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小説を書きます/15


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自分のトピックを作る
■: 北風 [×]
2018-08-14 22:50:50 

小説書くのが好きな高校二年生です。
毎日更新を目標に少しずつ書いていきたいと思います。
書くのが好きなだけで決して上手くは無いのであまり期待はしないでください……(;'∀')

荒らし以外なら何でもコメントしてください!
頑張ります!!


1: 北風 [×]
2018-08-15 00:17:02

《第一部分》


「……っく……ふっ……ぐぅ……や、やばい……」

足に纏わりつく浮遊感。
疲れで震え始めてきた両腕。
恐怖と焦りで止まらない冷や汗。

僕は今、校舎の四階、自教室前の廊下に設置された窓から、宙吊り状態となっていた。

「だ、だれか……! 誰か、助けて……!」

全力で助けを呼んだつもりだったが、怖くて声帯が縮こまっているからか、それとも普段からあまり発声しないからか、僕の口から漏れ出たのは情けない震え声だった。

少しでも手が滑れば真っ逆さま。
この一触即発の状況に陥ってから、体感時間で既に五分が経とうとしていた。

「ぐ……もう少し……もう少し待てば……」

窓のレールを掴む手に力を込め直し、僕は深呼吸を繰り返す。


   ∇


なぜこんなことになってしまったのか。
一般人の中の一般人、帰宅部のエースたるこの僕、青山がなぜこのようなミッションインポッシブル紛いのアクションをこなす羽目になったのか。

もちろん、自ら進んで窓から身を乗り出したわけではない。
木から降りられなくなっている仔猫を助けに赴いたとか、そういったヒロイックな理由でもあるはずがない。

事の発端は、約十分前。

二時間目の現代文の授業開始直後に、僕は現代文のノートが見当たらないことに気が付いた。
家に持ち帰った記憶は無いが、机の中にも無い。
となれば、必然的にあるのはロッカーだ。
手を上げて先生に許可を取り、僕は廊下に出た。
だが、いくら漁ってもノートは見当たらない。
二分間ほど探したところで、僕は諦めて教室に戻ろうとロッカーを閉めた。

その時。
不意に開いていた窓から風が吹き込み、僕は何の気なしに振り向いた。
と、そこで。
目に入ってしまったのだ、窓から覗く木に引っ掛けられている、自分のノートを。

!?誰がこんなことを!?
え?いじめ?
誰かに恨まれるようなことしたっけ!?

様々な憶測が脳内を飛び交ったが、いつまでもうだうだしていては始まらない。
傷つくなぁ……とため息を吐き、僕は窓に近づいて外に手を伸ばした。
意外と遠いな、と思って窓枠に手を付き、少し前傾姿勢になったとき、

誰かに思い切り背中を押されたのだ。



2: 北風 [×]
2018-08-16 00:21:52

《第二部分》


「うわぁ!」

在り来たりな悲鳴を上げながら窓外に押し出された僕は、咄嗟に手を伸ばして目の前に突き出した枝にしがみついた。
衝撃で引っかかっていたノートが枝を離れる。
数秒後、地面に落ちるバサリという音が、僅かに耳に届いた。

「わ……わわ……」

一体誰が、と思い振り向くと、そこにはもう誰の姿も無かった。
しかも、開いていたはずの窓は閉められ、内側から鍵がかけられている。

「うわ、マジか……え、もしかしなくてもこれって殺人未遂?」

もはや傷付くとかそういうレベルの話ではない。
普通に警察沙汰だ。
そう考えて身震いしたが、今そんなことを考えている暇はない。
僕が体重を預けている枝は決して細いものでは無かったが、それでも14歳の男子が上に乗ればギシギシ軋む。
頼む、助けが来るまで折れないでくれ、と懇願するが、その瞬間不吉な音と共に枝の根本に亀裂が走った。

「ひっ!」

小さく声を上げると更に亀裂が広がる。
このままでは一分と持たずに落ちてしまうのではないか。
僕は唾をごくりと飲み込むと、たった今突き落とされた窓のレールに手を伸ばした。

4: 北風 [×]
2018-08-16 01:05:34

《第三部分》

そうして今に至るというわけだ。

ノートを取りにいったまま失踪したのだ。
このままここで耐えていればいつか誰か探しに来ると踏んでいたが、よくよく考えると窓の外に僕がいるなんて誰も考えつかないだろう。
やっぱり人間、冷静さを失うと駄目だ。

ああ、もう腕が限界だ。
四階から落ちたら死ぬだろうか。
いや、運良く生きる可能性だってある。
この相腕が限界を迎えて滑り落ちる前に、できるだけ上手く落下した方が良いのでは……。

と。
助かることを諦め始めた僕の思考を遮るように、ガラリと窓がレールを滑る音がした。

「……あ」

そんな薄いリアクションと共に窓から顔を覗かせたのは、黒髪ストレートを肩まで伸ばした少女。
うちのクラスの学級委員長、半路(はんろ)こなぎだった。

なるほど学級委員ということで僕を探しに行かされたのか。
申し訳ないがお陰で助かった。
よくぞ窓を開けてくれた。

「あ、あの半路さん。詳しい理由は後で説明するから、手を貸してくれない? 実は僕、もう手が限界でさ」

僕の言葉を受けても、半路さんはぽかんとしたままだった。
まあ、窓からぶらさがっている同級生を見かけたらこんな反応にもなるだろう。

だが、半路さんのことだ。
助けてくれるに違いない。
何を隠そう、我らが学級委員長は正義感が人一倍強い。
いや、人五倍くらい強い。

困っている人を見かけたら見て見ぬふりなんてしない。
この間も電車で痴漢に襲われている女子生徒を助けたらしいし、カツアゲから男子生徒を助けているのも見たことがある。
今まで一度も話したことは無いが、彼女に僕を助けない理由なんてあるはずがない。

そう思ってほっと溜息を吐いた瞬間。

半路さんは何も言わずにぴしゃりと窓を閉めた。

「……え?」

心臓が凍り付いたような心地になった。


「おい半路、青山見つけたか?」
「いえ。どこにもいませんでした」
「そうか……あいつどこ行ったんだ」

窓の向こうから半路さんと現文の先生が会話する声が聞こえる。

「…………え?」

見捨てられた、そう覚った瞬間、手の力がふっと抜ける。



悲鳴を上げることも出来ぬまま、僕は四階の窓から空中に放り出された。






これが、僕と半路こなぎの最悪で最低な一年の幕開けだった。

5: 北風 [×]
2018-08-16 01:20:12

重複してしまった……
削除依頼出してるのでNO,3は飛ばしてお読みください……

6: ましろ [×]
2018-08-16 01:38:37

この小説面白いですね!
次が気になるので是非書いてください♪

7: 北風 [×]
2018-08-16 17:49:53

ワアアアアましろさんコメントありがとうございます!!!
めっちゃ嬉しいです!
プロローグ的なのはこれで終わりなので、今日の更新から本編突入です
これからも気軽にコメント下されば嬉しいです(*^-^*)

8: スカイ [×]
2018-08-16 17:52:43

自分も最初から見てます。北風さんのファンなんで頑張って下さい。応援してます。ペースは北風さんが時間がある時にして下さい。いつでも待ってますので

9: スカイ [×]
2018-08-16 17:53:54

ファンってか小説書いてる人達を見ると何故か応援したくなる自分です(^-^)

10: 北風 [×]
2018-08-17 22:16:24

《第四部分》


次に僕が目覚めたのは、病院のベッドの上だった。
と言っても、別に気を失う程の衝撃があったわけでは無い。
ただ単に僕が落下中に恐怖で気絶しただけの話だ。

あの時僕は運良く植え込みの上に落下し、四階の高さから落ちたというのに骨には異常が無かったらしい。
死さえ覚悟していたというのに、僕は数日間の検査入院を経てあっさり家に帰された。

「全く……あんた、母さんがどんだけ心配したと思ってるの!」
「ご、ごめん」

家へと帰る道すがら。
病院に迎えに来てくれた母さんは、助手席に座る僕をジト目で見遣った。

「もういっそ二か月くらい入院すれば良かったのよ」
「酷くない!?」
「だって校舎から落ちたなんて聞いたら、普通良くてもそれくらいだと思うじゃない。それが何? たった三日の入院で、しかも何の異常も無しなんて。あんたタフすぎない?」
「喜ばしいことじゃん一人息子が健康なのは! なんで嫌そうに言うんだよ!?」

僕が必死に反論しても、母さんは楽しそうにんふふと笑うだけ。
息子をからかって遊ぶのもいい加減にして欲しい……。
僕が溜め息を吐いていると、母さんは「あ、ところで」と、声の調子を変えた。

「あんたまだ思い出せないの? なんであそこから落ちたか」
「あ……えっと、そ、そう。実はそうなんだ」
「ふーん……ま、脳も正常だったし、思い出すのを待つしかないね」
「う、うん……」

僕は病院でも「何故落ちたか思い出せない」と言って通した。
一時は自殺未遂も疑われたが、授業中にロッカーに行く振りをして自殺を実行するというのも、まあ有り得なくは無いだろうがおかしな話だ。

結局は有耶無耶のまま。
警察にも「思い出したら教えて欲しい」と言われた。
無論突き落とされた可能性も考慮したらしく、学校に聞き込みにいった刑事もいたと聞いたが、僕が特にいじめられっこでも無かったと判明すると、すぐに捜査は打ち切られた。
警察もそこまで暇では無いのだろう。

だが、それで良い。
もし本格的に捜査でもされて犯人が突き止められたら……

僕は、困るのだ。

11: 北風 [×]
2018-08-17 22:17:02

昨日更新できませんでした!
すいません(._.)

12: 北風 [×]
2018-08-17 22:19:16

スカイさんありがとうございます~(*´ω`*)
小説書いてる人を応援したくなる心理、分かります……。
小説書いてる人の努力は小説書いてる人にしか分かりませんからね……!

13: 雪風 [×]
2018-08-22 00:06:39

自分のことでなんだけど、
小説を書くのは辛くて楽しい。楽しくて辛い。そんな感じだったな。もうどれくらい書いてないだろう。
でも、北風さんや他の人の作品を読んでるとまた書きたくなる。

14: 北風 [×]
2018-08-26 01:12:03

《第五部分》

家のソファーに寝そべり、僕は長く息を吐く。
たった数日離れただけだったが、何故か妙に我が家が懐かしい。

「あんたしばらくは学校休んどきなさいよ? そして久々に登校した朝、クラスメイトにチヤホヤされなさい」

母さんの謎の命令を「はいはい」と受け流し、リモコンでテレビを点けた。
骨折こそ免れたものの、四階の高さから落ちたのだ。
当然あちこち打撲しているわけで、医師によると退院後もしばらくは安静にしろとのことだった。
診断書も貰ってるし、母さんに言われなくともしっかり休むつもりだ。

そして――

それまでに、あの日の出来事について考えておかなくてはならない。

何故半路さんは僕を見捨てたのか。
そして僕を突き落とした犯人は誰なのか。

僕はテレビ画面を眺めながら考えた。
ニュースで天気予報が流れている。
アナウンサーの声が耳を抜けていった。

……正直。
僕は少し、半路さんが犯人なのではないかと疑っている。
いや、あの状況だと僕でなくてもそう思うだろうし、それに他に心当たりも無い。
まあ半路さんにだって恨まれる筋合いは無いのだが……。

と、そこまで考えた所でニュースが終わり、バラエティー番組が始まった。
騒々しい音楽や騒めきに意識が削がれ、僕はテレビを消す。
すると、フローリングに座って洗濯物を畳んでいた母さんが、口を尖らせて文句を言った。

「あ、なんで消すのー。点けといてよ」
「え……いや母さん見てなかったでしょ」
「見てましたー。畳みながら見てましたー」
「分かったよ……」

母さんには逆らえない。
僕は渋々テレビを点け、思考を放棄した。
特に興味も無い特集をボーっと眺め、淹れてきたお茶を啜っていると、母さんがふと洗濯物を畳む手を止めた。
そして僕に向かってさらりと言ってのける。

「そういえばあんた、入院してる間に学級委員の女の子が家に来てくれてたよ」
「!?」

危うくお茶を吹き出しそうになった。
今時そんな古典的なリアクションを取ってしまっては、母さんに一生ネタにされる。
気管に侵入しかけたお茶を慌てて食道に流し込み、ボクは母さんを問い質した。

「え!? 学級委員って……僕のクラスの? 半路さん?」
「あー……確かそんな名前だったね。可愛い娘だったよ」
「え、な、な、何しに!?」
「何って……」

母さんはきょとんと首を傾げた。

「普通にプリント届けてくれただけだけど。ほいこれ」

手渡されたプリントの束。
それを受け取り、僕はホッとしたような気が抜けたような思いで溜め息を吐いた。
そうか、学級委員だもんな。プリントを届ける役目を任されてもおかしくないよな。

「な、なんだ……びっくりした……」
「あ、何? あんた、あの娘に気があるわけ?」
「な、無いよ! あんま話さない相手だからびっくりしただけ!」

あらぬ誤解をしたようでにやにやと邪推する母さんを慌てて否定し、僕はプリントをパラパラ捲った。

と。

機械的な字が羅列するプリントの中、手書きの物が一枚、目に留まった。
それを束から抜き取ると、どうやら千切ったノートのページのようだ。

そこには短い文章と、携帯の電話番号らしい数字の羅列が書かれていた。

『話したいことがあるので、下の電話番号にかけて下さい。
                        半路こなぎ』

どうやら彼女は、僕に考える時間を与えてはくれないらしい。

15: 北風 [×]
2018-08-26 01:13:27

帰省してたんで更新に間が空いてしまいました!m(。≧д≦。)m
明日からまた毎日更新目指して頑張ります!

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