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今はまだ、このままで( 〆 )/196


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自分のトピックを作る
21:  [×]
2024-07-24 23:02:28

え、何――……?

(聞き間違いか……? ほんの数瞬前には綺麗とか思った東の横顔が一際険しく見えた。いや、みえだだけならまだ良いんだが。なんつった? いい匂いになりたい? どういう呟きだ? 俺は思わずハッとして自分のシャツの襟をつまんで鼻を当ててみた。俺か。俺がくせぇってことか? ダメだ、匂い自分じゃ全然わかんね。
いやそもそもいい匂いに『なりたい』ってなんだ。……やっぱ聞き間違いじゃね? いい○○○になりたい……○○○……3文字くらいの響きで○○○……? 『いい女になりたい』……これか? いやそんなこと言うか? 東が? なりたいってのは願望だろ。ならやっぱりありえないだろ。だってこいつは既に――誰がみたっていい女だろうよ。いや知らんけど。
俺は改めて東を仰ぎ見た。人目をひく身なり。地味派手でいえば間違いなく派手。なのに今だって手櫛で髪を梳っていたり身だしなみにしっかり気を使ってる。一緒に歩いてるとたまにすれ違いざまに振り返ってみてる男がいるのも知ってる。それでいて実は気遣い屋。いつだかのグループ決めの時だって仲間内でトラブルならないように自分から他いこうとしてたのだって実は知ってる。結局鈴木の四人組案があっさり通ってたからそうなる事はなかったけど。俺みたいなのと一緒にいて自分の評判が落ちるとか思ってる節もねーし。いつだって堂々としていて。――ああ、そうか。だから俺は。こいつの横顔が綺麗にみえたんだ。見た目じゃなくて、その人となりが人を惹き付けるんだ。俺とはまさに正反対。谷も鈴木のそういうとこに惹かれたんだろうか。ま、いずれにせよ――)

……既になってんじゃねーか。

(いい女。まー俺にいい女の定義なんてもんはわかるわけねーが。少なくとも『いいやつ』だってのは自信もっていえる。そう、はっきり思った。)


22:  [×]
2024-07-25 00:30:18

は……?
……いやいやいやいやいやいや。なわけ──!

(既になってる?何に…?平の言葉の意味がすぐにはわかんなくて、ぽかーんとしてしまった。私、なんか言ったっけ。直前まで考え込んでいた内容に当然心当たりはあるけど、まさかそれ、全部口に出してた?私、どっからどこまで喋った……?完全に無意識のことだったから、うまく思い出せない。一体私は何を口走ったんだ。焦りながら視線を泳がせ、脳内で必死に直前の記憶を手繰り寄せる。とにかく私は、平があの可愛い子と並んで歩いてるとこ見てからずっと無性にモヤモヤしてて、仲良さげだったなとか、お似合いだったなとかいろいろ考えてて──ってこれ、思いっきりヤキモチじゃん。いや、今そこはどうでも良くて。さっき平もいい匂いしたし、私もあの子みたいな、平にお似合いのいい匂いする典型的な愛され系女子?まあ完全に私のイメージだけど。そんな風になれたら、私も平の視界の隅っこくらいには映れるのかなって──。
私が何を口にしてしまったか正確には思い出せないけど、もしかしなくてもこれってどう転んでも私に都合よすぎないか。だって、既に私があの子みたいないい匂いする可愛い子になれてるって、平にはそう見えてるって、そういうニュアンスじゃんね?たぶん。そんな考えが過ぎった瞬間、かぁぁぁっと顔中が熱くなって、顔の前で片手をぶんぶん振りながら全力で否定してしまう。いやだって私が遊びに誘った時に平が露骨に迷惑そうにしてたの知ってるし、そもそも私いま絶対汗臭いけど…!?私の願望とこの現状、何一つ掠ってないじゃん。やっぱ私の勘違い?夢?軽くパニックになって、自分の服の匂いをくんくん嗅いでみたり、ありえないだろ何言ってんだみたいなオーラ出しながら平を睨んでみたり、また自分を嗅ぎ直したり。ほんの数秒くらいの間に、あたふたと挙動不審に同じ動作を繰り返してしまった。変に期待させんな。ほんと勘弁してくれ。)

23:  [×]
2024-07-25 21:34:35

……なんでキレてんだよ……。

(いやいやいやとか謙遜してるわりにその変に鬼気迫る顔つきはなんだ。片手を激しく揺らしたかと思えば唐突に睨まれて、かと思えば自身を振り返るような動きをみせたりする東に、俺は胡乱な視線を向けた。様子が変――つか今日はちょいちょいおかしいか? まぁ、受験勉強ばかりやってりゃさすがの東だっていつも元気じゃいらんねーか。むしろよくあんなはしゃぐようなテンションでいつもいられるよな。
正反対とかいう前にそもそもの……スペックの違い、なんだろうな。人付き合いにしてもそうだ。一緒にいるとどこか肩の力が抜けるような空気をもってきて。場を保つために自分が損することも厭わない。自分だけが削られても笑って話すような強さ。
なあ東。俺は、東を見てるとなんだかたまに無性に泣きたくなるよ――……。
電車乗ってから感情の揺れ幅が大きかったせいか妙に眠い。必然両手でつり革に載せる体重も大きくなり、引き絞られたポリ塩化ビニルがぎちぎちと抗議の音を鳴らす。かたん、たたんと線路を滑走する車両の振動。立って眠るなんて器用なことは俺にはできない。けれど、何でだろう。隣に東がいるから。いてくれるから。少しだけ、目を閉じてみようか。つり革がまた、小さく揺れた。)

24:  [×]
2024-07-25 23:56:59

だってさあ……、

(だって、何なんだろ。指摘されてハッとして何か言い返そうとしたけど、結局何も思い浮かばなかった。普段から平の態度を見てれば、脈ナシってことくらいすぐわかる。だからこそ私は今も、たぶん平は私を褒めてくれてるんだろうなって思っても素直に受け止められなかった……違う。受け止めないようにするために、あんな態度取ったんだ。期待しないように。けど、誤魔化すのヘタすぎか。こんな不自然な反応してたら、本末転倒じゃん。今までみたいに変わらずいたいだけなのに、それってこんなに難しいことだっけ。私の気持ちが変わっちゃったからなのかな……。
さすがにさっきからテンパりすぎかもしんない。電車乗る前も、何かあったかって聞かれたしな……電車被んの久しぶりだからって、浮かれすぎ浮かれすぎ。せめて電車降りるまでには、平常心に戻らないと。そんなことを考えてつり革をぎゅっと握りしめ、気合を入れるように息を吐く。平からはこれ以上ツッコまれることもなさそうだな、変に思われてないならよかった。そういえば急に隣が静かになった気がして、ふと平の方を見てみる。え、寝て……る?
立ったままウトウトするとか、どんだけ疲れてるんだよ。勉強、ずっと頑張ってるもんな。受験生なのに片想いとかして舞い上がってる私とは違って。昨日も遅くまで起きてたみたいだし、それであんな面倒なことに巻き込まれたら眠くもなるか。平は、学費とか将来のこととかちゃんと考えてて……そんな頑張ってるとこに水を差すような真似、脈アリとかナシとか関係無しにやっぱ出来ないよなぁ。
私は、いつの間にか平の顔を覗き込んで食い入るように見つめていた。寝ながらバランスを崩さないかが気になって、ほんの少しだけ距離を詰めながら。てか、雰囲気ほんと変わったな……。今となっては中学ん時の平も可愛すぎるけど。急にオシャレになったし、相当努力したんだろうな……あれ?私いま、平の寝顔見てかっこいいって思った?ついこの間までは“そういう意味で好きなタイプじゃない”とか思ってたのに。こいつ、普通にかっこいいじゃん……。)

──っ、

(絶対真っ赤になってそうな顔を、空いている腕で咄嗟に隠した。一番見られたくない平に見られることはないだろうけど。寝ててくれて、ある意味助かった。)

25:  [×]
2024-07-26 01:33:56

“――お兄ちゃんなんだから。“

(妹が物心つく前からよく母親からいわれた言葉。『お兄ちゃんなんだから』しっかりしなさい。『お兄ちゃんなんだから』ガマンしなさい。『お兄ちゃんなんだから』ちゃんとしないと。俺は別に苦じゃなかった。と、いうよりそれは当然のことだと思った。まだ小さい妹の手本となるのは俺にとって当たり前だったから。お兄ちゃんらしく。お兄ちゃんとして。やがて少しずつ気づいていく。妹と俺と。一緒になにかをすれば決まって可愛がられるのは妹の方だという事に。親戚にも。近所の子供グループでも。きっと俺には人を惹きつけるなにかが足りないのだろう。でもそのなにかはわからないままだった。

『――え、アレが○○ちゃんのお兄ちゃんなの……えぇ』

妹の友達が家に来た時に向けられた言葉。
中学生だった俺には妹の友達から向けられた視線の意味を容易に理解した。

――○○ちゃんのお兄ちゃん太ってるんだね、と。

妹に恥をかかせてしまった。お兄ちゃん失格だ。
俺は剣道を始めた。どうせ強制の部活動。何かに入るなら少しでも痩せなきゃ。
きっとこの時期の俺はいつも顔色が悪かっただろう。体調崩して一人だけ卒業写真を別撮りしたのもそのせいだ。
……本当はわかってる。
妹に恥をかかせたのがイヤだったんじゃない。誰かにガッカリされたという事実が俺は受け入れられなかったんだ。
7分袖なんてあだ名をつけられた時、俺は何度同じことを繰り返すのだろうと思った。
髪型を変えて。
服を調べて。
友達グループでも一歩引いた視点から物事をみるようになった。なるべく自分のことは語らない。しゃべり過ぎない。でしゃばらない。
そうすれば――ガッカリされることもない。
昔の俺を知ってる東が同じ学校なのがイヤだった。絶対に相容れないと思ってたグループの一人。しかも女子。視線が苦手だった。
なあ東。
俺、お前から声かけられる度にビクビクしてたんだよ。なにか昔のことを吹聴されるんじゃないかって。
……それが。いつからだろうな、勉強でも寄り道でもなんでも。お前から声をかけられる度に嬉しいと思うようになったのは。たくさんいる友達の中で選んでもらえた、とでも思ってんだろうか。は、マジでキモいな。そんな訳ねぇのにな。それでも俺は、嬉しいと思ってしまうんだよ。こんなろくでもない感情に名前なんか到底つけられないけれど。)

……東……。

(『まもなく――に止まります。お出口は右側です。』
徐々に減速する車両によってガクンと肘の安定欠いて覚醒した俺は左右を慌てたように見回した。眼下に着座していた初老の男が居なくなっている。空いている椅子。)

あれ……ん、今何時……。


26:  [×]
2024-07-26 05:39:44

えっ……?

(今、私の名前呼んだ?聞き間違い?また心拍が速くなる。寝言……だよね?平をガン見していたことを自覚した私は、それがバレたんじゃないかって焦りながらおそるおそる寝顔を確認してみた。うん。まだ目瞑ってるし、やっぱ寝言だ。ホッとすると同時に、名前を呼ばれたという事実が嬉しすぎて頬が緩みそうになる。だって、寝言って完全に無意識じゃん。夢に出てくるくらい、私のこと考えてくれてる?いや、自惚れすぎか。さすがにこの状況で、立ったまま夢とか見ないよな。でも、寝てる時に眼中にない奴の名前呟くか……?平の頭の中に私なんか存在してないと思ってたけど、案外そうでもないのかな。平が私の隣で眠ってる時間が、名前を呼んでくれた瞬間が、私にだけ心開いてくれてるみたいで嬉しくてしょうがなかった。たとえそれが“友人”としてだとしても。
思えば“好き”って気持ちを自覚する前から、私は平を“友人”としても特別に思ってたんだろう。喋りかけやすくて、他愛もない話してじゃれ合うのが居心地良くて。平にはそれがナメ腐ってるように見えてたってのはマジ癪だけど。あの時ハッキリ否定しなかった私も私か。でも、今なら違うってよくわかる。平は私を利用したり、雑に扱ったりしない。それどころか、雑に扱われても何だかんだで許してしまう私の代わりに怒ってくれる奴。私が何かにモヤッててうまく言語化できずにいても、平の言葉はスッと入ってきて結局何度も救われてるんだよな。私にとっての平はそんな奴だから、変に気遣わずにいられる存在で……ナメ腐ってるんじゃなくて、信じてるから疑心暗鬼になる理由がないんだよ。私が好きになったのは、そーゆうめっちゃいい奴──。)

オイしっかりしろー。ほら降りるよ。

(うるさい胸元に手を当ててトキメキに浸ってたら、学校最寄り駅への到着案内が聞こえて我に返った。ちょうど平も目を覚ましたみたいだ。めっちゃ寝惚けてるけど。大丈夫か。ひらひらと平の顔の前で手を振りながら、平然を装って声をかける。言ってるうちに完全に車両が停止して、降りていく乗客たちを見ていたら何だかちょっと切なくなった。今日もこの時間、終わっちゃうな。あと何回一緒に通えて、どれくらい一緒に過ごせるんだろう。帰りの時間も合うといいな……やばい降りないと。密かに願いながら、下車を促すように平をちょんと肘で小突こうとした。)

27:  [×]
2024-07-26 16:25:47

お――……もう着くのか。なんか夢みてた気がするけど覚えてねぇ……。

(妹の顔がぼんやり浮かぶ。なんでだよ。アイツの夢とか……?
手のひらを向けてくる東に首を軽く振って応える。変な寝方をしたからか腕に重たい感触が残っている。それでも、短時間でも意識を遮断できた事で気分はある程度リセットされていた。肺に燻っていた溜まった酸素を深呼吸で吐き出して目元を擦る。目ヤニとかなかったのは幸いだ。車内アナウンスをぼんやりと聞きながら俺は昨日の暗記箇所を反芻していた。今の時期、起きた時には癖で必ずやってしまうこと。なんせ寝るとすぐ忘れちまいそうだろ。起きた時にちゃんと記憶してるのか自信なくてつい確認しちまうんだよなぁ……。
そんな事をやっていたらいつの間にか降りる駅に到着していたことを、東からの肘打ちで気付かされる。こいつわりと攻撃してくるとこあるよな……この間なんか北斗○拳されたし。またしても「いてっ」とか痛くもないのに反応しつつ促されるまま降車する。おっと暗記暗記……えーっとどこまで思い出せたんだっけか……。
)

――足、気をつけろよ……ほら手。

(降車するタイミングで車両と駅構内の溝をみる。いつみても怖ぇやつ。ガキの頃、これの隙間に足がハマるんじゃねーかってビビってたっけ。
そんな事を思い出したからなのか。それとも夢に出てきた妹のせいなのか。俺ははるか昔に妹にそうしていたように、後ろに向かって手を差し出していた。掴まれとばかりに。こともあろうに、東に向かって。)

28:  [×]
2024-07-26 18:37:13

……!

(平に続いて出口まで進んだところで、ふいに差し出された手。その手を見下ろしたまま、私は呆気に取られ固まってしまった。え、なにこれ。えっ……嘘。マジ?ひゅっと息をのむ。
いやさすがに、掴んでいいよって意味なことくらいはわかる。エスコート的なやつ。でも私、今まで一度も平にこんなんされたことないんだけど。何なら元カレにもないかもしれん……あんま覚えてないや。大概みんなスタスタ歩いてくし、そっちが普通じゃん?子どもじゃあるまいし、よく考えなくても躓くことの方がレアだもんな。なのに急にどうした。しかも平が。嬉しいっちゃ嬉しいけど、驚くわ。これは素直に喜んでいいやつなのか。正直戸惑いが先にきた。今日、私にとって都合良すぎることばっか続きすぎてないか。もしや、さっき思いっきり平に向かって倒れ込んだから暗にこれ以上面倒事起こすなって言いたいのか……?まさか私、すぐ転ぶおばーちゃんだと思われてる?これって介護?一瞬そんなことも考えたけど、でも。)

お、おぅ……?

(よくわからんけど、やっぱり嬉しい。単に足元の段差が危ないからっていう言葉通りの意味だとしても、仮に私にとってはよろしくない他の意図があったとしても。それでも平が私に向けてくれたやさしさに、甘えていいなら甘えたい。手を取らない選択肢なんか、あるわけないじゃん。やばい、超ドキドキしてる。ほんとにいいの的な腑抜けた声が出たし、反応が遅れて何人かに抜かされてったけど。手汗をスカートで軽く拭って、ちょっとソワソワしながら平の手に私のそれを重ねた。)

29:  [×]
2024-07-26 18:55:41

(よし、よし、よし。……忘れてない、ちゃんと暗記できてんな。逆再生とかだと怪しいけど。順繰りには覚えられてる……。
ほぅ、と胸を撫で下ろす。そうだ、東は……。
――ん、あ!? やべっ! 何やってんだ!?
瞬間、何気なく差し出した手がとんでもない事をしてると気づいた俺は東の手が重ねられた刹那に思いっきり引いた。つか、ちょっと触っちまった。)

――あっ、いや、違ッ……間違えちまっ……!

(全力で飛び退いたせいで足元はおぼつかずにたたらを踏む。顔が火がついたように熱い。いや間違えもなにもなにと間違えたんだっつー話。俺は引き抜いた手でそのまま顔を隠して俯いた)

~~~~~…………ッ!

(いやいやいやいやいや。恥ッず!!!
仮にこれ妹にやってたとしても「は? キモ」とか言われるやつだろ。俺だって妹とお手てなんか繋ぎたかねぇ。気持ちわりぃからな。
いやつか東もなんなんだよ。まさに妹と同じ反応でいいだろ。キモいとかいまだに慣れない言葉だけど今の行動はマジでキモイからな、言ってくれねぇと困んだろーがよ。俺は半ば責任転嫁の思考になりつつ東の方をそっと、恐る恐る見上げた。)

30:  [×]
2024-07-26 19:43:56

──っ、

(え、なに。今何が起きた?掴むものが消えて行き場のなくなった手を伸ばしたまま、わけがわかんなくて放心してしまった。え、なんで私こんなに拒否られてんの。手差し出してきたの、そっちじゃん。めっちゃ嬉しかったのに……結局私が勝手に期待して、勝手に喜んでただけなのか。それにしたって、そこまでイヤがることないだろ……。つくづく平の頭には私の存在なんか微塵もなくて、きっと入り込もうとすること自体迷惑なんだろう。知ってたけど、こうもあからさまに思い知らされたらグサッとくるというか──あ、やばいちょっと震えてきた。泣きそう。)

…………はぁ!?
先に手差し出したくせに、ばい菌触った小学生みたいな反応すなッ!

(私は無理やりすぎるくらいに威勢よく異議を唱えながら平に詰め寄り、グーにした両手でぽこぽこと殴りかかった。明るく振る舞おうとしたのは、涙目になりかけたのを誤魔化すためだけじゃない。平が望んでるのは“こういう反応”だって、端からわかってるから。私が平に好意を抱いたり、平の言動で一喜一憂したり、期待してしまうことが全部迷惑だっていうなら──何がなんでもとことん隠し通して、望み通り“友人”全うしてやる。)

31:  [×]
2024-07-26 21:07:45

いやごめんて!!

(東の攻撃。うおお……と思わず俺は背中を向けつつリュックでガードしようとする。というか駅だしそのまま構内から出る方へゆっくりと足を進める。東からというよりこの気恥しさから逃れたい一心で。しかし繰り出される拳のひとつひとつが当たる度に俺の中には『やっちまった』っつー思いがムクムク湧いてくる。ああいうのこそまさに寝ぼけてるってやつなんだろうな……他の事考えててもフツーやらねーよあんな行動。)

つか俺だけが悪い訳じゃなくね?

(なんて言い返してみたり。だってそうだろ。なんであの場で俺の手を取るんだよ。反応おかしくね? そうはならんだろ。別にバイ菌だとかは全然思っちゃねーけど……いやむしろあの時バイ菌扱いされるのなんて俺の方なんだけど。それはそれでやべぇへこむな……。
でも。まあ。正直、助かる。こうやってしょーもねー感じで返してくれる東のおかげで一瞬首をもたげた過去のなんかしらの嫌な記憶がリフレインするような事もなかったんだから。)


32:  [×]
2024-07-26 21:52:47

開き直んな。

(逃げる平を追いかけるようについて行きながら両手を交互に動かしてたけど、さすがに疲れてきたから徐々に力を弱めて適当なタイミングで殴るのをやめる。それでもさっきの平の意味不明な行動は解せなくて、なんかスッキリしない気持ちのまま歩き続けていたら。こいつ、人のせいにしやがった。
いや確かに、私からの好意が迷惑だとか手を繋がれるのがイヤだとか、そーゆーのだったら嫌がることした私も悪いけどさあ。平の方から手伸ばしといて後出しで拒否られるのは、さすがに酷すぎじゃんね……?どうも納得いかなくて、軽く睨みながらすかさずツッコむ。それから顎に手を添えて、さっきのアレで私のどこが悪かったのか一応考えてみることにした。)

……いや、でもさあ。
あれ以外なんかあったん?断る理由ないじゃん。

(……わからん。普通にわからなくて、すぐに考えるのをやめた。あの状況で他にどうしろっていうんだ。好きな奴から手差し出されて──とは、さすがに言えんけど。嫌でもないのに、手を取る以外の選択なんか何も思いつかない。平がいま言いたいことが、さっぱりわからない。脳内に大量の疑問符を浮かべながら首を傾げ、一体何がしたいんだと言いたげに問いかけた。)

33:  [×]
2024-07-27 00:59:17

いや俺が悪りぃのはわかってんだよ……。

(開き直ってるわけじゃねぇし、でもな……という言い分で東が納得するわけもなく。まーそりゃそーだわな、と俺も甘んじて攻撃を受け入れる。背中で。すまんリュックよ……。
などと考えていると下り階段に差し掛かる。降りる時の階段ってどういうわけかたまに怖い時あるんだよな、アレ次どっちの足だっけってなるっつーか。上がる時はねーのになんなんだ……。
いつしか東の攻撃も止まっていて。いや、まあ階段降りてる時に背中押されたら殺意高すぎだろってなるけど。その時、頭上背後から――そんな言葉が聞こえたものだから)

…………は?

(俺は立ち止まった。すぐ後ろからついてきているだろう東のことなんかまるで考えずに。階段の途中で振り返った。
――こいつ今なんつった?
断る理由ないじゃん。
コトワルリユウナイジャン……?
一度胸中に入り込んで理解したはずの言葉がまるでわからない言語かのようにその意図を誰何せずにいられなかった。喧騒に包まれていたはずの周りの音が、止まった気がした。)

34:  [×]
2024-07-27 01:51:12

っ!?何だよ危ないなー。

(目の前で急に平が立ち止まった。しかも階段下りてる真っ最中に。幸か不幸かちょうど平に質問したばっかで返事待ち状態だったから、すぐに気付いて私も慌てて止まったけど。普通にちょっとよろめいたし、ぶつかりかけた。もし私がぼーっとしたり余所見とかしてたら、絶対突き落としてたぞ……そう何回もぶつかってたまるか。驚きと困惑とで混乱しながら、こっちを振り返った平を見下ろす。
は?って言いたいのはこっちだよ。さっきからいろいろと意味わかんなくて気になるし、何かあったのかなって心配になるし。文句みたいな言葉を投げかけたけど、ニュアンス的には急にどうしたんだって心配の方が強い。こんなとこで立ち止まったら邪魔だろとも思うけど、もう私も止まっちゃってるし傍から見たら同罪だからそこはいい。いや良くないけど、真っ先に気になるのはそこじゃない。私、また何か変なこと言ったっけ。いや“また”も何も、さっきの件に限っては変なことしたつもりないけど。
マジで何がなんだかわかんないけど、平がこっち見たまま止まってるから。私もただただ止まって首を傾げながら、平の反応を待った。)

35:  [×]
2024-07-27 02:23:51

(視線が東を正面から上に捉える。いつもとは違った目線。東の方が頭一つ分くらいは背が高く見えるくらいだろうか。駅の階段に照明はなく、構内からの陽光がかろうじて届いているだけだ。ちょうど筒から差しはいるような斜光が東の明るい髪色を虹彩に反射していた。表情がよくみえないせいか、俺には東が未知の生物のようにみえた。
音がしない。いや、本当は駅の喧騒も東の抗議の声もみんな耳に届いている。でも、今の俺には自問自答する心の声の方がよほどに大きかった。
俺から手を差し伸べられて、それを断る理由がない。それってどういう――……。)

ッ…………!

(俺は何も言わずに踵を返して階下へと足を進めた。意図せず早足で。下り階段への恐怖などどこへなりと消えていた。
――東は何を考えてる?
なにも考えてない? ありえる。ただ単に軽口で言ってるだけとして……。俺ならどうだ? 例えばなんかのはずみで――それこそ俺が転んだとして、そこに東が手を差し伸べてくれたとして。俺はその手をとるだろうか?
……多分、とらない。大丈夫っつってそのまま起き上がる。別に東がいうようにバイ菌だなんて思ってるわけじゃない。でも、俺なんかが触れていいとは思わない。……だから。朝のアレは本当に俺にとって自分でも意外な行動だったんだと、痛烈に認識した。)


36:  [×]
2024-07-27 03:17:10

平……っ!

(何も出来なかった。何がなんだかわけわかんないまま、平が私を無視して階段を下りていく。そうだ、無視。こっちを振り向いてたのにまるで私のことなんか見る気ないみたいな顔して何かを考え込んで、かと思ったら私なんかこの場に存在してないみたいにさっさと1人で歩き出してしまった。さっきと同じ、完全な拒絶。微かに声を絞り出しながら右手を伸ばしかけたけど、ショックで私の反応が遅れている間に平の背中はどんどん小さくなっていって、とうとう人混みに紛れて見えなくなってしまった。
今からでも走って追いかけるべきなのか──そんな選択肢がほんの一瞬だけ頭を過ぎったけど、私の足は動いてくれなかった。こんなにも明らかな拒絶を見せつけられて、その原因もわからないのに追いかけてどうするんだって思ったから。他でもない平が私に近付かれることを拒否してるのに、追い縋るとかそんなの出来るわけないじゃん……。
あーあ。何でこんなことになってるんだろ。ただでさえ平との時間、残り少ないのにな。私、平に何かした?したかしてないかで言えば間違いなく今朝からやらかしまくってはいるけど、あの平の感じは絶対そんなんじゃなかった──うまく言えないけど、それだけは何となくわかる。隠す相手も強がる相手もいないと思ったら今度こそ瞳が潤んできて、紛らわすように俯きながらゆっくり歩き始めた。涙を堪えるために、一歩一歩を大袈裟に踏みしめながら。)

37:  [×]
2024-07-27 04:31:06

(とらない。とらない。とらない。いくつものクラスメートの顔が頭の中に浮かんでは転んだ俺に手を差し伸べてくる。でも、俺はその手を取らなかった。或いは谷や山田なら違うかもしれない。でも、女子からの手はどうあってもとらない。いや――とれない。
鼓動がうるさい。心臓の音が早鐘のように――いや、これは警鐘だ。なにかが変わってしまうような確信に対しての警告だ。これ以上考えるな。こんな、こんな受験を控えたタイミングで考えるようなことじゃない。でも。
東はあの時どんな顔をしていたんだろう。いつものようにあっけらかんとしていたんだろうか。そりゃ俺と東は違う人間だ。考えも違えば行動もまるで違う。俺の常識が東の常識だなんて思わない。俺は、手を取らないだけで。東の常識は手をとる。それだけの話。なのに。
じゃあ、なんで俺はこんなにショックなんだよ……くそっ、うるせぇな心臓の音……もう考えるな。深い意味なんかない。東におかしなところなんてない。東は誰かに差し出された手をとる。それが今日はたまたま俺だっただけだ。
だからもうやめろ。考えるな。
自分の気持ちなんて――他の誰かの手をとるんじゃねぇよ、なんて、考えるな。
なあ、東。安心させてくれよ。いつもみてぇに「こわっ」て呆れてくれ。俺のバカみたいな感情のバグをぶん殴ってくれ。)

…………東?

(気づけば俺は駅を抜けたロータリーに出ていて。振り返った視線の先に東の姿はなかった。)

38:  [×]
2024-07-27 06:53:50

(うーん、どうしよう。俯いたままのろのろと歩きながら私は、この後どうやって平と仲直りすればいいのか考えていた。いや仲直りも何も、べつに平と私はケンカしたわけじゃないんだけど……だよね?一体何が起きてんのか、さっぱりわからん。さっきから何もかもがわからなくて、だからどうしていいかもわからないんだ。
でも、実際平は私に触られてめっちゃイヤそうに手を引っ込めた。それから様子がおかしくなって、こっちが話しかけてんのに私を置いてってしまった。今までこんなんされたことないし、絶対“何か”があったんだ。明らかに平は、私を拒絶してる。私が何かしちゃったんだろうって、そこまではわかるんだけど──そっから先がマジで理解できない。
平が嫌がるようなこと。ひとつだけ心当たりはある。私が密かに抱いてる、平への想い。でも、たとえそれが平にとって迷惑なものだったとしても、こんなあからさまに拒否られるものなんだろうか。だいいち私はそれを平に打ち明けてもないし、打ち明けるつもりもない。ってか受験生だし、打ち明けてる場合でもないしまだまだ全然そんな段階じゃない。じゃあ、今朝のなんやかんやで平にバレた?にしては変な感じになるタイミングがおかしい気がするし、そもそも平の方から手を差し出してくれたんだから、やっぱりそういうのじゃなさそうだよな。
結局考えてもわからなかったし何も進まなかったけど、考えることでちょっとは冷静になれたかもしれない。いつの間にか涙も止まってて、こんな公共の場所でがっつり泣くことにならなくてよかった。)

次会ったら、ほんとどーしよ……。

(なんかぽそりと漏れたけど、まずその“次”がいつ来るかもわからないんだよな。クラスだって違うし、一緒に帰る約束してるわけでもない。家の方向は一緒だから会おうと思えば会えるけど──裏を返せば、会おうとしなきゃ会えないってことだ。もし平が私に会いたくないってなったら……避けようと思えばいくらでも避けられる。“次”とか曖昧なこと言ってないで、こっちから連絡した方がいいのかな。でも、結局そーなるなら今からでも追いかけた方がよくね…?考えすぎて頭ん中グチャグチャになりながら、完全に心ここにあらずで歩みを進めていった。)

39:  [×]
2024-07-27 16:27:06

ハア、……ハァッ……!

(別に大した事じゃない。グループってのは重要な、いわゆる中心人物がいてその周りに人が集まってる場合がほとんどだ。リーダーとか決めなくてもなんとなくそいつの意見で方向性が決まるっつーか。そいつが歩けばなんとなくみんなついていく。そして一顧だにされない奴もいる。俺はいつもそっち側。たとえはぐれても『まあそのうち追いつくっしょ』とか言われちまうタイプ。みんな心配してんだろーなって必死に探して合流した結果、『おー、どこいってたん』とかあっけらかんとされる。別に友達としてどうとか、大げさな話じゃない。俺はそういうポジションだ。いてもいなくても影響はしない。
だから。東だって次会った時に笑うだろう。はぐれてんじゃねーよって。いや、そもそも一緒にいく約束をしてねぇか。必死になるようなもんじゃない。次でいい。次会った時に普通にしてりゃそれでいいだろう。
なのに。)

ッ……なんで走ってんだ俺は。

(人が行き交う朝の駅構内をを駆け足で逆走する。なんつー迷惑な話。そもそも会ってどーすんだ? どんな顔して会話すりゃいい? わかんねぇよ。それでも。
東に会いたいと思った。そうしないとなにかが壊れてしまいそうで、怖かった。こんな必死になってる俺をアイツは笑ってバカにしてくれるだろうか。
人の波を縫って、ぶつかった人には声の裏返った「すみません」を投げて。俺は構内で視線を巡らせて、ただ東の姿を探した)


40:  [×]
2024-07-27 17:40:12

……何がダメだったんだろ……?

(今までにまともな恋愛をした事がない。始まりそうだと思ったら知らない間に終わってたり、始まったと思ってたのは私だけだったり。何でかしらないけどロクでもない男ばっかり好きになって……クズに惹かれてしまう私の問題だって思ってた。でも。初めて平みたいなちゃんとした奴を好きになっても、こんな風に原因もわからないまま拒絶されてるんだから。相手がクズだったとか、ただの言い訳じゃんね。たぶん、続かなかった原因は他にもっと──私の方にもあったんだ。さっきも私が気付かなかっただけで、どっかの何かがきっかけで平に私の好意を勘づかれてたのかな。やっぱ私には、鈴木らみたいにキラキラした恋愛とか難しいかも。まじめに好きなんだけどなぁ。
平のことだから、さっきみたいに私が変に触れたりしなければ、“友人”貫き通して普通にしてれば、今までみたいに接してくれると思う。でも、既に貫き通そうとしてこうなってるし──普通って何。マジムズい。付き合いたいとか言うつもりないけど、一緒にはいたい……友達でいいから。)

……?

(なんか前の方がザワついてる気がして、歩きながら目を凝らす。ゾロゾロと歩いてる周りの人たちが何かを避けるみたいに軽く道を空けてるような、不自然な流れ方してんなーって思ったら。ちょっと空いたその隙間から、平がすごい勢いでこっちに向かってくるのが見えてギョッとする。え。足速。歩くのも速いけど──てかやばい、驚いてまたぼーっとしてた。ぶつかりそう。)

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