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退廃ロマネスク【非募集】/16


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自分のトピックを作る
■: 匿名書生 [×]
2018-01-24 19:13:27 



某小説家様のみお待ちしております。


1: 小説家 [×]
2018-01-24 19:56:17



(/ 掲示板で声をかけさせていただいた者です。トピ立てと参加許可ありがとうございました。どうぞこれからよろしくお願いいたします。
丁寧なテストロルもありがとうございました。とても素敵な文体で今からやりとりが楽しみです!
掲示板には「純愛〜鬱まで」と書いていらっしゃいましたが両方大好物でして…、また終わりのある物語とのことでしたので、結末も考えていければなと思っております。)

2: 書生 [×]
2018-01-24 21:39:23


(/こちらこそ参加希望ありがとうございます!ロルも問題なかったようで安心しました、改めてよろしくお願い致します。
設定に関してはなるべく小説家様のご意見も伺いたいと思い、初回から長文になってしまいましたがお許しください…!

まず物語の結末ですが、掲示板に記載した通り大正の終わる1926年冬か、その3年前の関東大震災を終了の目処に考えております。
ですので末永く幸せにとはいかない、たとえば新しい時代に伴ってお互いが別々の道を歩み出すほろ苦い別れから、震災による死別や離別・死亡エンド、場合によっては心中などが候補になるかと思います。
キャラクターによって似合う結末が異なってくると思いますので、お話の方向性とあわせて一緒に考えていけたらと…!

また、早速キャラの話になってしまいますが、こちらのキャラクターは純愛モノなら小説家と対照的な、先生を一途に慕う清く正しく明るい好青年(年下攻め、わんこ攻め的なイメージです)。
仄暗〜鬱なら先生を盲目的に崇拝する、少々病んだ雰囲気の青年(ヤンデレ的な)をざっくりと考えておりました。
もちろんご希望のストーリーや萌え/萎え、ご要望に合わせて作っていきたいので、上記以外でもこんな書生がいい!というものがありましたら教えてくださいませ!)

3: 小説家 [×]
2018-01-24 22:17:46

(/いえいえ、考えるにあたって長文は有り難いので全然構いませんよ! こちらも長くなりがちかもしれませんがご容赦ください。

関東大震災はなんらかの形で是非話題にしてみたいですよね。ロルテの雰囲気ですと書生さんが儚げといいますか、小説家はデカダンス的な倦怠感に囚われながらも結局書生さんより長く生きちゃいそうな感じがしました。ですので例えば書生さんが地震で大怪我を負ったり、行方不明になったり、あるいは当時の不治の病に冒されて小説家が絶望するみたいな流れが合うのではないかなと思いました。なーんてロルテからかなり妄想膨らませてしまいましたが如何でしょうか!

書生さんへの希望ですが純愛のわんこ路線にちょい病みを潜ませることは可能でしょうか!?純愛も鬱も捨てがたく…清く正しく明るい背後に少し薄らぐらいものがあったりすると素敵です…。が、あくまで希望の話なので適当に受け流していただいて構いませんので!

小説家はどのようにいたしましょうか。年齢や性格などご希望がございましたら是非教えてください。)

4: 書生 [×]
2018-01-24 23:40:47


(/急ごしらえ(聞こえが悪いですが)のロルをそこまで読み込んでいただけて恥ずかし…嬉しいです!!
確かに一途故の危うさ、ロマンチストの儚さのようなものは考えていましたし、何より後ろ向きな厭世家のほうが長生きしてしまうシチュが大好きなのでぜひそんな流れでお願いしたいです。
献身的な要素強めならば、地震の際に先生を庇って死ぬか消えるか大怪我を。
病み要素強めならば、元々病を患っており最後に愛する作家に会いに来て、日に日に病状が悪化していくような形を考えてみましたがいかがでしょうか?
五体不満足でも病人でも受け身になるつもりはなく、むしろ命を削りながら小説家様に執着するような描写にしたいと思っているのですが……。

純愛と陰鬱、どちらも含んだ物語にできれば一番良いですよね!了解致しました。なるべく表現できるよう、ただ明るいだけではない書生を目指して作らせていただきます。

小説家様につきましてはロル内の印象から、根暗な若造というより気怠げな大人の方をイメージしてしまったので、できれば年齢は20代後半〜でお願いしたいです。文章にあったように人恋しさがあったり、根は寂しがりであったりするとなお愛おしいです…!
ただ勝手なイメージですので、募集に書いた通り受け受けしかったり女性的な方でなければお好きなように作っていただいて大丈夫です!

5: 小説家 [×]
2018-01-25 17:39:01



(/ありがとうございます!ではその流れで行きましょうか。献身的な書生さんも、病がちな書生さんも良いですね…!どちらでもとても素敵で選び難いので、主様の描写しやすい方で是非お願いしたいと思います。

小説家のイメージの方もありがとうございました!若い書生さんと対照的に大人で落ち着いていて、優しいけどとても狡い人を目指してみました。優しいクズの役やってみたかったんですよ〜!笑
不備などありましたらご指摘よろしくお願いいたします。)



名前: 大谷冬仁 おおたにふゆひと
年齢: 29
容姿:一見すると清潔で、優しそうな人柄の印象を与えるような容姿の男。身長175センチ、平均的な体型。真っ黒な短髪は右寄りに分け目をつけて左右へ流している。同じく墨色の瞳に奥二重で切れ長の細い目元。流されやすそうな性格をよく表す眉と、すっとのびる鼻梁。
青藍の着物に濃藍の半襟、帯。寒い日には羽織も着る。普段は和装が殆どで、たまに洋装も着る。

性格: 大学を出てしばらく放蕩したのち物書きに。主にデカダンス小説を書いて細々と暮らしている。貧しくはないが裕福というわけでもない。本人もデカダンな気質があり、退廃的で不健全、不道徳。それでいて他人の心の機微に敏感な生まれながらの人たらし。誰にでも分け隔てなく優しい。優しいと言えば聞こえが良いがそれは誰にも何も期待していない事に等しい優しさである。人当たりがいいという表現の方が適切かもしれない。その無関心さを巧妙に隠す狡猾な手口を心得ている。そんな性格なので周りに人は多いものの浅い付き合いばかりの様子。恋愛に関しても、情を交わした相手は何人かいても後になって思えば本当に愛していたかは定かではないなんてことも多く、その現実を甘受してしまうような、所謂駄目な男。相手が好意を抱けばそれを受け入れ、去るならば決して引き止めようとはしない。その一方で“心揺さぶられるような恋”をどこかで信じて待ち望んでいたり、実は寂しがりだったり、根はロマンチストとも言える。愛煙家。酒は好きだがそんなに強い方ではない。


6: 書生 [×]
2018-01-25 22:32:36

(/甘く優しく小狡い小説家さん、大人らしい色気があってとても素敵ですね…!我儘を聞いてくださってありがとうございます!不備など全くございません。
こちらの書生は悩んだ挙句、病ませやすいという理由で病気設定を取らせていただきました…が、傍迷惑な病人になってしまったのでいつでも別設定に修正可能です!問題があればツッコミをお願い致します。

また、一番大切なことを質問し忘れていたのですが、書生ははじめから先生に惚れていたのか、はじめは純粋な尊敬や親愛の感情を抱いていたのかどちらがよろしかったでしょうか…?)



名前/春日 清二郎(カスガ セイジロウ)
年齢/20
容姿/学生帽の下から覗く真っ直ぐな眉と、くっきりとした眼差しが凛々しい大和男子。学生らしい坊主頭ではなく頸のみさっぱりと刈り上げたハイカラな短髪。髪と瞳の僅かに茶の混じる色合いはチョコレエトにも似たもので、不自然に白い肌と相まって彼だけ常に太陽に照らされているような明るい印象を見る者に与える。服装は白いシャツの上から松葉色の着物と灰色の袴を着たいわゆる書生スタイル。畏まった場合は学ランを着用。背丈は177cmと大柄で、体つきも筆より軍刀の似合うしっかりしたもの。

性格/男児たるもの清く正しく強くあれ。将校の父にそう育てられた通り、愚直なほどに明るく裏表のない好青年を地で行く性格。頭は切れるのだが打算や駆け引き、思慮などとは縁遠い一本気の持ち主で、10代の頃より近隣の女生徒に一目惚れしては玉砕を繰り返すような青臭い熱情に満ち満ちた若造であった。
そんな性格に翳りが生じたのは、また退廃文学というものに触れたのは不治の病とも呼ばれる肺結核を患ったのがきっかけ。大学を辞め、緩慢に死を待つ生活の中で日がな一日本を読めば愛していたはずのロマン小説の明るさは目の毒となり、逃げるように手に取った大谷冬仁のデカダン小説に一目惚れにも似た衝撃を受ける。次第に情熱は彼の作品から彼自身へと向けられ、どうせ死ぬのなら最後にありったけ彼の文学を味わいたいと決死のファンレターを送った。
その文面通り死を意識するあまり無自覚のうちに心までも病み始めており、まだ咳は少ないとはいえ感染には気をつけているものの、これもデカダンス被れのせいか時折ふと病による共倒れの無理心中を思い描いては甘い悪寒に襲われる。
日頃は「私」と礼節をわきまえ振る舞うものの、私情を剥き出しにする際の一人称は「俺」である。

7: 小説家 [×]
2018-01-25 23:22:36


(/許可ありがとうございます!また、素敵すぎる書生さんに感無量です。好みに刺さりまくりです!!甘やかしたいですね!小説家と対照的で、でも似通った暗い部分もあって素晴らしいです。全く問題ないどころか素晴らしいので是非このままでよろしくお願いいたします。

会ったことのない大谷の小説を読んで恋慕のような敬愛のような不確実な思いを抱き、実際に会うことでどちらも確信するというのは如何でしょうか? 主様の提示してくださったパターンですと後者でしょうか。清二郎くんは若くて真っ直ぐな印象ですので、初めから確信しているほど達観してはないような気がしました!)


8: 書生 [×]
2018-01-25 23:54:42

(/イメージとの大幅なずれが無かったようでよかったです!先生に可愛がっていただき、なおかつぐいぐいと行けるような書生を目指した甲斐がありました!!
文章越しに淡い想いを抱いていた、という方がロマンがありますし、提案していただいた路線で進めてみたいと思います。先生の優しさに転がされ、敬愛と言いつつ恋慕めいてしまうかもしれませんが…!

他に問題等なければ早速お話を始めたいのですが、先生が手紙を受け取った場面から始めていただくパターンとやや省略して初対面から始めるパターンのどちらがやりやすいでしょうか?
前者であれば大谷様から、後者ならこちらからロルを出す形で進めたいと思いますのでよろしくお願い致します!)

9: 小説家 [×]
2018-01-26 00:03:54


(/なるほどです!とても楽しみですねえ〜!どうぞよろしくお願いいたします。

はじめ方ですが、初対面から始める方向でお願いしてもよろしいでしょうか。おそらく手紙を受け取ってすぐの場面転換になるかと思いますし、相手が目の前にいる状況の方がロルを回しやすいかと。主様にはじめのロルを書いて頂く形になりますが自由に書きやすいような状況からで大丈夫です。よろしくお願いいたします。)

10: 春日 清二郎 [×]
2018-01-26 12:56:08

(/仰る通りですね、それでは先生の元に訪ねて行ったシーンから始めさせていただきます。ロルや展開等に問題があればいつでもご指摘くださいませ!)



––先生!大谷先生、御免下さい。春日です。先日手紙を送らせていただいた、春日清二郎と申します。
(まさしく熱に浮かされて書いた手紙であった。その手紙に返事が来たのが今朝のこと、愛しの語り口に招かれれば気怠さなど砂糖菓子の如く溶けて霧散し、薔薇色の夢心地に浮かされ着の身着のままここまで来たのだ。道中幾度となく握り締め読み返したその封筒の皺を伸ばし、同じ所番地の記された戸を二、三度叩く。久方ぶりの大声である。つられてこみ上げる咳には慌ててガーゼを口に当て、嫌な音を押し殺した。そろりと戸の方を伺えど、家主は未だ居られぬようで)

……突然の来訪、不躾とは承知しております。頂戴したお返事に居ても立っても居られず、こうして馳せ参じた次第です。

(ささやかな安堵と、不在の予感に今一度声を張り上げる。気難しい御仁であれば無礼と居留守を決め込まれるやもしれぬ。ほんの僅かな沈黙にさえ捨て犬めいた心許ない心地になるのは、見も知れぬ彼の人が既に我が心の手綱を握る主と化しているからだろう。凍える夕闇が忍び寄る軒先にまんじりともせず立ち続け、一通りの挨拶を終えた後には未だ動かぬ戸をただ縋るようにじっと見つめて)

11: 大谷 冬仁 [×]
2018-01-26 15:49:55



(/ありがとうございます!素敵なロルで読んでいてとても想像しやすいです。こちらのロルで何かありましたら遠慮なくおっしゃってください。)


( 机には書きかけの原稿と落書きが散見されるノート、香炉が並び、大谷は気怠そうに梅花の香りの香が細い煙を燻らせるのを頬杖をついて眺めていた。そばにはマッチが転がり、硫黄と染料の燃える独特の香りがまだ残っている。その香はいつだったか女が置いていったものだった。大谷が香が好きだと言うので女が贈ったものだ。もっとも今となってはその女の顔も素性も靄がかかったように思い出せないのだが。しかし彼女の白い肌から花の香りがしたのは覚えている。今は誰もいないこの家の広さと心を覆い尽くす虚無感と希死念慮が苦痛であると同時に耐え難い程に必要だった。
その時どこからか若い男の声がして気怠い憂鬱の海から現実へ引き戻されて。少々驚いて玄関へ向かえば、そこにいたのは心許なさげに佇む見慣れぬ青年であった。)

ああ…君が。いかにも、僕が大谷です。
( ゆっくりとした調子で名を名乗る。春日清二郎という名は記憶に新しかった。彼が鮮やかな群青を思わせるような
文章を書くことを、大谷は既に知っていた。所謂ファンレタアには返事を書かないが、 彼にはつい返事を出してしまった。)

よく来ましたね。さあ、お入りなさい。寒かっただろう。近頃は本当に冷えるんだ。
( 居間へ案内すると座るように示して、お茶を手際よく用意すると彼と自分の前へ一つずつ置き自分も腰掛けて。)
君が本当に来てくれるとは思わなかった。返事を受け取れば幻滅するだろうと思ったからね。手紙には小説よりずっと人となりが滲んでしまうから、だから僕は普段は返事を書かないんです。
でも君には返事をした。何故だか分かるか?
( 言葉を切るとじっと彼を見つめる。珍しく、心からの本音で話せていた。こんな気分になるのはいつ以来だろうか。 )
君の書く文字と文章が好きだったからだよ。…君に興味が湧いたんだ。
僕に教えてくれないかな。どうして僕の酔狂な書き物を読もうと思って、しかも手紙を書く気になったんだい?
( 春日と名乗る青年の病的に白く滲むように光って見える肌は不健全さと健全さの入り混じる様子を表すようで、ついじっと見つめてしまう吸引力を持っていた。手に握るガーゼや不自然に白い肌が何を表すのか、知ってはならないような気がして目をそらすと少し微笑んで彼に問いかけて。 )


12: 春日 清二郎 [×]
2018-01-26 22:27:57



(ふと、春の匂いがした。西伯利亞程とは言えまいが寒風吹き荒ぶ如月の只中、梅の香りとは珍しい。けれども己が閉口したのは噎せ返る紅梅の甘やかさではない、その奥から現れた男の若々しさに沈黙させられたのだ。よもや他の書生ではあるまいか。理性がチクリと囁いた懸念は柔らかな声色が名乗る名によってすぐさまなりを潜めたものの、結局は脱帽し頭を下げるばかりが精一杯。瑞々しい髪の艶を見下ろしながら、阿保のように青藍の背中へついて歩き、舶来品でも何でもない慣れ親しんだ茶の色を見てようやく我に返ったくらいで)

––は……えぇ、はい、あんな狂人の戯言のような手紙、燃やすか、警察に突き出されても致し方ないと思っていたのですが……まさか先生に好いていただけるとは、恐縮です。

(紙を介さず向かい合い、滔々と語られる言葉を聞けば病んだ胸も高鳴り熱病ではない熱を宿す。それでも目だけはじっとまだ皺も無い顔を見ていた。その顔は生を憂い死を愛でる者の面差しにしてはあまりに清らかで、たとえ今ここで死に誘えども到底頷いてはくれまい。と、突拍子もなく湧いて出たやましさを見透かすかの如く問うてきた彼に、己でも驚くほどに狼狽し、取り繕う返事さえ淀ませて)

……こんな言葉、先生はお笑いになるかもしれませんし、お嫌いかもしれませんが、

(気づけば握り締めていたガーゼを、袖の奥深くに押し込めていた。しかし生来嘘を吐くのが下手糞な性質である。架空の物語をでっち上げられるはずもなく、かといって洗いざらい話して追い出されるのも恐ろしい。逡巡の末に腹を括っては背筋を伸ばし、咳の熱さが残る掌を膝の上で固く握って)

私は、先生と巡り会う運命だったのでしょう。本を読もうと手を伸ばした訳でもなければ誰に勧められた訳でもありません。出会うべくして出会い、惹かれるべくして惹かれたのです。私の生の総てはきっと、先生との巡り合わせの為だけに存在している。……そう、確信してあの手紙をしたためました。

(嘘は、ひとかけらも混じっていない。輝かしく健全なる若者のまま生きていれば、彼とは出会えなかった。自分は彼と会う為に不幸せになったのだと、ふんわりとした浪漫の言葉に似合わぬ強い確信を持って、涼やかな流し目がたとえ軽蔑の眼差しでもこちらを向くようにと瞬きもせず見つめて答え)

13: 大谷 冬仁 [×]
2018-01-27 15:11:45


生の総てか…君のその確信を受け止めてよい程僕は立派な人間ではないんだがね。僕は悪い大人ですから。

( 深くは話さなかったが、虚言ではなかった。彼のチョコレイトのような、光を宿す綺麗な瞳が此方を見据えると、困ったように低い声でそう呟いて。しかし本当の自分を見せたのはこの一言だけで、目を細めて静かに微笑めば己の暗い部分を隠して相手の方を見る。今までに幾度となく繰り返して来たように。そして、この澄み渡った青空のような心の青年が穢れてしまわないように。第一穢れる前に彼は自分に失望して去って行くに違いないが…しかし本当は其れを望んでいる。そうでなければこんな提案は出来なかっただろう。 )

君が確信を持ってここへ来たのならば、君の納得がゆくまで僕は応える他あるまい。この家は幾分僕一人には広すぎてね…一つ部屋が空いて居るから自由に使って頂いて構いませんよ。君の手紙にあったように“手伝い”と言っても僕は身の回りの事は大体何でも出来てしまうから…、だけど編集部の輩とのやり取りは苦手だ。もし住み込んでくれるのならば君には来客の対応や雑用をお願いしたい。
とはいえ君にも事情や今までの生活があるだろうから、住みこまずとも時々遊びに来る程度でも構わないよ。何にせよ君はいつでもここへ来て良いんだ。好きにしてくれ。

( 近頃の作家は書生を抱える事も多いので当然の流れであった。これまでの私生活を振り返ってみれば親しくなる人々は入れ替わり立ち代わりで、長くともその付き合いは一年も続かないものであった。 彼との関係も何かしらのリミットを予感してはいたが、それはこれまでのものとは違うような気がしていて。 )

…笑ったり、嫌いになったりなんてしないさ。僕は運命を信じた経験は無いが、もしかするとこれがそうなのかもしれないと思うんだ。

( 低く囁くような声でそう言えば、彼の肩から見て取れる緊張感から相手の心を想像し、彼がここへ来たことを後悔して居なければ良いのだがと思いながら。)

14: 春日 清二郎 [×]
2018-01-28 00:03:32


(誤魔化しには変わりない告白は、しかし咎められる事は無かった。火鉢から伝わる温みにも似た、じわりと身の内に広がる安堵は、微笑と入れ替わりにふと聞こえた呟きに「存じております」と溜め息のように答えさせる。こんな文学を書く大人は、きっと世間様に言わせれば碌な大人ではないのだと。けれども自分はそれがたまらなく好きなのだと、彼の微笑に比ぶれば幾分喜色の強い笑みを浮かべながら。)

––本当ですか。本当に、そう思ってくださいますか。

(快い返事に深々頭を下げ、この屋根の下で与えられる役目をはい、はい、と喜んで受け入れる––そこまでは立派な青年の姿を繕っていられたはずである。が、俯けた耳をたゆたう香の匂いより甘い囁きが掠めれば、驚嘆にはっと顔を上げずにはいられない。デカダン派らしからぬ浮ついた響きというのに失望とは程遠い、心の臓が燃えるような心地を覚えたのは今や敬愛の行き先が紙上の文字列ではなく、目の前の生身の人間に移ったからか。思わず机に身を乗り出し、飛びつかんばかりに声を上げてしまうと流石に罰が悪く、いそいそと座り直しながらも耳朶の熱さは隠しようのないもので)

……私は、家にはもう死んだものと思えと書き置きを残して出て参りました。もはや何の事情も生活もございません、野良犬と同じです。ですからもし……仮に、先生の感ぜられた運命が何かの間違いで、私が先生と赤い糸で結ばれていなかったとしても、どうか此処へ置いていただきたいのです。

(一読者が崇拝する作家にたとえ戯れとはいえ運命の相手と見定められるなど、まさしく夢物語じみていて五臓六腑までふわふわと浮かれるような気さえする。彼が匂わせる花の香のせいか、その陽気がどこか不埒な気配にも感じられると後ろめたさから声ばかりは一層凛と真摯に張って。)

勿論、厄介になる以上精一杯働かせていただくつもりです。先生が出来ることも、不得手とされることも何から何までお任せください。先生は創作活動に専念してくだされば……手始めに、部屋の片付けでも致しましょうか。

(赤い糸というものは、男女の間にしか結ばれぬものだったろうか。そんな風に未だ頭の片隅に高揚の名残は居座っていても、口を動かしている間に随分と冷静さを取り戻してくると、ふと卓上に放ったままのマッチ殼と原稿に目が留まり。白紙に半端に綴られた文字の並びへ思わずごくりと喉が鳴る。しかしもう行儀の悪い真似はするまい、そう注意を払って私欲を努めて真面目に仕事としての提案に変え)

15: 大谷 冬仁 [×]
2018-01-28 03:50:55


( 彼が本当に嬉しそうに、そしてどこか差し迫った様子で本当かと問うので、うんと頷くと少々楽しげに彼を観察して。冷たい空気を凛と震わせる声は耳に心地よく、チョコレイト色の瞳の揺らぎは自ずと視線を引き寄せ、実に観察のしがいがあった。どうやら彼はロマンチストの気質があるようだがそれは元来の溌剌とした明るい性格が由来なのだろう。しかしここまで彼を導いたのはそれとは異なる、より深遠で孤独な何かなのではないだろうか? そして、おそらく自分はそれを愛おしく思い始めているのだ。……と、その時彼が家を捨てた方も当然であるような事を言ったのを聞くと目を丸くして )

それはいけないなぁ。君の親族が捜索願を警察に出してごらんなさい。僕は誘拐罪で逮捕だろう。いずれ落ち着いたら文をだしなさいね。
( 彼がなるべく恥じたり苦悩しないようにと冗談めかして上記を述べれば、ふと彼をそこまで追い詰めるものの正体は何であるのかと疑問に思う。彼はただならぬ何かを抱えているようだが、その本当の正体は未だ見えぬままであった。いずれ告白してくれる時が来るのだろうか。)


…ああ、うん。それは熱心なことだね。それではお願いしても良いですか。僕は一寸煙草屋へ行ってくるよ。もう少しで無くなりそうだから。
( 彼の提案の心も知らぬままに立ち上がりながらそう言うと、道中くわえ煙草をしながらのんびり行こうというつもりで腕を組むように袂に手を突っ込み手探りでマッチと煙草を探して。 それでは頼むよ、と部屋を出て玄関口へ続く廊下をのんびりとした調子で歩いていたが、急にはたと立ち止まると慌てた様子の足音をさせながら部屋へ戻り )

…! 忘れてた…。見たかい?
( まだ火のついていない少々湿気った煙草を咥えたまま慌てて戻ったのは、原稿の束の傍に放っておいたノートブックのためだった。構想を書き連ねるためのノートだが大谷は煮詰まるとよく軒先を通る猫やら庭の枝で羽を休める雀やらをスケッチするのが癖であった。開いたままにしていたページにも丁度それらの落書きが例外なく無造作に描かれていて、極めて私的なそれらを見られたかと思えば僅かに恥ずかしそうに肩を落として相手の様子を伺って。 )


16: 匿名さん [×]
2018-01-30 00:30:59


( /あげておきますね。とはいえ無理はなさらないでください。)

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