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50：
宇治抹 [×]
2015-11-20 17:08:57
【いじけ猫の家出計画】Part2
登場伽羅 天峰誓/シャオ/榊次狼
シャオ『はぁい、ダァリン？良かったら一緒に遊ばなぁい？』
中々のイケメンと遭遇したシャオはんーっま！とお得意の投げキッスで相手を誘惑する。
一般人『は……？いや、その』
しかし目の前の男には通用しなかったようで、その場から逃げたそうにしている。
シャオ(ぐぬぬ、このキューティシャオちゃんの投げキッスが通用しないなんてぇ。どうやら手強い相手のようね！)
シャオはすぐさまアプローチ変えて再び落としにかかる。
シャオ『ねぇ──お願ぁい。一人は寂しいの。ちょっとだけでいいから一緒に居てくれなぁい？』
泣き落とし作戦。瞳に涙を溜めながら上目遣いで相手を見上げる。これで落ちない獲物はいない！だが。
一般人『す、すみません！僕には彼女が──！』
その言葉を聞いて、シャオの熱は冷める。
シャオ『はぁ〜ぁ。女がいたなんてがっかり』
シャオは次の獲物を探しに、その場を離れた。
一方、バイトが思いの外早く切りあがった誓は家に残された書き置きに目を通していた。
シャオ「ダーリンのバーカ！旅に出ます！」
誓『はぁ……。何やってんだか』
呆れて物も言えない。誓は溜め息を零す。
しかし、待てよ。今まで色々あったが、シャオが家出なんて初めてではないだろうか？
一つ悪いことを考えると連鎖的に良くないことばかりが思いつく。
いてもたっても居られなくなってきた誓は、夜の街を走る。
すると道中、誓は見知った顔と遭遇した。
誓『あっ、この前喫茶店にいた……』
次狼『ん？ああ、君はあの時のバイト君かい？』
誓『ちょうど良かった！シャオを知りませんか！？』
次狼『し、シャオ？』
誓『あっ、えっと。白いもふもふの女の子です！』
次狼『君、人の特徴伝えるの下手くそだねぇ。でもまあ、それらしき人物は見かけたよ。確か男と一緒にいたねぇ』
誓『男と？』
次狼『ああ。──そういやぁ、そのシャオって子。遠目だから確証はないけど、泣いていたような気が……って、あれ？バイト君？』
次狼が先刻の事を思い浮かべて視線を空中に彷徨わせている間、誓は何も言わずその場から駆け出した。
シャオが絡んだ男の所在はすぐに分かった。次狼以外にもシャオの姿を見かけた人物が多数存在したから。
その甲斐あって、誓はシャオを泣かせたらしき人物を見つけ出した。
誓『お前か、シャオを泣かせたってのは』
一般人『へ？な、なんのこと？』
誓『惚けんな！いいか、先に言っておく。もしもまたあいつを泣かせるような真似しやがったら、絶対容赦しねぇぞ！』
一般人『ちょ、ちょっと待ってよ。何が何だか。あの女の子のことなら──』
いきなり喧嘩腰で迫られた一般人は誓の剣幕に怯むが、すぐに事情を説明した。
それを聞いた誓は──。
誓『申し訳ございません』
深々と土下座をした。
一般人『い、いや良いよ。気にしてないから』
誓『誠に恐縮なのですが、その雌猫がどこへ行ったかご存知ないでしょうか』
一般人『た、確か河川敷の方かな』
誓『ありがとうございます！』
誓は何度もその人に謝罪を述べながら、その場を後にした。
誓『はぁ……ったく。ほんと面倒かけやがる』
だが、たとえ面倒でも家出した家族を迎えに行ってやるのが主の役目だろう。誓はシャオが向かったという河川敷の方へ向かった。
誓『あーもう。柄にもなくキレちまった。あいつが泣き真似することぐらい分かってたってのに』
それでも誓は、身内が泣いていると知ればジッとしていられない性格だった。
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