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 何れ来たる、黎明を待って。 〆/44


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自分のトピックを作る
21: セシリア=ルクレール [×]
2025-07-21 15:20:44

……頼もしいお言葉です、ハーヴェイ卿。
どのような声があろうとも、私があなたを選んだという事実は、決して揺るぎません。
この先、あなたの剣が何を守るのか……どうか、その証を、今ここからお示しくださいませ。

(彼の凛とした言葉を受けたその瞬間、呼応するように睫毛がわずかに揺れた。迷いなき眼差しと、剣への揺るぎなき覚悟。たった数語の中に滲むその意思の強さは、まるで陽光を受けた白刃のように静かで、だが鋭い光を宿していた。視線を逸らさぬまま、一拍の間を置いて小さく頷く。その口元にわずかに浮かんだのは、形にならぬほどの微笑──信頼と誇りの滲む、ほんの一瞬の揺らぎ。そして、ゆっくりと正面の扉に向き直る。紅と金を織り込んだ絨毯の端にその足元が揃い、裾が軽やかに揺れた。右手を持ち上げる動作は穏やかで、だがそこに躊躇はない。廊下に控えていた扉番がその合図を受け取り、無言のまま、両開きの扉へと歩み出る。低く軋む音とともに開かれた重厚な扉の奥には、格式を感じさせる威圧感が立ち込めていた。昼光を取り込む高窓、深紅と漆黒を基調とした内装、そして半円に並ぶ卓の向こうには、帝国の意志を動かす重鎮たちの姿があった。軍務官、宰相、議会を束ねる評議員、いずれもが一国の命運を担う者たちだ。その大半が目を向けたのは、中央を進む者の背ではなく、すぐ背後に従うその騎士の姿だった。若い、線が細い。表情に剣のような鋭さはあるが、威圧感に欠ける──そういった視線が、言葉にせずとも明らかに突き刺さる。見定めるような、そんな視線だ。だが、その空気を感じて尚も何も見ていないように、しかし全てを知っている者の静けさでその空間を真っ直ぐに歩いた。そして、長卓の中央に設けられた主賓の席、その手前で静かに足を止める。一度、深く息を吸い込み、背筋を伸ばすと背後の彼を片手で示すようにし)

──ご列席の皆様。ご紹介いたします。
こちらが、私の新たな側近としてお迎えする者、ノア・ハーヴェイ卿です。
この剣に身を預け、共に歩むに足ると、私が信じた騎士でございます。

22: ノア・ハーヴェイ [×]
2025-07-22 09:26:31

(扉の先に広がる景色は、然程意外なものでもなかった。調度品の質は最高級のもので、その色合いは帝国の中枢に在る物として相応しい威圧感を与えてくる。だが、それを抜きにしてもこの空間は重苦しい雰囲気を纏っている───それもそうだろう、ここには帝国の核たる人間たちが集まっているのだから。進行方向を真っ直ぐに見つめながら歩いていたために誰とも目は合っていないが、それでも彼らの視線が自分に集中していることくらいはすぐに分かる。視線の理由もやはり予想通り───皇女の選んだ騎士が本当に相応しいのか評価するものだろう。先ほどから自身の肌に刺さるような視線を受けていることから考えれば、少なくとも外見はお気に召さなかったようだが。しかし、だからと言って慌てる必要はない。先ほど彼女が言った通り、誰がどのような言いがかりをつけようとも、皇女が自身を選んだと言う事実はもはや変わりようがない。これまで自身が騎士として歩んできた道のりがあってこその現在であり、彼女はそれを認めて自身を信頼してくれた人間なのだ。彼女のために剣を抜くこともなく、鞘の中で風化させるなどということは決してあってはならない──そのためには、厳しい視線を向けてくるこの人物たちに、自身が皇女の護衛にあたるに相応しい騎士であると認めさせる必要がある。彼女が自身を紹介してくれた後に素早く敬礼の姿勢をとると、視線を伏せたまま彼女の紹介に続けて話し始める。その迷いなく堂々とした姿勢でありながら礼儀を失わず、自身を選んでくれた皇女、そしてここに並ぶ重鎮たちへの敬意も忘れない言葉選びをしていて)

──ノア・ハーヴェイ、拝命仕りました。
このたびは、皇女殿下の信任を賜り、栄え多き任にあたること、騎士としてこの上なき光栄に存じます。
未だ至らぬ身ではございますが、身命を賭して殿下にお仕えし、
御前の御方々の信をも得られるよう、誠心をもって務めて参ります。
以後、何卒ご指導ご鞭撻のほど、お願い申し上げます。

23: セシリア=ルクレール [×]
2025-07-22 22:01:25

(場内に一瞬、音が消えたかのような静寂が広がった。床に敷かれた絨毯が足音を吸い、天窓から差し込む光さえも、その緊張を和らげるには至らない。まるで、その言葉の真意を測ろうとするような、重く澱んだ空気。緊張が限界まで張りつめたその瞬間、誰かの咳払いが静かに空気を破り、それを合図にするかのように半円の席からひとりの老人が立ち上がる。軍務官の筆頭──シリルス将軍。齢七十を超えるその老将は、鋼を思わせる白髪と揺るぎない双眸を持ち、帝国の戦歴をその身に刻んできた生き証人だった。ゆっくりとした動作で立ち上がり歩み出ると、無駄の無い動作で円卓の外縁をまわり、二人の正面へと進み出る。その眼差しは、まるで百戦錬磨の兵が新たな剣の質を見極めるような、冷たく静かな圧を孕んでいた。咳払いすら許されぬ沈黙のなか、ただ空気だけが重く膨張し、会議室の天井が低くなったような錯覚すら覚える。その重みを断ち切るように、静かに言葉が発せられ)

……立派な口上だ、ハーヴェイ卿。だが、剣を掲げる者の責は、言葉では果たせぬ。
皇女殿下の御身は、もはや一個人にあらず。王命と民意、帝国そのものを背負って立つ方。若き騎士の才気や忠誠の誓いだけで、果たしてその御身を託すに足るのか──それを見極めるのが、我らの役目である。
そなたの父祖の名は、帝国史に燦然と記されておる。それゆえにこそ、名を借りるだけの者を我らは最も忌む。

──ひとつ、試させてもらおう。我が副官との立ち合いに応じよ。明朝、近衛の訓練場にて。逃げるも、立つも、そなた次第だ。
……それが、我らの問いに対する“返答”となろう。

24: ノア・ハーヴェイ [×]
2025-07-23 02:04:54

(ほんの一瞬の静寂を切り裂いたのは、同じ剣を取る者であれば、知らない人間などいないと言えるほどの歴戦の猛者であった。自身の前へ立った彼がどれほどの死線を潜り抜けてきたのかは、彼の両眼を見れば明らかなことだ。まるで今この瞬間、自身と彼の両者の手に剣が握られているのではないかと思ってしまうほどの重圧。重石が乗せられたのではないかと言うほどに、身体中がビリビリと痺れるような感覚──彼の発言は正論そのものだ。自分は彼らの前で剣を振るったことなどない、彼らから見ればぽっと出の若造も良いところなのだから、そのような人間に帝国を背負った皇女の護衛が務まるのかと懐疑心を抱く理由はよくわかる。───しかし、それを恐れることはなかった。この場に立つ前から、腕を証明するために剣を振るえと言われることを予想していたからだ。寧ろ、将軍直々に相手をしてくれると言うわけではないことが少し残念に思えるほど、今の自分には精神的な余裕があった。流石にそれを口に出すのは無礼がすぎるため、その機会は何れ自分の手で作り出すことにしよう、そう心の内で呟き。何にせよ、ここで相手からこのような機会を与えてもらえたことは実に有り難かった。一介の騎士が自分から“腕を見せる機会が欲しい”と言うのは余りにも高慢で、彼らへの配慮に欠けている。だがこれは将軍からの提案だ、寧ろ断る方が無礼であることは明白。そうと決まれば、敬礼を一切崩すことなく、まずはシリルス将軍は敬意を表する言葉から語り始める。──続いて発した言葉は、表面だけ見ればありふれた“はい、喜んで”というような、淡々とした教科書通りの返答。しかし、その眼差しは先ほどから見せていた誠実なものから一変し、まるで別人かのように闘争心を滲ませた、妙なぎらつきを持ったものになっており)

──ご高配、痛み入ります。シリルス将軍。
帝国に連なる者として、またその剣を預かる者として、そのお言葉、確かに受け止めました。

……ならば、明朝。御前にて私のすべてを示しましょう。
剣は飾りではなく、志を映すものにございます。逃げも隠れもいたしません。その立ち合いこそ、私の忠義、そして家名を賭けた“返答”とさせていただきましょう。

25: セシリア=ルクレール [×]
2025-07-23 18:58:00

(再び場内に沈黙が戻る。だがそれは、先ほどまでの探るような沈黙ではなかった。張りつめた緊張の中にも、わずかに熱を帯びた空気──たった今この場で確かに立ち上がった“若き挑戦者”の気配を、誰もが感じ取っていた。──ごくわずか、将軍の口元が動いた。それは笑みというにはあまりにわずかで、だが否定ではなく、静かな肯定の色を孕んでいる。眼差しの奥に宿る光もまた、鋼のような鋭さをほんの一瞬だけ和らげるように瞬いた。誰にも聞こえぬほどの足音で将軍はゆるやかに背を向け、円卓へと戻っていく。背筋には、幾多の戦を越えてきた者だけが纏う、風のような静けさと、時代を支えてきた重みがあった。その動きに連動するように、場内の緊張がわずかに緩む。幾人かの重鎮が姿勢を崩し、硬さをほどく。沈黙の水面に波紋が広がるその刹那──白と水色を基調としたドレスの衣擦れが、ほとんど聞こえぬほどの音を立てた。絨毯に沈むその一歩には、退くのではなく、空間を律するための“引き”がある。正面を向いたまま、緩やかに主賓の席を離れると、背を見せることなく半円を囲む重鎮たちへと視線を巡らせる。金細工の留め具が陽光を受けて淡く光り、裾が風に舞うように揺れる。あくまで丁寧に──けれど、明確な意志を秘めて、重鎮たちへと深く礼を送り)

ご列席の皆様、本日はご多忙のなかお時間を賜り、ありがとうございました。
──彼は、血筋のみならず、その志と剣においても、帝国の未来を支えるに足る者であると、私は確信しております。
皆様の懸念もまた、私にとって貴重な導きにございます。引き続き、厳しくもあたたかいご助言を賜れましたら幸いです。
……どうか、彼の剣の行く先を、その目で見極めていただければと存じます。

26: ノア・ハーヴェイ [×]
2025-07-25 00:31:54

(自身の発言の後、将軍だけでない周囲の人物たちの空気も変化したことを肌で感じた。それは入室した際の重く閉ざされた気配ではなく、少なくとも悪印象を持たれたわけではないと言うことはわかる。将軍が円卓に戻っていく際の背中は、ただ頼もしいと言えるようなものではなかった。老齢でありながら未だ皇室の剣である彼の背は、ただ周囲の人物を威圧するだけではない確かな強かさを宿していた。何れは自分も、彼のような人間にならなければならない。ハーヴェイという名のために、そして何より──皇女の隣に立つ人物として、誰が見ても文句の一つすら出てこないような人間となるために。今の自分はそうではない、だからこのような状況になったのだ。まずは第一歩、明日の試合で自身の価値を示す必要がある。数人は姿勢を崩して僅かに気を緩めているようだが、自身は先ほどから敬礼の姿勢を崩さずに微動だにせず。そしてまた沈黙が広がるかと思った矢先、皇女によって再び静寂が切り裂かれる。それはまるで歴戦の戦士が剣を取ったかのような威厳にもよく似ており、彼女の品格がその所作に表れていた。決して弱さを見せることはなく、一つ違えば挑発にもなりそうな言葉を全くの嫌味もなく、純粋な敬意として表することができている。彼女の言葉に続き、自身も言葉を紡いでいく。最初に自身を信じてくれた皇女へ。そして次に、この場に並ぶ帝国を支える俊英達へ。最後に、明日の副官との立ち合いへ覚悟を示す言葉を放つ。それらの言葉に派手さはなく、裏に込められた意味もない。ただ真っ直ぐに、今この場で自身が抱いている信念だけを話していて)

……皇女殿下からの信頼に応えられるよう、全力を尽くすと誓います。
皆様も御耳を傾けていただき、感謝申し上げます。初めに申し上げた通り、私も未だ至らぬ身でございます。ですが、皆様からの信頼も得られますよう、これからも邁進して行く所存にございます。

──まずは明朝、剣で語らせていただきます。

27: セシリア=ルクレール [×]
2025-07-27 04:02:14

(静まり返った会議室に、老将の視線がゆるやかに巡った。ひとつ、ふたつ──円卓の重鎮たちが視線を交わし、重々しい沈黙のなかにわずかな変化が生まれる。腕を組んでいた評議員が背を伸ばし、口を閉ざしていた老宰相が小さく頷いた。誰もが声を上げはしない。だが確かに、あの一礼と応答が、彼らの中に何かを残したのは明らかだった。二人が示した誠意と静かな気迫──それらはこれ以上の懐疑を差し挟む余地を封じるに足るものであった。背筋を意図的に伸ばし再度一礼をすると、扉の方へ向き直る。それを合図と受け取ったように、扉番が無言のまま歩み出て、重厚な両開きの扉へと向かった。取手に添えられた手が動き、低く軋む音が再び空間に落ちる。出口へ向かって真っ直ぐに歩みを進め、廊下に出た直後、扉番たちによってその扉は閉められた。周囲の視線からようやく隔絶されたことを確認すると、緊張の糸がほんの少しだけ緩む。見逃しそうなほど僅かではあったが、その手が震えていた。ひとつの言葉、ひとつの仕草、それら全てが見定められる場面において、無感情でいられる訳ではない。表情にはこの局面を一先ず切り抜けられたことに対する僅かな安堵と、自らが信頼した存在がこの場面において見せた強かさと絶対的な忠誠に対する敬意が浮かんでいた。公式の場を離れたため、先程よりも少しだけ砕けた口調で話しかけ)

試すような真似にあなたを巻き込むご無礼をお許しください。
ですが──あなたの言葉はとても頼もしかったです。あの場で、あれほどまでに堂々と振る舞える方はそう多くはありません。
あの様な場はまだ慣れていなかったでしょう、…疲労はありませんか?

28: ノア・ハーヴェイ [×]
2025-07-27 21:28:53

(敬礼の姿勢を崩さぬまま帝国の俊英たちが会議室から出ていく姿を見送っていたが、去り際の空気はやはり初めに比べて重苦しいものではなかった。将軍が立ち合いを持ちかけ、こちらはそれに応えた。皇女までもが固い意思表明をしたのだから、これ以上の問いかけ──問詰は野暮であると判断してくれたのだろうか。とはいえ、まだ明日の立ち合いが目の前に控えている。彼らの納得の行く実力を見せることで、初めて今日の対話の意味が生まれるのだ。だからこそ、彼らが出ていくまでは微動だにせず。──扉が閉められた後、先ほどよりも少しの解放感が満ちた静寂の中で、次にどのような命令が来ても良いように敬礼から後ろ手を組んだ立位へと姿勢を変える。そうして皇女へ静かに視線を向けていたのだが、その瞬間、微かに彼女の手が震えているように見えた。彼女からかけられる言葉の端々には自身への敬意が滲んでおり、その表情は先ほどの任命式や、たった今終了した重鎮達との対話の際に見せた、一縷の隙すら見せない威厳とは違い、少し柔らかな表情が浮かんでいるようにも感じる。彼女も人間なのだから緊張くらいするだろう。恐らく、先ほど手が震えているように見えたのはこちらの見間違いなどではない──つまり、自分も緊張していたというのに、彼女はこちらに配慮をしてくれているのだ。そうなれば、こちらも彼女に対して敬意を払った返答をしなければならない。しかし、最後の一言だけは自身も冗談を言うことで雰囲気を和らげようとする。口角は上がりも下りもせず、抑揚も一切の揺れを見せないが、それは目の前の彼女が少しでも力を抜くことができればと考えた上での発言で)

勿体ないお言葉、恐れ入ります。
……剣は切れ味を試して当然です、どうか無礼などとおっしゃらないでください。
ご心配には及びません。皇女殿下のお傍に立つというのに、その護衛となる騎士がこの程度でくたびれていては、この先の護衛は務まりませんから。

───それに、あの方々の鋭い視線も、鋼の甲冑よりは柔らかかったかと。

29: セシリア=ルクレール [×]
2025-07-28 01:31:53

───ふ。

(ぴたりと張り詰めていた空気が、わずかに緩む。そのきっかけとなったのは、あまりにも律儀な彼の口から、冗談ともつかぬひと言が零れた瞬間だった。呼吸の隙間から小さく洩れた笑みは、意図せず浮かんだものだったのかもしれない。喉奥で震えそうになった声をそっと呑み込み、扇のように開いた指先を口元に添える。内心には、やっと肩の力が抜けたという微かな解放感が灯っていた。気づけば、手先の震えもいつの間にか消えている。恐らく、緊張を察し、それを和らげようとする彼の配慮──その余裕は、ただ剣に秀でた者に備わるものではない。観察力、咄嗟の気転、そして品のある優しさ。それらすべてを備えた人物に、今この瞬間もなお、慎ましやかに忠義を捧げられている。その事実に、胸の奥でゆっくりと信頼が根を張っていくのを感じた。もしかすると、自身の選択は正しいどころか、想像以上の逸材を引き寄せたのかもしれない。そう思えば、口にする言葉にも自然と柔らかさが混じる。けれど、最後には皇女としての責務を持って、彼にひとつ忠告を添え)

全く以て──あなたの仰る通りですね。
ありがとうございます、ハーヴェイ卿。
私はこの後直ぐに私室に戻りますので、あなたも明日に備えてゆっくり休まれてください。

──最後に一つだけ。私の推測だと、明日の試練は一筋縄ではいかないと思います。
単なる剣の技術以外もきっと試される──あなたは"私の剣"であるということをどうか深く胸に刻んでおいてください。

30: ノア・ハーヴェイ [×]
2025-07-31 18:58:17

(表情にこそ出さなかったが、皇女からの忠告を受けて思わず驚いてしまう。明日の立ち合いへの認識は単なる実力の確認だと考えていた。将軍の副官を相手に自身の剣術を周囲の人間に見せるために戦い、そして勝利を収めるだけ。──勿論、それも重要だ。ただ、自身は皇女の護衛であり、言ってしまえば最も近くで補佐をする側近でもある。その立場に就く人間は剣術のみならず、状況を的確に見極めることのできる頭脳も持ち合わせていなければならない。彼女からの忠告がなければ、想定外の事態への対応策どころか心構えすらも出来ていなかったかもしれない。何であろうと上手く立ち回ることのできる自信はあったが、ただの試合で収まる出来事ではないという可能性に気づくことができないとは、自分もまだまだなようだ。こうして彼女が忠告をしてくれた以上、尚更明日の立ち合いで下手な真似をするわけにはいかない。侯爵領で業務に勤しんでいる親族に手紙も書かなければならないし、やるべきことがまだまだ残っているのだ。ここは彼女の言うことを聞いて、明日に備えるとしよう。再び敬礼の姿勢を取れば、護衛としての責任感を含んだ声で、騎士寮の自室へと去る前に皇女へと決意を露わにして)

──畏まりました、殿下。ご忠言、しかと胸に刻みます。皇女殿下の剣たる重み、それは私も存じているつもりです。
ご安心を、これでも“試される場”には慣れております。殿下、そして皆様を失望させるような真似は致しません。

31: セシリア=ルクレール [×]
2025-08-03 21:53:53

(揺るぎないその声音を耳にした瞬間、胸の奥に確かな熱が灯る。形式張った応答に留まらぬ、騎士としての矜持と誇りを真っ直ぐに示すその言葉は、まるで鋼を打ち直したばかりの刃のように、澄んでいて迷いがない。足元に敷かれた紅と金の絨毯が柔らかに沈む音を立て、静かに一歩、間合いを詰めた。彼との距離は手を伸ばせば届くほど。それでも威圧のためではなく、あくまで信頼を示すための自然な歩みだった。白と水色の裾が揺れ、絨毯に落ちた影がわずかに重なる。彼の眼差しをまっすぐに受け止めると、その若葉色の瞳には、揺らぎのない意志と研ぎ澄まされた緊張が張り詰めている。──この目だ。試練や重圧の場にあっても曇ることなく、むしろ研ぎ澄まされていく瞳。その視線の強さに、不思議なほどの安堵と誇りが胸に広がっていく。わずかに顎を引き、静かに頷いた。互いの間に確かに育ち始めた信頼だけが、しんとした夜のような静けさの中にあった。明日の朝、彼は試される。剣技だけではない、判断力も胆力も。だが──恐れはない。この騎士ならば必ずやり遂げる。そんな確信が、言葉よりも深く胸に刻まれていた。いつの間にか夜は更け、窓からは月明かりが差し込んでいた。あまりここに長居させてしまっては彼も支度が出来なくなってしまうだろう。セシリアは静かに口元に笑みを引くと軽く会釈をして相手を見詰めて)

それならば私に出来ることはあなたを信頼することのみでしょう。
明朝は私も試練の場に立ち会います。また明日お会いしましょう。
──おやすみなさい、ハーヴェイ卿。よい夜を。

32: ノア・ハーヴェイ [×]
2025-08-08 03:45:18

(月明かりに照らされながら目の前の皇女の笑みを見る。手を伸ばせば届くほどの距離で彼女からの真っ直ぐとした視線を受け、皇族に相応しい品格を感じると共に、明日への意思を固めて。夜も更け、この空間に響く音は自身と彼女の声や衣擦れといったもの以外にない。こうして相手を正面から見据えて言葉を交わすのは今日が初めてなのだが、まるで以前から彼女の側に自身がいたようにも思えるほどに主従としての信頼関係が出来てきているのだとわかる。彼女を守るために、これから剣を振うことになる……彼女から手渡された剣を、掌に受けた感触と重みを思い出す。今その剣は自身の腰に提げられており、彼女を守るために──そして、己の信念を決して曲げることのないように振るわなければならない。明けない夜がないように、努力をすれば乗り越えられない困難などはない。だからこそ、すべての人間に認められるような護衛騎士となる必要が自分にはある。明日の立ち合いに皇女殿下まで来てくださるというのだから、恐れることなど何もない──ハーヴェイの名を背負った騎士として、揺るぎない態度で臨むだけだ。目の前の彼女に再度敬礼をすれば、別れる前にもう一度だけ決意を示す言葉を紡いでいく。初めに交わした会話のように形式ばってはいるが、他の何よりも強い意思を込めての言葉であった。最後の言葉だけは口角をほんの少しだけ上げた微笑みで、そしてこれまでよりも柔らかな声色で話していて)

──そのお言葉、私の剣に代えてお守りいたします。
殿下の信頼を裏切らぬよう、必ずや明日を超えてみせましょう。
……おやすみなさいませ、殿下。どうか、安らかな夜をお過ごしください。

33: セシリア=ルクレール [×]
2025-08-09 14:28:50

(夜明け前、まだ空が淡い藍色に沈んでいる頃に目を覚ました。窓辺に掛けられた厚手のカーテンの隙間から細く一筋日が差し込んでいる。召使たちは既に起きており、控えの間では湯気の立つ香茶と温かな湯が用意されていた。ゆるやかに髪を結い上げられ、淡い銀糸のような髪飾りで留められる。服は式典用ではないが、それでも皇女としての威厳を保つ色と仕立て──雪を思わせる白地に、裾や袖口に深い青を差し込んだ軽めのドレスだ。今日は観る立場とはいえ、軽装でいることは許されない。万が一、事態が変わればその場で決断を下す必要があるのだから。身支度が整うと、侍女たちが廊下を先導し、ゆるやかな足取りで訓練場へ向かう。朝の城はまだ人の声が少なく、足音と衣擦れの音だけが高く広い石造りの回廊に響いた。やがて辿り着いたのは、帝国近衛が日々鍛錬に励む石畳の訓練場。既に重鎮たちの何人かは立会いのために姿を見せており、将軍の副官もまた、無駄のない動きで剣の感触を確かめている。彼の鎧は鈍い銀色に朝日を受け、冷たく光っていた。──彼の名はルカ・ヴェルンハルト。平民出身だが若くして剣術・戦術ともに優れ近衛師団に抜擢されたことをはじめ、数多くの戦場で功績を収めて実力で副官まで上り詰めた男だ。一方の彼の姿を探し視線を動かしていると、近衛の一人が前へと進み出て今日の試練内容についての説明を始めたので意識を切り替え其方へと耳を傾けていたが、少し思案するように瞳を細めてから徐に唇を開き)

分かりました、その内容で構いません。
それから私の代役を立てると仰っていましたが、その必要はありません。──私が行きます。

34: セシリア=ルクレール [×]
2025-08-09 14:30:30

(/背後失礼します!すみません、翌朝まで飛ばさせていただきました…!また、試練中は私の方はルカをメインで動かせて頂こうと思っておりますがよろしいでしょうか……?)

35: ノア・ハーヴェイ [×]
2025-08-13 03:24:12

(明朝特有の心地よい冷気が石壁を通して部屋に滲み込む騎士寮の一室で、目を冷ました。瞼を開けば天井の木目に馴染み深い影が落ちている。昨日、将軍から命じられた一言が脳裏で低く響き渡る。寝台の上で微動だにせず、三秒数えた。四秒目で上半身を起こすと、無意識に右手が腰を探った。昨夜、自室に戻ってから立て掛けておいた、あの儀礼剣の感触が恋しかった。足音を殺しながら洗面台へ向かう。顔を洗う水は、肌を刺すような冷たさだった。鏡の中の顔は青白く、薄い緑の瞳には昨夜の緊張がまだ薄皮一枚残っている。──いや、緊張ではない。これは飽くまで、今から待ち受けている試合への心持ちがこうさせているのだ。癖のない茶色の髪が頬に張り付き、普段なら整然とまとめられている前髪は乱れて垂れ下がっていた。一瞬、鏡に映る自分の女らしい輪郭が揺らめいたように錯覚した。唇を引き結び、手拭いで乱暴に顔を拭う。部屋の窓から差し込む光が既に傾斜を帯び始めていることに気づき、手早くいつもの服装に着替える。そして今日はそれに胸当てに膝当てと、少しの鎧をつけて立ち合いに臨もうと考えており。剣を携え、訓練場へと歩き出す。騎士寮の廊下特有の、大理石で出来た無機質な床を歩いている時、頭の中には一つの考えしかなかった。──私は皇女殿下の護衛騎士だ。胸に刻まれた矜持を信じて、訓練場の扉を開ける。空気が頬を撫でるように変わった。外に出れば、冷たい朝の空気が肺の奥に忍び込み、頭の芯が冴えていく。軽く肩の力を抜いて剣を握り直し、皇女と例の副官を探そうと辺りを見渡して)

36: ノア・ハーヴェイ [×]
2025-08-13 03:49:47

(/こちらも背後失礼します!いえいえ、全く構いません…!試練中の件、了解いたしました!ご負担をかけてしまうようで申し訳ないのですが、よろしくお願い致します…!)

37: ルカ・ヴェルンハルト [×]
2025-08-17 12:28:09

(訓練場の扉が開いた瞬間、手を止め視線だけをそちらへ滑らせる──その動作に一片の隙もない。入ってきた若い騎士は、こちらと同等に──否、試される立場ゆえかそれ以上に──周囲へ隙のない眼差しを配っていた。剣を鞘へ戻し、砂の上に落ちる影を短く保ったまま、真っ直ぐ彼へ歩を向ける。身に纏う空気が違う。背負う重みが違う。階級の差ゆえ直接言葉を交わしたことはないが、ひと目で分かる──彼こそが今日の相手、そして昨夜“皇女直属”の任を受けた男。思っていたより小柄だが、重心の置き方が正しい。昨日、将軍から“若く、経験の浅い騎士を殿下が選ばれた”と聞いた時は、常に冷静な彼女にしては軽率な──と、口に出せば不敬となる感情を胸の底に押し沈めたものだったが、実際に対峙して浅はかなのは自分の方だったかもしれないと思い直す。こんな男が近衛の中に居たとは──未だ多くの戦場には送られていない歳だろう、功績を挙げづらい環境が起因して埋もれていたか。しかし、認めるのは"まだ"だ。直接剣を交えなければその者の"本質"までは測れない。穏やかな笑みを口元にだけ載せ、冗談の軽さで間合いを詰める。だが眼は笑わせない。観測者の温度を瞳の奥に保ったまま、握手を求めるように片手を差し出し)

やあ、君がノア君だね。今日はよろしく。
君と話すのは初めてだよね。改めて、僕はルカ・ヴェルンハルト。
今はシリルス将軍付きの副官をしてるけど、簡単に言えばそっちは"雑用係"みたいなものさ。──ああ、これは内密に頼むよ。怒られてしまうからね。
だけど、騎士たるもの本職は剣を握ること───最近は書類に埋もれることが多かったけどそこまで鈍ってはいないはずだから、君を退屈させることはないはずだよ。

38: ルカ・ヴェルンハルト [×]
2025-08-17 12:29:56

(/とんでもないです、有難うございます…!状況に応じてセシリアとルカを使い分けようと思います!それでは引き続きよろしくお願いいたします!/蹴可)

39: ノア・ハーヴェイ [×]
2025-08-17 21:23:44

(ルカ・ヴェルンハルト。将軍の副官──剣を握る者であれば少し見ただけでわかる、確かに彼は実力のある騎士だ。騎士として、または剣を取る者として、国内外を問わず実力のある者についての情報は欠かさずに調査している。そして目の前の彼もその実力者の一人。将軍と共に数多な戦場を駆けてきた猛者──立ち姿から容易に想像できる。そんな実力のある騎士と、こうして剣を交えることができる。将軍からとても良い機会を頂いたと言う他にないだろう。柔らかな口調と笑みから人当たりはよく見えるが、その瞳の奥には自身を見定めようとしている鋭利な光が見える。此方も微かに口角を上げて相手を真っ直ぐに見つめ、静かにこちらも片手を差し出して彼の手を握り返す。握り返した指の感触は思いのほか骨ばっていて、皮膚の硬さが明らかに剣を持つ者のそれだと伝わってきた。掌に刻まれた小さな傷跡、指圧の強さ──日々の鍛錬で培われた力強さがそこに凝縮されている。ただの社交辞令の握手ではなく、互いの武器を預け合うような神聖な儀式のように感じられた。相手は自分の掌を通じて何かを感じ取ろうとしているのだろう。自身もまた、彼と言う人間の奥底に潜む熱を感じ取ろうとしていて)

本日はよろしくお願いします、ヴェルンハルト卿。
ノア・ハーヴェイと申します。卿のような方と手合わせする機会をいただけたこと、騎士として光栄の限りです。
同意見です。騎士にとって、剣は命とも言えるものですから───私こそ、卿を退屈させることのないように最善を尽くさせていただきます。

40: ルカ・ヴェルンハルト [×]
2025-08-21 00:37:27

(彼と握手を交わした瞬間、僅かな"違和感"を感じた。他の屈強な騎士たちと比べると少し小柄な体格ゆえだろうか──やや華奢な気がする。が、骨の細さに反して、掌の皮膚は厚く硬い。指の節には繰り返し柄を締めた跡が白く沈む。瞬時に分かる──これは長きに渡り弛まぬ鍛錬を重ねてきたものの手だ。そして此方を真っ直ぐ見据える双眸には敬意はあれど畏れは無い。それを鼻にかけるつもりは無いが、実際彼との間にはかなりの階級差がある。通常、殊に若い騎士であれば階級の離れた者を目の前にすると萎縮してしまうものだが──その重圧を跳ね返すほどの"覚悟"があると言うことか。彼の双眸にあるのは礼節であって畏れではない。重さを押し返す強度が、静かに芯に通っていた。であれば、こちらも全力で応えなければならない。彼の返答を聞き満足そうに口元に笑みを引くと握りを解き、ゆっくりと手を離す。徐々に集まり始めた重鎮の面々を遠目に眺めながら隣に立つ彼に言葉をかけ)

それならば──お互い全力を尽くすとしよう。

それじゃあ早速だけど、今日の試練について説明するね。
今回の試練は所謂普通の立ち会いではない。君は皇女専属の護衛騎士になる資格があるかどうかを問われている。
───つまり、僕が主に狙うのは君ではなく、君の護衛対象だ。
制限時間は10分間。その10分の間に僕が君の護衛対象に攻撃を与えられる隙が無かったと判断されれば君は合格だ。

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