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✿ 常世からの呼び声 (創作/指名制)/96


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42: 倉留 鮮 [×]
2018-11-12 23:18:47



>36 銀弧

( 射抜かれた。深い、透明な青の瞳に。“困ったな”、なんて呟きに咄嗟に反応できなくて、されるがまま羽織まで掛けられぽかんと背中を見送った。……それにしてもこの男、大層人間が出来ている。勢いよく駆け出して行ったかと思えば、なんとその手に竹水筒を握って戻ってきたのだ。出会って数分と経たない人間に何がわかるのかと言われれば否定はできないが、ただ何となく軽薄そうな外見の印象とはイメージが違い、純粋な驚きから目を瞬かせてしまう。男が行って帰って来るまでの経過時間からその水筒をどうやって入手したのか見当をつけようとしてみたが、眼下の街並みにはあまりにも見覚えがなく、断念せざるを得なかった。「……悪いな」とりあえずは差し出されたそれを受け取って、素直に謝罪の言葉を述べる。頭の先まで海水に浸かったような意識の混濁は、今にして思えばきっとほんの一瞬だった。息が続かなくなる前に引き上げられたから、ページを前へ前へと繰るように思考を辿ってみると、当時の記憶も何となく蘇ってくる。──訳も分からずひたすらに、階段を上っているところまでは。
水筒に口を付けて、ゆっくりと傾ける。滑り落ちていく冷えた真水に喉が潤うと、十分落ち着いたと思っていたこれまでよりももっと冷静な思考と視界が拓けて途端に気まずさに襲われた。良く考えずともはなからおかしなこの状況が、最高潮の瞬間を過ぎてどしりと重くのしかかってくるような感覚だ。とにもかくにもこの男は、一体どうして俺の歩みを止めたのだろう。一番に考えられる可能性としては、あの鳥居の先に何かしらの不都合があるのではないかということ。と、そこまで考えてはっと気が付いたが、そんなことよりも自分が気にしなくはならないのは、ここがどこで彼が誰で……そして自分は誰なのか?という、あまりに初歩的なプロフィールの方だった。
どうも俺は自分がどこの誰であるかという知識が欠落していて、この身体が自分のものだという実感がさっぱりないのだ。思い出がないと言ってもいい。俗に言う“記憶喪失”と称される状態にあって、自分のことだけでなく、この場所も、目の前の男のこともわからないなんて有様なのである。どういった経緯でこの階段を上っていたのかすらまったく説明がつかないのだが、彼にありのままを伝えることは憚られた。そもそも、目の前の男の頭や腰から獣のそれが生えているように見えることこそが異常の証明、己の幻覚なのではという思考が脳裏をよぎる。こんなわけのわからないことを告げて、精神状態がおかしいと気味悪がられてもちっとも不思議ではない。第一上手く説明ができるとも思えなかったので、変に訝しがられておしまいだということは簡単に想像がつく。しかしそれにしたってとりあえず何か言わなくては、と必死に考えた結果──受け取った水筒の返却を示すように掲げて、まだ言っていなかった礼を述べることにした。 )
あ、ありがとう……?


(/参加許可ありがとうございます……!どうにかお付き合いいただければなんてとんでもない。似たような流れをなぞらないよう努力いたしますので、こちらこそどうかお付き合いいただければ幸いです。
承知いたしました。当方ムラレスの傾向があるのですが、時間を見つけてやりとりできたらと思っております。お話ししている最中気になる点等ございましたら何なりとご指摘くださいませ。これからよろしくお願いいたします!)




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