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愛の報いは愛(〆)/46


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自分のトピックを作る
27: 常葉 悠 [×]
2025-09-12 20:38:35

あ、24……? えっ、全然見えないが……ああ、これは失礼しました。あんまり元気なので大学生かと。

(目を丸くしている彼に苦笑いしていると、彼から社会人だと告げられ、今度はこちらが目を丸くしてしまった。端正な顔立ちと爽やかな言動のおかげだろうか。呆気に取られそうになるが、速やかに謝っておく。社会人ということは、どこかの会社に勤めているのだろう。彼のことはまだよく知らないが、ここでの言動と仕事中の言動が一致しているのなら、彼を雇用した会社には目利きの社員がいるのだろう。もし自社に彼のような人材が増えれば、自分のせいで会社に蔓延している空気も解消されるだろうか──そこまで考えて首を小さく振る。仕事のことを考えるなと自分に言い聞かせ、ブランデーを飲み干した)

宮村湊くん。いいお名前ですね。……では私も自己紹介を。常葉悠と申します。よろしく。

(宮村湊。目の前の青年の名前を聞くと、とてもしっくり来た。"湊"は水や船が集まっている様子をいう。人の名前に用いられる場合は、大抵の場合"人との出会いに恵まれている"、"活気溢れている"という意味が込められている。名は体を表すとはよく言ったものだ。きっと彼の周りには多くの人がいるし、だからこそこんなにも活気ある若者が出来上がるのだろう。折角相手が名乗ってくれたのだから、こちらが名乗らないのも無礼だと思い、名刺を取り出そうとスーツの内ポケットに手を伸ばしかける。そして、急に不安になった。いつもの癖で名刺を渡そうとしたが、名刺を見た彼はどう思うだろうか。自分が社長だと分かったら、今までの人間達のように自分を見る目が変わらないだろうか。彼らのように自分に言い寄り、利益を求めようとするのではないだろうか。そんな不安がまとわりつき、内ポケットから手を離す。何事も無かったかのように、自己紹介をして握手を求める)

28: 宮村 湊 [×]
2025-09-12 21:44:36

あはは、よく言われるんで気にしないでください。もうちょっと落ち着き持った方がいいとは思ってるんですけど…。

(頬を指先で軽く掻きながら、照れくさそうに言葉をこぼす。その表情は無邪気で、演技の延長のはずなのに、不思議と自然さを帯びていた。実際、昔から年齢より若く見られることが多かった。童顔に近い顔立ちがそうさせるのか、二十代半ばになった今でも大学生に間違われることは珍しくない。決して名誉なことではないが、それを武器にできる場面は確かにある。標的に警戒心を抱かせず、親しみやすい印象を与えるには都合が良い。ちらりと視線を動かすと、彼がポケットに差し込んだ手をすぐに引き戻した瞬間を捉えた。名刺を渡しかけて、やめたのだ。ほんのわずかな仕草。きっと彼は"社長"であることを自分に知られたくないのだろう。肩書きを出した途端、他人の態度が変わってしまう経験を何度も繰り返してきたのだろうか。今はただ、一人の人間として相手と向き合いたい──そんな孤独と渇きが滲んでいた)

常葉、悠さん。じゃあ、悠さんって呼んでも良いですか?

(小さく復唱するように呟き、差し出された手を迷いなく取る。しっかりと握手を交わしながら、口元には人懐っこい笑みを浮かべた。わずかに首を傾げ、探るように相手を見上げる。その声音は、純粋に距離を縮めたいと願う若者のものにしか聞こえない。だがその裏で確信は強まっていた。この人はきっと"寂しい"。だからこそ、初対面の自分にさえ心を向けてくれる。そこに付け入る余地がある。無邪気さの仮面の奥で、狩人のような思考が静かに動いていた)

29: 常葉 悠 [×]
2025-09-13 00:21:58

ええ、お好きなようにどうぞ。でしたら私は湊くんとお呼びしましょうか。

(彼と握手をすると手の柔らかさだったり、温かさを感じられた。普段、腱鞘炎になるくらいに様々な人間と握手をしているが、どの手も冷たく温度を感じることはできなかった。所詮仕事上だけでの繋がりだ。人間味よりも数字やデータが優先される。だから温度や柔らかさを感じることができない。それにトップに立つ者の世界にいると、常に魑魅魍魎の噂を聞く。その代表例がハニートラップだ。彼ら彼女らはライバル会社から依頼を受け、その会社のトップや社内で権力を持っている者に近付き、篭絡し、会社の機密情報を盗み出したり、その人物を排除したりする。時には会社の存続をも脅かす。そういうのが身近な世界にいると、自分が人間の世界に生きていないのではないかと錯覚することがある。だがそれが今でははっきりと感じることのできる。張り詰めていた緊張の糸が緩み、自分は現実を生きていると認識できた。それが嬉しくて、彼の笑みにつられて、こちらも笑みを浮かべる)

湊君はダーツは初めてと言いましたね。しかし一度教えただけなのに、結構キレイなフォームで投げていました。とても飲み込みが早い。もっと練習したらいいプレーヤーになると思いますよ。

(酔いが回ったか、それとも日頃の孤独のせいか、先程彼のプレーを見て思ったことをそのまま本人に伝える。普段からあまり思ったことを言うタチではない。仕事中はもちろん、プライベートでも照れてしまうので、自分の本音はポジティブなものであってもあまり言わない。それがどうしたことか彼の前だと何ら恥じることなく言える。まだ出会って数分の間柄だというのに。自分はそこまで社交的な人間ではなかったはずなのに。彼の人徳がそうさせるのだろうか。それとも自分が変わろうとしているのか。そうだ。自分は変わるべきなのかもしれない。能面のような無表情を貫くのではなく、彼といる時のように本音を自然と言えるようになるべきなのかもしれない)

30: 宮村 湊 [×]
2025-09-13 00:57:23

え、本当ですか!?嬉しいなあ……俺、運動神経とか無い方なんで、褒めて貰えるとは思ってもいませんでした!

(顔をぱっと明るくし、子供みたいに笑ってみせる。わざと大げさに喜んでみせることで、相手に"自分の言葉で喜ばせた"という感覚を刻み込む。そうやって少しずつ心の距離を近づけるのが常套手段だった。実際、先程から会話を交わす彼の表情は柔らかく、徐々に気を許しかけているのが伝わってくる。大体、名前は重要な個人情報だ。社長という肩書きのある人間なら余計だろう。自分が仮に本当に彼を知らないとして、彼の名前で検索をかければ一発でアウトだ。だが、それを押してでも自分の名乗りに対して名前を応えたのは彼の生真面目さ故か、酒のせいか、それとも。)

じゃあ……もっと練習して上手くなったら、また悠さんに見て貰えますか?……なんて、お邪魔じゃなかったらで大丈夫なんですけど。

(今度は少し控えめに、遠慮がちな声音で言葉を落とす。断りにくい雰囲気を作りながら、決して押しつけがましくはしない。引きすぎても駄目、押しすぎても駄目。その匙加減こそがハニートラップの肝だ。一度でも対象に疑念を抱かせてしまえば、それだけで立ち回りは格段に難しくなる。大切なのはあくまで自然に距離を詰めていくこと。人の信頼を得て、庇護欲を掻きたて、懐深くまで潜り込む──それこそが自分のいつもの手段。 今もまた、無邪気な笑顔の裏で冷静にその計算を続けていた)

31: 常葉 悠 [×]
2025-09-13 22:15:19

私なんかのアドバイスで良ければいつでも。ああ、しかし最近は仕事が多忙ですので、いつもここに来れる訳ではありませんが。

(まるで子供のように無邪気な笑顔を見せる彼に、"喜んでくれて良かった"という安堵と嬉しさを感じていると、不意に彼が遠慮がちに言葉を落とした。どんなことを言うのか一瞬身構えたが、すぐになんてことの無い頼みだと分かり、これまた安堵する。尤も、彼に伝えた通り最近は仕事が多忙で、今日この店に来たのも一ヶ月ぶりだ。会社は今、過渡期にある。先代が急死し、自分に代替わりしたがそもそも自分は社内で重要なポストを任されていた訳でもない。社長職になる以前は古今東西の名産を調達するバイヤーとして働いていた。つまり一介の社員に過ぎなかった。それがいきなり社長に担がれたせいで、経営陣の中には自分を快く思わない人間も少なからずいる。社内基盤を早急に安定させる必要がある。この機に乗じて、競合の企業が何らかの工作を企てているという未確定情報もある。ダーツに興じている暇はないかもしれない)

……しかし、湊くんと一戦交えたいとも思っています。なので毎月1回、ここでダーツの対決をしませんか?

(社内基盤を安定させるためにも一層仕事に力を入れなければと思う一方で、折角できた縁を大切にしたいという思いもあった。特にこの青年とは良き友達になれそうな気がした。やれ社内政治だの、やれ派閥だの、そういった世界に浸り続けているのも精神衛生上良くない。月に一回程度、この青年とたった数時間ダーツを楽しむくらいの暇は確保して然るべきだろう。普段汚い世界にいるのだから、ほんの少しの間だけは、この純朴な青年との時間を楽しみたい。広大な砂漠の中で小さなオアシスを見つけたような気分だった)

32: 宮村 湊 [×]
2025-09-13 23:33:42

えっ、本当に良いんですか?やった!忙しいのに、ありがとうございます!

(控えめに遠慮していた表情を一瞬で切り替え、ぱっと顔を輝かせる。様子を窺うように下げていた眉が跳ね上がり、子供のような無邪気さを宿した笑みに変わる。この場で相手が求めているのは、気遣いや遠慮ではなく、純粋な喜びの表現だ。だからこそ、大げさなくらいに喜んでみせるのがこの場面では正解だろう。毎月会う口実を自分からではなく、相手の方から差し出してくれる──これ以上の好条件はない。標的の方から繋がりを求める形になれば、こちらは自然とその関係を受け入れるだけでいい。疑念を抱かれることなく、接触の頻度を高めることができるのだ。任務の効率を考えれば、これ以上に理想的な展開はない)

そうだ、これ……俺の連絡先です。これで会う日、決めませんか?

(ズボンのポケットからスマートフォンを取り出し、自然な流れを装ってQRコードを開く。定期的な接触の約束を取り付け、連絡先の交換まで進められれば、この夜だけで任務の土台はほぼ完成したと言えるだろう。戦果としては十分だ)

33: 常葉 悠 [×]
2025-09-13 23:55:59

ははは……そんなに喜んでいただけるとは、こちらも嬉しくなりますね。

(無邪気に喜ぶ彼を見ていると、まるで年下の弟ができたような気分になる。自分は一人っ子で育ったので、兄弟というものに密かな憧れを抱いていた。だが兄弟以上の、なにか別の感情を抱いている気もする。無論、兄弟とは何たるかを知らない自分の錯覚な気もするが、いずれにしても自分と彼はもっと別の関係になる──そんな予感がほんの一瞬だけした)

ええ、構いませんよ。ああ、これじゃない。少々待ってくださいね……では、これで。

(彼に促されるまま、こちらもスマートフォンをスーツの胸ポケットから取り出す。しかし、胸ポケットに入っているのは仕事用のものだということを思い出し、すぐに仕舞う。そして先程まで酒を飲んでいた席に戻り、レザーのアタッシュケースを開き、プライベート用のスマホを取り出す。彼の元まで戻ると、スマホをゆっくりと操作し彼が提示していたQRコードを読み込む。普段から使っていればもっと手際よく操作できるのだろうが、生憎と友達とは縁がない人生を送ってきたので、連絡先を交換するということが少ない。連絡先に彼を追加すると、満足そうに笑みを浮かべる)

34: 宮村 湊 [×]
2025-09-14 09:04:51

ありがとうございます!あ、じゃあ1回スタンプ送っておきますね。

(相手のスマートフォンに表示された自分の名前を確認して口元に笑みを引く。最初に取り出そうとしたのは恐らくビジネス用のスマートフォン。つまり、彼は公私をきちんと分ける人間だということだろう。そして、スマートフォンを操作するぎこちなさと登録作業に時間を要していた事実から類推するに、プライベートでの人付き合いは少なく、連絡先を交換する機会に恵まれていない。常に連絡に反応が出来る胸ポケットに入れられたのはビジネス用で、プライベートは手の届きにくい場所にしまい込まれている。それは、仕事を最優先に生きてきた証拠に他ならなかった。慣れた手つきで連絡先のリストを開き、彼の名前を探し、可愛らしい猫が手を振っているスタンプをひとつ送る)

1ヶ月後、また会う時までに腕磨いておきます!悠さんをびっくりさせられるように。

(悪戯っぽく笑って言葉を添え、スマートフォンをズボンのポケットにしまい込む。その仕草の裏で、冷静な計算を続けていた。報告書に記されていた通り、彼の会社は世襲制。若くして社長の座を得た栄誉の影で、同時に反感や嫉妬の視線を社内で浴びているはずだ。足元を掬おうとする者は必ずいる。そんな重圧と孤独を抱える人間は、脆い。だからこそ、ゆっくりと、じっくりと寄り添っていけば、やがて彼の内側深くに入り込める。その確信を悪戯めいた笑みの奥に静かに隠しながら、細めた瞳の奥で光らせていた)

35: 常葉 悠 [×]
2025-09-14 23:20:20

ええ、楽しみにしています。……ああ、もうこんな時間ですね。私はお先に失礼します。また一ヶ月後に。

(いたずらっぽく笑う彼を見て、一瞬だけドキッとした気がした。だがすぐに気のせいだと思い直す。日々のストレスから偶に胸のあたりが痛む時がある。先程まで彼との会話の片手間で仕事のことを考えていたせいだろう。ふと、身に付けていた腕時計に目を落とすと、既に日付を超えていた。本当はもっと彼と話していたかったが、仕事がそれを許さない。あと7時間後には起床して出社しなければならない。名残惜しい気持ちを押し殺して、彼に微笑んで一礼する。プライベート用のスマホをアタッシュケースに仕舞うと、会計を済ませて店を出る。店を出る直前、彼の方を振り向き、もう一度礼をして今度こそ退店する)

……宮村湊。ふふ……いい友達ができた。

(帰路の途中、折角できた友達の名を復唱する。友達。そんな概念を意識したのは何年ぶりだろうか。高校生の頃に友達なんて要らないと思い、大学時代でも友達といえるほどの関係を持つことはなく、表面的な付き合いしかしてこなかった。誰も彼もが自分の身分を羨み、コネクションを作ろうと取り入ろうとしてきた。媚びへつらい、自分の顔色を伺う様は滑稽だったし、気持ちのいいものではなかった。何より彼らが見ているのが自分ではなく、自分の背景にある権威や利益だということが透けて見えるのが辛かった。自分と言う存在が透明化されるのが苦痛だった。だから久しぶりに楽しいと思った。彼と話すことが嬉しいと感じた。久しぶりに自然に笑うことができた。来月を待ち遠しく思いながら、彼との短い会話を思い返しながら、捕まえたタクシーに乗り込み、自宅まで帰る)

36: 宮村 湊 [×]
2025-09-15 10:28:56

あ…、ありがとうございました!はい、1ヶ月後を楽しみにしてます!

(相手の視線の動きに釣られるようにその腕時計に目を遣ると、いつの間にか0時を回っていた。名残惜しそうな色を滲ませつつ別れの挨拶を返すと、律儀に一礼をして店を出て行く彼を見送った後、静かに息をひとつ吐く。初回の接触にしては上々だ。程よく距離を詰められたし、定期的に会う口実を作れた。これ以上この場に長居する意味も無いが、ここには今後も出入りすることになる。ならば自然さを装うことも重要だ。怪しまれないようゲームの最後まで黙々とプレイを続行する。細かいところから嘘は露見するものだ。入念に、念入りに、丁寧に重ねられた嘘は真実に限りなく近くなる。誰も見ていないかもしれない、でも、誰かが見ているかもしれない。相変わらず初心者らしくあらぬ方向へとダーツを飛ばしながら、ゲームの残りを消化しきると精算を済ませてようやく店を後にした。自室に戻り、ズボンのポケットからスマートフォンを取り出す。表情から温度が消え、声色も別人のように冷ややかに変わる。明るい笑顔を被っていた青年はもういない。そこにいるのは冷徹な任務遂行者だった)

……もしもし、宮村です。任務は順調に進んでいます。標的の連絡先を入手、月に一度会う約束を取り付けました。以後も情報を収集し、随時報告します。

37: 常葉 悠 [×]
2025-09-15 17:47:55

(彼とダーツバーで出会って、一週間が過ぎた。相変わらず仕事は難航している。業績は堅調に推移しているが、社内政治が上手くいかない。今はまだ経営陣の中だけでゴタゴタが完結しているが、長引けばやがてどんどん下へ波及していくのは目に見えている。そうなれば業績も伸び悩み、下降していくだろう。先程までも役員会において努めて冷静に社内融和を訴えたが、誰の心にも刺さってはいなかった。社長室に戻り、椅子の背もたれに身体を預け、大きく息を吐く。暫くすると、あのダーツバーでの出来事が脳裏を過ぎる。あの日からもう一週間も経ったことが信じられない。つい昨日のことのように思い出せる。それ程までに自分にとっては印象的な出来事だったのだ。ふと、彼と連絡先を交換したことを思い出した。交換したはいいものの、自分から連絡したことは一度もない。何度かメッセージのやりとりをしたが、全て彼から来たものだ。そろそろ自分から、連絡するべきだろうかと思い、引出しを開けてプライベート用のスマホを取り出す)

……この日なら、大丈夫か

(自分のスケジュールを思い出しながら、丁度身体が空く日があることに気付く。彼とのトーク画面を開き、ダーツの誘いの連絡を入れてみる。時間は22:00くらいからだろうか。送信する直前、逡巡する。あの時は酔いも手伝って気さくにお互い話したが、次に会ったらリセットされてしまわないだろうか。お互いによそよそしい雰囲気にならないだろうか。自分はそういう性格だし、彼のこともまだ全て分かっている訳ではない。そんな迷いから一瞬、送信ボタンから指が離れそうになる。しかし社長室をノックする音に驚き、思わず送信してしまった。取り消そうと思ったが、扉の向こうから自分を呼ぶ声がする。なるようになれと心の中で叫び、焦った顔をすぐにいつもの無表情に変えてから、"どうぞ"と低い声で応対する。その後は仕事に集中しようとしたが、彼からの返信が気になって思うように仕事は進まなかった)

38: 宮村 湊 [×]
2025-09-15 18:37:20

(ダーツバーで初めて言葉を交わした日から一週間程度が経過したが、こちらから大きな働きかけをすることは未だ無かった。今は信用を重ねている段階であり、いきなり距離を詰めれば警戒されることは必至。たまに軽くダーツの相談を振る程度に留めておいたが、それも彼が多忙であることを踏まえてのことだった。言葉に真実味を持たせるため、自分でも数度バーに足を運んで練習を重ねていた。今は地道な足場固めの最中だ。次の約束の際には食事の話を自然に切り出せればいい。趣味から食事へ、そして日常へ、接触の場を広げられれば理想だ。そんなことを考えていた折、ポケットのスマートフォンが震えた。画面に表示されたのは、彼からのメッセージ。これまでは自分から会話を振っていたが、彼の方から来るのははじめてだ。すぐに既読をつけず時間を置いてからメッセージを開くと、そこに書いてあったのは次のダーツの誘い。無意識に口角が上がる。快諾の連絡とともに大袈裟に喜んでいる猫のスタンプをひとつ。彼の性格から考えれば、このメッセージも相当迷った上で送ったものだろう。こちらが喜んでいるということが伝われば、安心感を与えることができ、次に繋がりやすくなる。スマートフォンをしまい、情報を整理するため久しぶりに調査報告書を捲っていると、仕事中に撮影されたらしい写真に目が止まった。ダーツバーで見せたのとは全く違う、硬く強ばって誰にも気を許していない者の表情。一挙手一投足が命取りになる場所で生きている男のその表情は、どことなく素の自分に似ているような気がした)

……それでもまだ、あんな風に笑えるんだ。良いね、羨ましいよ。

(誰もいない部屋でぽつり、と独りごちる。自嘲めいた笑みを浮かべて調査報告書を閉じると、すぐに思考を切り替える。余計な感情は不要だ。次の約束をどう生かすか、それだけを考えて算段を立てていた)

39: 常葉 悠 [×]
2025-09-15 23:42:54

マティーニ、おかわり。

(約束当日、思ったよりも早く退社することができ、待ち合わせは22:00のはずだが、思ったよりも早く来てしまった。早速マティーニの二杯目に口をつける。それにしても、ここ最近は特に酷かったと溜息を零す。幹部社員の一人が自分の悪評を流していることが発覚した。また社員を使って自分の言動がパワハラではないかと週刊誌に訴えようとしていた。すんでのところで自分の部下が止めるのに成功したらしいが、こういう不穏分子はこれからも自分を追い落とそうとするだろう。役員会で解任動議を出すことも検討したが、それは最後の手段だ。説得を試みて失敗した時に速やかに出す手筈になっている。そういう動きが社内であったから、ここ最近はろくに寝れてもいないし、食事もまともに取っていない)

……そろそろかな

(ふと腕時計に目をやると約束の時間が迫っていた。マティーニを傾けながら呟く。仕事が上手くいっていないなら、趣味を全力で楽しむ。今までもそうやってきた。そして今日は相手もいる。これ以上ない喜びのはずなのに、胸騒ぎがするのは気のせいだろうか。不安や焦燥とは違った胸騒ぎがする。そしてそれは彼がそろそろ来るかもしれないと考えれば考えるほどに大きくなってくる)

40: 宮村 湊 [×]
2025-09-16 12:40:50

あ、悠さん、お久しぶりです!

(約束の22時より少し早くダーツバーの扉を押し開け、カシスソーダを片手に店内を見渡す。奥まった台に見覚えのある姿を見つけると、人懐っこい笑顔を浮かべて大きく手を振りながら近づいていった。真正面から久しぶりに見るその顔は、薄暗い照明の下でも疲労の色を隠しきれていない。目の下には薄くクマが浮かび、頬の張りも少し落ちているように見えた。仕事の重圧か、社内の軋轢か──理由を推測するのは容易だった。今までの標的の誰よりも疲弊しきっているようなその姿に、ほんの一瞬、憐れみのような感情が胸の奥に芽吹きかける。しかしすぐに蓋をして、計算通りの心配げな笑顔に塗り替えた。標的の疲弊は、自分にとって付け入る絶好の隙だ。部外者だからこそ口にできる、柔らかな言葉で心の奥へ踏み込む。誰にも吐けない弱音も、自分の前なら零せるかもしれない)

あれ……大丈夫ですか? 悠さん、少し疲れてるような……お仕事、お忙しいって言ってましたもんね。

(人間とは往々にして弱っている時の優しさに弱いものだ。それが、誰にも吐けない弱音ならば余計に。部外者である立場を存分に利用して、寄り添うような言葉を選び、緩く首を傾ける。カシスソーダのグラスを軽く揺らしながら、相手の反応を静かに待った)

41: 常葉 悠 [×]
2025-09-16 19:25:09

やぁ、お久しぶりですね。はは……いえ、最近少し夜更かしをし過ぎてしまいましてね

(約束の時刻より少し早く彼が到着した。彼の姿を認めると、自然と笑みが零れる。以前危惧したようなリセットは起きていないとみえ、安心する。さて、今日は何の話をしながらダーツをしようか──そんなことを考えていると、彼から疲れているのではと指摘された。瞬間、少しだけ動揺する。ここ最近疲労が溜まって不眠であるのは確かだが、社内で身体の不調を指摘されたことは無い。幼少の頃より、熱を出しても気付かれにくい体質だったので、彼にあっさりと見破られて、動揺してしまったのだ。自分はそんなに分かりやすい顔をしているのか。これは早晩他の社員にも見抜かれてしまう。そろそろメンテナンスが必要だろう。そして同時に彼に仕事の悩みでも打ち明けてしまおうかとも考える。だがすぐに嘘の理由を彼に告げる。不眠ゆえに夜更かしをしているので嘘とも言いきれないが、そんなものは詭弁に過ぎない。まだ出会ってすぐだし、そもそも彼はダーツをやりに来ているのだ。10も歳上の同性の仕事の話なんて聞きたくもないだろう。愛想笑いを浮かべながら、マティーニを傾ける)

42: 宮村 湊 [×]
2025-09-16 21:59:12

夜更かし? そっかあ……どんな理由であれ、寝不足ってけっこう堪えますよね。俺も最近、やらかしちゃって……期日までに送らなきゃいけなかったお客さんへのメールを、うっかり出し損ねたんです。もう、上司にすんごい勢いで怒られて。あの日は頭が冴えちゃって、全然寝れませんでしたね~。

(軽く肩をすくめて、照れ隠しのように笑う。誤魔化されたのはわかっている。彼が口にした夜更かしが、ただの不眠の裏返しであることは疑いない。だが、それを正面から突くのは愚策だ。むしろここは、自分から失敗談を差し出すことで空気を和ませる方が効果的。対等に見える位置に自分を置くことで、相手の肩に入り込む隙を作る。指先でグラスの表面をなぞり、水滴の冷たさを感じながら、ゆっくりとカシスソーダを口に含む。視線を上げて彼の方へ向けると、わざとらしさを消した柔らかな笑みを浮かべた)

……何か悩み事でもあるんじゃないかって、ちょっとだけ心配で。……あ、でも、こんな若造に言われても困りますよね。

(前半は真剣に、しかし後半は声のトーンを和らげて冗談めかす。相手に圧を与えないよう、絶妙な力加減で。眉を下げて見せ、にっこりと笑顔を添える。相談するかどうかの選択肢は常に相手の手に委ねる──それが警戒を和らげ、信頼へと繋がる一番の近道だからだ)

でも俺、こう見えて友達の愚痴とか聞くの得意なんですよ!何かあったら、いつでも壁だと思って何でも話してくださいね。

(軽く胸を叩いて見せ、明るい調子を取り戻す。その動作に合わせるように、氷が溶けて澄んだ音を立てた。距離を縮めるのは焦らず、けれど確実に。笑顔を崩さぬまま、彼が次にどんな言葉を返すのかを見極めるように静かに待った)

43: 常葉 悠 [×]
2025-09-16 23:21:01

(彼の失敗談に笑いながら耳を傾ける。この青年でもミスはする。当然のことだがいまいちイメージができなかった。それに普段から足の引っ張り合いの世界にいるので、自分のミスをこんなにも楽しげに話す彼が新鮮に映った。だが自分には分かる。彼は自分が誤魔化しをしたことを見抜いて、あえてそういう話をしているのだ。そう見当をつけた傍から"悩み事があるんじゃないか"とか"なんでも言って"とか、こちらを気遣ってくれる発言をした。その厚意に甘えて今すぐ全てを吐き出したい気分になったが、グッとこらえる。自分の方が歳上なのだからという一種の痩せ我慢と、会社の内部情報に関わることを誰が聞いているかも分からない場所で喋っていいのだろうか、というリスクの問題。天秤に掛ければ当然話さない方がいいに決まっている。だがこのまま彼の厚意を無駄にもしたくない。それで彼が傷付いてしまうのも嫌だ。どうすればいいか考えている内に、ふと一つのアイデアが思い浮かんだ)

湊くん、ありがとう。私のことを気遣ってくれたんですね。……ねぇ、こういうのはどうですか? 今から301点のゼロワンゲーム……先に持ち点を0点にした方が勝ちというゲームですが、これをやって負けた方が今の悩み事を話すというのは?

(唐突な提案に思われるかもしれないが、今回の集まりの趣旨はダーツで、自分の悩み事なんて二の次だ。だが彼は悩み事を聞く準備をしてくれている。この方法ならば、彼のその準備も無駄にせずに済むかもしれない。勝つか負けるかは実力と時運が決める。果たして彼はこの提案を受け入れてくれるだろうか、と僅かばかりの不安を胸に彼の瞳を見つめる)

44: 宮村 湊 [×]
2025-09-17 07:40:21

ゲームですか?あはは、良いですよ!驚かせようと思ってこの1ヶ月、めっちゃ練習したんです。悠さんには敵わないかもしれないですけど…。

(一瞬、純粋に驚いたように目を丸くしたものの、すぐに屈託のない笑みを浮かべると了承を示すように大きく一度頷いてみせる。純粋に、面白いと思っていたのも事実だ。闘争心を隠すように瞳を細めると、遠慮がちに人差し指で頬を掻く。上手くなりすぎていてもいけないし、下手すぎても情報を引き出せない。ただの素人を演じればよかった前回に比べて演技の難易度は上がっているが、問題は無いだろう。標的が提案してきた以上、この条件はむしろ自分にとって好都合。遊びの形にかこつけて、彼の胸の内を引き出すチャンスになるかもしれない。右手に持っていたカシスソーダのグラスをテーブルの上に置き、矢へと持ち替えるとスローラインに前回教わった通りの姿勢で立ち、深呼吸ののちに矢を構える。肘を固定し、腕を伸ばすようにして放たれたダーツは、中央近く、20のシングルに真っ直ぐに刺さった。ブルにはわずかに届かないが、初回の惨憺たる結果から見れば大きな進歩だ。ぱあっと表情を明るくして彼の方を振り向き、軽やかな足取りで歩み寄り、期待に満ちた視線を彼へと送った)

…あ!惜しいなあ、ブル行けたかと思ったんですけど、そんなに上手くいかないかあ……。悠さん、俺、前回よりマシになってますか?

45: 常葉 悠 [×]
2025-09-17 22:38:12

(自分の提案を彼が快く受け入れてくれたので安堵する。そして彼の無邪気な張り切りように、頬を緩める。一ヶ月練習したという彼の腕前を見るのが楽しみでソワソワしていた矢先だった。彼の放った第一投が20のシングルに真っ直ぐに刺さったのだ。思わず二度見する。たって一ヶ月で上達するのが早すぎる。これは自分にとって想定外。早くも自分の腕を凌駕した可能性が出てきた)

いや……これは相当お上手ですね。前回よりも遥かに。ははは……これは私の方が危ないですね。一つ、良いことを教えてあげます。ブルを狙うのも一つの手ですが、実はブルより20のトリプルの方が得点は上です。ですので、そこを狙うのもアリですよ。尤も、ブルより面積が狭いので、中々当たりませんがね。

("マシになっていますか"なんて控えめな聞き方をする彼に成長を実感して欲しくて、大きく褒めてみる。もちろん全部本心からの言葉だ。そして経験者としての威厳を保つために、ダーツの知識を教える。これで負けた時、自分は最低限のことはしたと言い訳を作ることができる。そしてふと思い出す。自分も初めての頃はあんな風に楽しげに遊んでいたことを。自分は全て独学だったが、こんな風に共にプレーをする相手がいれば、また違っただろうか)

さぁ、ダーツは1ラウンドにつき3投。あと2投残ってますよ。頑張って。

-------

背後、失礼します。ダーツ勝負ですが、勝敗はどちらがいいでしょうか? なにか希望があれば遠慮なくどうぞ!

46: 宮村 湊 [×]
2025-09-18 07:52:28

へへ、悠さんに褒めて貰えるなら頑張った甲斐がありました!あ、そっか!ダブルブルでも50点、20のトリプルなら60点ですもんね!よーし、頑張るぞ!

(驚いたように目を見開く相手を見て、心から嬉しそうに破顔し、グッと拳を握って見せる。その姿は子供じみて無邪気に映るだろうが、心の奥底では冷静に打算を巡らせていた。毎週のように暇さえあれば通ってたんですよ、なんて言いながら二投目と三投目用のダーツを器用に指の間に挟む。ボードを確認するようにじっと見据え、一度深く頷いてから笑顔を取り戻し、気合を込めるように短く息を吐いてスローラインへと戻る。矢を構えた腕は、先程の一投目よりもわずかに力みを含んでいた。もちろん、狙って外す。初手で与えた鮮烈な印象を打ち消さず、それでいて急に上達しすぎて怪しいと思わせないための調整。ピンポイントに狙った場所に投げることまではできないものの、大まかにでも中央から逸らすことが出来れば十分だろう)

……あれっ、20点を狙ったのに……やっぱりトリプルは難しいなあ……

(放たれた二投目は9のシングル、続く三投目は11のシングル。いずれもボードの中央から外れ、決して悪くはないが褒めるほどでもない結果だ。わざとらしさを悟らせぬよう、肩をすくめて小さく首を傾げ、気まずそうに眉を下げながら振り返る。頬を掻きながら苦笑を浮かべ、ゆっくりと彼の方へ戻っていく。その口調は悔しさよりも楽しげで、失敗さえもゲームの一部として受け入れているようだった)

まだたまーにしか思ったところに投げられなくって。奥が深いですね、ダーツって!

──────

そうですね……どちらでも面白い展開になるかとは思うんですが、良い試合をして最後は湊側が負けるのが良いかな、と思ってます!途中から本当にゲームに没頭してしまうのも良いかな、と思っておりまして……!

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