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▼ 青 髭 公 の 死 の 館 ▼/19


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■: 青髭 [×]
2017-05-03 23:03:42 



「冷酷無慈悲な英雄」として有名なその男は、【青髭】と呼ばれていた。
それまで何度も美しい貴族の娘を娶っていながら、彼の妻たちはことごとく行方不明となっている。
青髭の館の執事や女中たちは、嗜虐癖を隠さぬ青髭が拷問の末に殺したに違いないと囁いていた。
──そしてまた、青髭の元に嫁いでいく美しい娘がひとり。

彼女の優しい献身にもかかわらず、青髭は何故か彼女の愛を頑なに信じようとしない。
それどころか牙を剥き、残酷な毒の言葉を吐くばかり。
だがある日、国王に呼び出されて館を空けなければならなくなった青髭は、仕方なく館中の扉の鍵束を彼女に渡し、そのときひとつの約束を取りつけた。

「金の鍵の小部屋にだけは、絶対に立ち入るな」

──それは、愛を信じぬ青髭が、本当は彼女の愛を信じたいがために零した、切なる願いだった。


>>1:ストーリー
>>2:募集と規約





1: 青髭 [×]
2017-05-04 00:10:06




▼広大な館の中を悪魔から逃げ惑い、時に戦いながら、青髭と美しい娘の間に愛情が通うようになる物語



──真相として、青髭は実際に生来残忍な気質ではあるものの、残忍さ余って妻たちを殺したわけではない。
妻たちを殺してきたのは、この館の「金の鍵の小部屋」に取り憑いている、最初の妻が呼び出した美青年の姿の【悪魔】だ。

青髭が最初に娶った妻は、実は魔女のなりそこないだった。
己の力量では、一流の魔女にはなれない。夢は叶わない。ならばいっそのこと人間の女として成り上がり、贅沢三昧を貪り尽くそう。
そう欲した愚かな彼女は、地位と財産だけを目当てに青髭と結婚し、青髭には不可視である「小部屋」を館の中に作り出すと、そこに快楽の悪魔を召喚した。
実生活では青髭の財産を貪りながら、秘密の小部屋で悪魔の美青年と快楽に耽り続ける、その罪深い生活こそ彼女の望んだものだった。

だが悪魔は、逆に魔女を喰らい返し、最後には殺してしまうと、その小部屋の主となる。
そして、その無慈悲さを武器に王国中の悪魔を倒してきた「悪魔殺し」の青髭に対し、復讐しようと決意した。
かつて自分もひどく打ち負かされたあの激しい屈辱を、青髭にそっくり返すのだ。

青髭は貴族の長男で、絶対に後継を作らなければならない身。つまり、何度でも妻を娶らなければならない身。
ならば青髭の元に嫁いできた女を誘惑し、不貞を犯させて存分に弄び、最後には惨殺した裸体を青髭の寝室に放り込んで、青髭を嘲笑ってやるのだ。
奴には、生涯に渡って安寧など与えない。何度娶り直しても血の匂いをかがせてやり、じわじわと狂わせてやろう。

その悪意の標的となった青髭は、ある朝寝室に転がっていた最初の妻の死体をひと目見て愕然としたが──しかし、秘密裏に埋葬してしまった。

金ばかり無心する彼女との間に愛情はなかったため、正直悼みの念は湧かない。
それより何より、妻が寝室で死体になっていたと知られたら、普段から残忍さで知られる自分が犯人として疑われるに違いない。
そうなれば「悪魔殺しの英雄」青髭は人間にも手を出したと糾弾され、一気に失墜してしまう。青髭の一族は貴族として終わってしまう。
それは絶対に避けなくてはならない。

青髭は、殺された最初の妻を秘密裏に埋葬し、疑問の声は金を積んで黙らせ、混乱冷めやらぬまま、貴族当主の務めとして新しい妻を娶りにかかった。
しかしこれが過ちだった。
二人目の妻がまたも死体で見つかると、青髭は同じことを繰り返さなければならなかった。そして三人目、四人目。
最初に隠蔽してしまったために、死体が増えれば増えるほど、青髭の秘密は大きく重く彼にのしかかるようになる。

たまりかねた青髭は、新妻探しと並行しながら館の中にいるであろう犯人を血眼で探しはじめる。
青髭が憔悴した数ヶ月後、けらけらと笑う快楽の悪魔の声が耳に響き、姿を見せない妻殺しの犯人はついに青髭に種明かしをした。

青髭は知る。
最初の妻が己を愛するつもりなど毛頭なかったこと。
彼女の召喚した悪魔が、主導権を奪いとって彼女を無残に殺し、館の中に存在する「小部屋」に取り憑いたこと。
悪魔は館の鍵束に細工をかけ、青髭の妻にしか見えぬ・使えぬ「金の鍵」を忍ばせたこと。
今まで、妻に留守を託した青髭が「館の中を好きに使え」と鍵束を渡したために、青髭の知り得ない「金の鍵の小部屋」に迷い込んだ妻たちが皆悪魔に誘惑され、不貞を犯し、その罪に付け入られて殺されてきたこと。

──だが、どれもこれも、妻たちのだれひとりにすら愛されなかったお前が悪いのだ、と悪魔は嗤う。
青髭を愛したなら、最初の妻はそもそも自分を召喚しなかった。次の妻たちも、戦いに明け暮れる乱暴者の青髭に一欠片の愛情も持たなかったからこそ、悪魔の誘惑に負けて殺されるはめになったのだ。
貴様は決して愛されない、たったひとりの女にすら愛される価値がない。だから俺の復讐を──快楽を止められない。

青髭が絶望したのは、【美しい娘】を五人目の妻に迎える前日のことだった。


▼▼▼


美しい娘は、青髭の元に嫁ぐことを父親に反対されていた。
だが、自分が青髭の妻となれば、病気の父親をより腕の良い医者にかからせることが出来る、そう思い結婚を決める。

それだけを見れば彼女もまた青髭の「財産」を目当てにしていると言えなくもない。
だが、ただひとつ、彼女が青髭の以前の妻たちと違ったのは、例えどんなに残忍で乱暴で戦好きであろうとも、結婚するならば青髭を本気で愛そうと自分に誓ったことだった。

──しかし、いざ嫁いでみれば、青髭は噂以上に荒れていた。
心を頑なに閉じ、優しさを皮肉り、傷つけようと棘のある言葉を吐き、時に森で狩ってきた野鳥の死体を投げつけるような真似すらする。
ともすればそれは、いっそ嫌われようとしているようですらあった。

それでも青髭は、美しい娘の揺るがぬ愛情に狼狽えて、不意に脆さを露見する隙を見せる。
館の中で密かに2人を眺めていた悪魔は、これに危険を感じとった。
青髭には決して救いを与えない。このまま絶望して自死してもらわなければならない。
快楽の悪魔は偽の手紙を用意し、青髭を国王の元へ向かわせ、その隙に五人目の妻をいつものように誘惑しようと企んだ。

既に真実を知った青髭は、内心この手紙が悪魔の罠だとわかっていた。
だが、どうでも良い。この新妻も、所詮自分を愛してはいない。悪魔の誘惑に堕ちるのは時間の問題でしかない。
そう諦めて、青髭は外出する時に鍵束を彼女に託す。
だが、諦めとは裏腹に、青髭は一縷の希望を乗せた言葉を彼女にかけた。

「金の鍵の小部屋にだけは、絶対に立ち入るな」

──もしかしたら自分を愛してくれるのかもしれない。そんな希望を抱かせてくれた彼女を信じたい、失いたくない気持ちがあったのだ。

だが、悪魔の同情を引く嘘や言葉巧みな誘導によって、美しい娘は「金の鍵の小部屋」を開けてしまう。
待ち構えていた悪魔は、それまで以上に魅力的な美青年の姿に化けて、彼女を甘い声で誘惑した。
青髭には疲れ果てたろう。僕の胸を貸すから、寂しさや辛さを吐き出せば良い──。

ところが、悪魔にとって予想外の事態が起きた。
美しい娘は、静かに、しかし断固として誘惑を跳ね除けたのだ。
まだ夫婦にはまるでなれていないけれど、それでも自分は、青髭の妻としてまっすぐに生きるつもりだと。

悪魔は絶叫する。
誘惑を拒まれた悪魔は、踏みにじられたプライドと、青髭をこの女に救わせてなるものかという怨念によって、美しい男からおぞましい怪物へと姿を変える。
この女だけは、何としてでも殺さなければならない。青髭を救いかねない存在は始末しなければならない!

鍵束を手に逃げ出した美しい娘を、怪物と化した悪魔が凄まじい勢いで追いかける。
だがそこに、諦めたはずの娘の身を案じてやはり戻ってきた青髭が現れた。
青髭の帰還を知った悪魔は、ふたりの間に愛情が通い始めていることを知り、ますます殺意を増幅させる。

渾身の魔力を放った悪魔は、館から脱出できないよう結界を張ってしまった。
閉じ込められた館の中で、青髭と美しい娘の、決死の攻防戦が始まる。





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