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文才なんて知らない。*自己満小説/48


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自分のトピックを作る
29: 猫柳 [×]
2014-11-19 18:31:41

>常連さん

支援して下さり有り難う御座います!
好きではないのにして下さるなんて…感謝感激です…!

30: 猫柳 [×]
2014-11-19 18:51:06

《3》

「ねぇ典明くん、明日一緒に遊ばない?」
「え……う、うん。別に良いけど。」
「本当に? じゃあ明日の午後1時にこの公園で遊ぼう!」
「良いよ。」

乗り気ではなかったのだが、取り合えず頷く花京院。

__そう言えば、他人と一緒に遊ぶのは久し振りだ。

不意にそんなことを思った花京院は、ふ、と頬を緩めた。
例え承太郎の笑顔が偽物だったとしても、こうして誰かと『約束』をすることは花京院にとってはとても嬉しいことだった。


「承太郎ー? もうお夕飯の時間よ、お家に入りなさーい。」

公園の入り口付近から承太郎の母親が承太郎に呼び掛けた。

「あ、ママ! うん解った! …じゃあ典明くん、また明日ね。」
「う、うん、またね…!」

元気に返事をするなり走って行く承太郎に、花京院は必死に手を振った。


31: 猫柳 [×]
2014-11-20 15:55:23

《4》

次の日、承太郎は花京院よりも早く公園に来た。

「典明くんまだかな、早く来ないかなぁ。」

ウキウキと胸を弾ませる承太郎はじっとなどしておれず、ゆらゆらと左右に揺れながら、花京院の到着を待った。
時計の針は13時12分を指す。時が経つにつれ、承太郎の期待は不安へと変わっていった。

__もしかして忘れてるのかな? それとも、嫌だから来ないのかな?
それとも、事故…?


「っ、ごめんね承太郎くん、遅くなった!」

13時50分。承太郎が諦めようとしたその瞬間、一人の少年が息を切らしながら公園へと走ってきた。
花京院だ。

「典明くん! 良かった、来てくれて。じゃあ遊ぼうか!」
「あ、う、うん。」

にこりと花京院は控えめに微笑んだが、一瞬だけ顔を曇らせた。

__この人との関わりはこれっきりにしよう。
だってこの人にも、どうせ“あいつ”が見えないんだから。
無駄に仲良くなんてできない。

32: 猫柳 [×]
2014-11-22 14:12:48

《5》

それから、二人は時間を忘れて遊び尽くした。
遊ぶ といっても、子供らしくボール遊びや遊具遊び等であったが、二人は休むことを忘れ、全力で楽しんだ。
気がつけばもう5時。今は秋で日の落ちも早くなってきたため、空はもう茜色に染まっていた。

「あ…もう帰らなくちゃ。」
「そっか、そんな時間かぁ…、ねぇ、典明くん。」
「何?」
「今日楽しかったね! 典明くんも楽しそうで良かった。」
「え? あ…うん。」

楽しそうで良かった
その言葉で、花京院は先ほどまで自分が楽しんでいたことに初めて気がついた。

「じゃあ、もう帰るね。」
「典明くん、明日も遊べる?」
「……うん、遊ぼう。」
「やったぁ! じゃ、また明日ね!」
「うん、バイバイ。」

花京院は入り口の方へ、ゆっくり足を進める。

__今日は楽しかったな。あんなに楽しんだのは本当に久々だった。
…あの人にも、“こいつ”が見えれば良いのに。

試しに花京院は、“あいつ”を出してみる。

「……、典明くん、その緑の、何?」

「……え…?」

33: 猫柳 [×]
2014-11-22 14:14:08

ちなみに“あいつ”というのは花京院のスタンド、ハイエロファントグリーンです。

34: 猫柳 [×]
2014-11-24 21:39:04

《6》

「見え…てるの…?」
「え?うん。」

花京院はひどく驚いた。
まさか承太郎にも見えるとは思ってもいなかったし、何となく出してみただけだから余計に驚く。

「それは何なの?」
「…んー、と……幽霊、かな?」
「えっ、お化けなの? 何だか光ったメロンみたいなお化けなんだね! メロンお化けだ。」
「め、メロンなんかじゃあない!」

確かに花京院の言った“幽霊”はキラキラト輝きを放つ緑色をしており、網目模様がメロンのように見える。
だがこの“幽霊”は、花京院にとっては唯一の友達。馬鹿にされたのが悔しかったのか、今日一番の大声を張り上げた。

「…ご、ごめんね典明くん。」
「こっちこそ、言い過ぎた…、じ、じゃあまた明日ね。」
「うん、バイバイ!」

気まずい空気から逃げるように、花京院が再度足を進める。
承太郎はただ、嬉しそうにニコニコとした笑顔で大きく手を振った。

35: 猫柳 [×]
2014-11-27 03:30:49

《7》

辺りはもう暗くなりかけている。
花京院の家は公園から少し遠い。帰宅する頃には、きっと空は真っ暗になるだろう。普段なら疲労のせいか家への足取りはたいへん重く感じるのだが、今日の花京院の足取りはとても軽かった。

__あの人にも、承太郎くんにも見えたんだ!
もしかしたら…きっと、友達になれるかもしれない。
心から解り合える友達に…!

花京院は何とも言えない喜ばしさに、ゆるりと頬を緩めた。

…が、その喜びは嘘みたいにどん底へと沈んでいった。

自宅周辺に数台の消防車と、何十人もの人。
真っ黒で原型のなくなったお隣さんの家と、花京院宅。


たった今、家がなくなったのだ。

36: 八代目やしろ [×]
2014-11-27 20:01:31

支援あげ(^^)



37: 猫柳 [×]
2014-12-07 11:39:35

>やしろさん

ささささっきまで気が付きませんでした;;支援有り難う御座います!

38: 猫柳 [×]
2014-12-07 11:59:25

《8》

「典明!」
「あぁ良かった、無事だったのね!」

消火されていくのを見ながら、ただ呆然と立ち尽くしている花京院の元へ駆け寄る二人の男女。
花京院の両親だった。

「お父さん、お母さん、これって…?」
「お隣さんの主人が煙草の火を消し忘れて眠っちゃったみたいでね、火事になって燃えちゃったらしいの、お母さんたちの家も。」

母親の白くほっそりとした綺麗な手が、花京院の頭を優しく撫でる。
花京院は、物事の考え方等は何処か大人らしいところがあるのだが、実際はまだまだ子供。母親の手から伝わる暖かさと優しさに表情を綻ばせると、嬉しくなりへらりと柔らかな笑顔を浮かべた。
すると先程まで携帯電話で誰かと通話をしていた父親が、母親と花京院の方を向いて微笑みかけた。

「安心しろ典明。家は燃えてなくなってしまったけど、おばあちゃんが家に来なさいと言ってくれている。これからはおばあちゃんの家で暮らせるぞ。」
「まぁ、あなた本当に? 助かったわ!」
「あぁ。…ただ、今からでも出発しないと夜までに到着できない。」

花京院は思い出す。

__待って、明日は承太郎くんと遊ぶんだ。今からなんて行けないよ。

39: ぬらうさぎ [×]
2014-12-07 12:04:14

面白いから支援( ☆∀☆)

40: 猫柳 [×]
2014-12-07 12:32:51

《9》

「待ってよお父さん! 明日は約束が…! 明日の夕方はダメなの!?」
「…典明、今はそんな場合じゃあないことぐらいは解るだろう? 諦めなさい。」

承太郎との約束があることを告げる花京院。だが父親は、やはり許してはくれなかった。

「でも……っ。」

何とか粘ろうと言葉を探す花京院だったが、何も言えなくなり黙り込んでしまった。父親の言っていることが正論だということが、よく解っていたからだ。

「あなた、典君。車の準備ができましたよ。」
「あぁ、消防隊の方ともう少し話をしてから行くよ。…さ、典明、お前は先にお母さんと車に乗って待っていなさい。」
「…。」

野次馬を掻き分けていく父親の背を見送ったあと、花京院は車に乗り込んだ。
車は奇跡的に燃えておらず、傷一つなかった。



そして暫くすると父親が帰ってきて、車に乗り込む。

「おまたせ。よし、じゃあ行くぞ。」

母親がエンジンを掛け、アクセルを踏む。
車はのろのろ這うように動き、そして加速していく。
家がどんどん小さくなっていくのを車窓からぼんやり眺めながら花京院はぐっと唇を噛み締めた。


__ごめんね、承太郎くん。

41: 猫柳 [×]
2014-12-07 12:35:58

>ぬらうさぎさん

おも、お、おもし、お、おry
面白いとですかあぁ!支援も有り難う御座います、感謝感謝です!



ー・ー・ー



《9》にて。
普通はこんな簡単に現場抜け出せないんですよね。←

42: 猫柳@ターヘル・アナトミア [×]
2014-12-10 22:31:52

次からは花京院目線で書こうかな…

ふっふのふー(

43: 猫柳 [×]
2014-12-12 03:39:55

《10》

・・・



あれから、何年が経っただろうか。
ずっと昔にできた初めての友人のことを、僕は今もよく思い出す。僕にとって彼は特別な存在だった。そしてそれは今も変わらない。
あれからと言うもの、現在 齢17の僕には、友人と言える存在はできなかった。勿論、会話ぐらいはするのだが、友人らしく登下校を共にしたり、一緒に何処かへ出掛けたり等はしなかった。
昔からそうだった為か、寂しくも何ともなかった。ただ、“友人”と聞くと、あの昔の少年の彼が脳裏に浮かび、そして後悔が頭を擡げることがよくあった。

__彼は元気にしているだろうか。あの日、走ってでも彼の家に行って、伝えれば良かったな…。

自分の中では大切な存在の彼。だがずっと昔のことだった為か、名前が思い出せなかった。
名前は忘れたけど存在をしっかり覚えている僕。だけど、彼は僕の存在自体忘れているかもしれない。なんて、そんなことを思うこともあった。


もう一度、彼に会いたい。
昔離ればなれになってしまってから、ずっと抱き続けてきた小さな願い。
そのささやかな願いがついに叶うことを僕はまだ知らず、今日も退屈な一日を過ごすのだった。

44: 猫柳 [×]
2014-12-14 02:57:23

《11》

「ねぇ典君!」
「…母さん、その呼び方やめてくれないか、良い加減。」
「あら、でも典君は典君でしょう? 小さいときは嫌がらなかったのに…。」
「歳を考えてくれ、僕はもう17だ。いつまでも子供じゃあない。」

この会話は一体何度繰り返してきただろう。恐らく今日で三回目ではないだろうか。
自分で言うのも何だが、僕の母は僕が大好きだ。
僕もそんな母が大好きだった。だが今僕は高校生。いつまでも甘えてはいられないし、甘える気もない。
母は僕をいつまでも子供だと思っているようで、小さい頃からずっと「典君」と呼んでくる。僕はそれが嫌で仕方がなく、母に直すよう言っているのだが、見ての通り、母は直す気など全くないようだ。

「…はぁ…。で、どうしたんだい?」
「お父さんがね、商店街の福引きでエジプト旅行へのチケットを当てたの! だからみんなで行こうって。」
「父さんが? 凄いな…んー、でもエジプトかぁ…。」

エジプトと聞いて思い浮かぶのはピラミッドぐらいで、あまり詳しくは知らない僕は、今一ピンと来なかった。

「ん、そうだね、そうしよう。」

この旅行で、エジプトをもっと深く知ることにしようか。

45: おしるこ [×]
2014-12-27 14:06:12

遅くなってすいません! 

来ましたっ♭

コメントを書き込むの、ここで良かったのでしょうか?

46: 猫柳 [×]
2014-12-27 15:57:54

>>おしるこさん

こっちです、こっち!w
http://www.saychat.jp/bbs/thread/548598/

47: 猫柳 [×]
2015-01-28 02:27:37

久し振りに書きますかね、下げで。←

48: 猫柳 [×]
2015-01-28 03:18:57

《12》

世界一の川と呼ばれるナイル川の下流域にある都市、エジプト カイロ。
この都市はアフリカ、アラブ世界で最も人口の多い都市であり、エジプト経済の中心となっている。

「東京から此処まで9580km、約14時間か…、随分と遠くに来たな。」

人気(ひとけ)のない、静まり返った街を歩きながら、ポツリと呟く。
現在時刻は午前2時。街の人々はもうみんな寝ているようだ。
やはり環境が変わると落ち着かないのもあってか、なかなか眠れなかった僕は、夜道を散歩することに決めた。
夜空を見上げてみると、沢山の星が音もなく瞬いていた。その星々はとても綺麗なもので、まるでプラネタリウムにでもいるかのような気持ちになった。


「…少し良いかい、そこの君。」
「…え?」

何処からか声が掛かる。
声のした方を見ると、先ほどまで誰もいなかった筈の僕の背後に、綺麗な金髪に凍てつくような冷たい瞳、そして透き通るように白い肌をした男の人が立っていた。


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