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〆路地裏徒然/46


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41:  [×]
2024-10-23 03:33:35

ぅ、ふ──
(当然の事ながら人間は美味しくない、薄い皮膚が僅かに突っ張ってじゃれるような傷なんて残りはしない其れで、どうせなら飼い主様に擦り寄る薬漬けの猫のように甘えた声で鬱血痕の一つでも上手く残せるような薄汚れた大人だったなら──油断のひとつでも誘って自由になるために喉笛を噛み切ったに違いない。親猫が子猫を叱るように引かれた首後ろに、冷たい灰色が身を貫いてにゃあと鳴くことも許されない。無防備な飼い主様が悪いと言う隙も無いままに押し付けられた体温に閉口し喉の奥で声を潰す。肌を擦る寝具にも髪にも飼い主様の香が纏わりついて、目の前からも同じに香りがする。知らず止めていた呼吸を浅く再開しても飼い主様は穏やかに呼吸を繰り返しているだけ。憧憬と羨望と、少しの恩義と抱えきれない忠誠心と憎悪を、抱え込んで、使い捨ての片目として護ってきた目の前の男の眠りを妨げる気は牙ごと抜かれてしまったよう。腕を回すことも無く、ただ全てから目を逸らすように瞼を下ろし抱き込まれたまま、せめて今夜くらいはこの冷たい飼い主の体温が己の熱であたたまればいいと爪先をそっと触れ合わせて)

──おやすみなさいませ、朱墨様

42: 朱墨 [×]
2024-10-23 22:15:16

(…懐かしい夢を見たような気がする、という懐古とも郷愁とも言えない程度の想念は、起床に伴い儚く崩れ落ちる夢見の記憶ともども速やかに失われて。冷え性の身には珍しく芯から暖まるような心地で上体を起こすと、それに対するあまりに明瞭な回答として隣へ転がる少女という異物が目に止まり。瞬間的に昨夜のいきさつが脳裏に蘇っては、未だうら若き相手の寝姿へ淡白な視線を落とし、まぁ悪くはない防寒だったなどという極めて無機質な所感を。それが相手にとって望ましい評価であるかはさておき、じきに灰色の瞳を逸らせば少女を起こさぬままに身支度を整え、一人部屋の外へと足を向けるだろう。一先ずは平生のルーティンとして、何か簡単な物でも胃に入れようと廊下を歩む音を止めたのは、微かに耳朶を掠めた野良猫らしきものの呼び声で。…しばしの間の後、薄く加工された肉片をはぐはぐと貪る身の黒い本家本元のネコ科動物が店裏に鎮座して。忽ちぺろりと平らげた口元をざらついた舌で舐ると、続けての催促の鳴き声と共にこちらを見上げる紫眼へ昨晩床を共にした飼い猫の姿が重なり。愛玩動物相手にも変わり映えのない面差しを向ける一方、そう満更でもなさげな口振りのもと再度身を屈め、手慣れた所作で追加を差し出して)

…強突く張りめ。全く、野良猫風情が……そうして一体、何人を誑し込んでいるのやら。

43:  [×]
2024-11-01 14:48:35

(/戻りが遅くなり申し訳ございません)

(薄らと差し込む陽光につられるように重たい瞼を持ち上げ薄らぼんやりとしたままの視界のなかで瞳だけを気怠げに動かした。部屋の中だ、しかも温かい布に包まれて落ち着く匂いがして、そこまで思考を溶かした後で身を起こして辺りを再度見回す。昨夜のままの部屋に足りないのは飼い主様の姿、大方寝ずの番だと言ったのは半分冗談で起こさないまま部屋を出たのだろうということは拙い思考も働いている。冷えた床に足を下ろし、寝床を綺麗に整えて、己の気配がそこに残っていないことを入念に確認し、前を整えただけの寝間着のまま部屋を出た。飼い主様は飼い主様の日常に戻ったに違いない。であれば自室に戻って着替えて____聞こえたのは猫の鳴き声、そちらへ歩み寄ることはせずに少し離れた位置からその声の主を眺めたのは単純に飼い主様が慣れたように猫と戯れているようだったから。正直に言えば驚いた顔をして、次に何とも言えない感情を飲み込んだ顔をしてぼんやりと飼い主様と猫の様子を見る。自覚はないのだろうが、飼い主様は存外猫に甘いらしい、そんな風にするから付け上がるのだぞ、猫風情が、可愛いけれど。あまり視線をやっていて気付かれても困る、と程々に、そっとその場を離れるべく身を半回転、)

44: 朱墨 [×]
2024-11-03 12:47:03

(/いえいえ、お気になさらず…!ただ、同衾回での展開をスムーズにする為に確定描写が多くなってしまった事を密かに自省しておりまして、もし何か当方のロルや展開などに気になる点やご要望などございましたら、いつでも気兼ねなくお伝えいただけますと嬉しいです。特に何もなければこちらはお蹴り下さい。以降もよろしくお願いいたします!)

……もうない。足りないなら他を当たれ。

(与えた肉片を全て胃に落としてもなお、こちらの指先へ触れる舌をすげ無く払い、頃合いかと腰を持ち上げて。しばし紫水晶を思わせる瞳がこちらを見上げていたが、やがて諦めたようにゆらりと尾を揺らしながら向かう先は、身を潜めるも獣の嗅覚までは隠しおおせなかったらしい少女の足元。にゃおん、と高く甘えるような声音と共に寝間着姿の彼女へ柔い身を擦り付ける様を見るに、どうやら先程投げた自身の放言が忠実に実行へ移されているらしい。…よもや見られていたとは。一体何時からそこへ佇んでいたのやら、全く間の悪い時ばかり起きの早い寝坊助娘だと、別段それで支障を来すという程のものではないとはいえ、多少の決まり悪さから上衣の広く空いた袖内で腕を組みつつ緩慢に近場へ寄り、足元の猫から相手へ視線を持ち上げては苦言を呈し)

……、起きていたか。盗み見とは、存外良い趣味だ。

45:  [×]
2024-11-04 21:04:12


(/滅相もございません!こちらの都合でなかなか顔を出せずにおりました…ご配慮いただきありがとうございます。こちらこそ引き続きよろしくお願い申し上げます!/蹴)


(背を向けた後だったからか否か、気が付かない間に此方へと来ていたらしい小さな獣は軽やかな鳴き声と柔らかい毛の感触を味合わせるように足元を這い、身を隠していた影の中で動かないまま視線だけ下げれば大きな瞳と目が合った。身体を少し離しても再び寄ってくる体温に諦めたように膝を曲げ、そっと持ち上げれば重力に従って長く伸びる身体。どれだけ与えられても満たされない空腹は、長い年月足りないままにされた欲や愛情まで埋められるものでは無いからかもしれない、と猫と己を不意に重ねたあと、視界に入った飼い主様の足先にこちらも視線を持ち上げて。猫を両手でぷらりと抱えたまま、にゃあと鳴くことはなく少し寝癖のついた長い前髪の向こうで猫のように目を歪め。勿論全ては冗談であるけれど)

起きたら広い寝具に独りで、しかも、朱墨様が別の猫にうつつを抜かしていたから──わたしも、この子も、満たされるには足りませんよ。甘いものをくださいな

46: 朱墨 [×]
2024-11-06 22:02:55

…は。小生意気な猫が、一端の嫉妬心程度は孕むとでも?

(まるで主に忠義を寄せるいじらしい従僕さながらの言い回しを躊躇なく鼻で笑い、戯言に他ならないそれを容赦なく一蹴する。通りすがりの猫をも口実とする強かさへ双眼を僅かに細めて、羽織風の袖から再度覗かせた指先に触れさせるのは明後日へと間抜けに弾む彼女の髪先で。その手に抱えた小さな獣に倣い、己の腹と愚劣さを晒して強者におもねれば一時は凌げよう。しかし、所詮は生まれに恵まれぬ下賤の者へ降り注ぐ甘露などある筈がなく、それでもなお身に過ぎた欲心を抱くならば他者から奪い殺し犯して勝ち取るまで。それこそが、それだけが自分達の流儀だろうと、相手の寝癖を見苦しく無い程度に整えてやりながら微かな朝の白息混じりに。とはいえ昨夜の働きを鑑みれば一考の余地はあり、適当な褒美を口にしようとした所で唐突に割り込むのは半端に抱かれたそれによる抗議の声。どうやら、餌の施しがなされないならばと、此方も此方で提供した愛くるしさと毛並みの見返りに図々しくも頭部や顎下の愛撫を要求しているようで)

お前の望む品は、働きに見合う対価としてしか払われまいよ。…まぁ、昨夜はそう悪くない枕では──。

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