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明 日 を 生 き る な ら ___ 。/4


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自分のトピックを作る
■: 名無 [×]
2025-05-17 22:50:57 ID:a7abddbaf





   ある日、突然君と出会った。

   
   これは ある2人の男女の長い話。


   

   もし、明日死ぬか生きるかを選択することができたらどちらをえらびますか___?









   No data .


Who are you ?






汚れた愛に包まれて … 。





  





1:  ??? ___ 。 [×]
ID:a7abddbaf 2025-05-17 23:05:49

  


   「 今日も今日とて 家籠もり日和だ 。 」



   居心地の良い 此処で ずっとそう思っていた __ ” あいつ ” に出会ってしまう前までは 。




 20××年 、 9月 某日 。
 今年25歳になったばかりの俺は「 此の世界 」で仕事もせずに楽な暮らしをしていた。

ーー最近は少し涼しくなってきたなぁ。

 ふと呟く。 
 最近 声を使っていないなと思いつつ。
 最後に声を出したのは たまたま ご近所さんに遭遇し、挨拶したときか。

 その通りであった。
 幼少期に住んでいた「 あの世界 」 は地球温暖化の影響で9月になっても依然として暑いままだ。
 こちらは地球温暖化や少子高齢化といった面倒な社会問題がないので気が楽だと感じている。
 ただ、不思議なことはいきなり此処に来て 俺は一度もお金に困ったことがないのだ。
 いや、そもそもお金という概念が存在しないのかもしれない。
 店に行っても無人 、 だが 品物が売り切れる いや無くなることはなかった。
 なんだ 此の世界は。
 10年ほど過ごしてきて もはや当たり前になっていたこの状況に久しぶりに疑問を抱いた___




2:  ??? ___ 。 [×]
ID:a7abddbaf 2025-05-18 19:10:45



  
  
    「 俺に名前は必要ない 。 」

  
    だって 此処では すべて 自由 。 だから ずっと名無しの なな だ 。





 木でできた濃い茶色の椅子と机 少し古い木の時計 もう動かなくなってしまったテレビ たまに読む数冊の本が並んだ木の大きな本棚 …

 現在家にあるもので機能する物は全て 木 でできている 。
 まぁ、家と言っても家賃を払わず、勝手に暮らしているので自分の家かは定かではないが。
 服も今着ているもの以外には持っておらず、水回りのことは外で済ましている。
 例のごとく 木 しかないから。
 羨ましいか? それとも 哀れか?
 俺自身は とても快適だ。



 家の中のものを一通り見切った後 茶色に飽きたので外に出ようと思い、下駄を履く。
 これまた、自分と身についているもの以外は木でないと機能しなくなってしまうから。
 勿論 食料の貯蓄もないので店を探すのも兼ねて適当に歩き回ろうか。
 木のスライド式の戸を開け、外に出て初めて気づく。
 今日は涼しいだけではない。
 雨もぽつぽつ降っている。
 傘を持っていないので勿論濡れる。
 自分は身体が弱い方ではないので少しくらいなら大丈夫だろうと思い、素肌で雨を感じながら早歩きする。


 
 しばらくぶらぶら歩き さすがに寒くなってきて ぶるぶる と震える。
 実は雨は嫌いではない むしろ好きまである。
 なんとなく安心するのだ。
 孤独な無音に音を与えてくれ、生を感じさせる 雨。
 
 気づいたら家から少し遠い公園まで辿り着いていて ベンチを見つけて腰を下ろす。
 さきほどよりも少し雨音が強くなったのだろうか。
 ふと公園内の時計を見る。
 もう16時か。
 もう少しゆっくりしたら飯の時間か。


 雨をずっと見ていたいくらいだが空腹には負けて 近くに店はないかきょろきょろする。
 

 …………… 。

 

 今日は 弁当を何か買うか。

 近くにスーパーを見つけて 真っ暗な中に入る。
 店員もいない 今日は客もいない。
 まぁ 珍しくもないけれど 寂しさが増す。
 さっさと良さそうなものを手に取り 万引き する。
 
 前いた世界では真面目野郎だったせいかこちらでは悪さをしたくなってしまう。
 度胸はないので小学生が思いつく程度のいたずらだが。

 
 
    ~? ? ? ? …

ーーぁ。

 思わず足を止める。
 ××、?
 懐かしい声のように聞こえた。
 いや、ありえない。

 だって、 あいつは あの世界で幸せになっているはずだから___

 








3:  ??? ___ 。 [×]
ID:a7abddbaf 2025-05-19 00:17:57




    
    
    「 苦い恋 、 儚く 淡い恋 。 すべては幻だったように 何も残らず 消える 」

   
   
   
   


    いつだってそうだ 。 形のない アイ を無駄を自覚して探してしまう愚かな生き物 。
    
    それが 人間 だろう ?





 止めてしまった足を動かす。
 今度はもっともっと速く もう二度と辛い思いをしないように。 
 逃げ足だけは速いのが昔からの欠点だ。
 

 家に着いた。
 いつもより更に家が暗い気がした。
 ろうそくを灯す ーー机の上の明かりと自分の心に。
 今日はもう寝よう、

 いや 寝れるはずがない。
 まだ21時にもならないというのに誰が寝るのか。
 幼子はもう寝てるか。
 だが 俺は子供じゃないから無理だ。
 
 乱れて動揺してぐちゃぐちゃになった自分にうそをつく。
 きっと 変な夢を見ているだけだ。
 いや、これは他人が見ている夢だ。
 だから俺には関係がない。
 気にするな。


 木の硬いベッドの上で身を休める その時が一番つらいものだと初めて知った。
 あぁお前はこの世界で何をしているんだ? そう過去の人に心の中で問う。
 もう俺のことが嫌いになったんだよな?
 なのに どうして 、 お前は 「 こっち 」 で生きる選択をしたのか、

 
 居ても立っても居られず もう一度外に出ようとする。
 だが 一歩が踏み出せない。
 逃げるなよ そう自分が俺に言う。
 俺はその声を無視して結局ベッドに戻り 進展なしだ。




 今度はベッドの上でぼーっとしているうちに眠りが訪れた。


 


 ーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーー ーーーーー



 目の前の女が俺に笑いかける。まるで天使のように。



ーー ねぇねぇ。 ゆうと?

ーー 此処ではもうゆうとじゃない。 名無しのななだ。

ーー うんん、貴方はどこにいてもゆうとだよ。


  ……… 。


 いや、自分はもうあの時の 「 ゆうと 」ではない。
 だって ずっと前に××から離れて 此処で生きる選択をしたのだから。



 辺りはただただなにもない。
 緑 青 茶色 …
 自然の色ばかりが広がっていて 少しばかり寂しい。
 ××が横にいるだなんて二度と叶わないはずの夢なのに そこに××がいないみたいだ。
 隣の彼女は歌を歌う。

   


     貴方が傍にいなくても わたしは生きていけるわ

     でも  貴方の名残ばかりを探してしまうの

     この気持ちは何でしょうね

 
     ………
 
     
     ずっと 一緒にいたくてあなたを追いかけた私

     今やっと見つけた




     そんな夢を見ていただけだよね 






            ーー また会おうね 。

            ーー それが叶うなら 勿論だ 。
 
            ーー …、 えぇ 今度は 現実世界で会えるよ 。




 意識がそこで途切れる。 また まるで夢だったように お前は消えてしまったね___
 











4:  ??? ___ 。 [×]
ID:a7abddbaf 2025-08-27 13:23:05




 


「 まだ 始まっていなかったことがやっと始まる瞬間 、 それは 運命 か 奇跡 か 。 」









 昨夜の あの胸が締め付けられるような夢から醒めて 、 まだ外は暗いのに脳が覚醒している。
 チクタクチクタク… と音を立てている木の時計を見ると まだ午前4時台だった。
 だが 目が覚めてしまってもう寝れそうにないのなら仕方がない とケジメをつけて
 ベッドから起き上がる。
 
ーーん゛ん゛??????っ

 立ち上がって伸びをすると 窓の方へ行きカーテンを開けついでに窓も開けて
 籠もった空気を入れ替えるために換気をはじめ。
 まだ夜明け前だからか窓を開けた瞬間に吹き付けてきた風は冷たい。
 6時くらいになって陽が昇ってきたら散歩がてら朝食を調達しに行こう 
 と決め机の前の椅子に座る。
 だが いつもと違って 、 何もしないのはどうも落ち着かずもう一度立ち上がる。
 といっても ほとんど何もすることがないので本棚から一冊適当に本を引っ張ってくる。
 その本の題名をチラッと見てみると

 「明日を生きるなら」
 
 とある。

 心なしか少々気になる題名だったので その緑色のカバーのついている少し古い本を開く。
 一文目は「ある日、突然君と出会った。」とある。
 更に読み進めると 

「もし、明日死ぬか生きるかを選択することができたらどちらをえらびますか?」

 と書いてあった。
 その文字をじっと見つめて数十秒考えた。
 自分だったら明日は生きて 、 もうしばらくしたら飽きてくるだろうからその時に死ぬ。
 ほとんどのひとがそうなのではないか。
 死ぬという選択をする人は今の生活に飽き飽きしてもう希望もなく消えたい人だろう。
 反対に生きたい人はまだまだ叶えたい夢があったりまだ中途半端な地点にいる人か。
 自分はどちらかというと後者に当てはまる。
 ただ そこまで考えて現実は生死の選択権を与えるほど甘くはないと気づいた。
 決して思い通りにならないのがジンセイだ。
 次のページをめくり暫く物語にずんと浸っていくことにした。
 

 それは二人の男女が離れ離れになるところから始まり
 もう一度出会い
 今度は幸せになれることを望んで世界の果てまで旅する
 そして、その工程で様々な愛の形に出会い
 何度も不幸を味わって
 どちらかが辛くなり
 両者が幸せになれる方法を探すけれども
 中々幸せにたどり着けない。

 そこで最初の「もし、明日死ぬか生きるかを選択することができたらどちらをえらびますか?」
 に戻ってくる。
 二人とも生きる選択をして世界の果てに向けて歩く。
 世界の果てにたどり着いたときには幸せになれる彼らなりの愛の形を見つけた。
 いや、愛の形を見つけたから世界の果てにたどり着いたのか。
 どちらかは読んだ人に任せるがそこで白紙のページになり物語が終わった。

 気づいたら物語にのめり込んでいて一気にすべて読み終えてしまった。
 なんとなく自分には後味の悪い話だった。
 だが悪い話ではない。
 そこではっとぼんやりしていた意識が覚醒し 今は何時か気になり時計を振り返る。
 少し驚いた。
 家を出る予定だった6時より2時間過ぎて今は8時になっていた。
 自分の集中力に驚いた。
 此処に来てからは こんなに集中して何かをしたことが数えられるほどしかなかった。
 ぐぅーーっとお腹が鳴って起きてからそんなに時間が経ったら腹だって減るよなと思い。

 玄関に立って行き下駄に履き替えるとドアをスーッと開けるとすぐに眩しさに目が眩んだ。
 そうなることが分かっていてできるだけゆっくり開けたのだが意味がなかった。
 思わず目をぎゅっとつぶり手を額の前に当てながら一歩ずつ太陽の方向に進む。
 いつも通っているスーパーの方へ歩き出してふと空を見上げるといつも以上に快晴だ。
 

 何かいつもと違うことが起こる予感がした 、

 のは気のせいだろうか。
  









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