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愛の報いは愛(〆)/123


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自分のトピックを作る
101: 宮村 湊 [×]
2025-10-18 09:56:45

マンデリン…トラジャ…どちらも飲んだことがないので楽しみです!

(彼の口からすらすらと出てくるコーヒー豆の名前はどれも耳馴染みのないもので、興味深そうに耳傾けていると、電車はあっという間に目的地に到着した。相手の後を追い改札を出てタクシーへと乗り込むと、その膝の上に大切そうに置かれた紙袋を見て少し気恥しさと同時に嬉しさを覚え、口元が緩む。その時、不意にポケットの中に入っていたスマートフォンがマナーモードで振動した。定例の報告を求める組織の上長からの電話だろう。夢見心地から一気に現実に引き戻されたような気がして、そっとスマートフォンを取り出すと、すぐに通話終了ボタンをタップする。これで電話に出れない状態であることは上司にも伝わっただろう。後で纏めて報告すれば良い──正しい報告をするとは限らないが。彼の大きな不利益にならないことを掻い摘んで、怪しまれない程度に報告を繰り返せばいい。今までかなり真面目に仕事に取り組んできた自負がある。暫くはきっと露見することもないだろう。そんな策謀を頭のなかでめぐらせつつ、再びスマートフォンをポケットにしまい込むと軽く頭を下げて謝罪してすっとぼけたような声を出し)

…すみません、迷惑電話みたいでした。最近すごく多くて。どこかで俺の電話番号漏れてるのかなぁ。

102: 常葉 悠 [×]
2025-10-18 23:15:04

情報はいつ漏れるか分かりません。細心の注意を払わないといけませんよ。……ああ、そうそう。前にこういう話を聞いたことがあります。

(タクシーが発車して間もなく、彼の携帯が鳴った。だが画面を見たと思ったら、すぐに切って仕舞った。電車なら分かるが、タクシーで電話に出ないというのは何故なのか気になっていたところ、迷惑電話の件を聞いた。自分も仕事用の電話に迷惑電話が来たことはないが、プライベート用のものならば何度かある。だが彼の口ぶりからして、頻繁に来ているらしい。そしてふと、以前知り合った他企業の社員から聞いた話を思い出して、彼に聞かせる)

大手の化粧品会社の女子社員が、バーで人懐こい好青年と知り合ったそうです。社員は青年と友達になり、知り合って半年ほどで二人は男女の仲になりました。ある日、社員は青年の自宅にスマホを忘れてしまいました。青年はすぐに届けに来てくれたのですが、実は青年は裏社会の工作員で、スマホから仕事の情報を全て抜き取ってしまいました。不用心にもスマホには、会社の社運を賭けた大型取引のプレゼン資料が入っていたそうです。もちろん社外秘の機密情報です。その情報を競合の会社に売られてしまい、取引は横取りされました。会社は倒産は免れましたが、業績は悪化して大規模なリストラを実施せざるを得なくなってしまったそうです。自分の軽率な行動で仲間を路頭に迷わせてしまったこと、信頼を寄せた青年に裏切られたことに絶望して、社員は自ら命を絶ったそうですよ。
情報は命そのものです。番号が漏れている疑いがあるのなら、すぐに対応した方がいいと思いますよ。……なぁんて、エンジニアの湊くんには、釈迦に説法でしたね。

(聞いた話を思い出すかのように宙を睨みながら、口を動かす。多少記憶が曖昧なところがあるが、概ねの説明は合っているだろう。説明を一頻りすると、彼の方を向いて眉間の皺を寄せながら助言をする。釈迦に説法だし、余計なお世話だと分かっていたが、彼にはそういうトラブルに巻き込まれて欲しくないので、一応伝えておきたいと思ったのだ。そんな話をしていると、あっという間にマンションに到着した。いつものように素早く財布を取り出し、クレジットカードで支払いを済ませると、タクシーを降りる)

103: 宮村 湊 [×]
2025-10-19 09:10:22

…ええっ…、怖いですね。電話番号くらいなら大丈夫かなと思ってましたけど…対処しておきます。

(掛かってきた電話が迷惑電話でないと気づかれるはずも無いので、この話はここで終わるだろうと考えていたものの、話が思わぬ方向へと展開されて行き、正直内心では冷や汗をかいていた。自分の正体がバレたのかと一瞬疑ったものの、相手の言葉のニュアンスを汲み取るにそういう訳でもないようで、静かに息を吐き出しながら瞳を細める。──3個ほど前の案件だったか、確かにそんなことがあった、気がする。細かいところは少し事実とズレがあったものの、そこは噂話として伝わっているもの、多少歪んでいてもおかしくはないのだろう。自分の仕事は機密情報を抜き取ることで終わっていたため、その後彼女がどうなったかまでは知らなかったが、命を絶っていたとは。気の毒そうな表情を作って心を痛めたような声音でそう返したものの、心の中は恐ろしいほどに冷めていた。全てを仕事と割り切っていたためだ。いちいち標的のその後を心配して心を痛めているようではこの世界では生き残れない──そう教わってきた。だから、唯一の例外は隣に座る彼だけだった。仮面を外した本当の自分は、自分が間接的に死に追いやった人間の死すら悼むことのできない非情な人間だと、もし彼が気づいたとしたら。そこまで考えて仄暗い気持ちが浮かんでくるのを隠して停車したタクシーから降車する。純粋に心配してくれて話してくれたのであろう彼の善意が、自分は彼の隣に並ぶべきではないと突きつけてくるようで、振り払うように軽く首を横に振り、静かに深呼吸をすると見慣れぬ光景にそわそわとするようなふりをして辺りを見渡し)

104: 常葉 悠 [×]
2025-10-20 00:15:48

どうしたんですか、そんなにキョロキョロして。 まあマンションばっかりですから、あんまりこの辺は来ないですよね。さあ、行きましょうか。

(タクシーを降りると何やら彼がそわそわとしていたので、クスッと笑いながら声をかける。見回せばマンションばかりの光景が珍しいのだろうか。地方出身と言っていたし、まだ都会の光景に慣れていないのかもしれない。不安げにも見える彼の表情に、和ませてあげなければと思い立ち、マンションの中に入りながら言葉を続ける)

ここは分譲マンションでしてね。友達とか恋人とかと過ごしやすいようにと、大きめの部屋をウキウキで購入しました。しかし買った後で友達も恋人もいない事に気付きましてね。ふふふ……誰かを部屋に招いたのは君が初めてですよ。

(入口にあるパネルを操作しながら、冗談を交えながら言う。部屋にゆとりを持って暮らしたかったことと、オートロックの解錠方法が顔認証なのでセキュリティがしっかりしていることが、このマンションを選んだ本当の理由だが、多少冗談ぽく伝えた方が、彼も気が楽になるかもしれない。無論、自分の拙い冗談が伝わればの話だが。パネルに部屋番号を入れた後、顔認証でエントランスのドアを開ける。エントランスに入ると、エレベーターで自分の部屋のある階のボタンを押す。自分は最上階に住んでいるので、20階のボタンを押す。所謂タワーマンションと呼ばれる物件だが、実のところあまり気に入っていない。窓からの景色は良いものに違いは無いが、自分の会社のビルが見えてしまうのだ。気が付けばそこばかりを見てしまう。だから自室にいても仕事のことを考えてしまい、身体が休まらないのだ。だから一日中カーテンを閉めて生活している。だが今日は折角の来客だ。夜景は綺麗な部屋だから彼に見せてあげたい。今日くらいはカーテンを開けてみよう。そんなことを考えていると、目的の階に着いた。エレベーターを降り、部屋の前まで来ると、部屋の横に備え付けられているパネルに顔を見せ、顔認証でドアを開ける)

さあ、どうぞ入って。

105: 宮村 湊 [×]
2025-10-20 18:36:10

あ…、いえ、凄く大きくて綺麗なマンションだったのでびっくりしちゃって!…っ、あはは!じゃあ俺、悠さんにここに招いてもらう初めての人なんですね。なんだかとっても嬉しいです。

(相手の後に続きエントランスへと入りながら無邪気な声を上げる。彼がどこに住んでいるかなど報告書でとっくに知っていたのに知らないようなふりをして笑顔を浮かべた。かつて仕事をする中で同じようなタワーマンションや豪邸に案内されたこともあったが、皆一様に聞いてもいない自分の住居についての自慢話を聞かせてくるものだった。彼の住む部屋も都会の一等地のタワーマンション、加えて最上階ともなれば相当値が張っているのは想像に難くない。彼にも自慢話のひとつやふたつくらいあるだろうかと考えながら背後に控えていると、彼の口から掛けられた言葉は落ち着かない様子を見せている自分への配慮のようで、一瞬拍子抜けしたように目を丸めたあと、思わず吹き出した。その気遣いが彼らしいな、と口元を弛めてエレベーターへと乗り込む。灯った最上階のランプを眺めながら、ぼんやりと先程の彼の言葉を考えていた。実際、自分以外のプライベートの彼の交友関係は本当に狭いものらしい。自分が関わりを持った同じような立場の人間の中では彼が一番根が優しく、真面目なのに、少し不器用なところが災いしているのか──難儀な話だ。とは言え、正直に言えば彼に交友関係が少ないことを喜ばしく思ってしまっている自分もいた。自分が彼に惹かれたように、彼の本質に惹かれる人間はきっといる。そのようなライバルが目下存在しないというのはそれだけで安心できた。タクシーの中で彼の話を聞いた時もそう、自分の考え方はあまりに合理主義的で非人道的だとはわかっていた。彼のような人間に相応しくないのは自分であると理解していながら、尚手を伸ばそうとしてしまう浅ましさも。それら全てを隠すように静かに瞳を伏せ、程なくして最上階へと到着したエレベーターから降りると、開かれた扉の中におずおずと足を踏み入れる)

お邪魔しまーす…

(広々とした玄関で靴を脱ぐと丁寧に揃えて端に寄せる。彼が入って来れるように廊下を少し先まで進んでから、部屋の主たる彼を待つように立ち止まった)

106: 常葉 悠 [×]
2025-10-20 20:43:44

(丁寧に靴を脱いで揃える彼に好感を持ちつつも、内心は些かの不安と緊張に苛まれていた。まずここ最近はまともに家の掃除をしていない。元々家事能力が低く、放っておくとすぐに散らかり放題の部屋になっていた。だから定期的に部屋の掃除をするように意識していたのだが、最近は業務が多忙を極め、家に帰ると死んだように眠り、早朝に出社する生活を繰り返していた。家の様子など気にする余裕はなかったし、そもそも最後に掃除したのがいつなのかも覚えていない。だからリビングがどういう状態なのかも分からない。廊下で待っている彼に失望されないかと不安になりながらも、ドアを閉め靴を脱いで玄関に上がる。意識的にゆっくりと歩きながら、彼を追い越しリビングのドアノブに手を掛ける。ギィィ……とドアの開く音が聞こえるくらいにゆっくりと、ドアを開ける。ほんの少しドアを開けて、中の様子を伺ってみる。暗くてよく分からないが、少なくとも物が散逸しているということは無さそうだ。それを確認すると、ようやく緊張が解け、勢いよくドアを開け、リビングの電気を付ける)

ソファでも椅子でも、お好きな所に座ってください。すぐにコーヒー淹れますからね。

(彼に声を掛けながら、スーツの上着とカバンを置きにウォークインクローゼットへ向かう。いつもなら書類などはカバンから出してから仕舞うのだが、来客中であるし、今日はもう書類に目を通す気になれなかった。スーツの上着とベスト、ネクタイを脱ぎ、ハンガーに掛ける。彼から貰ったクッキーの入った紙袋を片手にリビングへ戻る。キッチンに入ると紙袋を置き、手を洗って棚からいくつかコーヒー豆の入った瓶を取り出す。どれがいいだろうか──テーブルに並べた瓶を前に、腕を組みながら小さく唸る。だが考えていても埒が明かないと思い、ここは彼に直感で選んでもらうことにする)

湊くん。この中からどれか一つ選んで頂けますか? どれも苦味が強い傾向にある豆ですが、私一人では決められないので、君に直感で選んで欲しい。

107: 宮村 湊 [×]
2025-10-20 21:12:05

わぁ…広いですね。じゃあ、ソファお借りしますね。

(相手に続いてリビングへと足を踏み入れて辺りを見渡す。確かに少しばかり出しっぱなしになっているような物がところどころに置かれている様子はあったものの、"散らかっている"と形容されるほどの状態では無かった。ここ最近は多忙を極めていた様子であったし、整理する時間も無かったのだろうと考えてそれ以上まじまじと眺めることはせずに促されるままにソファへと腰掛けた。広々とした部屋故に却って掃除も億劫になってしまっているのだろうか。一人で疲労困憊の中、何部屋も掃除をするのはやはり大変なのだろう。そんなことをソファに体を沈めつつぼんやりと考えていると、キッチンの方から聞こえた自分を呼ぶ声にすぐに反応するように立ち上がり、声のする方へと歩みを進めた。テーブルの上に並べられた瓶の中にはコーヒー豆がぎっしりと詰まっているようだったが、当然の事ながらそれを見てもどれが何なのか自分には全く想像がつかない。少し考えるように顎に指を添えていたものの、その後すぐに自分から見て1番右の瓶を選び指さした)

苦味が強い豆だけでこんなに種類があるんですね。うーん…そしたら、これにします!どんな豆ですか?

108: 常葉 悠 [×]
2025-10-22 21:47:30

これはインドネシア原産のコーヒー豆で「マンデリン」といいます。シナモンのような風味でありながら、重厚なコクと苦みが楽しめる豆ですよ。

(彼が直感で選んだ豆を説明しながら、ドリップの準備を進める。IHクッキングヒーターのスイッチを入れ、ドリップケトルのお湯を沸かす。沸くまでの間、豆を挽きながら考え込む。コーヒーの味は豆の質にも左右されるが、最も味を左右するのは淹れ方だ。どのくらいの深さでドリップするか、湯の温度、湯量、時間。これらが完璧で美味しいコーヒーを淹れる事が出来る。無論、彼のことだからきっとどう淹れても美味しいと褒めてくれるに違いない。だが、想いを寄せる人に出すコーヒーだ。完璧なものを出したい。出せなければ罪悪感が暫く纏わり付きそうだ)

誰かに飲んで貰うとなると、少しばかり緊張しますねぇ……ふふ、上手く淹れられるといいんですが。

(やや粗めに豆を挽くとドリップケトルを持ってゆっくりとお湯を入れ始める。一回目は蒸らしという工程だ。豆をお湯で全体的に濡らし、1分程待つ。お湯が完全にドリップされると、ゆるゆるとケトルを傾けながらお湯を入れる。小さく円を描くように、ゆっくりと。お湯を入れながら、緊張を和らげるように彼へ声を掛ける。緊張している時は、敢えて緊張していることを認めるのがいいと言う。どこかで聞き齧った知識を実践してみたが、声に出したことでより緊張したきらいがある。ケトルを持つ手が僅かに震えてしまう。一湯目を淹れ、しばらく待ってから二湯目を淹れる。そうして同じことを繰り返して、お湯が落ちきったところで、ドリッパーをシンクへ移す。予め用意していた二人分のカップに淹れたてのコーヒーを入れる。片方のカップにはガトーショコラを、もう一方には彼お手製のクッキーを付け合せにする。お盆にカップと付け合せを乗せ、ソファへ運ぶ)

お待たせしました、マンデリンの深煎りコーヒーです。……口に合うといいんですがね。

109: 宮村 湊 [×]
2025-10-22 22:53:16

マンデリン…初めて聞きました。でも、とっても美味しそうです。

(コーヒー自体は愛飲していたものの、その種類についてはごくごく有名どころを多少齧っている程度なもので、初めて耳にするそのコーヒーの名前を復唱するように口の中で小さく呟いた。コーヒーと言えば苦いか酸っぱいか程度しか気にしたことが無かったが、思っていたよりも随分と奥が深いらしい。実際に豆を挽くところを生で見るのも初めてで、興味深そうにその様子をじっくりと眺めていたものの、そうしている内にふと次第に自分のクッキーが相手の口に入る時間が近づいていることを意識してしまい、徐々に緊張で胃が痛んできた。なぜ手作りなどしてしまったのだろう、近場の店で美味しそうな既製品でも買っておけば良かったのに、と今更後悔しても時すでに遅く、同時に手渡した時の彼の表情を思い出すとやはり手作りを用意しておいて良かったのかもしれない、と複雑な想いだ。そんなことを悶々と考えてしまっていたせいで、非常に神妙な面持ちになってしまっていたことに彼は気付いただろうか。しかし、暫く彼がコーヒーを淹れる様子を眺めていると、その手が小さく震えていることに気付いて、その瞬間、彼もまた緊張しているのだと理解する。人を招くのは初めてだと言っていたので、このように誰かにコーヒーを振る舞うことも初めてなのだろう。自分が、自分の作ったクッキーを彼が食べることに対して緊張を覚えているように、彼もまた彼が淹れたコーヒーを自分が飲むことに対して緊張を覚えているのかもしれない。そう思うと次第に緊張も解けてきて、辺りに漂う芳醇なコーヒーの香りを楽しむ余裕も出てきた。いくつもの手順を重ねて出来上がったらしいコーヒーを追うように自分もソファに戻ると、再びソファへと腰を掛けてからガトーショコラの乗った方を受け取り、早速カップを手に取った。挽き立ての豆を使っているからなのだろうか。普段飲むコーヒーよりも既に香りが強いように感じる。少しの間、その豊かな香りを楽しんでいたものの、せっかくならば温かい内に飲みたいという気持ちもあり、断りを入れてから軽く息を吹きかけた後に口をつけた)

ありがとうございます、頂きますね。…!これ…

(口に入れた瞬間に、普段飲んでいるコーヒーとは明らかに違う、強めの苦みと同時に華やかなスパイスの風味を感じる。豆の種類、挽き立ての豆であること、淹れ方、それぞれに要因はあると思うが、ここまで違う味になるのかと思わず素で驚いたようにカップを見つめてしまい、唇からは感嘆の息が零れた。軽んじていたわけでは当然無かったのだが、こんなに美味しいコーヒーを口にすることになるとは思っておらず、やや興奮したように瞳を輝かせて相手を見つめると、おそらく今も不安に思っているであろう彼に対して率直な感想を述べ)

…美味しい、こんなに香りがしっかりしたコーヒーは初めて飲みました。コーヒーってこんなに美味しくて幅がある飲み物だったんですね…。苦みはしっかりしているんですけど、スパイスの風味が豊かで…凄く俺の好みの味です。ありがとうございます、悠さん。

110: 常葉 悠 [×]
2025-10-24 23:53:15

よ、良かったぁ……。いや、そう言って貰えてすごい嬉しいですよ。ああ、安心しました……!

(彼の隣に座って、コーヒーが彼の喉へ流れていく様を緊張しながら見ていた。コーヒーを飲んだ彼は顔を輝かせながら、感想を言ってくれた。表情を見れば単なる社交辞令などではなく、本心から言っていることが充分に伝わってきた。自分にとってはそれが最大級の賛辞のように感じられ、嬉しさと同時に緊張の糸が切れたような感覚が全身を包み込む。ソファの背もたれに勢いよく身体を預けると、深く息を吐く。緊張で手が震えてしまい、正直なところ美味しいコーヒーを淹れることができたのか疑問だった。怖くてテイスティングもできなかった。だが上手くいったことに安堵し、自分も飲んでみようかとカップを持ち上げる。しかし、そこで気付いた。自分は猫舌ゆえ、淹れたてのコーヒーを飲むことができない。もっと時間を置いてからでないと。彼と同じタイミングでコーヒーを楽しめないのは、残念に思ったが致し方ない。あと数分待つしかない。と、思ったところで彼の手作りクッキーに目を移す。先にこちらを頂こうかと、クッキーを手に取って一口齧る)

んっ! このクッキー、美味いですね! サクサクだし、程よく甘みもあるし、既製品もいいですが、こっちは絶品ですね!

(クッキーを齧った瞬間、衝撃を受けた。コーヒーの付け合せとして、普段からよく食べているが、今まで食べたクッキーより遥かに美味しかったからだった。通常自分はこういってシチュエーションに出くわした時、あまり感想を言わないようにしている。相手の意図したことと違うことを言って不興を買うのが怖いからだ。だが事このクッキーに至っては、迷わず素直な感想を伝えることが出来た。普段絶対に出さないような声量で、彼にクッキーの美味しさを伝えたいと思った。きっと今の自分はコーヒーを飲んだ瞬間の彼と同じ顔をしていることだろう)

111: 宮村 湊 [×]
2025-10-25 10:16:01

本格的に淹れるところを見たのも初めてで………コーヒーってこんなに美味しいんだ……

(舌鼓を打ちながら、更にもう一口口に運んで彼を見遣れば、その表情が安堵へと弛緩していく様子が目に入り、自然とこちらの表情も緩む。手間隙かけて淹れられたコーヒーの、機械で淹れたものとは全く違う深い味わいに感動を覚えつつすっかり気が抜けた様子でいると、あまりに自然に自分のクッキーへ彼が手を伸ばすので、思わず一瞬反応が遅れ、気づいた瞬間には手製のクッキーが彼の口へと運ばれており、思わずカップを片手に硬直してしまった)

は………、……あ、……良かっ、た………。お口に、合いましたか?

(不安そうに其方を見つめていると、しっかりとした口調で告げられたのは賛辞の言葉で、押し寄せてくる安堵にそれだけを口にするのがやっとで、それでも彼の表情を見れば自分の作ったものが受け入れて貰えたという確信に幸福感を覚えずにはいられず、表情を綻ばせて少し照れくさそうに頬を軽く掻きながらそう問いかけた。今この時ばかりはお菓子作りを趣味にしていて本当に良かったと心底思う。同時に、作り上げたものではない自然体の自分をまたひとつ彼に受け入れて貰えたような感覚に、静かに胸の奥の方が熱を帯びた。カップを静かにテーブルに一度戻して相手の方へと顔を向けると、瞳を細めながら相手の視線を絡め取るように目を合わせて小さく息を吐き出し)

悠さんの口に合うかずっと不安だったんです。自分が作ったものを他人に食べてもらうのは初めてでしたし…。せっかくなので美味しいものを食べて欲しくて、本当は既製品にしようかとも思ったんですけど…… こうやって目の前で食べて貰えて、美味しいって言って貰えるのって、こんなに嬉しいんですね。悠さんのためならまた幾らでも作りますよ。好きなものを教えて貰えたら練習してきます。

112: 常葉 悠 [×]
2025-10-26 21:11:51

ええ、とっても美味しいですよ。ふふ……私のためにありがとうございます。じゃあまた今度、なにかお願いしてしまいましょうかね。

(クッキーを口に運び、ゆっくりと咀嚼する。その度に口の中が幸せで満たされていくような感覚だった。彼のクッキーがそれ程までに絶品なのか、それとも彼の作ったものだからそう感じるのか。あるいは両方なのか。"悠さんのためなら幾らでも作る"という言葉に、小さく笑うと彼の目を見ながら感謝を口にする。だが心の中は別のことを考えていた。これは最早、自分の気持ちを伝えるべきではないのかと。彼の表情の意味も、わざわざ自分のためにと付けた意味も、いくら自分にだって理解できる。彼が自分をどう思っているのかも、自分が彼をどう思っているのかも。全て理解できる。だが過去の経験が自分の足を止めさせる。それに、まだ彼には自分の全てを知って貰っていない。自分のことをもっと知ったら、気持ちも変わってしまうかもしれない。だが、彼だからこそ色々知ってから、自分の言葉に返事をして欲しい)

私はね、ずっと仕事一筋でここまで来ました。……トキハ食品ホールディングスってご存知ですか。私、そこの代表取締役でしてね。同族企業で、子供の頃から誰も彼も利益が目当てで、本当の友達も、安心できる恋人もできたことがない。……だから君という楽しみを一緒に共有できる友人ができて、とても、とても嬉しかった。

(すっかり温くなったコーヒーに恐る恐る口を付けて、一口飲む。猫舌の自分でも充分に飲める温度だった。コーヒーを一口飲むと、意を決して自分の身分を明かす。一瞬、躊躇してしまいそうになったが、一度切った言葉の堰は幸いにも止まることなく、自分の口からはスルスルと言葉が出てきた。一度言葉を区切って再びコーヒーを飲む。そして、彼の目を見て暗に問い掛ける。"君は、私を純粋に友達としてカテゴライズしてくれるだろうか"と)

113: 宮村 湊 [×]
2025-10-27 15:46:47

……えっ?

(気付けば生まれてこの方経験したことの無いような幸福感に支配され、頭からは完全に任務のことなど消えかけていた。まさにそんな時、不意打ちのような彼からの告白に、まさかこのタイミングで打ち明けられると思っておらず、驚きの色を浮かべた瞳を2,3度瞬かせる。しかし、その告白は彼自身の立場を自慢し誇示するような類のものではなく、寧ろその立場を知って尚、自分が変わらず彼と接することが出来るのかを問うているように見えて、返すべき言葉を探すことにそう長く時間はかからなかった。)

もちろん知ってますよ、俺もよく食べてますし。あんな大企業の代表取締役って……、凄く忙しそうだったのも納得です。でも、それを俺に打ち明けてくれたのは、だから、つまり───変に畏まって欲しいとか、そういうことじゃないんですよね、きっと。

(温度を警戒しながらコーヒーに口をつけているその仕草にすらもどうしようもなく掻き乱される。今までとは何もかもが違う。偽りの自分ではなく本当の自分で受け入れられることの穏やかさを知ってしまえば、どうしても本当の自分を受け入れられたいという欲が出てしまう。正しい解答を機械的に選択していくだけだった頃とは違う、確実に体温がある言葉。それが正解かは分からないが───どれだけ遠回りになっても、彼との間にこれ以上の嘘は差し挟みたくない。)

自惚れみたいで恥ずかしいんですけど、…悠さんに信頼、して貰えたのかなって。なんだか俺もすっごく嬉しくなりました!また俺のこと、ここに呼んでください。美味しいお菓子を作って、手土産に持ってきますから。そのために広い部屋、借りたんですもんね?

(先程彼が口にしていた冗談を拾うようにして、肩を竦めて悪戯っぽく笑顔を零す。初めて会った日に浮かべていたような、人好きのするような笑顔からは少し離れてしまったかもしれないが、自然体のままで口元が綻んでしまう。それが無性に心地よくて、彼を害する全てから彼を守りたいと──あまりに軽率にもそう思ってしまった。)

114: 常葉 悠 [×]
2025-10-28 23:49:17

(彼の一挙手一投足が自分の心を乱していく。2、3回繰り返された瞬きも、驚きの色をした瞳も、全てが不安要素となって心を徒に刺激してくる。彼の返事を今か今かと待つ一方で、聞きたくない、聞かない方がいいのではないかという思いが強くなっていく。彼が口を開くまでには実際のところ数秒程度の時間しか掛かっていなかったのかもしれない。だが、今の自分にはそれが果てしなく長い時間に思えた)

…え、ええ! 君のこと、信頼しているんです!自惚れなんかではありませんよ!

(彼の言葉はどれも自分が思っていたことだった。自分の意図を理解してもらえるか些か不安だったが、彼はまるで自分の心を見透かしているかのように、欲しい言葉を的確にぶつけてくる。だがそれは決して打算的に出力している言葉ではなく、本心からのものだと分かる。だから前のめりになって、自分が信頼していることを彼に伝える)

そうですね、ふふっ……君が居てくれたら、少しは狭いと思えるかもしれませんね。ああ、そうだ……じゃあ早速リクエストしてしまおうかな。次はマカロンを作って貰えませんか?

(自分が適当に言った冗談を拾われると、一瞬面食らった顔をしてしまうが、すぐに彼の笑みにつられるように、こちらも笑みを浮かべる。初対面の時の笑顔とはまた違った魅力的な表情だった。恐らくはこちらが自然体なのだろう。だがどんな表情をしていても、その笑顔が自分にだけ向けられているという事実が、気分を高揚させる。そして早速、お菓子のリクエストをする。しかしリクエストして暫くしてから、少しだけ後悔する。我ながら思い上がっていて、そして気持ちの悪いリクエストだと思う。彼の気を知っていながら、マカロンをリクエストしてしまったのだから。自分としては単純に彼の作ったお菓子が食べたいと思ってのリクエストだったが、賢しい彼のことだから別の意味に捉えるかもしれない。あるいは単なるリクエストの一つとして捉えるかもしれない。いずれにしても彼に"重い"とかマイナスのイメージを持たれて仕舞わないか、些かの不安が包み込む)

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一旦、背後から失礼します!
悠と湊くんの関係は、ここら辺で1段階上に行くのが良いと思いますか? 此方としては、もう少し引っ張るのも良いかななんて思っているのですが、どう思いますか?

115: 宮村 湊 [×]
2025-10-29 13:04:29

……それなら、その信頼を裏切るわけにはいきませんね。

(やや食い気味に向けられた信頼に、応えたいと強く思った。冷徹で非情なだけが自分の本質の全てだと理解していたが、今は胸の内側に確かな熱があるのを感じる。最初から自分にあったものなのか、それとも彼に当てられたのかは分からないが、いずれにせよこの熱を見なかったことにはもう出来なかった。自分が彼に近づいた目的が任務だなどと彼に知られることがあれば、その後の自分の感情がどうであれ彼を深く傷付け、この信頼を裏切ってしまうことになる。それだけは避けなければならない。あらゆる手を尽くして、彼をその事実から遠ざけようという強い決意とともに、テーブルに置いたフォークに手をつけると、添えられていたガトーショコラに一口分の切込みを入れた)

マカロン、ですか?……もちろん、喜んで。

(ガトーショコラのほろ苦い濃厚な甘みを堪能していると、早速のリクエストを聞いて少し思考に邪念が混じる。バレンタインやホワイトデー、様々なイベントを仕事としてこなしてきた身としては、当然贈り物を選ぶ際にその贈り物が持つ意味合いについては深く吟味してきた。それ故にマカロンを贈ることが持つ意味を当然理解しているが、彼はそれを知ってて言っているのだろうか。友人や恋人には縁遠いと話していたため、単純にマカロンが好物である可能性も否定出来ず、一人悶々としてしまったが、すぐに笑顔に戻ると頷いて了承を示した。と言うのも、考えながら窺った彼の表情がわかりやすいほどに不安でいっぱいになっていたためだ。計算も駆け引きも彼の前では無意味だと肩の力が抜けたような気がして、カップに口を付けてコーヒーを一口飲んでから、事も無げにさらりと言葉を付け足した)

俺も作ろうと思ってましたから。悠さんに、マカロン。

─────────

お世話になっております。ご相談ありがとうございます!
そうですね、私もお互いに自分の感情に気付いてからくっつくまでのモダモダがもう少しあっても楽しいなぁと思います…!
展開としては次か、次の次会う時くらいで段階を進めるのが良いかと思いますがいかがでしょう?休日に二人で出かけたりする展開も入れてみても良いかな、と思っておりました!

116: 常葉 悠 [×]
2025-10-30 21:52:39

え、ああ、そうだったんですか。じゃあ……ちょうど良いですね。

(予想よりもあっさりと彼がマカロンを承諾してくれたので、自分の不安が杞憂だと安心する。安心した途端、何枚か残っているクッキーを一枚手に取り、口に運ぶ。口内に残った甘みをコーヒーでミックスする。マンデリン独自の苦味にクッキーの甘味がマッチして、大変に美味しい。そうしてまったりとティータイムを楽しんでいると、彼の付け足された言葉に動揺をする。作ろうと思っていたとはどういう意味だろうか。言葉通りなのか、それとも自分の意図を汲んでの返しなのか。意味深とも取れる発言に少しあたふたとしてしまうが、ここは素直に受け取るのがいいと思い、会話を続ける)

クッキーがこれだけ美味しいのですから、きっとマカロンも絶品なんでしょうね。どうやったらこんなに美味しくお菓子を作れるんです? なにか秘密があるんじゃないですか?

(クッキーを齧りながら、純粋な疑問をぶつけてみる。今までクッキーは個人店のオリジナルも、スーパーで売っているものも問わず様々口にしてきた。だがこんなにも美味しいものは食べたことがなかった。手作りを軽視するわけでは無いが、職業柄、既製品でも最近では専門店レベルの味を再現できる水準にまで達していることを知っている。低価格で高品質なものを作ることができるようになったことを知っている。だからこそ不思議なのだ。科学の粋を集めて作られたクッキーよりも、彼の手作りのクッキーの方が遥かに美味しく感じられることが)

-----

ご返信ありがとうございます!
そうですね、では次の次くらいに会った時に関係を進めることにしましょう!そして、その間に休日でお出かけの展開を入れましょうか!

117: 宮村 湊 [×]
2025-10-31 08:20:07

本当にお菓子作りは自分の趣味でやっていただけなので、他の人に食べてもらうのは初めてで……こんなに褒めて貰えるとは思っていませんでした。クッキーは何度か今までも焼いたことがあったので、焼く度に自分でレシピを少しずつ改良して……後はやっぱり、悠さんに差し上げるものだったのでいつもより丁寧に作りました、し。

(我ながら悪趣味とは思うものの、彼の慌てる反応を楽しむように密かに瞳を細めつつコーヒーに口をつける。お世辞抜きにクッキーを心から気に入ってくれたらしい彼からの質問に少し考えるように緩く首を捻った。個人の趣味の範疇からは出ていないため、特別なことをした覚えは無かったものの、考えられそうな要因についてぽつりぽつりと挙げながら、ふと思い至る───『隠し味は愛情』だとよく言うことに。が、それは言葉に出さないまま飲み込んで柔らかく微笑んだ。)

マカロンは、実は作るのが初めてなので、お店のものより美味しく出来るかと言われると少し不安がありますが……相手にとって不足なしです。楽しみにしていてくださいね。

(マカロンと言えば作るのが非常に難しいと言われている菓子のひとつである。手順の多くにおいて繊細な加減が求められ、分量通り混ぜて焼けば大体美味しく出来上がるクッキーと比較し格段に難易度が上がる。メレンゲクッキーを以前に焼いた際もメレンゲの泡立て不足や乾燥不足で何度か失敗を繰り返したことがあるが、マカロンは恐らくその比では無いだろう。難しければ難しいほど燃え上がる性格故に作りがいがありそうだと考えつつ、ガトーショコラを口に運んだ。そしてふと思い至ったように手を止めて相手を見詰めると、一瞬言葉にするのを躊躇するように唇を引き結んだものの、考え直したのかすぐにその唇を緩めて軽く首を傾げて)

…そうだ、俺からも一つ我儘言って良いですか?

─────────

かしこまりました!
それでは、次のお出かけは湊の方からお誘いさせて頂きますね…!
引き続きよろしくお願いいたします!(蹴可)

118: 常葉 悠 [×]
2025-10-31 21:13:56

君の作ったものならきっと美味しいと思いますので、楽しみにしていますね。

(結局クッキーの美味しさの秘密は経験と丁寧さとして納得することにした。シンプルな回答だが、このシンプルさが重要になることもある。大手会社では大量生産体制でお菓子を作るところが大半なので、機械が素早くクッキーを作ってくれる。最近では緻密な作業ができる機械なんて常識だが、人手と機械の緻密さは違う。きっと彼は手先が器用だから緻密にクッキーを作ることができたのだろう。そんな彼だからマカロン作りが未経験だと聞いても、マイナスイメージを抱くことはなかった。むしろ彼の作ったマカロンを初めて食べるのが自分だという事実が、気分を高揚させた)

我儘? なんですか。何でも言ってください。君のお願いならできる限り力になりますよ。

(マカロンに浮かれていると、唐突に彼から視線を感じた。何か言いたげに唇を動かしたので、続きを促そうとするも、その前に彼が口を開く。内容を聞いて今度はこちらが小首を傾げる番だった。改まって我儘とはなんだろうか。彼のことだから自分にとっては何の煩わしさもないことを我儘と形容しているのだと思うが、いずれにしても初めてのことだったので、キョトンとした顔を彼に向ける)

119: 宮村 湊 [×]
2025-10-31 22:49:58

…悠さんが忙しいのは重々承知の上なんですけど…今度休日が被ったら一緒にゆっくりお出かけしてみたいなって。

(促されるままに紡いだのは、本心からの我儘。今まで自分の心からの願望というものを口に出したことは一度もなかった。優先されるのは自分の感情ではなく任務ただ一点。口にする願望は全て任務を上手く運ぶためのものに過ぎない。彼は多忙な人だ。仕事で疲れている彼に、休日に一緒に出かけて欲しいなどと言うのはあまりに自分勝手な我儘かもしれない。もっと傍に居る時間が欲しい等と思うのは、自分の過ぎた願いであり、彼を困らせてしまう危険性すら孕んでいると理解していたのに。普段の自分ならば絶対口にしないような言葉が、彼といる時ばかり口を突いて出てきてしまう。それ程までに彼が自分にとって特別な存在となっていることは疑いようもない事実だった)

…悠さんと過ごす時間が凄く楽しくて、こうして夜会うだけじゃ物足りなく感じてしまって。あ、もちろん、無理強いをするつもりは全然ないので!…もし、良かったら。どこか少し遠いところに一緒に行ってみませんか?

(今までのどの時よりも慎重に言葉を選んだ。相手の返答を聞くまで、心臓の鼓動は早まったまま落ち着きそうにない。優しい彼のことなので、断るとしても無下にしたりしないだろうとは理解していたものの、こんなに緊張する誘いは経験したことがない。相手の様子を窺うようにちら、とそちらを見遣ると返事を待つように唇をきゅっと結んだ)

120: 常葉 悠 [×]
2025-11-02 19:53:45

……お出かけ、ですか。

(どんな我儘でも聞くと言ったが、まさか"お出かけがしたい"なんて言われるとは思わなかったので、返事に窮する。ぽつりと呟くように言うと、考え込む。自分の方に否はない。本当は今すぐにでも"行きましょう!"と言うべきなのだろうが、下手に返事をして後から都合が悪くなりましたでは彼に申し訳ない。だから今、頭の中でスケジュールを思い出している。今月は工場の視察や同企業の社長との会食が多い。また決済すべき案件も多い。労働基準監督署が真っ青になって止めに入るようなスケジュールで仕事をこなさなければならない。尤も自分には労働基準法は適用されないのだが。それにお出かけともなれば、一日フリーにしておく必要がある。食事程度ならば、その時間だけ抜け出すといったことも無理矢理ではあるができる。ベンチャー企業のエンジニア職がどの程度休みを取りやすいのかは、あまりピンとは来なかったが、いずれにしてもこちらが先に休みの日を申し出た方が、合わせやすいだろう。そう思ってあれこれと考える。そうして考えた結果、日程を変更できる会議がいくつかあることに気付く。優先順位の低い──もっといえば非効率で非生産的な会議だが──会議ならば、別にこの日でなくても良い。そしてその日までにあらかた決済を終えてしまえば、休日にすることができる。そして考えが固まり、彼に話そうと顔を上げた時には、彼の不安そうな表情が目に入り、しまったと思う。随分と長く無言の時間を作ってしまった気がする。彼にネガティブな想像をさせてしまっただろうかと後悔しながら、口を開く)

すみません、予定を思い出していて……ええと、三週間後の水曜日か、来月の第二火曜日であれば一日開けることができますが、どうですか。

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