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 ▶▶ 花が散る夜に / 募集 /36


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■:  魔女 [×]
2017-01-12 10:21:14 






きっと彼も私もひとりぼっちで、永遠に悲しくなくなることなんてない。


__そう、思っていた。




(  英国魔法学校小説☓刀剣乱舞  )


>1 始まり / >2 お約束 / >3 主pf、他


  


1:  魔女 [×]
2017-01-12 10:25:28





▶▶ 始まり( 刀剣side )


口の中は鉄の味で満ち、体から力が抜けていく。瞼は恐ろしい程に重く、もう目を開けていられそうになかった。痛みに意識が奪われる人の身の、何と不便なことだろう。舞い散る桜の花弁を遠くに見た気がしたがそれを確かめる術もなく、やがて視界は闇に包まれた。
そこからの記憶は曖昧で、気が付いてみればそこは見知らぬ街の中。少し離れた所から賑やかな声が聞こえる。一方、己がいる此処は昼間だというのに薄暗く、人通りの少ない路地であるらしかった。異国情緒溢れる町並みの中に見慣れた建築物はなく、すぐ横の道を歩く人々の顔立ちは総じて東洋人のそれと異なるものばかり。怪我を負った己に視線は向けるものの、そこには不信感や嫌悪感しか含まれておらず、助けようとする者はいなかった。気を失う前後で別の場所にいるのは明らかだったが、折れる寸前の状態に変化はない。状況が飲み込めないまま迫る死の気配に今度こそ覚悟を決めた、その時。


「 大丈夫?貴方、すごい怪我よ 」


聞こえたのは穏やかな女の声。その言葉を聞き取ることは叶わなかったが、彼女が己を心配しているのだという事は理解できた。異国の言葉だろうか。己の前に膝を付く彼女もまた、通りを行き交う人々と同様に東洋人の容姿ではなかった。流れ出る血に眉を顰め、怪我の状態を観察するその女は酷く落ち着いて見える。やがて女は何処からか木の枝の様な物を取り出し、それを此方に向けながら何かの言葉を呟いた。一度目は何も起こらず、その少し後に深刻な表情をした女の口から「 レパロ 」という単語が紡がれる。するとどうだろう、驚いたことに痛みが引いていく。小さな怪我は残っているものの、大きな傷はほぼ完全に塞がっていた。何をしたのかと問い掛けると女は少し戸惑った様子で首を傾げ、再び木の枝を振り動かす。


「 これで伝わるかしら。…驚いた。言葉、通じていなかったのね 」


そう言って、女は可笑しそうに笑みを浮かべて立ち上がる。出会ったばかりの見知らぬ女の手が此方に伸ばされた。戸惑いや疑念が無かったわけではない。それでも、その手を取らずにはいられなかった。



    

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