し上げるべく浮上致しました。ゴールデンウィーク明け頃まで時間がある、と以前申し上げたような気がするようなしないようなな感じなのですが、ちょっともう既に自由に使える時間がギリギリと減っている状態でして、悔しながらこの先お返事にお時間を頂いたり日があいてしまうかもしれない旨をお伝えさせてください。うっシンプルにつらい……。完全に此方のリアルの事情で振り回してしまって大変申し訳ございません、どうぞご理解いただけると恐悦至極に存じます。またお相手様には不要かもしれないのですが念の為、決してモチベーションや心情の変化からこれをお伝えしているのではないということもここに明記させていただきます、併せて把握の程よろしくお願いいたします。勿論少しでも不安になったり、流石に放ったらかしにしすぎだぞと感じましたらいつでも仰ってくださいすっ飛んでいきます!!この度はご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします……!)
311:
宝飾 周 [×]
2020-05-05 21:14:54
うん、俺もそう思う。お腹の代わりに胸を満たそう、そしたらお客さんも君も俺もみんな笑顔になれるもの。
(終着点は嚥下と共に。迎えた熱が食道の奥へ這入っていくのを待ってから終わりを告げるifに同意を重ね。作り出した味に対する期待以上の評価は素直に喜ばしいものとして受け取められるが、だからこそ安易に振り撒くのは憚られる。器用を売りにしている己を不器用に変える人。夢と見まごう偶像の輝きを教えてくれた人。変容すれど存在し続ける献身の精神は、森の中に居場所を定めた事でなんてことのない日常へ気まぐれに顔を出すようになった。この身が生み出す全ては忠誠を誓う主の為。思考は矯正できても本能に囁かれるのではどうしようもない。なんて、無意識にでも口走ろうものなら説諭のついでに額を弾かれてしまいそうだけれど。相手に向けるそれを自分に向けるため、日常から一歩踏み出した先にある板が必要だ。台詞通りのにっこり笑顔は眩しくて楽しいあの場所で。ふわと揺れる前髪と睫毛で伏し目を彩りつつ、ともすれば積み上げた山を潰す重石になりかねない言外のそれを蹴鞠のように放るのは、対岸の相手が遥か上の厄介物を飼う彼だからこそ。たまたま組み合わさったか無理矢理嵌め込んだのかはわからないピースだけれど、願わくば外れて迷子になってしまわぬよう。__溶けぬ薄膜で誤魔化されたまま、内容と苦味だけを受け取って)
ああ…例の。外面はいいものね、君。
(どの口が、と問い詰められそうな発言ではあるが、至って真顔なために質が悪い。その筋のお偉方にとっては注目すべき天才俳優であっても、己にとっては腹ぺこの寝坊助なのだからギャップが生じるのも当然ではあるのだが。ぱっと頭に浮かぶは既にそこかしこで話題となっているあのタイトル。つい先日、行くなら初日、当然自力でとチケットの獲得に臨んだところものの見事に敗北したため、聞き覚えがあるどころか妙に印象深い。順調のようで何よりと言いたいところだが、社会人と言えど未成年を拘束するのは如何なものか。将来を期待するなら尚更。見知らぬ相手に対する黒い靄が領地を広げようとするも、己の関与すべき管轄ではないと判断を下せば口の端をほんの少し曲げる程度に留めておき。大丈夫。意見せずとも彼なら器用に網を躱すことができる。丸々残った玉子の端を口の中へ静かにセットすれば草食動物のようにむぐむぐと。……数拍ののちぽんと幸が咲く。さざめきかけた波を穏やかな風で撫で付ければ、)
もうすぐ始まるんでしょ。よく話に登るよ、この前走ってたら氷鷹君と会ったんだけどね、劇団の面々も楽しみにしてるって。
(非公開の観衆の声をお届け。渡すならこちらの方が余程良い。劇という題材か片割れの名前の影響か、やけに長くなった休憩時間を思い出しつつ好物のふたつ目に狙いを澄まして。)
(/してますよね…(感謝)(合掌)(号泣)レスペースについてのご連絡ありがとうございます!そしてこのタイミングでお返事の速度が乱れると絶対不安にさせてしまうと思ったんですがこの通り見事に遅れましたア゛ーーーーーーバカバカバカ!!!!!!多忙と熟考期が運悪く重なってしまっただけなので安心できないかもしれないですが安心してください……(なんて?)モチベは常にトップギアですしインスピレーション沸かすために某青い鳥で話題のすごろくをインフォレで考えたらめちゃくちゃ楽しかったです、一人で楽しんでてごめんなさい!!おすすめなのでよかったら!!環境の変化が大きく何かとしんどい時期になるとは思いますが、どうか頑張り過ぎないようご自愛ください…!微力ではありますが周共々応援しております。駄目だしんどい頭空っぽにしなきゃ爆発するという時は今の話を一時中断して雑談モードに切り替えることもできますのでお気軽にご相談くださいませ!こちらこそ引き続きどうぞよろしくお願い致します!/蹴可)
312:
漆戸 アゲハ [×]
2020-05-07 00:45:19
チッチッチッ、外面“も”良いの間違いでしょ。次クールのドラマの主題歌枠をもぎ取ってきた相棒様に敬意が足りないぞ~?
(上の歯列を舌で弾いて、下から覗き込むように姿勢下げてはにんまりと。24時間『漆戸アゲハ』であるとはいえ、こちとら愛玩ボランティアでもなければ苦労は買ってでもするタイプでもないのである。給料が出ないならそこに繋げるまでのこと、時間を無駄にすることは己の最も嫌うところだ。勿論未成年であることを盾に社会的に糾弾することも容易だったし、ぎゅっと結ばれた口許が如実に物語るように事実それが正しい形だったろう。けれど、不快感も悲しみも与えずにひらりと手を躱せる力があるなら、たとえ叶わぬ夢でも見させたままで構わないとも思うから。……と言葉を飾ってみたところで言ってしまえば利用しているだけとも言えるが、そんな寝惚けたことを言うくらいならば誰を相手にしているのかを知った方が良い、重役ならなおさら。喜んで利を差し出してくれるなら万々歳、味方が増えて皆幸せ大団円。__確かに快く思っていないにも関わらず言及してこなかった態度に、舌で人を転がす人間のうちでも、この分野にかけては特に引けをとるつもりのないプライドごと理解されているようで、少しだけこそばゆい気がした。「お代わり貰うね」ほくほくと空のお椀を2つ持って席を立ったのはきっと、美味しいものの力だけではない)
……! __そっか、嬉しいなあ。ホクトもだけど、みんなと直接会っても俺が喋ってあしらわれて終わっちゃうから知らなかった。ナギサさんは去り際にいつも応援してるって言ってくれるんだけどね。
(2杯目のご飯を口に含んだままにわかに両目を見開いて、ごくんと丸ごと飲み込んでから破顔。夢ノ咲学院において、己という存在は何かと疎まれる立場だ。革命のとき、あれだけの影響力を持ちながら、何が起きているのか知っていながら、高みの見物で何もせず何もされなかったのだから当然だろう。過去の自分を棚に上げることになるから賢い彼らは口を噤むけれど、『お前ならなんとかできただろう』『何故お前だけ』と思わずにはいられないのを感じ取れない馬鹿ではない。たとえそうであっても、厚顔無恥に安寧の、さいごの森を守り続けることは可能だっただろうけれど、それが今やかの暴君に思う所があり過ぎるような面子の中で切磋琢磨し、物語に描かれすらしなかったレジスタンスの集まりみたいな事務所に世話になっているなどと一体誰が予想できただろう。主人公の力というものは本当に偉大である。まあ、相手が話したという件の彼とのいざこざは、また別の事情が絡むのだけれど。表立って聞けないのも当然の声が耳に届いたのが余程驚きだったか嬉しかったか、口の端にお弁当をつけたまま花がほころぶように眉尻を下げて)
……そうだ。それでね、最終日のチケットを2枚、貰ったんだけど、空いてるかな。
(少し躊躇いたくなったのには知らないふりをして。隣合った席だから共通の知り合いだと妙な感じだし、かといって彼の知らない誰かに渡すには、今は彼らと疎遠にすぎる。「ソワレの方だから、都合はつきやすいと思うんだけど」それにこれは、やっぱり大事な人に渡すものだ。なんとなく複雑だなんて理由は理由にならない。注いだばかりでさして沈殿してもいない味噌を緩く掻き回しながら時折箸に具を引っ掛けて)
313:
宝飾 周 [×]
2020-05-08 23:07:31
! …おや、これはこれは失礼致しました。流石は蝶々様、お代わりのご飯は全て貴方様に差し上げましょう。
(俯く子どもにバルーンを差し出すくらいの自然さで。予告のない朗報を務めて軽く投げられれば、丸くなった二つの鮮黄を引き換えに。光の侵入を拒む分厚い雲を引っ掻き回し何食わぬ顔で明るい地上を取り戻す彼はきっと天性のパフォーマーなのだろう。嘗て杖を握る人々がそうであったように、気付かれぬまま導きと恵みの魔法で辛の文字に一本の柱を差し込むのだ、……などと言うと同じ階に拠点を置く本職の彼から何処までも連なる抗議文が寄越されそうなのだが。作品のテーマは、集められた演者は、完成品を発信する予定日は、次々と湧き上がる感興に突き上げられる胸は、溜まっていた泥をすっかりと吐き出し終わった様子。嗚呼、休日の終わりが待ち遠しい。罰当たりな仕事人間の本能を一先ず押さえ込み、戯れに興じる態とらしい恭しさで。喋る三日月が語る特典は元々付与する予定だったのだが、折角なので無駄に特別性を持たせてみよう。音符を纏う背中を見送りつつ、心の奥で五文字の感謝をプレゼント。)
だろうね。でも、何人かは仕事の合間に観に行けるみたいだし、上手に強請ったら感想くらいは貰えるかもしれないよ。
(気質と立場を考慮するに仲介役とするには丁度良いのだと思う。立派な翅で守られていたあの頃にも外界の情勢はきっちりと調べ上げていたものだから、綺羅星やそれを取り巻く星座たちと彼の関係性については大方予想を立てる事ができる。その上で限りなく一般であるにも関わらず、蝶の加護によりその軸からはみ出した己に少なからず注目が寄せられる事も理解していた。最近では少なくなったものの、第三者との会話で不在の彼が内容の八割を占めるケースも珍しくない。私情を挟まず透過すべきものとそうでないものを正確に分ける濾過装置が付属しているのも大きいのだろう。とはいえ秘密の噂話は嫌いではない。気に入りである宝の話を聞くのも、その専門家だと認められるのも、自分を語るよりよっぽど楽しかったりする。満開の笑みが齎した春は此方の顔にもお揃いを撒いたようで。目立つ白粒の影響か、途端に美味しそうに見えた米の椀を空にしてしまおうと持ち上げたその時、聞こえてきた言葉に「え」と小さな驚愕を漏らし)
……えっと、それ、ロケの打ち合わせと被ってて、…ああでも打ち合わせの打ち合わせっていうか、少人数の話し合いだし頼めば時間の調整くらいしてもらえると思う。……明日確認してみるから、それまで誰にも渡さないで?
(手当り次第に申し込みをしていればいくつかの公演分のチケットは手に入っていたのだろう。しかしそれが実現しなかったのは己に課せられたスケジュールの問題、アイドルと学生の二足の草鞋を履く身では如何にも時間の確保が難しい。観劇を予定する者であれば誰もが注目する千秋楽の一席を狙う事さえしなかったのも、偏にその多忙さが原因であったのだけれど。先程話題に上がった劇団の面々、個人的に親しい人々、世話になっている関係者、決して少なくない候補の中から選択され、差し出された権利は他の何者にも渡す訳にはいかないと感じた。手帳を捲らずとも飛び出す記憶は過去に入場を試みた確たる証拠。片手の陶器をぎゆと握り直しては瞳を逸らさぬまま窺いを立て。)
314:
漆戸 アゲハ [×]
2020-05-11 00:21:37
(あ、光った。あまりにも意図していなかったから、にわかに現れた好きな表情に僥倖の二文字が過ぎるけれど、きっとこれが昨日の仕事の甲斐というやつなのかもしれない。宝箱に入れられない宝物、一過性に消えてしまうところは虹とかオーロラによく似ている。「うむうむ、くるしゅうない♪」無視するまでもないくらいに嫌味な色がなくなった大仰な敬語にお椀両手に殿様気取り。)
ううん……いいや。今みたいに、きみからたまーにこうして聞くくらいで丁度いいんだ、俺も、彼らも。……ああえっと、きみに伝言の役目を押し付けるつもりなんじゃなくて、距離感の話で……なんていうかこう、きっと、うまくできてるんだと思う。
(緩く首を振って。自分の話は得意でも、嫌になるから好きじゃない。心の隙間にするりふらり入り込んで、埋めるなり寄り添うなり背を押すなり引き上げるなり。まるでその人のためだけにいるようにひらひらと舞ってから、報酬を勝手に貰って好きに出ていく。個々人と言う名の大衆のために生きるならそれで十分、理解者などいらないと思っていた。のだけれど、自分に起こった何か素敵な出来事を一番に伝えたいひとがいるというのも中々悪くないらしい。悪くないから余計に、そこ以外からの理解が必須ではないとも思うのだった。ましてや相手側が戸惑うなら尚更、こちらが相手の理解者になる以上に距離を詰めて得られる利もない。けれどもそれで彼が面倒を食うことになるなら少しは自分を切り与えて本心を受け取る練習をした方が良いのかもしれない、応援メッセージは彼を通して、だなんていよいよ主君と従者じみていてこれでは相手を笑えない。少し絆されかけているのかもしれなかった。相手の視線と小さな違和感から口許を拭ってご飯粒を取り除くと、てんこ盛りだった白飯が再び三分の一くらいになったところで)
ああ、お仕事あるんだね、励んでおいで……こら。どうしてそう来る気満々なの、嬉しいけど。駄目だよ、観劇なんていう貴族の娯楽の代名詞のために先方にご迷惑をお掛けするつもりかい? 有料だけど後からネットでも見られるようになるみたいだから、俺が頑張ってる間、きみも頑張ってきなさい、ね。
(相手とは打って変わってあっさりした様子で。昔から自分の時間を犠牲にし慣れているせいか、断腸の思いだったろう申し出をいとも簡単にばっさりと切り捨てる。ただの自分の当然の押し付けではなく、経験からくる意見でもあった。コネクションがものをいう世界、相手は10年来の仕事相手ではなく互いを未だ深く知らない同士、ましてや此方は学生の域を出ない年齢。侮られて当然な上に少しでも失礼があればそこで終わってもおかしくない。彼にとっては経験の少ないTVの仕事、障壁は取り除いておくに越したことはなかった。宥めるように眉尻を下げて微笑むと稽古中に小耳に挟んだ情報を落としてやり。「ごちそうさま、ありがとう。美味しかったよ」期待を抱かせるだけになってしまった、失敗したなと心中で反省しつつ、切り替えるように両手合わせて。)
315:
宝飾 周 [×]
2020-05-12 21:26:29
__はは、それはそうだ。ごめんごめん、お互い頑張ろうね。
(相手の言い分が正しいことも、それに口答えするのがどれだけ非生産的で子どもじみた行為であるのかも理解していた。大体社会一般の物差しに当てはめれば外気に触れる前に削除される問題だし、実際の所そうすべきだったのだと思う。それでは水を浴び燃え滓と化したこの心は何なのだと問われれば、自分でも上手く説明できないのだけれど。最初から其処に存在していたかのような笑みと負けず劣らずあっさりとした返事を揃えた所で、そこいらの100人は騙せても眼前の1人には違和感を与えてしまう。彼の活躍を一番上質な環境で味わいたい。ただそれだけ。君のファンだと言われ度々戸惑った記憶はあるけれど、此方も既に各地に多々存在する虫好きの仲間入りを果たしているのかもしれなかった。アイドルとして生きることに嫌悪の念を抱くことは有り得ないが、毛の生えた心臓でも一抹の寂しさを覚えることはある訳で。「ごちそうさまでした。こちらこそ、いっぱい食べてくれてありがとう」嫌だ嫌だと転がる駄々っ子は遠い昔に埋めてきた。用意されたスイッチがあるのなら、迷わず押して軌道修正に貢献すべきだろう。丸の底を今度こそ明らかにし、自由になった手と手を合わせ相手のそれをなぞるお終いの挨拶を。物音に配慮して椅子を引けば手際良く自軍の食器を重ね、すたすたと流れるように台所の流し場へ。当たり前を当たり前と確認し合っただけで、別段変わった感情を抱く必要もないし誰が悪いということもない。だからこそ剥れる厄介者の落とし所に困ってしまう。皿洗い、譲らない方が良かったな、思考を極力低下させられるその作業にぼうと思いを馳せつつ、後に続いてやってくるであろう人影に保ったままの口角を見せ付けて)
さて、 "任せて" いいんだっけ。気が乗らないなら俺がやるけどね、これくらい手間でもないし。
(気遣いの顔をした弱々しい希望はきっと直ぐに朽ちてしまう。諦め故の脳内会議は次の段階へシフトチェンジ、お題は脳味噌を手っ取り早く埋められる何かについて。余白に詰めるなら未消化のそれではなく、もっと健全なものが好ましい。__そういえば、この間のライブの映像資料を送ってもらったんだっけ。頭に馬鹿の付く安定の真面目を発揮してはポケットの上をなぞり端末の存在を確かめて)
316:
漆戸 アゲハ [×]
2020-05-13 04:02:56
……ふ。
(美しくつくられた笑顔が歪に見えた。合わない辻褄を無理やり合わせたような顔だった。選択が正しいか間違いかは結局あとからやいのやいのと言うことでしか判断できない。今の評価者などいない。ただ、常識という名前の社会的偏見に従うなら、職業人としてはこれが正しかったのだろう。責任のある大人になるなら、この判断は当然のことだったのだろう。けれど、人間としての正解はこれではないような気がした。生きることになんの苦痛も煩わしさも覚えなくなったとき。強制や理不尽に抑えられても、唯唯諾諾と当然のように受け入れられるようになったとき。本当の意味で、全てに無関心になったとき。そのときに、多分、ひとは、生きながら死んでしまう。人間の形をして、ご飯を食べて眠って、感情を持ち笑って泣いて、生きているように振る舞う演算装置だけ積んだ、この社会に最も適応してさぞかし楽に死んでいる、中身のないゾンビ。ちょうど己が、過去に目指した姿のように。どこかの誰かさんに息を吹き込まれたお陰でか細く呼吸をしているだけで、死の名残が未だ色濃く残る自分とは違って、彼は、俺のただ一人の太陽の子は、確かに、生きている。「きみ、本当に俺のこと好きだね」不満を上手く飲み込めていないのを生憎と全然隠せていない、整った笑顔をけらけらとからかって。目が雄弁なのだ。そのくせ何にも言わず、自分の気持ちを宙ぶらりんにしままま、なり切れないまま、物分りの良いいい子でいたがっている。過剰ともいえる素っ気なさがかえって不自然なのは無意識だろうか。__すべて、愛おしかった。いたいけないのちを慈しんで何が悪い。成長だって死への第一歩だ。大人になるために自分を殺さなくちゃいけなくなるなら、死んだように生きる人を大人と呼ぶなら、そんなものになんかならなくていい。こっちは酷く、つまらないから。大体、事実まだ子供なのだ。口に出ない分モロに態度に現れている気のする後ろ姿を楽しげに眺めながら、此方はゆるり緩慢にお片付け。)
俺がやるって話だったじゃない。__そうだな、ワーカーホリック気味の働き者くんには仕方がないから代わりに指令をあげようか。俺の机の右側の引き出し、“掃除”してきて。嗚呼大丈夫、難しそうなら構わないからね。
(残酷にも相手のストレス発散方法を一言で取り上げると、顔の横に人差し指を立てて得意げに。指定場所は掃除しようにも“それ”以外他に何もない空洞があるだけだろうけれど。手の離せない自分の代わりに片付けを頼んだ、ただそれだけの取るに足らない出来事である。もしかしたら誰かに渡す予定だった公演チケットをどこかに失くしてしまうかもしれないけれど、うっかりは誰にでもあることだし、そもそもアレの代金は給料から天引きされているのだから実質己のもので、たとえゴミ箱に突っ込んだところで文句を言われる筋合いはない。つまり、訳するなら、“来たいならおいで”だ。忠告はした、ヘマはするなとの煽り文句も忘れずに。重ねた食器をシンクの中に鎮座させると、水で手が濡れてしまう前にくしゃりと頭を撫で、それから反対方向、共用スペースの出口の方へ相手の身体をくるっと返しては、「ほら行った行った」とんっと背中を押して。来ないなら来ないで、スッパリ諦めて切り替えてこいとの意味合いも込めて)
317:
宝飾 周 [×]
2020-05-14 20:20:06
…? いいけど…って、わかったから急かさないで、
(何かを企んでいる顔だとは直感的に悟ることができた。同室の相棒といえど態々人に頼むような作業とは言えないし、この声質と表情には見覚えがある。しかし内容を推測しようと浮かぶはてなマークは後追いの片手に押し戻され、その身すらも留まることを許されない。牧羊犬に追われる羊の如くなすすべ無く敷居の外へ足を踏み出すと、「…じゃあ、よろしくね。」振り向きざまにそう残し、一先ずその場を後にして。__足を動かしていれば当然のように目的地へ辿り着く。向き合う先は未だ新品の影を残すやけに小ざっぱりとした机。中身に混沌が渦巻いているという想像すら難しい光景に不審さと警戒のメーターがじわりじわり数値を上げていき。これなら気付かれないうちに荷物を纏めて姿を晦ますのも簡単なのだろう。ふと浮かんだインプレッションは生産元に己の名が刻まれているにも関わらず酷く不吉な色をしていて、思わず眉間を歪ませる。咄嗟に修正の線を引いた所で後の祭り。彼を信用していない訳ではない、自身の力不足に囚われているのではない、それでも最悪の妄想が横切るのは何処までも続く空に生きる蝶を相手にしているからだろうか。…ああいけない、切り替え、切り替え。行うべきは考え癖の発動ではなく頼まれごとの遂行だ。飛び出しかけた溜息を咥内で殺し、引手に指の先を掛け。そのままそうと中を覗いて__一瞬、呼吸の仕方を忘れてしまったのは気のせいではないはずだ。)
………甘すぎるんじゃないの………
(上体をへにゃりと歪めてはつい先程消滅させたはずの空気が勢い良く溢れていく。『俺のこと好きだね』だって?何を言う、其方のほうが余程重症じゃないか。ぽつんと居座る紙切れに込められた意味はいっそ分からない方が気楽なのかもしれない。砂糖の中毒性が薬物のそれに該当することを知らない訳はないというのに。…まあ、腑抜けにされるまいと気を張り直すこともできるため、ワクチンの役割も担っていると言えないこともないのだが。長い沈黙。有り体に言えば先程の願いが叶っただけ、持ち主に感謝して懐に収めればそれだけで済む話。だがしかし、常識に当て嵌めれば不正解であると納得してしまった後では誘惑を放つそれに触れるのが妙に憚られた。それと、これは一連の流れとは関係がないのだが、無駄に上等な教育を受けてきた影響で人様の所有物に手を出す行為にはどうも抵抗を感じてしまう。山と化した食器がすっかり清潔になるくらいの時間。表情筋をぴくりとも動かさず件のそれと向き合い続けた末、意固地な心と漸く折り合いがついたらしく。皺が寄らぬよう丁寧に掴んでは真反対に位置する机へ淡々と移動、新しい住処は鍵付きの引き出し、折れ一つないファイルの中。施錠完了を二度ほど確認すれば直ぐ様手帖を開き、該当の四角へ赤字の時刻を記入して。…少し物足りない気がする。ちらと見遣る先から足音が聴こえないことを確認すると、丸めた掌にはころんしたのど飴が一つ。ありがとうの気持ち、頑張ってとの励まし、嬉しいけどちょっぴり気に食わないという反発、そんな何もかもを凝縮し空となった其処へ配しては、少しだけ晴れた顔で自身の椅子へ腰掛けて。)
318:
漆戸 アゲハ [×]
2020-05-18 22:14:26
(ふんふふん、るぅるら、てぃんとん。見る者全てがご機嫌と判じるような、寧ろただの雑用の何がそんなに楽しいのかと笑ってしまうような声色で言葉の音を鳴らして、お風呂場をアトラクションと勘違いしている子どもみたいに手首にまで泡を纏わせながら。楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ。それが大嫌いな世界で生き抜くために身につけた術だと見抜いてきた人間がいたのには驚いたけれど、最近はその指摘もとんと少なくなった。とすれば既に心が死んだか、心の底から笑っているかのどちらかだと思うのだけれど、それが意識せずとも勝手に思考を占拠し、胸のトーチに火を灯していくあのシトリンのせいだとするなら、多分後者なのだろう。つまらないクラシックに抑揚をつけて、誰かの聞かないロックを弾けたリズムで、お涙頂戴のバラードを笑ってしまうくらいに。ジャンルに節操のないプレイリストを垂れ流しながら鍋も炊飯器も忘れずに洗ってしまって、最早鼻歌とは呼べないがっつり歌詞を伴った定番曲を七色の声で口遊む頃にはぴかぴかになったキッチンと、先程お椀に盛りきれなかった中途半端な量の白米からできた塩むすびが2つ完成していた。男子寮の割にきっちりしている奴が多いから元々そんなに汚れていなかったとはいえ、綺麗な状態は気分がいい。暇だし談話室の掃除でもするかなと掃除する場所すらない殺風景な自室の一角を思い起こしながら、相方の使っていたのだろうお手本みたいな、左右対称のようでそうでない三文字が記された紙切れの裏を拝借して、ラップで舗装されたそれに“ご自由にどーぞ”と添え。彼のごはんが冷めても美味しいことは過去に実証済みである。図らずして署名代わりになった元表面に簡単な蝶の絵を書きたして、まだ見ぬ探偵に真犯人を示唆してやったところで、裏返して上に乗せるとそこをあとにして。)
ただーいま。ね、何してるの。
(ついでなので洗顔と髪の手入れも済ませてから自室へ。まさかこの間のほとんどの時間を葛藤に費やしていたとは思いもよらず、仕事をする己を放りだしてどんな面白いことをしているのか……とは言い過ぎだが、突き詰めればそこに行き着く気持ち、まあ要するにやることやったから構ってと、引き出しに残された宝石の確認もしないまま相手の手元や顔を覗き込むようにその肩に手をかけて。)
319:
宝飾 周 [×]
2020-05-21 22:46:18
(落ち着いたところでさあ終わった、と腕を伸ばせるほど図太い性格はしていなかった。スイッチの切り替えができないままポケットに巣食う端末を呼び出せば検索エンジンの空欄へ記憶に新しいあのタイトルを打ち込んで。コンマ2秒で提示された特設サイトのURLに指を置けば、飾り付けられた文句が何度目かの来訪を歓迎し。把握済みのストーリーを見るともなく眺める最中、ふ、と目に止まったのはキャストの紹介ページ。ずらりと並ぶ派手顔に紛れ存在を放つ黒と赤が、鍵付きの硝子で囲われた宝石の如く一際美しく映るのはけして贔屓目などではないと信じたい。よく知る五文字が当たり前の顔で並んでいる事実。自分の事でも何でもない見慣れた光景であるにも関わらず、何故だか今は妙に誇らしい気持ちになった。想像以上にはしゃいでいるのかもしれない。自己分析をしつつ、すっかりと機嫌を戻した指先で更なる情報を求めようと、__人、否、虫の気配。扉が開ききる直前でブラウザを消去しては、本来暇潰しの供になる予定であった件の動画を選択し。隠しもしないのでは相手の気遣いを無駄にしてしまうし、あれだけ思考を引き摺り出された手前浮かれポンチを悟られるのも癪であった。適当に時間を弄り一時停止の直後を偽装すれば、「おかえり、お皿ありがとう。俺はこの前の反省会してたとこ」近くから届く声に何食わぬ顔で返答を。ついでに画面を暗くして、意識の矛先が刺さる前に遠くへ隠してしまおうか。くるりと回転した先の顔に平時の表情を合わせては、窓外の蒼へ少しだけ視線を投げたのち)
それにしても。こんなにいい天気なのに篭ってるんじゃ勿体無いよね、軽くランニングでもしてこようかな。__君はどうする?疲れも抜けきってないだろうし、大人しくしておくのが賢明だと思うけど。
(尋ねたのは今後の予定。心地良い晴天の下足を動かすのは趣味の一貫、とはいえ己が言うとトレーニング馬鹿の戯言に聞こえなくもないのだが。構ってのオーラに気付かない程鈍ってはいない、がしかし、ぱっとリスト化されたのはアクティブな暇潰しの数々で。ちらり、生の色を示す瞳を見つめれば、「ご希望なら何処にでも付き合うよ」さも当然といった口調で付け足して。)
320:
漆戸 アゲハ [×]
2020-05-25 00:03:51
(相手の演技に気づいているのやらいないのやら、「ん、えらぁい」褒め言葉とともによしよしと頭を撫でるのは最早手癖、疑問を抱かないどころか撫でない方が落ち着かないまであった。静止画に切り取られてもなおいきいきとした目で踊っている自分と相手の画に、“この前”のライブをなんとはなしに思い出す。既に自分にとっては過去になってしまったそれを振り返ることはあまりしないのだけれど、たまには彼を見習ってみるべきだろうか。掃除とどちらが益があるかと天秤にかけていると)
……特に疲れてるようには感じないんだけど、きみにそう見えるならそうなのかな。なら大人しくしてた方が良いんだろうけど……んん。改めて仕事もレッスンも指導も全部禁止されると何していいか分からないんだよなあ、越してきたばかりで本も映画もないし、部活もサークルも話通されちゃってるし。じっとしてるの苦手だぁ……。
(むにぃ~と両掌で両頬を引き上げるように。鏡を見た限り隈があったり表情が乏しかったりはなかったように思うのだが、本当に自覚がないだけで周囲にそう見えているというのなら不味い。逆に、たとえ疲れていたとて元気そうに見えているなら何も問題はなかったのだけれど。とはいえ本当に情けない面を晒しているなら最低限明日までになんとかしなくてはならないが、忙しいことが当たり前としてここまできてしまっているから、如何せん何もしない時間というものが落ち着かなくて仕方がなく。休日なのだから好きなことをすれば良いといえど、自分のしたいことは他者の視点から休息の範囲に入らないとされてしまえばどうしようもない。暫し眉間に皺を寄せて目を瞑り悩んでは、「……着いてっちゃ、だめ?」他人より体力に自信はあれど、普段から走る相手の足を文字通り引っ張ることになるかもしれない懸念もあったけれど。大したこともないが強いていえば不調なのは心の方だから、自分の意思を大事にした上で自称一般人くんの休息の範囲に頼るとしよう。本当に駄目なら止めるだろう、彼の目に対する信頼は特別高かった。__公平な判断を求めているかといえば否で、多くの人間をたらしこんだ高等技術を組み込んだ悪質な“お願い”の手口であるのは言うまでもないが。小首を傾げた拍子に大きな瞳はうるりと反射したかもしれなかった。)
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