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愛の報いは愛(〆)/123


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自分のトピックを作る
81: 宮村 湊 [×]
2025-10-04 08:55:49

そう…でしたか。

(彼の食生活については報告書にも記載が無いため、その言葉を疑うことなく鵜呑みにして捉え、少し思案するように瞳を伏せる。確かに彼の多忙さならばそう言った生活になっていたとしてもおかしくないが、単純にしっかり食事を摂れているのだろうかと憂慮してしまう。拘りは無くともしっかり食事を摂れているのならば良いのかもしれないが、食欲を忘れるほど仕事にのめりこんでいるという言葉から察するに、食事をすっぽかしてしまうこともあるのでは無いだろうか。自分の食生活は棚上げにしてそんな心配が頭を過りつつも、しかしながら漸く仕事のことから解放され安らいでいる様子の彼に余計な負荷は掛けたくないと考え、すぐに人懐こい笑みを浮かべると一つ提案をする)

あ、じゃあ美味しいお店見つけたらシェアするんで、また一緒に行きましょう!俺、大学が地方で、就職の時にこっちに来たのであまり近くに友人がいなくて…。一人でご飯食べるの、寂しいなって思ってたんです。お忙しいと思うので、悠さんが一緒に食べたいな、と思ってくださった時にぜひ。一人で食べるより二人で食べた方が美味しいですから。

(半分嘘で半分本当だ。大学など出ていないし、地方から上京してきたわけでもない。だが、後半部分に関してはほぼ偽りのない本音だった。人と食卓を囲む温もりを知らずに生きてきたのは事実だ。任務を理由に人と関わったとしても、心を開いたことなど一度もない。だと言うのに、彼に素の顔を引き出されたあの日から、あまりに固く、重く閉ざされていた心の扉が軋む音を立てながら徐々に開き始めているのを確かに感じていた。危険な感情であることも、それが任務を成功から遠ざけることも、自分を破滅へ導く可能性があることも理解していてなお、止めることが出来ない衝動に近い。そうして出てきた言葉は、表向きにはこれまで通り、信頼をつなぎ、距離を縮めるための誘いに見えるのかもしれない。けれどその本質は、これまで自分が積み上げてきた冷徹な計算とはまるで別の場所から生まれていた。ちょうどその時、厨房の奥から店主が盆を抱えて姿を現した。ゆっくりと近づいてくる湯気の帯に自然と目が引き寄せられる。差し出された盆を丁寧に受け取り、礼を述べて卓上へとそっと置いた。並べられた二つの膳からは、揚げたての香りや温かな味噌の匂いがふわりと立ちのぼり、湯気が柔らかく宙を漂う。鼻先をくすぐるその匂いに、思わず口元がほどけるように緩んだ。)

さ、温かいうちに食べちゃいましょうか!

82: 常葉 悠 [×]
2025-10-04 22:47:39

ふふふ……ありがとうございます。確かに皆で食べた方が楽しいですしね。私で良ければいつでも行きますよ。それに君が選ぶお店にも興味があります。

(彼の話を聞いて意外に思った。最近の若者はタイムパフォーマンスを重視し、自分より年齢が上の人間とは積極的に関わりを持ちたがらない傾向にあると聞いていたからだ。だから彼が食事の誘いをしてくれた時、嬉しさが押し寄せた。学生時代は特に気付かなかったが、父親がこの世を去り、何となく母親とも連絡を取ることが少なくなった今では、やはり侘しさを感じている自分がいる。普段から良くない食生活を送っているので、たまには彼と食事をして気分転換するのもいいだろう。そう考えて、彼の誘いを快諾する)

そうですね。いただきます……。

(そんな話をしているうちに注文の品が来た。盆を受け取り、店主の目を見て一礼する。唐揚げの揚げたての香りが鼻腔をくすぐる。久々の湯気のある食事だった。そして久々に食事の挨拶を呟く。箸で唐揚げを持ってみると、ずしりと重たい感覚がした気がした。ここ半年唐揚げを食べてこなかったせいか、それともこの定食屋の唐揚げが特殊なのか判然としなかったが、期待と共に唐揚げを一口齧る。カリッと小気味よい音がしたかと思ったら、肉汁が口の中に溢れてきた。生姜とニンニクの効いたパンチのある味に全身が包み込まれるような感覚だった。事前に聞いていた彼のレビューを遥かに凌駕した味だった。あまりにも衝撃的な出会いに、暫時咀嚼以外に身体を動かすことができなくなってしまった。唐揚げを皿に置き、白米を頬張る。それを飲み込むと、今度は味噌汁を一口啜る。どれを取っても、自分が今まで食べたことがないくらいに美味だった。感嘆が大きな溜息となって出る。そして長く息を吐いたあと、彼を見つめて告げる)

この値段で、こんなにも美味しいものを食べられるとは……定食屋というのは恐ろしいところですね……!

83: 宮村 湊 [×]
2025-10-05 07:52:14

(提案を受け入れられたことに、思わず小さく安堵の息が零れる。ほんの数ヶ月前まで、任務として口にする誘い文句には感情など一切伴わなかったはずだ。次に相手がどう返すか、その返答によってこちらのカードをどう切り替えるか、それだけを冷静に考える作業だったのに。今は受け入れて貰えなかった場合を考えて、恐れで体が少しだけ強ばってしまう。今はもし断られたらと想像しただけで、体がわずかに強ばるようになっていた。安堵の余韻にひたる間もなく、視線は自然と向かいへ引き寄せられた。唐揚げを箸でそっと持ち上げ、ゆっくりと口へ運ぶ彼の仕草、そのひとつひとつを息を詰めて見つめてしまう。自分が料理したわけでもないのに、自分が勧めたものを食べている姿を見ると、審査されているような緊張感に襲われる。唐揚げをひと口噛んだ瞬間、彼の表情がふっと緩むのが見えた。驚きが混じったような、解けるような表情だった。何度か咀嚼を重ねながら夢中になって食べていくその姿は、どこか少年めいていて愛おしいほどだ。自分の世界の一片を受け入れてもらえることは、こんなにも心を温めるものなのか。その事実が、ゆっくりと胸の内を満たしていく。そしてふと、彼の視線と自分の視線が交わった。次の瞬間、投げかけられた素直な感嘆の言葉に、思わず堪えきれず笑みが弾ける)

あっ、はは!お口に合ったみたいで、良かったです。ここは格別ですよ。

(そう返す声には、仕事としての均衡も計算も混じっていなかった。ただ、胸の奥から温かなものがあふれて自然に笑みを形づくっていく。作業的に最適解を選んでいた時には味わうことの出来なかったような感情だ。リスクを承知でこの店を選んだことへのわずかな迷いが、今はすっかり霧散しているのを感じる。遅れて自らも箸を手に取って野菜炒めを口に運ぶ。シャキシャキとした野菜の食感が程よく残っていて、塩味も野菜本来の甘味を打ち消さない適度な加減。相変わらずの店主の料理の腕に感嘆しつつ、白米と一緒に掻き込む。いつも美味しいその料理が、更に美味しく感じるのも気の所為では無いのだろう。混じり気無く、至って純粋に頬が緩みきってしまっていることに気付かないまま相手に再び顔を向けて、ぽつりと一言零す)

悠さんと一緒に来れて、良かった。


84: 常葉 悠 [×]
2025-10-05 21:53:40

(年甲斐もなく料理に純粋に感動してしまった自分を見て、彼が吹き出すと羞恥と同時に充足感を感じた。彼と同じテーブルで恐ろしい程に美味な料理を突いている現実が、こんなにも幸福な気持ちをもたらしてくれるとは思わなかった。そしてようやく気付く。これが食卓なのかと。自分はこれまで食事を機械的に捉えていた。それは幼少期にこうした経験が少なかったからだろう。父親は激務で家にいなかったし、母親も社長秘書を務めていて父親と行動を共にしていた。家では家政婦の作った料理を食べ、時間が来たらベッドで就寝する日々だった。だから自分は食卓の温かさを知らなかったのだ。だが今は違う。彼が食事の温かさを教えてくれたのだ)

うん? ふふ……はははっ! そんな風に思ってくれているとは嬉しいですね。私も湊くんと来れて良かったですよ。君のおかげで食事を楽しいと思えましたから。

(一個、二個と唐揚げを頬張り、白米と共に咀嚼する。そうして料理を楽しんでいると、彼の呟きが耳に入る。顔を上げると、そこには頬が緩みきった顔があった。その瞬間"可愛い"と思ってしまった。自分より年下の若い男性にそのような感情を抱くのは、些かいけない気がしたが、まるで少年のようなあどけない顔に愛おしさを感じていた。そうか、彼はこんな顔をするのか。初めて会った時、彼を"魅力的"だと思った。だが今の雰囲気はまるで違った。こちらが彼の素の姿なのだろうか。あの時とはまた違う雰囲気に、彼の多面性を感じた。そして今度は自分が堪えきれず笑みを弾けさせてしまった。こちらからも混じり気のない本音を添えておく)

85: 宮村 湊 [×]
2025-10-06 09:54:03

(今まではただ効率よく、冷静に、与えられた指令を遂行するだけでよかった。感情を殺すことは生き延びるための術であり、何も感じないことこそが武器だった。けれど今は違う。向かい合う彼の笑顔を見ていると、どこかで固く凍りついていたものがじわりと溶け出していく。知ってしまった。知らなければ、きっと何も揺るがなかったのに。迂闊にも眼前の彼のこの笑顔を、共に居ることで楽しいと言われるこの幸福を守りたいと思ってしまったとしたら、どうしたら良いのだろう。どうしたら、任務とこの気持ちの両方を持ったまま進めるのだろう。そんな問いが、初めて胸をよぎった。)

……悠さん、俺………………

(もう、このまま晒け出してしまおうか。思わず口を開きかけて言葉を止める。喉の奥にまでせり上がった言葉が、熱を持ったまま凍りつく。胸の内で暴れるものは、これまでの人生で感じてきた恐怖や不安とはまるで質が違った。任務の失敗を恐れているのではない。ただ、目の前のこの人を失うことが怖かった。彼に拒絶された瞬間に、自分の中に築いた世界が一瞬で崩れ落ちてしまうのが、あまりにも鮮明に想像できてしまったからだ。静かに一度口を閉じると、いつもの人懐こい笑顔をゆっくりと被せ直す。醜い告白のかわりに、せめて素直な好意だけを差し出す。)

……悠さんと過ごす時間がすごく好きです。ダーツも、食事も。あなたとなら何をしてでも楽しいって思うのかも。

(普段から計算ずくで好意を伝えているためなのか、素直な好意を伝えることにもそこまで抵抗は無かった。ただ、ほんの少しだけ気恥しさが残り、それを誤魔化すように箸を手に取り直すと残りを口に運び、やがてすっかり空になった食器を前に両手を合わせてにっこりと微笑んだ)

ご馳走様でした!

86: 常葉 悠 [×]
2025-10-07 17:34:36

(味噌汁を啜りながら、彼への違和感を抱いた。口火を切ったきり、次ぐ言葉がないのだ。何でも明快に返事をする彼らしくない現象だった。言葉を選んでいるようには見えない。単に言葉を選んで喋ろうとしているのなら、そういった悩みの表情が出るはずだ。だが今の彼はもっと深刻なことを、大事なことを言おうか逡巡している。そういう表情に見えた。実際にはたった数秒の間のことなのだろうが、その時だけはとても長い時間のように感じられた。暫くしてようやく彼が言葉を続けた。きっとそれは本来彼が言いたかったことではなかったのだろうが、少なくとも嘘を言っているようには見えなかった)

ふふ……30年以上生きてきて、そんなこと言われたのは初めてです。

(彼の言葉に微笑みながら返す。彼が本当は何を言いたかったのかは詮索しないでおく。彼のことだから然るべき時が来たら改めて伝えるはずだ。だがそれよりも看過できなかったのは、彼の発言がこちらへの好意を感じさせるニュアンスを含んでいたことだった。社交辞令を言っているようには思えなかったので、本当にこちらに好意を抱いているのだろう。だが真正面から受け止める勇気はなかった。だから笑って誤魔化してしまった。他人から好意を向けられるのは嬉しいが、如何せん受け止め方を知らない。気まずさを誤魔化すために、残った唐揚げや白米を口に運び、黙々と食事をする。そして彼が食べ終わって暫くしてから、ようやく食べ終わる)

ご馳走様でした。いや……こんなに美味しい食事は久しぶりでした。

87: 宮村 湊 [×]
2025-10-07 19:08:33

(きっとこれは一種の職業病なのだろう。自分の言葉が本来告白しようとしたものではなかったと分かっていながら、彼がそれをあえて深く追及せず受け止めてくれたことも、こちらの差し出した好意を理解していながら誤魔化したことも、その一瞬の内に理解してしまった。だが、存外それを理解しても尚、自分の胸中は凪いだ海のように穏やかだった。いつもなら次の一手を探るために総動員される脳も、それ以上の手を探ろうとはしない。気まずそうに食事を続ける彼を前にそれ以上余計な言葉をかけることなく、ただ静かにその姿を眺める。それは諦めとも違っていて、むしろ、不思議な充足に近いものだった。自分の差し出した好意に対して戸惑いを見せるその姿すらも余計に愛しさを募らせる一因へと変化していく。程なくして食事を終えた相手に柔らかな笑みを向けひとつ頷くと、財布を取りだしながらふと考え込む。先日、ダーツ代を支払って貰っていたので、ここは自分が、と言おうとしたが、歳上の人間を前にそれを言うことで、かえって気を悪くさせてしまわないだろうか、と初めて小さな迷いが胸を掠めた。普段であれば、相手の出方を見て判断をしていたので、こんなことで悩むのは初めてだ。───でも、ここで何もせずに終わらせたくない。そんな衝動が胸の奥で静かに疼く。手にした財布をテーブルに置き直すと、ふっと笑ってから、できるだけ自然に口を開いた。)

俺の一番お気に入りのお店なので、悠さんにも気に入って貰えて良かったです!……あの、もし良ければ今日は俺に払わせてもらえませんか。今日、凄く幸せだったので。

(言いながら、自分でも驚くほど心が軽くなっていくのを感じた。打算や計算ではなく、ただ今日の幸福に何かひとつ返したい──そんな衝動が、自然に言葉へ変わっただけだった。相手が断れば素直に引くつもりだし、受け入れてくれるならそのまま感謝を込めて支払えばいい。そう思えること自体が、これまでの自分にとってはあり得ない変化だった。彼がどんな反応を見せるのか。困惑したように眉を下げるのか、それとも笑って受け止めてくれるのか。財布を握る指先に自然と力がこもる。相手がどんな表情を見せるのか、まだわからない。その一瞬を待つ時間が、計算で導いたどんな駆け引きよりもずっと胸を高鳴らせていた。)

88: 常葉 悠 [×]
2025-10-07 23:04:41

(彼が向けてきた好意をどうするべきか。頭の中はそれでいっぱいだった。嫌悪感がある訳では無い。彼が自分に対して直截に想いを告げてきたら、恐らくそれを受け入れるだろう。だが自分の過去の経験が後ろ髪を引く。そして"上手くいくわけが無い"と囁くのだ。彼が人によって態度を変えるような人間であると疑っているわけではない。しかし自分の立場が彼に嫌な想いをさせてしまうかもしれない。今までもそうだった。だからきっとこれからもそうに違いない)

……分かりました。ではここのお支払いは、湊くんにお願いしますね。

(彼の好意をどうすればいいのか──そんなことに思考を巡らせていると、彼が意外な提案をしてきた。元よりここの会計も自分が済ませようと考えており、それが既定路線だと思っていたので、戸惑いつつ彼の申し出を断ろうと口を開きかけた。しかし、よく考えてみれば自分は頼まれもしないのに支払いをした。それによって彼に一種の罪悪感が芽生えてしまってはいけない。それにわざわざ支払いを申し出ているのだから、あまり無下に断るのも彼の心を傷付けてしまうことになるのではないだろうか。考えすぎかもしれないが、人間の心は読むことができない。だからこそよく思いを馳せることが大事だ。特に彼には。言いかけた言葉を飲み込み、彼の申し出を受け入れる)

89: 宮村 湊 [×]
2025-10-08 08:11:46

(返ってきた答えに、胸の奥がふっと緩むのを感じた。口元に柔らかな弧を描き、ひとつ大きく頷くと財布を手に立ち上がり、店主へ視線を送りながらレジへと向かう。手早く支払いを済ませ、財布をポケットに戻して笑顔で「ご馳走さまでした」と告げたそのとき「まぁまぁ、お兄さん。今日はなんだか、いつもよりずっと楽しそうなお顔ねぇ」と年季の入った声色で、店主の女性がにこやかに笑いながらそう言った。柔らかく皺を刻んだ目元が、まるですべてを見透かしているかのように温かい。思いもよらぬ言葉に、短い沈黙が落ちる。頬の奥から熱がこみあげ、じわりと顔全体が赤く染まっていくのをはっきりと自覚した。普段は任務のために感情を制御することなど造作もないはずなのに、こうして無防備に微笑んでいた自分を指摘されると、まるで心の奥を覗かれたようでたまらなく気恥ずかしい)

……そ、……そうですかね。美味しくて、つい。

(努めて平静を装いながらも、声の端がわずかに震えた。照れ隠しに頭をかきながら会釈をして、そのまま席へ戻っていく。背中越しに、店主の穏やかな笑い声が追いかけてきた。彼に聞かれていないと良いが、と思うものの、この狭い静かな店内、聞かれていない方が無理があるだろう。頬を掻きつつ席に座り直すと、鞄と紙袋を手に取りながら相手に声を掛け)

あの、……この後、少し時間ありますか?近くに公園があるので、ちょっとだけ散歩して帰りませんか?

90: 常葉 悠 [×]
2025-10-09 20:00:12

……ふふっ。

(彼が戻ってくるのを待っている間、二人の会話が耳に入り、和やかな気持ちになると共に頬が緩んでしまう。まるで本当の祖母と孫のような会話だと思った。馴染みの店だけあって、親しげな会話に、ここはやはり彼が大事にしている店なのだろうと改めて思う。そういう場所に招待してくれたということは、やはり彼は自分に何かしらの思いがあるのだろうか。しかし、なぜ? たった二回ダーツをプレーしただけだというのに。そんなことを考えていると、こちらへ戻ってきた時の彼の照れ顔に、胸が高鳴ってしまう。こんな表情もするのか──今までとはまた違う彼の素の部分に、思わずドキッとしてしまった。もっと色々な表情を見たい、なんて一瞬だけ考えてしまうが、すぐに振り払う。彼相手にそんな気持ちを抱いてはいけない。そんな気がした)

それはいいですね。いや、歳をとると消化が遅くて、ゆったりとした時間が欲しくなりますから。

(散歩の提案をされると、すぐに快諾する。理由は我ながら情けないと思ったが、本当のことなので仕方がない。若い彼は大丈夫だろうが、自分としてはゆったりと過ごす時間が丁度欲しかったので、渡りに船の提案だった。欲を言えば普段から食後はそういう時間が欲しい。仕事中は特に。だが社長という立場ゆえのスケジュールがそれを許さない。普段得ることのできない時間を、ここで確保しておかなければ、そろそろストレスでどうかしてしまいそうだった。こういう所で、自分と彼は波長が合うのかもしれない。互いの欲しいものを補完し合えるのかもしれない、なんて大袈裟に考えすぎだろうか。彼の提案を快諾すると、ゆっくりと立ち上がり、店主に一礼する)

91: 宮村 湊 [×]
2025-10-09 23:19:40

良かった。ちょうど今の時期なら気候も良くて気持ちいいと思いますし!じゃあ、行きましょうか。

(漸く火照りが収まった顔を上げると、安堵したように微笑を浮かべて鞄の肩紐を整える。もう一度店主へ丁寧に礼を伝えてから、静かな夜の空気の中へと足を踏み出すと、昼の名残をまだほんの少しだけ残した柔らかな風を感じて心地良さそうに瞳を細めた。駅前から少し離れたこのあたりは、昼間でも人が少ないが、夜は尚のこと静まり返る。静寂の中、二人の足音が響く心地よい音に耳を傾けつつ、並んで歩く歩幅を意識しながら歩みを進めていくうちに、自然と視線が隣を歩く彼の横顔へと惹き付けられていく。街灯に照らされたその表情を眺めながら、ふと思い立ったように口を開いた。)

また近いうちに一緒にダーツもしたいですね。負けたのがちょっと悔しくってまた練習したんで、次こそ負けませんよ!

(実際、あの夜からというもの、何度か一人でダーツバーに足を運んでいた。何でもある程度そつなくこなせる自分が、何かに本気で打ち込むことなど滅多にない。それでも、真剣に戦った上で彼に完敗したあの瞬間だけはどうにも忘れられなかった。何度も練習を重ねたことで、前回よりは投げられるようになっているという自負もあり、朗らかな笑顔と共に挑戦的に口角を上げると宣戦布告をし)

92: 常葉 悠 [×]
2025-10-10 23:12:08

それは楽しみですねぇ。接戦でしたから、今度は負けてしまうかも。でもまぁ、こちらにもプライドがありますから、そういうことにならないためにも手加減はしませんからね。

(彼が唐突に突き付けてきた挑戦状をしっかりと受け取ると、謙遜を繕いながらもしっかりと挑発をしておく。年甲斐もなく──なんて片方では自嘲してみるが、もう片方では競い合えるライバルの誕生に嬉しさを隠せない。交友関係が薄いがゆえに、彼のような存在は人生で初めてといってもいいくらいだ。これまで仕事のことを忘れるために様々な趣味に興じてきたが、どれも一人で完結できるものばかりだった。無論、一人だった時も十分に楽しかったが、彼という存在ができてからは、新しい景色が広がって見えた。"友達"とはこういう関係を言うのだろうか)

俺……私には友達がいません。だから君のような友達ができて、とても嬉しいですよ。そう、ダーツ以外にも色々とやってみたいですねぇ……。こう見えて意外と多趣味なんですよ。私。

(心地よい風と、柔らかな静寂、そして気の置けそうな友人との会話のせいだろうか。つい、本来使っている一人称を口走ってしまい、慌てていつもの口調に戻す。別にまずいことは無いだろうが、出会った時の口調を今更変えるのも気恥しい。彼は気にしないだろうが、所謂"コミュ障"の自分は、そういうことを特に気にしてしまうのだ。目敏い彼のことだから、自分のそういう部分も気が付いているだろう。だから彼の注意を別に引きたくて、趣味の話を継続する。そういう姑息なことをしながら、風を全身に感じ、革靴の音を響かせて、静寂の中を歩いていると公園らしき場所が見えてきた。夜の帳のおかげか、自分が想像していたよりも、独特な雰囲気が漂っていた)

93: 宮村 湊 [×]
2025-10-11 09:11:50

(友達、と心の中でその言葉を噛み締めるように反芻する。今まで生きてきた環境の中で、誰かを信じることは弱さの象徴だった。周囲の人間は信頼の対象ではなく、利用すべき資源。誰と話すにも距離と打算を測り、互いの得と損を勘定して動く──それがこの世界の常識だった。歳の近い同僚ですらも友人と呼べるような間柄では無く、寧ろ商売敵に近い。だが、"宮村 湊"はそうでは無い。明るい好青年を装って友人が居ないという設定は無理がある。だから本当は知らないのに知った振りをして笑顔を浮かべた。そして、同時に恐らく自分が抱いている感情は友愛の枠にすら収まっていないことも自覚していた。彼と会話を重ねる度に知らず知らずのうちに自分の隠していたものが晒されていくようだ。他人の愛情を散々利用してきた自分が愛情にここまで乱されているのは滑稽だと自嘲めいた笑みを口元にだけこっそり忍ばせつつ、しかしこの気持ちは自分を友達だと呼ぶ彼に伝えるべきではないだろうと判断し口を閉ざす。会話を重ねている内にぽろりと零れたのは彼の素の一人称なのだろうか。無意識に漏れた言葉を慌てて取り繕うその様子がどこか愛しくて追及する気にはなれなかった。到着した公園は淡い光を宿した街灯が一定間隔で灯っているのみで、時折犬の散歩をする主婦や仕事帰りらしいサラリーマンとすれ違う程度で静寂を保っている。ゆっくりとした歩調で歩みを進めつつ、彼が趣味の話を広げようとしているのがわかり、わざとはぐらかされるように緩く首を傾げて楽しげな様子で相手に問いかける。彼の好きなもの、休日の過ごし方、そして心の奥にあるもの。それらを一つずつ辿っていけば今よりほんの少しでも彼に近づけるような気がしていた)

へへ、こちらこそですよ!悠さんに友達って言ってもらえるなんて光栄なことです。他にはどんな趣味があるんですか?俺、結構色んなことに挑戦してみるの好きなんで、俺でも出来そうなことがあったら、ぜひ一緒にやりましょう!

94: 常葉 悠 [×]
2025-10-12 13:42:52

色々やってますよ。釣り、ビリヤード、ゴルフ……そんなところでしょうか。ふふ……湊くんは運動神経が良いみたいですから、ダーツ以外では私は勝てないかもしれませんね。

(彼に前向きなチャレンジ精神に安堵と感嘆をしながら、自分がやっている趣味を指で数えてみる。どれも一人でやっていても違和感の無いものばかりだ。とはいえ、ゴルフは一人ラウンドだと些か目立つのだが。だが周囲の目など趣味の世界では知ったことでは無い。ただでさえストレスフルな環境で仕事をしているのだから、プライベートな趣味くらい、思いきり楽しまなくてどうする。趣味に没頭する時間は、自分の中では重要なストレス発散の時間だった。今では彼と会話することも、その時間に当てはまる)

ああ、でも一番の趣味はコーヒーですかね。自分の手でコーヒーを淹れる……学生時代からずっと続けている趣味です。尤もこれは、二人で楽しめる趣味とは言えないかもしれませんけどね。

(公園の中をゆっくりと進むと大人二、三人が座れそうなベンチがあった。やや疲れを感じたので、休憩がてらベンチにゆっくりと腰掛ける。たった数分歩いただけで疲れを感じるほどに、自分は年々体力がなくなっている。学生時代は若さは永続すると思っていた節があるが、やはり30を過ぎれば少なからず加齢が身体に制約を与える。ベンチに腰掛けて一息つくと、最も長い趣味を思い出す。学生時代に大人ぶりたいという邪な理由から始めたのが、コーヒーのハンドドリップだった。軽い気持ちで始めたが、奥が深いコーヒーの世界にすっかりとハマってしまった。彼はコーヒーなど好きだろうか。もし好きだったら、自宅に招いて振舞ってみたい。そこまで考えて、いつしか思考の中心に彼がいることに気付く。今までそんなことなかったのに。そして、ようやくこの感情が友愛の枠を超えてもたらされたものだと気付く。誰かを好きになることなどをもうないと思っていたのに)

95: 宮村 湊 [×]
2025-10-13 02:35:28

わあ……似合いそう!アウトドア系の趣味も多いんですね。俺の運動神経はそれなりですよ、器用貧乏って感じで、そこそこ色んなことが出来るんですけど、特筆してこれが凄い!って言うのは無くて……。だから、きっと思ったよりですよ。でも、趣味の幅が広がるのは嬉しいので、良かったら俺のこと誘ってくださいね!

(指折り数える彼の仕草を眺めながら、思わず柔らかな笑みが零れる。どの趣味も彼らしい、落ち着きのある趣味だと思った。ゴルフは以前に対象の趣味に合わせるために少しばかり付き合ったことがあるが、釣りとビリヤードは経験したことが無い。些か実情以上に自己評価の低いように感じる彼の言葉に緩く首を横に振りつつ、自らの手の内を晒すように言葉を返す。言葉通り、ある程度のところまでであれば、教われば出来るようになるだろうという確信はあるものの、彼に実力で勝てるようになるまでにはそれなりに時間を要するだろう。だが、それもまた楽しそうだと考え至れば、口元に弧を描きつつ返す言葉にそっと自らの意思を忍ばせる。程なくして空いていたベンチに腰を下ろした相手の隣に腰を掛けると、新たに告げられた趣味に静かに思いを馳せた。コーヒーを淹れる彼の姿を想像し、思わず口元が綻ぶ。買ってきたお気に入りのスイーツのお供にコーヒーを淹れたりするのだろうか。彼が淹れるコーヒーはどんな味がするのだろう。そんなことを考えて僅かに瞳を細めると、胸の前で手を合わせ、明るい声を上げた。)

良いですね、コーヒー!俺も毎朝飲んでますし大好きですけど、自分で淹れたりしたことは無かったなぁ……。二人で………、あ。

(折角であれば、一番の趣味と表現するコーヒーを共に楽しんでみたいとは思うが、彼の言う通り二人で楽しむ趣味ではあまり無いのかもしれない。彼が淹れたコーヒーを飲んでみたい気持ちはあるが、それは共に趣味を楽しんでいるかと言うと微妙なところだ。少し考えるようにしていたものの、不意に何かを思い立ったかのように声が零れる。口にするか迷うように数秒口を閉じた後、決心したように膝に乗せていた紙袋を手に取ると相手に差し出して)

…あの!俺、ちょっとしたお菓子作りが趣味で。本当に、そんなに大したものは作れないんですけど、少しクッキーを焼いてきたので、この前のお礼も兼ねてお裾分けしようと思ってたんです。……もし、お口に合うようでしたら、俺がお菓子を作って、悠さんがコーヒーを淹れて……いつか一緒に楽しめたらいいなって。

96: 常葉 悠 [×]
2025-10-13 21:37:09

え? わざわざ……? ……ああ、ふふふ……ありがとうございます、それでは遠慮なくいただきますね。

(コーヒーへの好意的な反応から一転、何を思い立ったのか不自然に漏れた声と、彼らしからぬ間に一抹の不安を覚える。まさか、なにかまずい事でもあっただろうか──そんなことを考えていると、突然目の前に差し出された紙袋を見て、ゆっくりと瞬きをする。唐突の行動に意図を図りかねていたが、彼の言葉を聞いて得心がいった。きっと彼は彼自身の趣味を開示するのに勇気が必要だったのだろう。作ったお菓子が自分の口に合うのか不安だったのだろう。きっと数多くあったはずの不安要素を払って、勇気を出して自分に紙袋を差し出したのだろう。スマートな彼のそういう部分を垣間見て、愛おしさが芽生えた。彼の様子が可愛く思えて、つい笑い声が漏れてしまうが、きちんと礼を言って紙袋を受け取る。待ち合わせた時から持っていた紙袋の正体が解けて、すっきりした気分だった。しかし、今度は自分が迷う番だった。紙袋を受け取った途端に、自分が彼を"愛おしい"と思った事実を自覚してしまった。これまでの自分だったら、気のせいだと思い込んで何事も無かったかのように、日常に戻っていた。しかし、今はこの機会を逃してはいけない。そんな気がした。自分には信仰はないし、運命などという胡乱なものは信じたことは無いが、この出会いは必要なもののように思う。彼も決心したのだから、自分も決めなければならない。そう思って、辿々しくも言葉を紡ごうとする)

……家、来ますか。いつかなんて言わず。今、一緒にコーヒー飲みませんか。クッキーもあることですし。

97: 宮村 湊 [×]
2025-10-14 00:44:12

(一瞬、呼吸が止まった。耳に届いた言葉を何度か頭の中で反芻して、それでも直ぐには意味が掴めなかった。差し出した紙袋を断られる可能性も当然想定の内で、あるいは断ることが出来ずに困らせてしまうかもしれないという懸念も渦巻いていた中で、穏やかな笑顔と共にそれを受け取ってくれた事実だけで十分に満たされていたというのに。唐突に差し出された提案は予想の遥か上を行くもので、嫌に五月蠅く響く心臓が、自分の感情が仕事では留まっていない事実を突き付けてくるようで、味わったことのない感情に翻弄されるかのように言葉が詰まる。それは社交辞令の「今度」でも、曖昧に誤魔化すための「いつか」でもない、紛れもなく自分を誘うための、逃げ道など最初から用意していない「今」だ。眼前にある彼の眼差しは余りに真剣で、そして自分と同じようにほんの少し緊張の色が混じっているのが見えた。───そうか、彼も勇気を出して誘ってくれたんだ。その事実に行き着いた瞬間、胸の奥の緊張が静かに解けていくのを感じた。自然と頬が緩み、作り物ではない多幸感に満ちた笑顔が浮かぶ。ああ、きっともう引き返せない。そんな危険な確信を得ながらも、考えるより先に気付けば大きく一つ頷いていた)

はい、ぜひ!お邪魔じゃなかったら、…一緒に飲みたいです。コーヒー。

98: 常葉 悠 [×]
2025-10-15 22:16:20

そ、そうですか。じゃあ行きましょうか。

(勇気を出して出した提案が受け入れられると、嬉しさと同時に緊張が襲ってきた。心臓がまるで床に叩き付けられたスーパーボールのように跳ね上がる。鼓動がうるさいくらいに鳴る。彼に聞こえてしまうのではないかと思うほどに。うるさく、速く鐘を打つ。仕事をしていてもこれ程までに緊張したことは無い。自分の人生で恐らく一番の、心落ち着かないイベントだ。それでも何とか取り繕わなければと、ベンチから立ち上がると彼に一声掛けて、駅の方へ歩き出す。もう細々としたことなんて考えていられない。とりあえず、彼を家に連れて行かなければならない。本当なら、スマートに案内できればいいのだろうが、緊張から足早になっていて、しかも時々足を取られているという始末だ。何とか駅まで着くと、あと数分で電車が到着する頃だった。改札を通りホームへ向かうと、ここまで特に目立った会話をしていなかったため、緊張を紛らわせるために彼に話しかける)

自宅は待ち合わせした駅から、タクシーで5分くらいの場所にあります。清掃が行き届いているという訳ではありませんが……まあ、細かいことは目を瞑ってくださいね。ああ、そうそう。君はどういう味のコーヒーが好みですか?

(人間緊張している時は、饒舌になるというのは本当なのだと実感する。普段ならば絶対に、こんなに矢継ぎ早に口を動かすことなどないのに、今は一瞬の空白が生まれるのも怖くて、言葉を紡いでしまう。些かでもリラックスできれば、また違うのだろうが生憎としばらくはこんな調子になりそうだった)

99: 宮村 湊 [×]
2025-10-15 23:20:12

(自分も緊張を覚えていないわけではなかったのだが、承諾の返事をしたあとに見せた彼のわかりやすい動揺を目にすると、その初々しいまでの緊張ぶりがどうしようもなくいじらしく思えた。あまりに素直で、どこか不器用なその反応が無性に愛おしく感じられて、頬の筋肉が自然と緩み思わず笑みが零れそうになる。けれど、こちらの視線に気づいてしまえばきっと彼はさらに居心地の悪さを感じてしまうだろう。そう考えて言葉も掛けずただ静かに心の奥で温かさを噛みしめながらその姿をこっそりと見つめていた。駅に入りホームへと向かうと、ようやく口を開いた彼の言葉はいつもよりずっと早口で、それが彼の緊張の名残であることを察すると思わず微笑が漏れる。安心させるように意識してゆっくりとした口調で応じた)

悠さんのお家って、本当にあのダーツバーの近くだったんですね。気にしないでください、押しかけてるのは俺ですし……あ、コーヒーは酸味が強いものよりは苦味が強いものの方が好きです!

(ふと、彼の手に握られている紙袋へと視線が落ちる。その中には自分が焼いたクッキー。味見もしたし、形の悪いものは弾いて、丁寧にラッピングも施した──何の問題もないはずだ。けれど、それが彼の口に合うかどうかと思うと胸の奥がまた少し熱を帯びる。自分が作ったものを彼がどんな表情で食べてくれるのか、想像するだけで鼓動がわずかに速くなる。そうしている内にホームへ滑り込んできた電車へ再び乗車し、奥の方の扉の前で手すりを掴む。程なくして電車が動き出すと規則正しい振動が足元から伝わり、胸の内のざわめきを少しずつ均していく。この流れを予想してクッキーを焼いたわけではなかった。むしろ、彼が甘党だと知ったのはほんの数時間前のことだ。お菓子作りは本当にただの趣味だったのだが、こんな偶然もあるものかと内心感嘆の息を吐きつつ緩く首を傾げて彼を見つめた)

豆とかは俺、全然詳しくないので分からないんですけど。悠さんのオススメはありますか?



100: 常葉 悠 [×]
2025-10-17 19:56:26

苦味……そうですか、苦いのが好きですか。覚えておきます。

(ゆっくりとした口調で話し掛けられると、自分が早口で喋っていたことを自覚させられる。その彼のこちらを安心させるような口調のおかげで、幾分かこちらも落ち着きを取り戻せたように思う。年上の癖に無様なものだと自己嫌悪したくなったが、彼の好みの味を記憶する方に意識を向ける。やがて電車がホームへ到着すると、彼と同時に乗車し、彼の隣で吊革を掴む。規則正しい電車の振動を意識的に聞くようにすると、また少しだけ心が落ち着く感覚がした。だが彼からコーヒー豆のおすすめを聞かれると、また心がざわついた。彼の好みは苦味が強いもの。しかし人間の味覚とは人それぞれだ。自分が良いと思っても彼は思わないかもしれない。苦味の程度もどれくらいがいいのか。どれをおすすめするのがいいか──候補はいくつも出ているものの、答えを一つに絞るのは存外難しく、様々な考えが脳を交錯する)

そうですね、焙煎の深さにもよって変わるのですが……苦味が強いのが好きなのであれば…………インドネシア産のマンデリンやトラジャがおすすめでしょうか。どちらも酸味はほとんどなく、深く焙煎することで濃厚な苦味とコクが感じられます。

(大いに悩み、電車ももうすぐで目的の駅に着くという中、ようやく口を開いておすすめの銘柄を挙げる。無難なものを薦めたが、実際のところ淹れ方によって大きく変わるのだ。だから結局、淹れ方を深くすればするほど苦味やコクは得られる。丁度自宅に自分が薦めた銘柄の豆があるため、試しに淹れてみようか。果たして彼は気に入ってくれるだろうか。程なくして待ち合わせした駅に着くと、改札を通り、外へ行く。歩いて自宅へ向かってもいいのだが、彼も疲れているだろうからと、駅前に停車していたタクシーに乗り込む。足元にカバンを置きながら、マンションの名前を告げると、運転手は二つ返事でハンドルを動かす。いつもなら自分の膝の上にはカバンが置かれているが、今日は彼お手製のクッキーを乗せている。きっとコーヒーによく合うだろう。この紙袋の中身を早く見たくて、自分のコーヒーの味を彼に試して貰いたくて、普段はなんとも思わない帰路が、とても楽しみに思う)

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