おーし、それじゃ高飛びするか！［仄々？擬似家族NL］/16

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自分のﾄﾋﾟｯｸを作る
■：殺人鬼　[×]
2016-11-24 00:45:04　

かつて東京を震撼させたかの連続殺人鬼は、至極のんびり言いました。

『俺たちは、今日から“家族”だ！』

【犯罪一家】

「何だ、どうした。悩み事かい？」
元・連続殺人鬼（男。36歳）＝主
→懸賞金5000万円
→『高飛び計画』首謀者及び大黒柱。
→父親枠。家族大好き。ＡＴＭ扱い。

「あなたたち危機感無さすぎよ！」
元・泥棒（女。24歳）
→懸賞金2000万円
→物資調達者、及び一家の監督者。
→母親枠。姐御肌な美女。家事は苦手。

「おやおや、可愛らしい方だ……」
元・詐欺師（男。18歳）
→懸賞金2500万円
→身分偽装担当者、及びハウス管理者。
→長男枠。常にクールだが根は不器用。

「あん？貸せ馬鹿、俺がやる！」
元・放火魔（男。17歳）
→懸賞金3500万円
→特攻担当者、及び炊事担当者。
→次男枠。血の気は多いが意外と器用。

「私……別に、構わないけど……」
元・ハッカー（女。16歳）
→懸賞金3000万円
→情報収集責任者、及び掃除担当者。
→末娘枠。無表情系。家事はプロ級の腕。

【島の人々】

「なーんか、どっかで会った気が……」
島の警官（男。26歳）
→島が平和なので、当然警官も平和です。
→そうと知らずに犯罪者一家と仲良しに。

「もしかして、指名手配中！？」
島の少女（女。16歳）
→闘病中。数年前から島で療養。
→好奇心旺盛な元気娘。夢は推理小説家。

>>１物語
>>２規約
>>３ＰＦ

【レス禁】

1：殺人鬼　[×]
2016-11-24 01:20:50

ある晩、架空日本のお茶の間に激震を走らせる速報が報道された。
13人を殺害した連続猟奇殺人犯が、東京拘置所を脱獄したのだ。

彼は何故か、拘置所内でいつの間にか知り合っていた女性の囚人も解放していた。
駅という駅、道という道に武装警官が配置され、街は惨劇の再開に怯えた。

けれども──次に起きた事件は、彼らの予想から外れていた。

　＊

「……何故貴方のような殺人鬼が、少年院に？」
「決まってる。どうか、俺の家族の一員になってほしい」

男女が別棟に収容されているとある少年刑務所、そこに現れたのはかの殺人鬼。

『家族になってほしい』

謎の願いを持ちかけて、殺人鬼は己の選んだ３人の少年少女を解放する。
彼の傍らには、ともに東京拘置所を脱出したあの女泥棒の姿もあった。

「……具体的に、何をしろと？」
「そうだね、一緒に仲良く暮らしたいんだよ。のんびりと、慎ましやかに。もう独りきりの暗い生活はこりごりだ。巻き込まれてくれるかい？」
「……そんなの、巻き込まれたくた妻て無理に決まってる。自分も貴方も、いつか捕まる」
「本土にいる限りは、それもそうだなあ。──おーし、それじゃ高飛びするか！」

　＊

──かくて、殺人鬼の奇妙な願望が、現実のものとなる。

東京拘置所の脱獄事件、次いで、少年刑務所の失踪事件。
それから幾日も経たぬころ……日本の片すみの、小さく平和な島の上。
奇妙な取り合わせの犯罪者一家は、粗末な空き家に住み始めた。

最初は赤の他人どうしというぎこちなさがあったものの、お尋ね者という自覚が、不思議な連帯感を生みだす。
正体を偽りながら、５人は島の人々と平和な暮らしを送るようになる。
特に一家と親しい島民が、ふたりだけ存在していた。

願わくば、この穏やかな時間が、ずっと続いていられますように。
偽物の『家族』と、ずっと一緒にいられますように。

身勝手だと、わかってはいても。