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 Voyage /53


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自分のトピックを作る
21: Arthur [×]
2025-01-30 08:06:53



下絵はこれで完成です。──本制作は帰国後に取りかかりますので、完成には最短でも一カ月ほどかかるかと…詳細は伯爵を通じて改めてご連絡します。
(僅かな迷いもない手つきで最後の線を整え終えると、立ち上がりざまに画架を回しモラレス侯爵の方へ向けて仕上がりの確認を求める。肘掛け椅子に深く身を預けていた侯爵は片肘を乗せたまま微かに顎を上げ、やがて優雅な動作で立ち上がるとスケッチに視線を落とした。短い静寂の後、「──悪くない。」低く抑えられた声が室内に響き、伸ばされた指先が画板の端を軽く叩く。「思った以上に特徴を捉えているな。特に目のあたりが良い。よく観察している。だが、本物はここにいるのだから、あまり過度に美化しないようにしてくれたまえよ。」彼は愉快げに笑ったが、こちらは軽く会釈を返すに留めて静かに筆箱の蓋を閉じた。こういう人物に対して余計な反応を示せば、それすらも娯楽の材料にされかねない。手際よく画材を片付け、スケッチを保護用の封筒に慎重に収めていると、少女が見送りを申し出た。わざわざ見送るほどのことでもないだろうと思う間もなく、侯爵も気軽に承諾し、絵のモデルに疲れたのか「私は少し休ませてもらおう」と言い残して奥の部屋へと姿を消した。彼の背を見送りながら、侯爵と対面していた時とはまた異なる類の、出どころ不詳の居心地の悪さが沸き上がるのを感じ、画架と画材を両腕に抱えながら少しだけ早口に)
部屋の外までは結構ですから。その、絵…喜んでいただけて何よりです。




22: Beatrice [×]
2025-01-30 11:59:19



…………、そう仰らないで。Mr.アーサー、──ギルバート様よりお見送りの許しを得たのだから、感謝の気持ちを伝えさせて欲しいの。
(重々しく圧倒的な存在感を放つ故に威圧こそしてしまうが、モラレス侯爵という男は貴族ながらに好意的な接し方をしてみせる人だ。そんな侯爵が小粋な冗句を残す姿だけを見るなら身分の隔たりを感じさせない善い人だと今でもそう思っていたのかもしれないと目尻を少しだけ細くする。そんな表情さえも猫が太陽の暖かい陽を受けて微睡む穏やかな顔に見えるのだから、得な物だと自覚がある故により細くなり。直前の短いやり取りから伺えるのは、侯爵は彼女が異性と二人きりになる事に不安を持たない程度には(自らと伯爵家専属の画家を天秤に乗せて恐れを抱く必要も無いと至ったのかもしれない)特別に可愛がり見返りの愛を受けているという事実でありそれが正に寵愛を受ける愛人だと言うことが垣間見えた。侯爵が姿を消せば穏やかな微笑みを浮かべながら当たり障りの無い言葉を選び、居心地の悪そうな彼に気づきながらも引き留めるための言葉が口をつき。本題に入りたい気持ちを押さえ込みながら部屋の外へ誘導すると、それは無意識にも少しだけ急かすようにも感じられて。荷物のひとつでも持つのを手伝う事は叶わないけれど、控えめに並べば顔覗く。視線を交わす為、二つの翡翠は余所見をせずに水光を蓄えるブルーグレーに注目して)
Mr.アーサーは伺っていたお話よりも、ずっと素晴らしい目をお持ちなのね。……失礼、お伝えしたい感想は沢山あるのよ。でもここで話していてはギルバート様が休まらないわ




23: Arthur [×]
2025-01-30 15:50:26



(どうしても感謝を伝えたいのだと、まるで貴重な宝物でも授かったかのような喜びを向けられては、たかが試し描きの一枚に過ぎぬスケッチにそこまで価値を見出すものかといささか大袈裟に思えてしまう。しかしその反応こそが、この娘がモラレス侯爵という男を心の底から敬愛している何よりの証左なのだろう。先ほどスケッチを見せた際に彼女が浮かべた一瞬の表情、そこに覚えた違和感など、きっと勘違いに過ぎないのだ。今更あの反応の真意をもう一度確かめたいとは思わないし、そもそも妾とのお喋りなど長引かせる理由もないのだから、さっさと切り上げてこの場を辞したい。そう結論づけたというのに、促されるまま部屋を出た途端、澄んだ翠玉の瞳に覗き込まれ、視線を絡め取られて逃げ場を失う。──あまりに厄介だ。もし彼女がもう少し凡庸な女であったならば、言葉を交わす間のわずかな沈黙すらも息苦しく感じることなど無かっただろう。意識しないようにと努めるほど速まる鼓動を悟らせぬよう、ほんの少し目を伏せて。感情の滲む隙を作らぬようできる限り抑揚を削ぎ落とした声で、伝わらないことが前提の皮肉を織り交ぜた薄っぺらな言葉を紡ぎながらも、心のどこかで彼女の瞳がどう揺れるかを無意識に待つ自分がいた。)
それはどうも…。御主人の“威厳”や”品格”を損なわずに描けていたのであれば、画家としての役目は果たせたということでしょう。モラレス卿ほど高潔で慈悲深い御方は他におりませんから。……ご感想は、もう身に余るほど頂きましたので。




24: Beatrice [×]
2025-01-30 17:51:48



単刀直入にお話するわ。……貫禄と威厳、横暴と傲慢。Mr.アーサーが描きたいのはどちら?
(部屋を出れば誰についてを話しているかを誤魔化すことは容易い。交わしたはずの視線は逃げるようにずれてしまうがお構い無しに穏やかに微笑んで。このように邪魔が入らず会話が出来るのは短い間だと承知のこと、誰の事とは言葉にせずに似て非なるものを並べて直接的な質問を刺すように送る。芸術に真摯であると名高い彼が生きるために自尊心を折り曲げて作品に向き合うのだと言う事は理解が及ぶ。それでも彼自身が本当に描きたいものは接待の為の作品では無いはずなのだと期待を込めたその質問への答えを待つ間にも時間は過ぎてしまうのだ。意志を固めるように小さな作りの唇に力を込めればきゅっと閉じてからもう一度呼びかけ、続ける要望は他の誰もが未だ見抜いたことの無いただのベアトリス個人のことを見つけて欲しいと願うようでもあり。タイミングを見計らい流されるまま生きてきたベアトリスにとって、衝動的に動くこの一歩はとても大きく緊張するものらしい。それでも諦めきれずに交渉にもならない不慣れな申し出を口にして)
Mr.アーサーに依頼を出します。畏まった作品じゃなくていいの、貴方が見たままの私を、私だけの肖像画を描いて頂けないかしら。……頂いた暁には他の誰にも見せないわ。




25: Arthur [×]
2025-01-30 19:41:49



──!
(穏やかな微笑みを湛えながら紡がれたはずの言葉は、まるで巧妙に隠された刃のように鋭く頭を貫き、思わず目を見開いて彼女を捉えた。あのスケッチを見せた瞬間に揺らいだ瞳、その一瞬の変化を見逃すべきではなかったのだと、今さらながらに理解する。そこに宿っていたのは単なる驚きではなく、絵の奥に秘めた意図を見抜いた者の確信だったのだ。彼女へ抱いていた印象が音を立てて覆る。欺瞞にまみれた侯爵の寵愛を享受し、贅を尽くして生きる愚かな妾など存在しなかった。二つの翡翠の瞳はただ人の目を歓ばせるだけの美しい宝石ではなかった。外面的な美貌にばかり気を取られていた己の愚かしさが、今となっては滑稽にすら思える。言葉を探し思考が彷徨ううちに彼女は再び口を開いたが、今度の声は先ほどまでの優雅な響きを纏ったものではなく、少女らしい不安がかすかに滲むものだった。彼女が求めるものは単なる肖像画には収まりきらない、もっと切実で、もっと重要な意味を持つもの。それがどれほど大胆な依頼であるかは理解に容易く、軽々しく応じるべきでないことは明白で、だからこそ、それは誰の目にも触れぬよう秘密裏に行われるべきだと思った。断る選択肢がまるで存在しないことには自分でも気が付かない。紅茶の香りを漂わせる貴婦人たちが談笑しながら横を通り過ぎるのを待ち、周囲に耳を傾ける者はいないと確かめると、了承の言葉の代わりに声を潜めて囁く)
…抜け出せる時間は?




26: Beatrice [×]
2025-01-30 21:24:02



(緊張感がそうさせるのか、微弱な電気を浴びるようにピリピリと指先に痺れを覚える。そんな手のひらを握ると手に汗を感じて、返事を待つ間のたった数十秒を永遠のように待って。低過ぎず高過ぎない聞き取りやすい落ち着いた声が、突拍子のない損こそあれ得のない依頼を受けた事を教えてくれた。囁く声は周囲の賑わいと切り離された世界の演出のようで、それさえもが嬉しくなってしまった。個では何も持たない無力な女が踏み出した小さな一歩を認められた気がして、不安に揺らいだ目には喜びによる輝きが浮かび煌めいて。頭の中では抜け出して問題のない時間帯を組み立て、三日目に当たる明日の同時間にはモラレス侯爵が「仕事」の話があり夕方頃まで戻る事が出来ないと話していたこと。船の中、カフェで海を見ながら紅茶を楽しむのでも、護衛騎士を連れて食事を楽しむのでも、羽目を外さないのであれば何をしてもいいと許しを得た時間を思い出す。小さな一歩は己にとって大きい一歩であり、その踏み出しを成功させたことでより勇気に繋がったらしい。飾りのような笑みではなく幾許か年相応に無邪気な雰囲気で微笑んで、無謀な依頼を受けてくれた優しき芸術家へ感謝を伝えて)
明日、今日と同じ時間から二時間ほど。───Mr.アーサーへ心からの感謝を送ります。……ありがとう。




27: Arthur [×]
2025-01-30 22:55:26



その時間に後部デッキに来てくれ。できればあまり派手ではなくて、目立たない…地味な格好で。
(今日と同じ時間、二時間ほど。恐らくそれが侯爵が用事で不在となる時間帯なのだろう。依然として声量を落とし、待ち合わせ場所に船尾側のデッキを指定したのは、甲板下階の二等客室に用意された自室に彼女を招くためだ。人目に触れず二人きりで絵を描ける場所という条件においては、他に思い当たる適当な場所がなく、迷う余地はなかった。もし誰かに知られるようなことがあれば間違いなく大きな問題になるだろうが、しかしリスクと引き換えにしてでも、描きたいと思う衝動を無視することなどできない。それから彼女が身に着ける華やかなドレスを見下ろし、これは無理な要求かもしれないと懸念しながらも服装について注文を追加する。今この瞬間、つい先程まで壁を隔てるように堅苦しくしていた言葉遣いが解けていることに自覚は無い。彼女の内から溢れるようなあどけない微笑みを向けられたとき、それが初めて見る笑顔のように感じて胸の中に心地好いざわめきが生じた。気恥ずかしさを隠すために感謝の言葉を素直に受け取ることなく、そして敬称を口にしかけた時、ようやく彼女の名前をまだ知らないことに思い至り)
その言葉は貴女の望むものが描けた時に聞かせて欲しい、Ms.……




28: Beatrice [×]
2025-01-31 11:42:12



Mr.アーサーの仰る通りに。………申し遅れました、私はベアトリス・ルーナ。
(指定された場所は十日弱の船旅でも立入る事は無かったであろう場所。そして服装の指定がどのような意味を持っていての事かを理解すれば、侯爵が渡す報酬とは天と地の差だろう何も持たない女からの突発的な依頼に対して真剣に向き合ってくれていると感じる。彼の中でどのような意識変化が合ったのかまで見抜くことは出来ないが、僅かに砕けた話し方に気がついた。スケッチブックに向けて伏せられた目元が印象強い彼が、ハイリスクで殆ど見返りのない依頼に対して誠実に向き合う真剣な目の色に心が揺れる。途端、先の事をこうも楽しみになる忘れていた感覚に心を踊らせて喜色に染まる口角を下げることが出来なくなってしまった。そこに照れ隠しが有るとは思わず、言い濁された彼の声に同様に今更ながら気がついたと瞬きを行って。凛と澄ました声で名を伝え、彼の表情や雰囲気より推測を行いながら自らの身分も明かして)
……察しているでしょうけど、モラレス婦人では無いわ。




29: Arthur [×]
2025-01-31 20:28:17



……それでは私はこれで失礼します、Ms.ルーナ。良い午後を。……また明日
(聞いたばかりの彼女の名を、声には出さず心の内で反芻する。ベアトリス・ルーナ。詩の一節のように美しく夜空を連想させる響きだが、今、目の前の少女の微笑みは夜の静謐とは対照的に、柔らかく、躊躇いもなく、無邪気な輝きを帯びていた。最後に添えられた言葉には胸中に微かな気まずさが走る。そう、彼女の言う通りその素性に予想がついていたからこそ意識的に距離をはかった態度を取っていたのだ。ばつが悪いのが顔に表れるのを咳払い一つで誤魔化して、画架と画材を抱え直し、ぎこちない仕草で軽く会釈をする。誰に聞こえても構わない社交辞令としての短い挨拶に加え、最後の一言は彼女の耳にだけ届くよう小声で言い残し、静かにその場を後にした。──自室に向かって船内を歩く間、彼女の言葉を何度も思い出す。“ありのままを描いてほしい”、そう望む人間は少ない。肖像画というのはしばしば虚飾に彩られるものであり、美を際立たせ、醜さを消し、見る者の目を楽しませる。しかし自分の筆は望まれぬものまで暴き出してしまうから、伯爵の意向や社交界のしがらみによって、その本質を適度に覆い隠す術を身につけてきたのだ。だが彼女は違った。この手が何を描き出すかすら厭わずに、ありのままを描くことを求めた。胸の奥に熱が灯るのを感じる。まるで抑圧され続けてきた本能の解放を赦されたかのように。──廊下を進む途中、偶然出くわしたエミリーが「モラレス侯爵のお部屋に行ったんでしょう?夫人にはお会いした?」と声を弾ませながら後をついてきたが、一瞥もくれず「会ってない」とだけ淡々と返して客室に戻った。事実、“モラレス夫人”には本当に一度も会ったことがないのだから嘘はついていない筈である。)


(/お世話になっております。とても素敵な出会いの一幕をありがとうございました!そろそろ場面転換の頃合いかと思いまして、背後よりお声がけさせていただいた次第です。移行先の場面としては翌日の約束のお時間でも、2日目のうちに挟んでおきたい描写がありましたらそれでも大丈夫です!ご希望がございましたらお申しつけください。)




30: Beatrice [×]
2025-02-01 12:08:04



(煌めく宝石を最小限に抑え、ダスティピンクのデイドレスを纏ったベアトリスは、昨日の姿とは一転して随分と落ち着いた印象を与えていた。その控えめな装いではあるものの、選び抜かれた生地の質感が一目で伝わり、見る者が見ればその高価さを即座に理解することだろう。事前に伝えられた場所に向かう中で、無理な依頼に応えてくれた優しき芸術家への感謝を胸に、遅れることは許されないと自らに言い聞かせながら、少しばかり早く到着し、ほっと息をついた。デッキに立つと、海風が髪を優しく揺らし、涼やかな眼差しで穏やかに波打つ海を見つめる。侯爵の前では常に麗しさを振りまき気立ての良さを示し、時に甘えるような雰囲気を漂わせていたが、今、ここにはそのような姿は微塵もない。そわつくように周囲に気を配り、控えめに足元を見つめるその姿には一人で行動することへの高揚感と共に、ふとした不安も交錯しているのが感じられる。心の天秤が不安の方に傾き始めると、ふと頭に浮かぶのは、昨日何度も何度も目を通した彼の作品だった。彼の目を通して、もし自分らしい自分を取り戻せるのであればそれがどれほど心強いものだろうと、胸が熱くなる。そして、時間はあっという間に過ぎようやく彼の姿を見つけた時、澄ました表情のまま、伏せられた双眸に穏やかな輝きが宿るのを感じて。)
───!

(/お世話になっております!実際に動きお話されるアーサー様の姿を間近で見ることが出来てとても嬉しいです…!早速では有りますが二日目まで時間を飛ばして交流文を投げさせて頂きます。もし伝わりにくい、読み取りづらいなど展開を広げにくい箇所など有りましたら遠慮なく教えてくださいませ…!)




31: Arthur [×]
2025-02-01 19:18:21



(約束の時間にデッキへ足を運ぶと、潮の香りを含んだ爽やかな風が吹き抜けた。船の巨大なスクリューが吐き出す白波が後方へ引きちぎられるように伸び、陽光を受けて砕け、きらめきながら海へと消えていく。手すりのそばでは葉巻を片手に談笑する紳士たちや、サロンの喧騒を逃れ静けさを求める貴婦人たちが控えめな社交を繰り広げ、その風景を横目に目的の人物を探した。程なくして見つかった彼女は指定通り華美なドレスは避けてくれたようだが、それでも否応なく人の目を引く。白銀と金を織り交ぜた髪は日差しの下で眩く揺らめき、薄桃色の影を帯びたドレスは空と海の青に映え、彼女の存在を際立たせるように思えた。少し離れた場所で二人組の紳士が彼女を見ながら何かを囁き、興味を滲ませて歩み寄るのが目に入る。彼らの意図を測るまでもなく反射的に足を速めると、潮風が頬をかすめて靴音が硬い甲板に鋭く響き、彼女の前に立ったときには既にその手首を掴んでいた。)
待たせました、Ms.ルーナ。こっちへ。


(/こちらこそ、日々愛らしいベアトリス嬢とのやり取りを楽しませていただいております!場面転換後の交流文もありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします!また、日毎の出来事を下記の通り航海日誌としてまとめておきたいと思います。事件発生後の状況整理などにも活用できたらと考えております…!)


航海日誌

1日目
豪華客船レガリア号は、サウサンプトン港を華々しく出航。船はイギリス海峡を東へ進み、フランスのブレスト岬沖を通過する。
ギルバート・モラレス侯爵は、同船していたクラリッジ伯爵付きの画家アーサー・バートンの存在を知る。彼の画才を聞き及んでいた侯爵は、自らの肖像画制作を依頼した。

2日目
午前、モラレス侯爵の客室にて、アーサーは肖像画のための下絵を描く。その場には、侯爵の愛人ベアトリス・ルーナも同席していた。
アーサーの絵が持つ「対象の奥深い本質を捉える力」に強く惹かれたベアトリスは、彼に密かに自身の肖像画を依頼。二人は翌日の同時刻、誰にも知られぬようスケッチを行う約束を交わした。




32: Beatrice [×]
2025-02-01 21:12:01




──今日をとても楽しみにしていたの。会えて嬉しいわ。……Mr.アーサー、えぇと。
(足早に近づく靴音が響く中で彼の姿を見た瞬間、安堵の表情を浮かべる。短い時間の接触ではあったが昨日対面した彼が、決して約束を破るような酷い男には見えなかった。それでも、多くを考えた後に冷静にリスクの大きさを客観的に見れば、手を引くことも十分にあり得たはずだった。だからこそ今ここに彼がいてくれるという事実がとても嬉しく、胸がきゅっと高鳴る。自然と口をついて出た言葉は今の気持ちそのままであり、照れ隠しせずに素直に伝えた。それから少しの間、顔を上げたまま視線だけで手首に感じる力強さを示し、困惑の色を浮かべて眉をわずかに垂らしながら言葉を濁すこととなり。昨日、鉛筆を握っていたその手は指先が長く美しい手だと思っていた。けれど今、手首を掴んでいるその手は記憶の中よりもずっと大きく男らしくて、予想外の力強さに心臓がどきんと高鳴る。驚くと共にその気持ちを誤魔化すようにもう片方の手をそっと彼の手に重ねながら、少しだけ声を低く、潜めた声量で伝えて)
………そのように掴まれたら、痛いわ。

(/航海日誌!何から何までありがとうございます…!!後ほど保管ページに追記させて頂きます!振り返りがしやすくなるので本当に有難いです。それでは引き続きよろしくお願いいたします!)




33: Arthur [×]
2025-02-02 00:05:08



…!失礼。…こちらこそ、お会いできて光栄です。
(細い手首を咄嗟に掴んだ手の上から控えめにもう片方の手を添えられ、繊細な体温を感じると同時に我に返り、力を緩めて手を放す。喉の奥にわずかに引っかかるものを感じつつ短く一言謝り、それから視線をちらりと横に流して、先ほどの紳士たちがこちらの行動を観察したのち、踵を返してその場を去るのを見届けた。少しだけ肩の力を抜いたものの、まだ安心はできない。敢えて社交の場に相応しい口振りで挨拶を返しながらも、その言葉とは裏腹に、早くこの場を離れたいという焦燥が胸の内を突いていた。周囲の視線がひとつでも増えれば、それだけこの密会が露見する危険も増す──考えるほどに落ち着かなくなり、声量を抑え手短に移動先を伝えて。彼女が迷うことなくついてくるのを確認できたなら、デッキの喧騒から離れ、二等客室の階へと続く階段へ向かうだろう。)
……下の階に。


(ご確認ありがとうございます!そう仰っていただけて良かったです…!お手数をお掛けしてしまいますが、保管庫への転記をよろしくお願いします。それでは背後はまた引っ込ませていただきますので、何かありましたらいつでもお呼びくださいませ!※こちらご返信はお構いなくです)




34: Beatrice [×]
2025-02-02 17:15:45



(伝えられた行先をそのままの意味で受け取るならば、理解することはできる。しかし向かうまでにどう進むのか見当がつかずに浮かぶ不安も、彼が先に歩みを進めてくれることで次第に薄れていき。彼の背中を追いかけて置いていかれることのないようにと、少しでもその距離を縮めるように足を速めて。落ち着いた喧騒から逃れるみたいに階段を急ぎつつ降りるその足音が、軽やかに”タンタンタン”と響き渡る。それはまるで世間から切り取られたようなこの空間で二人だけが知る秘密の時間にも思え、同じように胸が高鳴るほどの楽しさを感じさせてくれた。行き先が分からないことも今となっては大きな不安ではなく、先程までは雲に包まれていたように漠然と抱いていた不安も彼が一緒にいてくれるだけで次への期待に変わっていた。そうしてたどり着いた二等客室のフロアで周囲を見渡しながら今この場所がどこであるのかをゆっくりと悟り、どこか懐かしさすら感じる馴染みのある空気に無自覚にも微笑みが浮かんで。先を進んでくれる背中に目を向けて呼びかけるように彼の名を口にし、それから最後に続けるのは少し遅すぎるかもしれない問いかけで。)
Mr.アーサー、……向かっているのは、どこ?




35: Arthur [×]
2025-02-03 01:00:22



足元に気をつけて。
(デッキを離れると潮風が途切れ、代わりに船内独特の静かな圧迫感が広がった。船の奥から響く機関の低いうなりが壁を伝い、床を這うように微細な振動を送り込んでくる。背後に声をかけつつ一定のリズムで階段を下り、階下に降り立つとそのまま長い通路を進んでいく。両側に規則正しく並ぶ客室の扉はどれも同じ深い木目の装飾が施されており、一等客室のような華美な意匠こそないものの、整然とした実用本位の落ち着きを備えている。黙々と歩を進め、やがて自室の前に到着する頃、背後から尋ねられてようやく肝心の行先をまだ伝えていなかったことを思い出した。「自分の客室だ」と言いかけた口を一度噤む。我ながら呆れるほど今更ではあるが、女性であるベアトリスを唐突に自室へ招き入れる行為は、或いはとても軽率で無神経な行いではなかろうか。第三者に見られる心配が及ばない場所を選択したつもりで、当然他意は無いが、彼女の気持ちを慮るべきだったかもしれない。以前、社交の場での失敗後に伯爵夫人から釘を刺された記憶が蘇る。“貴方は絵以外のことには木のように鈍感なのよね。女性の気持ちにはもう少し注意を払うべきではなくて?”──あの言葉を適当に受け流すべきではなかったと、この場で反省しても遅い。実際に見て貰った方が判断も容易いだろうと、ポケットから鍵を取り出して鍵穴に差し込み、手首を捻る。カチリと鈍い音が響いた後に扉を押し開けば、薄暗い簡素な室内には折り畳まれた画架に画材の詰め込まれた木箱、開きっぱなしのスケッチブックなど、自身の気配を色濃く宿した空間が広がっている。それらを確認したであろう彼女の表情を窺うように視線を向け、言い訳でもするように口籠り)
……ここなら誰にも見られずに済むかと……、……気が進まないなら他の場所でも。




36: Beatrice [×]
2025-02-03 20:52:45



(一室の前でふと足を止められた。先ほど投げかけた問いに対して、わずかに逡巡を滲ませながら言葉を選ぶ彼。その姿に睫毛がそっと揺れるような静かな瞬きを返すして。懸命に言葉を紡ごうとする様子とどこか気まずそうな眼差しに気がつくと、この場に相応しくないと分かっていながらもどうしようもなく愛らしく思えてしまい。そうなれば自然と微笑みがこぼれ、ふふ、と柔らかく綻ぶように笑い声をこぼし、バツの悪そうな彼とは対照的に、にこにこと微笑みを浮かべ。行き先が明確になったその瞬間、驚きがなかったと言えば嘘になる。それでも作品に対して真摯でひたむきな彼が不純な動機を抱いているとは到底思えなかった。一般論としてそう映るのかもしれないと、今この瞬間になって気づいてしまったと言葉なく伝わる彼の様子に自らの考えが間違っていないと確信できた。そして開かれた扉の先を覗いた瞬間?? 目に飛び込んできたのはまるで別世界に迷い込んだかのような光景だった。そこかしこに広がる画材の数々と、開かれたままのスケッチブック、それらが醸し出す空気に胸がくすぐられるような感覚を覚えずにはいられなかった。湧き上がる好奇心を前にこの場を断る理由などあるはずもなく、感謝の言葉とともに答えを返して。)
場所を提供してくれてありがとう。……この香り、──画材の匂い? 素敵ね。この空間には、まるで芸術家アーサーの魂が満ちているみたい




37: Arthur [×]
2025-02-03 22:50:37



(反応を待つ間は無意識のうちに下唇を浅く噛み、些細な仕草で気持ちを誤魔化した。やがて口を開いた彼女の声音と微笑みは静かに室内に溶け込み、その言葉にはこちらの躊躇いを見抜いたような気配がありながら、それをからかうでもなく、ただ穏やかに受け入れてくれるようだった。その柔らかな余韻が妙にくすぐったく、気恥ずかしさを覚えるが、少なくとも不快な思いをさせていないのだと確信できて安堵し、開かれた扉の奥へと視線を戻す。彼女の言葉に倣うように室内を見渡し、薄く息を吐いた。出港からわずか二日しか経過していないにも関わらず、部屋の中は既に雑然としており、良いように言えば制作のための環境が作り上げられている。自身にとっては画材も画帳も全てが生活の一部であり、乱雑にも見えるその空間さえ当たり前の風景だが、こうして改めて他者の視点を通せば、それらは確かに“芸術家の空間”と呼べるのかもしれない。警戒されるどころか興味深げに受け止めてくれたことにもう一段肩の力が抜け、しかしそれを表に出さぬよう口元を引き締める。扉を開けたままそっと身を引き、彼女がこの部屋へと足を踏み入れるのを迎え入れるように促して)
……大したものではないけど、好きに見てくれて構わない。




38: Beatrice [×]
2025-02-04 10:35:24



本当に? それなら、Mr.アーサーが描きたくて描いた作品が見たいわ。あなたほどの画家が”描きたい”と心を動かされる題材も、それをあなたの目を通してどのように映し出すのかも??。
(彼が開いたまま支えてくれている扉。その心遣いに感謝を抱きながら、一歩、また一歩と部屋の中へと足を踏み入れた。途端に植物のような瑞々しい香りと、シンナーのようにぴりりと鼻を刺す匂いが混ざり合って鼻腔をくすぐる。それらはきっと絵の具や溶き油、紙や木材?? さまざまな画材が持つ匂いなのだろうと推測をして、未知の世界へと足を踏み入れた探検家のように心が自然と弾んだ。そんな折、“好きに見ていい”という寛大な許しを得て、心が躍るのを隠せずに微笑む。これから彼が描く自分の肖像画が、彼にとってどれほどの意味を持つかなど考えもしない。ただ、純粋に、彼が”本当に望み、心惹かれるもの”を知りたい。その想いに、まだ自分では気づいていなかった。ゆっくりとした動作で部屋の奥へと進み、ふと目に入ったのは開かれたままのスケッチブック。その中には、威風堂々と佇む貴族の姿が描かれていた。彼の筆致が生み出した端正な顔立ちとその堂々たる立ち姿??必要以上に美化されているだろう仕上がりに思わず目を細め、ぽつんと心に浮かぶのは彼の才能に茶々を入れることの愚かさと、それを疎かにすることの勿体なさだった。ふと、スケッチブックへと向けていた視線を彼へと戻す。控えめに綻ばせた微笑み。その奥には静かに奮い立たせるような意志の強さが秘められていて。)
───お願い。私を描くときは、『よく描こう』としないで。それ以外は、どんな仕上がりになっても、絶対に口を出さないわ。



39: Arthur [×]
2025-02-04 15:08:37



(彼女に続けて室内に入り、後ろ手に扉を閉めれば、人の行き交う廊下の賑やかさから遮断される。“描きたくて描いたものを”と、そう求められて自然と視線を向けたのは、壁際に立てかけられた一冊のスケッチブックだった。片手で拾い上げて指先で表紙を撫で、ぱらりとめくれば、最初に現れるのはサウサンプトンの港の光景。朝焼けに霞む波止場、湿った石畳を叩く馬蹄の音、行き交う荷車。乗船を待つ人々の表情、見送りに訪れた家族の姿、黙々と荷を運ぶ労働者たち。船を見上げる群衆の中には、期待に目を輝かせる少年もいれば、不安げに指を組む女性もいる。さらにページを繰れば、この船旅の記憶が幾枚にも渡って映し出されている。一等客用の広間、チェス盤を挟み静かに対峙する老紳士たち。夕暮れのデッキ、海へ向かって紙飛行機を飛ばす子供。機関室近くの廊下、煤けた作業服のままうたた寝する整備工。三等客用の食堂、酒を酌み交わし陽気に笑う男たち。写実的な筆致が細密に描き込まれた場面もあれば、荒々しく未完成のまま留められたものもある。感情が強く揺さぶられた瞬間ほど、未完のまま残されているのかもしれない。──背後で机に広げたスケッチブックを眺めていたベアトリスが静かに言葉を紡ぎだし、その声に反応して振り返る。「よく描こうとしないで」、そこには冗談めかした軽さも、誇張した謙遜もない。ただ真直ぐに向けられたそれが彼女の本心なのだと、迷いなく受け止めた。確かな響きを以て返事をすれば、余計な言葉は挟まず手にしていた一冊を差し出す。彼女がそれを受け取るのを見届けたなら、スケッチの準備に取り掛かるだろう。)
当然そのつもりだ。……これを。


(/航海三日目も大変楽しい交流をありがとうございます!直近の展開についてご相談をしたく、背後よりお声がけさせていただきました。
この後スケッチに着手していくかと思いますが、その過程でアーサーがベアトリス嬢の本質に触れながらも、結果的に「今の自分では彼女を描けない」と痛感して挫折を経験する流れを一案に考えております。妥協してただの美しい肖像画に閉じ込めることは出来ないと判断した上で、この日スケッチの完成は断念し、ベアトリス嬢や事件の捜査に関わる中で内面的に成長できたら、その後改めて再挑戦させられればと思っております…。もし背後様に他のお考えがあり、その点でご不都合などございましたら別の展開でも問題ありませんので、ご意見頂戴できますと幸いです!)




40: Beatrice [×]
2025-02-06 16:47:56



ありがとう。───ふふ、素敵。
(受け取ったスケッチブックをそっとページを開けば、まるでこの瞬間へと誘われるような感覚に包まれる。描かれた光景は単なる絵ではなかった。まるで風が、光が、声が、そこに息づいているかのように目の前に広がり夢中にさせる。)
Mr.アーサー、貴方が描いた作品はページを開くだけでこの瞬間に連れていってくれるのね。
(手渡されたスケッチブックを愛おしげに抱きしめるように持ち、慎重に指先でなぞる。容易に捲ることができず、一枚の絵をじっくりと見入るとレガリア号に乗る人々の期待や喜び、そして不安までもが細やかに描かれて、次のページでは穏やかに広がる海の景色がただの背景ではなく物語の一部として息づいていた。目を細めながらそこに切り取られた一瞬一瞬に触れることで、まるで見逃していた場面が蘇るように絵の中にいる人々の笑顔や囁き声までも感じられる気がした。そんな風にスケッチブックの中の世界に浸っていると準備を進める彼の立てる微かな物音が耳に届いてそっと視線を上げて。それから彼を見つめる瞳には信頼と尊敬が宿っていた。この人は、ただ風景を写し取るのではなく、そこに流れる時間や感情までをひと筆に乗せて描いている。そんな彼の手で、自分はどのように描かれるのだろう。飾らない自分を、この人はどんな眼差しで捉えるのか── 期待と、そしてどこか試すような気持ちが、ふっと唇に微笑みを咲かせて)
……Mr.アーサー。スケッチの間、少しだけ私についてを聞いて欲しいのだけれど、構わない?


(/お返事遅くなり申し訳ございません…!ご相談もありがとうございます!とても素敵な流れに今から楽しみで仕方がないです…!是非ともいまお伺いした流れで進めて行ければと思います。スケッチをして頂く際にベアトリス視点では場を持たせるために(そこには無自覚ながらアーサー様に己のことを知って欲しいの意味を持ち)聞き流して貰っても構わないという認識で自分語りと振り返りをさせようかなと考えておりました…!)




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