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野良犬達の冬(SF/ディストピア/シリアス/若干ファンタジー要素あり)/28


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26: つぎハギ [×]
2024-11-18 06:04:55

>24 金猪様

【旧魔法都市跡】

……?通知が来ている?ああ、なるはど(ふとスマホを見ると仲間からの通知が入っていた。どうやらM&A社部隊が接近しているらしい、おそらくリボルバー片手に死んだ奴を追ってきた掃討部隊なのだろう。つぎハギはスマホで″了解。先程、絶命したアルゴル兵を発見したが、おそらく奴を追ってきた掃討部隊の可能性がある。引き続き監視を頼む。俺の推測が間違ってなければ、奴らは派手な色をしているだろうから発見しやすいはず。″とメッセージを送信する。M&A社はこの星で最も最強の組織、元軍人どころか、闇バイト感覚で応募してしまった一般人の疑惑がある末端の兵士はM&A社の威を借る狐の如く白や黒、はたまたもっと派手な色を使って自分達は強いと誇示しながら自己顕示と威圧を行い、己の弱さと不安を隠そうする光景をつぎハギはよく見てきた。M&A社のテリトリーで敵の残党を狩るだけの掃討部隊、しかも死にかけ哀れ男を殺すだけのリスクの低い仕事は末端の兵士に押し付けるだろうと彼は推測しているが、この推測は必ず当てはまるとは限らない)

……(一回メッセージを送信した後もつぎハギは続けて″だが、身の危険を感じたらすぐにその場を離れてほしい。あくまで自分の命が一番と考え、無茶しないでほしい″と送信する。掃討部隊は末端の奴らしかいないと結論付けたが慢心は決して出来ない。M&A社の装備は末端の兵士でも充実しているし、思わぬ乱入者によって状況が悪化するかもしれないと全ての可能性を考慮しなければならない。金猪の実力が高い事はつぎハギも知っているものの、くれぐれも無理をしないように伝え)

(/こちらこそ、よろしくお願いします!もし、質問等がございましたらいつでもご相談ください。)

(/質問ですが、金猪様の絡み文は金猪様、ジズ様、つぎハギの三人がいる状況なのでしょうか?)


>25 エフィミア様

【旧魔法都市跡】

!?……マジかよ!?(人生に一度は間が悪いと感じる時があるかもしれない。野良犬の如く、都市を徘徊して広場にやってきた時に着陸しようとする2機のティルトロータと1機の大型輸送機タイプの垂直離着陸機と鉢合わせしてしまったつぎハギも同じように感じただろう。彼は慌てて逃げた先に偶然、騎士団が物資補給用に掘った穴へとつながるハッチがあったので駆け込むように入りこんだ。ハッチの隙間から様子を伺うと任務を終えてきたのだろうか?M&A社の重装備兵が完全な統制のもとで俊足に動き、多数の人型機動兵器とクモによく似た多脚戦車が整然と並ぶ光景は無駄な動きが一切なく、この部隊がかなりの手練れの連中ということだけは理解できる。重装備兵達の装備も最新のもので軍服の色も瓦礫まみれの市街地に擬態できるようにモノトーン色の都市迷彩を施されており、派手な色を好む末端の兵士とは見た目からして明らかに違う。この部隊の異質さにつぎハギも驚きを隠せず)……あいつら何だ?相当な手練れだが……

特殊部隊員「隊長、こちらブラボー1。最優先目標のHVI(敵司令官)を無傷で確保。5名のHVI(敵将校)も無傷で拘束。回収目標のパッケージ(コンテナ)とインテル(書物)も無傷で確保しました。全てのターゲット(作戦区域内にいる全てのアルゴル兵)を排除。全隊員無事、損害ゼロ。次の指示をお願いします。」(着陸した輸送機の周辺に集まる兵士達の中でモノトーン色の都市迷彩が施された巨大な兵器がゆっくりと姿を現す。全身を覆う装甲は光を吸い込むように鈍く輝き、各関節には白と黒のラインが走っている。操縦者の動きを忠実に再現し、まるで自分の体の一部であるかのようにしなやかに動作するその姿は、見る者に圧倒的な存在感を与える。この兵器はスカベンジャー達から″アームスーツ″と呼ばれ、持っている巨大な銃器は生身の人間が弾け飛ぶ程の高い火力を持つ恐ろしい武器だ。しかも熟練の軍隊に支給されるような最新のモデルなのでRPGに平気で耐えられる頑丈な装甲を持っている。周囲の状況を冷静に見渡し、アームスーツの目の前に駆け寄った兵士が敬礼して報告するのを短く頷いて聞いている様子から隊長格であるのは間違いないだろう。兵士の報告は状況を簡潔かつ分かりやすく伝えていて、喋り方からも上下関係が明確で規律正しく、高度に組織化された集団を思わせる。そして、何よりも報告で独特な専門用語と略語を多用している所からこの部隊は元アメリカ軍特殊部隊で間違いないだろう。彼らの正体を知ったつぎハギは恐怖で身震いしてしまい、見つからないように思わず祈ってしまい)嘘だろ……元アメリカ軍特殊部隊の連中かよ……どうか、見つかりませんように。

特殊部隊長「よし!全隊、撤収作業にかかれ!慢心するな、生きて全員帰ることを最優先だ!」(報告を聞いた隊長は輸送機の後部ハッチが開いていることを確認すると自分のアームスーツに備わってる通信機を通じて全隊員に撤収を命じる。命令を受けた隊員達は即座に動き出し、昆虫でいう腹部にあたる部分の格納ポッドに拘束した人間を詰め込んだ多脚戦車6機、書物の入ったダッフルバッグを背負う隊員、周囲を警戒していた他の隊員の順で輸送機に乗り込む。上空から複数のティルトロータが飛んでいたが、あの中のどれかにコンテナが積んであるのだろう。撤収作業は3分もかからない短い時間だったが、ハッチに隠れるつぎハギにとっては途方もない時間に感じた。最後に残った隊長は全ての撤収作業が終わったのを確認すると通信機を通じて上層部に任務を終えたので帰還すると報告し、輸送機に乗り込む。隊長が乗った後、輸送機は後部ハッチを閉じて飛び去っていき)


くそ……芝刈機感覚で命を刈ってやがるな……(輸送機が飛び立って消えていくのを確認した後、ハッチから飛び出して広場を脱出し、特殊部隊が活動していたであろうエリアに言ってみるとおぞましい光景が広がっていた。街の通路を埋め尽くすゴロヴァ・デモナの傭兵の遺体、建物内も同じ亡骸がたくさん転がっており、戦闘車両と兵器も無残に破壊されていた。まるで雑草を刈る芝刈感覚で殺しているような感じがして、殺されているのが敵ながらも少し気分が悪くなる。犯人は先程見掛けた特殊部隊の連中だとすぐ分かり、上空を見上げると皆殺しにした犯人達が乗っているティルトロータ数機が飛び去っていくのを目撃した。スカベンジャーとしてはこの上ない絶好の機会だが、広場で肝を冷したのと皆殺しにされた悲惨な現場を見たつぎハギは少し漁って早めに脱出しようと決めて)他の奴にとってはチャンスかもしれないが、俺はこんな場所に長居したくない、さっさと脱出しよう。


……誰もいない(地獄のようなエリアを脱出し、しばらく探索しながら進んでいたが、スカベンジャーや騎士団どころか敵兵が一人もおらず、唯一見掛けた動く物は雲ひとつない青空と朝日を楽しむかのように徘徊しながら浮遊している呑気なM&A社の偵察ドローン一機だけだった。敵兵がいないのはさっき見掛けた特殊部隊によるものか、このエリアで兵士を派遣するほどの価値がなくなった理由からと考えてみたが、答えが出なかったので気にしない事にした。野良犬である自分が真実を確かめる方法なんてないのだ。自分に出来ることは朝日が当たり、ノスタルジーを感じさせるこの廃墟の街を進んで生きることだと言い聞かせて探索に戻る)

……ちょっと、疲れた(青空の下で瓦礫と兵器の残骸を掻き分けて魔法都市の探索を続けるが、収穫はあまりない。ここは魔術の研究をしている者達が住むエリアのはずだが、侵略戦争の影響と保存状態の悪さによって売り物にならない魔術本が多く、見つけたのは侵略前の魔法学校で新入生向けに配布された魔術の教科書は二束三文にしかならず、期待していた程の成果が挙げれなかった。誰もいない廃墟では風の音しか鳴っておらず、つぎハギは自分が一人だけの世界で遭難して放浪しているのではと錯覚する程の孤独な空間は特殊部隊がいたエリアで疲弊していたつぎハギの体力を奪っていく。疲れが溜まっていると感じた彼は予定より早く休憩をとる事にした。休憩できそうな場所はどこか見渡してみると住居らしき建物を発見し、疲れていたからか重い足取りで歩く。廃墟の入り口についた彼は念のためにリボルバーを取り出し、周囲を警戒しながら建物内に足を踏み入れよとしているが、疲労感のせいなのかつぎハギはエフィミアの存在に全く気付いていないようで)……この建物なら、丁度いいな。

(/こちらこそ、よろしくお願いします!もし、質問等がございましたらいつでもご相談ください。)

(/導入が長くなりすぎて長文になってしまいました。すみません)

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