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1対1のなりきりチャット
自分のトピックを作る
179:
平 [×]
2024-10-12 13:09:18
(東の睫毛が上下する。瞬きで揺れる度に重みを感じるそれはきっと努力の結晶の一つだ。ただでさえなにかと行動に移るまでが遅い俺にとっては化粧――毎日のメイクにかける労力、手間と時間は想像に難くない。誰に言われたわけでもない。求められてもいない。それは現代の自己研鑽だ。
人は見た目がすべてなどとルッキズムには思わないけれど、見た目が入り口となる事は間違いない。実際に自分でも痩せてみてこうも反応が変わるのかと驚いたものだ。人間は中身とは言うがそれは外見を疎かにしていい理由にはならない。
東は努力した。俺はしなかった。中学時代に感じたヒエラルキーの正体はもしかしたらそれだけの差なのかもしれない。
俺が自分で努力したなどと言うのも烏滸がましいが、その結果いまこうして東と一緒に居られるのは間違いない。別段見た目が良くなったなどとは思わないけど。それでも東に〝応援〟してもらえるきっかけは俺が自分で手繰り寄せたわけだ。変わらないままだったなら東との関係ももっと違ったものだったかもしれない。)
……ああ、なんだ。
(くだらない、実にしょうもない話だ。
――あんなに関係性が変わっていくことを恐れていた俺は、とっくに変わった関係性に助けられていたんだ。
なら。変わったことで救われたなら。さらに変わることでの変化を恐れるのはズルい、よな。
たとえ結果として悪くなったとしてもいい思いだけしようなんてのは虫のいい話だ。
…………それにしても。)
なあ。なにさっきからソワソワしてんだ……?
(考え事してたとはいえ見てるこっちも落ち着かなくなる東の動きに思わず顔を顰めた。)
180:
東 [×]
2024-10-12 16:24:54
え? えと……時間大丈夫なんかなーって。ほら、今日寄り道しすぎたし?
(突然の指摘に焦って、ちょっと声が裏返っちゃったかもしれない。私そんな態度に出てた? かぁぁぁっと顔に熱が集まる。動揺して身体が跳ねた拍子に持ってたウーロン茶を数滴テーブルに零してしまった。てか誰のせいだと思ってるんだ。平だよ。だって最近、やたらとこっち見てくるし……ってそれは考えすぎか。私が好きだから見られてるよーに見えちゃってるだけっぽい? にしても平への気持ちを自覚してから、今日に限らず割とよくこんな感じでソワソワさせられっぱなしな気がするけど。なんで今日だけいきなり鋭いんだよ。いつもは私の話なんかボーッと聞き流すのに。大体、私が平のせいでドキドキしてるなんて知ったら絶対困るくせに。その気がないなら、答えられて困る質問してこないでほしい。そっちが触れてこなければ、こっちだってちゃんと隠し通すから──。
私はどう誤魔化そうか内心あたふたしながら、紙ナプキンをホルダーから一枚引き抜く。拭き拭きと手を動かしつつ目を泳がせていればちょうど店内の時計が目に留まって、瞬時にこれだ! と閃いた。人差し指をピンと立てて、最もらしい理由を述べていく。……そっか、もうこんな時間なんだな。ありえんくらい寄り道しまくったけど、帰ったら早速勉強しなきゃだし、明日からはまた行き帰りの時間が合うかどうかさえ不確かな昨日までの日々に戻っていく。名残惜しい気持ちもあるけど、それ以上に──。)
……楽しかったな。
(自然と頬が緩む。あんなことはあったけど……こんなに平と二人で寄り道しまくったのは初めてだし、平からこーやって形に残る物貰ったのも初めてだし。間違いなく嬉しくて、楽しかった。私にとっての今日一日はマイナスな気持ちよりもプラスの思い出の方が大きくて、こーやって平と過ごせて良かったしできるならこの時間がずっと終わってほしくないなって思う。無理だってわかってるから、せめて明日からも今までどおりに。たまにでいいから、平といられる時間があればいいな。……ほんとは、ちょっとでも多く一緒にいたいけど。
ほんの少しの本音は隠しつつも、しみじみと呟いた言葉は紛れもない本心だ。飲み干してしまうのをちょっとだけ寂しく思いながら、今度こそウーロン茶に口をつけようとした。)
181:
平 [×]
2024-10-15 14:00:33
?…………おう。
(テーブルに滴ったウーロン茶が点々と描く軌跡はすぐさま東の紙ナプキンで形を変えていく。
水気を吸い取るには向かないそれが手を動かす度にゆっくりと水分量を減らしていくのを見ながら、俺は東が何を落ち着かないのか思い至った。
そうか、東お前――今日の出来事が気まずいんだな?
なにしろ見た目に反してフツーな感性をもってる東だ。男の趣味は最悪に近いしたまに何言ってんのか理解できない時もあるけど。いわゆる常識という尺度は俺のそれと近い気がしている。
今日あった出来事は俺が自分に置き換えるならどれもこれも気まずいものばかりだ。俺でさえ帰ったら後悔と反省で押し潰されるのが目に見えているのだから東が思い起こして動揺するのも無理からぬ話だ。
別に東が気にするような話ではないし情けない姿をみせてばかりだった俺よりは遥にマシだと思うが……。)
東――……。
(なんと声をかけたら良いか。そう考えながら口を開こうとした矢先。その東の呟きが耳に届いた。楽しかった?
あ……?
あれ? なんだコイツ。落ち込んで動揺して恥ずかしいわけじゃねーのか。
じゃあさっきの気まずそうな空気はなんだっつんだよ……。
あれか。総括するとギリ楽しかった的な……いやそもそも楽しかったと呟くわりに顔が全然楽しかったしてねーじゃねえか。うっすら笑ってるけど俺からしたら寂しそうですらあるわ。自分の発言と顔をきちんとあわせろよ……。)
…………ま、こういう日もあんだろ。またいこうぜ、健康ランド。
(今度はみんなで。山田とか鈴木とか好きそうだしな。今日楽しめなかった分は次に払拭すればいい。たとえすぐには消えなくても時間がゆっくりと消してくれる傷みもあるはずだ。
俺はテーブルの上ですっかり水気を吸いきった紙ナプキンに目をやって口元を綻ばせた。)
182:
東 [×]
2024-10-15 17:01:24
えっ珍し! 行こ行こ! まだ平とあそこのアイスクリーム食べてないし! ナベがクーポンめっちゃ溜めてたはず!
(口に含んでいたウーロン茶を急いで飲み込んで、すぐさま思いっきり頷く。興奮しすぎて思ったよりでかい声が出たし、謎に気合い入って両手をぎゅっと握りながらなんか変なテンションで返してしまった。いやだって、いつもまあ誰かがどっかに誘えばなんだかんだで平も来てくれるけど、平の方から人誘うこととか滅多にないじゃん。しかもタダでさえ知り合いとの遭遇率高くて、更にさっきあんなことがあった健康ランド。考えれば考えるほど、平が嫌がりそうな要素しかない気がする。今日は雨に濡れるっていうトラブルがあったから、仕方なく誘ってくれたんだろうなってまだわかるけど。そうじゃない別の日に、“また”。
意外すぎてビックリしたし、その分めっちゃ嬉しかった。平からそーやって言われたことも、私らに“また”があることも。たった今話にあがっただけで具体的にいつ行くかなんて何も決まってないのに、それでも平のそのたった一言で今日一日の平に対する申し訳なさとか別れ際の寂しさとか、一気に吹き飛んでしまいそうだ。
ワクワクと声を跳ねさせながらその勢いのまま残りのウーロン茶を飲み干し、僅かに残っていたパフェの溶けたアイスをスプーンで掬って口に運ぶ。あっという間になくなってしまったし、受験生にとっては時間的にもこれ以上遊んではいられないだろう。日時の決まってないふんわりとした提案が今日だけでいくつか挙がったけど、そんな楽しみの前にまずは勉強しないとな。平との約束があるだけで私は受験終了まで乗り切れそうな勢いだけど。)
──出る?
(空になった皿やコップを軽くまとめて一箇所に寄せてから、手元のスマホで改めて時間を確認する。平の方は飲み終わっただろうかと確認するように目をやりながら、そろそろ席を立つ準備をしようと私は隣に置いているカバンを手に取ろうとした。)
183:
平 [×]
2024-10-18 11:58:46
(不確かで形のない約束に身を乗り出す勢いで食いついた東に目を丸くしながらもなんとか頷き返す。
…………あれか。娯楽に飢えてんのか?
わかる話かもしれない。
学校いって勉強、家に帰って勉強。勉強勉強勉強。そりゃ息も詰まるって話。自分へのご褒美でもないとやってられないよな。
好きなゲームを買うでもいいしなんなら一日中寝るとかでもいい。
なにか明日が少しだけ楽しくなるような目標の日。
東にとってみんなで遊ぶってのはそれに値する報酬なのかもしれない。)
……だな。行くか。
(やにわに店内に増えてくる客足を見て手短に荷物をまとめる。といっても俺もカバンくらいしかねーんだけど……。
窓の外ではうっすらと街灯がともり始めて夜の兆しを現している。俺は伸ばした指先で丸まった伝票を摘むと重い腰をあげた。
おっと、ウーロン茶。コップをたくさん使った上に飲み残しとかマナー悪いどころの話じゃない。氷を避けて一息に飲み干すと胸から下が一気に冷える感覚に襲われた。
東のやつよくこれ一気で飲み干したな……。けほ、と小さく喉を撫でてからレジへと足を向けた。)
――東、今日は歩きか?
(精算を済ませてゴストをでると外は湿り気のある空気で出迎えてくる。雨上がりである事を思い出しながら駅の方へと足を進めた。東は移動手段が原付だったか……そんな事を思い出しつつ向き直った。長い一日が終わろうとしているのを感じながら。)
184:
東 [×]
2024-10-18 17:16:39
うぃ。なになに、一緒に帰ってくれんの?
(店を出て歩き出そうとした瞬間、こっちに向き直ってきた平からの質問に顔がニヤけそうになる。ていうかもうニヤけちゃってるだろうから、逆に開き直って思いっきりニヤニヤしながら冗談めかして答えてやった。朝の時点で雨は降ってなかったけど、なんとなく曇ってたから今日は歩いてきた。
この質問、最近ちょいちょいされるようになった気がする。しかも、当たり前みたいにさらっと。……やっぱり、なんか平の懐き度だんだん上がってきてる? 偶然とかじゃなくて意図して一緒に帰ろうとしてくれてる気がして、私の勘違いかもって心の中で言い聞かせようとはしてもちょっとは期待してしまう。ヘラヘラしながら返したのは、舞い上がってるそんな自分を誤魔化すためなのかもしれない。期待しすぎは絶対よくない。わかってるのに私の移動手段まで気にしてくれてることが嬉しい。って私、いちいち平の言動に振り回されすぎ。)
もう暗いから送ってくぜ的な? あーでも、“お前のため感”出してくるやつにロクなのはおらんか……。
(とにかく私が歩きな以上、まだ進行方向は同じだ。浮かれた足取りで駅に向かって歩き出しながら、からかい混じりに続けようとしてふと黒歴史が頭を過ぎり哀愁漂わせてボソッと呟く。
……あらら? てか私、今まで他の人と一緒に帰る時もこんなにソワソワしてたっけ。「危ないから送ってく」的な、ドラマのスダケンが言ってたら間違いなく最高にキュンなセリフを言ってくるやつもそれなりにいたけど……現実的に考えたら、暗いからとかただの口実じゃんね。私の経験上はもれなく全員下心しかなかった。そもそも暗いから何なん。夜道歩いてて声かけてくるのなんて、そこら辺にいるナンパ野郎ばっかだよ。そんなん断れば済む話だし。まあ、そこまでわかってて“嫌いじゃないしいっか”って送ってもらってた私が言えたことじゃないけど。……今となっては、そんな言葉で喜んでた自分が謎すぎる。いやまず喜んでたのか? どっちかっていうと流されてたって方が正しい気がしなくもないな……。
──平をチラッと見上げる。なんで私いま、何を言われたわけでもないのにこんな舞い上がってるんだろ。平とは、普通に話して普通に並んで帰れたらそれだけでめっちゃ嬉しい。歩きかどうか聞かれただけで内心こんなにふわふわしてるし、ドラマみたいなかっこいい言葉とか全然いらんからただ一緒にいたい……。なんだこれ。 やっぱり私が知ってる恋愛とは何もかもが違いすぎて、経験とかなんも通じん……。だいぶ余計なこと口走っちゃった気がするけど、結局のところ私はちょっとでも長く一緒にいられることだけを願いながら平静を装って歩き続けた。)
185:
平 [×]
2024-10-19 13:12:22
送ってくっつーか俺はそっち方面からでも帰れるから……。
(からかうような東の物言いに思わずグッと眉根を寄せた。腹が満たされたからか東の様子はご機嫌にみえる。店内じゃ難しい顔してたけどあれは何だったんだか……。
まあでもそうか、そういや東は傘持ってたっけか。はじめから雨降るってわかってたならそりゃ原付ではこないよな。当たり前か。
つーか〝そっち方面でも帰れるから……〟から、なんだ?
自分で言っといてなんだが接続詞がおかしい。
いや、わかってる。何を続けようとして憚ったのか。
――もう少しだけ、一緒に居たい。
なんだか実際に口を突いて出てしまいそうで口元に手を当てて防いだ。いや言えるかっつー話。
寂しがり屋みてーだろ。いや実際そうなのかもしれねえけど……。
視線だけ動かして隣をみる。横を歩く東はやっぱり目を引く存在で。誰も気に留めないだろう俺とは違って強烈に意識に残るような華やかさを感じる。
ナンパするだのされただのの陽キャな話は俺には到底真似出来ないが、少なくともするに至るだけの理由はわかる気がした。
――もったいない話だと思う。
東の良さは見た目なんかより中身なのに。
自己愛に塗れた俺には自分を蔑ろにする東を完全に理解はできていない。それでも、自分のことより他人のことを優先できるこいつは俺なんかよりよっぽど上等な人間だ。
もっと自分を大事にしろ、なんてチープな台詞はとてもじゃないが口にはできないけど。)
……髪とか染めればいんじゃね?
(――あ。やべ、なに口に出してんだ。
抑えていたはずの口元の手はいつしか形骸化していてその隙間からひょんな思いつきをそのまま吐露していた。
派手な見た目だから変なのが寄ってくるなら、染めればいい。なんつー単純な思考。俺は咄嗟に次の句を告げれずに押し黙った。自分の歩く足音がやたらに大きく聞こえた。)
186:
東 [×]
2024-10-20 08:16:40
──髪?
(なんか急だな……? そんなことを一瞬思って自分の髪に触れながら小首を傾げたけど、まあ雑談なんてそんなもんか。むしろ私がコロコロ話題変えちゃう方だし。高校デビューしてからの平はかなりオシャレに興味ありそうな感じだし、実際にかわいー服とか着てるし。単なるアドバイス兼話題提供と捉えればなんの違和感もないこの流れをあっさり受け入れ、くるくると指に髪を巻きつけたりして遊びながら歩き続ける。)
あーイメチェン? 楽しそうだよね。前に鈴木が染めてた時もちょっと思ったんよ。平も髪染めてから雰囲気変わったもんな。
(男友達からこういうアドバイスもらうのってなんか新鮮かも。その分助かるし興味もある。カラーに限らず、アレンジも含めていろんなスタイルを試してみるのは楽しそうだ。そもそも受験生だから遊ぶ機会自体減ってて、学校の日はそんな凝った髪型もできないから言われてみれば最近ちょっとマンネリ感ある気はするな。
すっかり垢抜けた平に尊敬の眼差しを向ける。周りにイメチェン成功してる人がいると尚更、私もやってみよっかなって一度は思うだろう。なんか違うなって思ったら戻せばいいだけだし、試すだけならタダみたいなもんよね。息抜きも兼ねて、気分転換に染めてみるのも悪くないかも……?
そこでふと思った──平って、どういう子がタイプなんだろう。そーいう話、平とは全っ然したことないからさっぱりわからんな……。そもそも考えたことすらなかった。これまでは向こうからガンガンくるパターンがデフォルトだったから、相手の好みを気にするって発想が私にはまず無かったんよ……。だから誰かのためにオシャレしようとか思ったこともないし、基本自分がしたいから自分の好きな格好してるだけ。でも、せっかくこれからオシャレするなら。もし平にかわいいって思われるチャンスがほんのちょっとでもあるなら──そりゃ知りたい。平の好み。ガッツリ寄せに行く気はさすがにないけど、気になり始めたらフツーに気になるし参考程度にはしたいかも……。平も軽い感じで話振ってきてるだろうし、この流れでちょっと探ってみるくらい別におかしくないよね……?)
た、平はさ! ………………うわ一瞬で内容全部忘れたわ今の無しで。
(…………いやなんて聞けばいいかマジでわからん! 勢いミスったし──平をガバッて見上げて力んだ声出しちゃった瞬間、顔から火が出そうになって言葉が続かなくなってしまった。血迷いすぎってくらいに血迷いすぎた。あと何故かあの子の顔がパッて浮かんだ。いつかの昼休みに平と並んで歩いてた超美少女。……なんとなくだけど、聞かなくてよかった気がする。
私は一息で訂正しながら顔の前でぶんぶんと手を左右に振り、意図せず早足になりつつも極力普段通りに歩を進めようとした。)
187:
平 [×]
2024-10-22 13:08:57
! おい、ちょっとまてそのままいくな。赤信号ッ!
(咄嗟に早足の東の腕を掴もうと差し伸ばす。
今なんか言ってたな。今の無し? とかなんとか……そんなん言う前に正面見て歩けマジで。ぜえはあと無駄に息を荒らげてしまった。人間焦るとなんでこうも急激に呼吸が乱れるんだろうな。
それにしても話に夢中になって赤信号無視とかあるか? そんな夢中になるような話題でもねーし……。
ただの思いつきのような染髪案。
地味なカラーにすれば変なのも多少はよけられるんじゃないかって、そんな安直な話だ。
実際どうなんだろうな。東は髪型こそ変わっていても髪の明るさは昔から統一しているような気がする。地毛……ってことはないだろうけどなさすがに。
なんとはなしに自分の前髪を軽く摘む。ほんのり灯る街灯に晒された髪はキューティクルを反射して歪な虹彩を放っている。
染めて雰囲気変わった……か。昔を知らなければまず出てこない台詞。好ましい意味でそういってくれることが嬉しくもあり、また照れくさくもあった。だが――。)
……どのみち俺も染めなきゃだしな。山田もそうだけどさすがにこのままで進学できるほど甘くはねーと思うし。
(髪の色で面接を落とされることはおそらくないと思う。それこそ試験や印象でどうとでも補えそうだ。……だが確実に不利にはなると思う。
染めている事に対してではない。覚悟の差とでもいうのか、受かる為の当たり前の努力をできない人間を合格させるかどうか。それこそよほど補ってあまりあるなにかがなければ受からないのではないだろうか。それは常識や良識というヒトの部分できっと測られるものだ。非常識な人間はそれだけで生きづらい世の中となってしまった。使い所を間違えてはならない多様性の時代。
黒い髪に染め直すのは気持ちまであの頃と同じになりそうで滅入るけれど仕方ない。
東もはたして黒髪にするのだろうか。
イメージしにくいその姿を無理やり視線の先に重ねて、存外悪くないじゃないかなどと勝手に思った。視線の先、東の更にその先で信号機が赤から青へと装いを変えた。)
188:
東 [×]
2024-10-22 15:20:08
ッ!? ~~~ビックリしたあ……!
(突然掴まれた腕が後ろに引っ張られてバランスを崩しそうになるのとほぼ同時に、私の目の前スレスレの位置を何故か車が横切っていった。なにこわっ……! 意味がわからなすぎて、瞬きも忘れて目を見開いたまま呆然とする──そして信号が赤だったことに、いやそもそも目の前に横断歩道があったことに今ようやく気付いた。
あっぶな~~~。一気に血の気が引いて青ざめる。マジでボーッとしてたみたいで、全然周り見えてなかった。この状況にドキドキしてんのか平にドキドキしてんのかわかんないけど、とにかくなんか色んなのが混ざって鼓動がうるさい。ハッとした瞬間は思いっきりヒヤッとしたのに、平に助けられたって思ったらこの熱が心臓からきてるのか触れられたとこからきてるのかすらわかんないくらいに身体が熱くなって、なんとか落ち着こうと深呼吸しながら自分の胸元に片手を添えた。……めっちゃ心臓バクバクいってる。)
すまんありがと……えっと山田がなんて?
(落ち着くために必死で脳内に山田の顔をいっぱい描いても、その全てが端から順にポンポンと平の顔に置き換わっていってしまう。つまり話に全然集中できない。だって腕引かれた時めちゃくちゃドキッとしたし、今だって超距離近いんだよ……!
赤信号以前に横断歩道の存在にも気付けないほど焦ってたのかと思うと、私一人で勝手に舞い上がってて余計に恥ずいんだけど……。ダメだこれ、ちゃんと話戻さんと。えっと何の話してたっけ。ソワソワと目を泳がせながら、平の言葉を全力で咀嚼する。)
……私ん中の山田は未だにハイトーンのイメージだな。黒髪数回しか見てないし。ぶっちゃけ会ってもまだしっくりこんけど、話すとすぐ“あっ山田だ”ってなる。
どんな髪してても山田は山田だし、平も平なんよねー。って当たり前か。
(クラスも違うし、さっき頭の中に描いた山田も見慣れた明るい髪色の方で想像してた。……って無理やり話を戻そうとはしてみたものの、なんかまだ普通にズレてる気がする。自分でも何言ってんのかよくわかんない返事というかただの私の感想をしみじみと返しながら、すぐ傍にいる平を見つめる。
平って、こんなかっこよかったっけ……? たしかにイメチェンしてから雰囲気変わったけど、私が意識し始めたのはそのタイミングからじゃない。昨年は絶対こんなんじゃなかった。私が今こいつにドキドキしてんのは、平が髪染めたからとかそーいうのじゃない気がする……。いつの間にか青信号に変わっていることに気付けないくらい、私は平に見入っていた。)
189:
平 [×]
2024-10-23 14:55:28
わかるわ。俺も思い出そうとすると明るい髪色で浮かぶ。山田も鈴木もな。
(頭上を見上げるように思い浮かべる友人たちの姿は今現在の姿とは様相が異なる。まずそれぞれの姿で過ごした時間が違うのだから当たり前といったらそうなんだが。俺も東も黒に染めたらきっとみんなから同じ感想をもらうことだろう。東からなら懐かしい姿とか言われるんだろうか。
肩越しに見る東の様子は普段通りにみえる。咄嗟に腕を強く引いてしまったけど大丈夫だろうか。意図したわけではないが掴んだ細い手首の感触が手のひらにまだ残っている。
あの時、何を言おうとしたんだろう。やっぱり無しとかなんとか……そこに意識が向いてた結果赤信号に突っ込みそうになったとか……?)
……おい? 青だぞ。
(いつまでも足を進めない東に先導するように数歩進んでから告げる。
東ってこんなぼんやりするタイプだったか。
わりとそつなくこなす方なイメージだ。おっちょこちょいなのは鈴木の役。
アレか。なんか困ってんのか……?
まー今日は色々あったしな。それこそ当事者でもない俺がこんだけ滅入っているなら東がそうであってもなんの不思議もない。)
――なんか困ってんなら話せよ。まぁ……力になれるかはわかんねーけど……。
(また話聞いてくれる? なんて約束もしているしな。多分俺なんぞが力を貸してもなんの解決にもならない気はするがそれは何もしないという理由にはならない。
さして大きい声でもない呟きのような俺の言葉が東に届いているかはわからなかった。)
190:
東 [×]
2024-10-23 20:04:08
お、おーっ。
(いつの間にか現れていた赤信号が、今度はいつの間にか青に変わってたらしい。ハッとして声のした方へ目をやってから、離れた距離を詰めるように小走りで平の横に向かった。)
……いや、困──
(追いついた途端に隣から聞こえてきた言葉への返答に早速困って、“困ってない”とは即答できなかった。顎に手を当て、ぐるぐると考え込む。だって自分でもわかるくらい、さっきからボーッとしすぎだもんな私。赤信号に突っ込みかけるとかありえんし……どうしたんだって思われてもおかしくない。けどごめん、平。好きバレだけは絶対避けなきゃだから、話せよって言われてじゃあ話すわとはなるわけないんよ……!
こーやって気にかけてくれるのはめちゃくちゃ嬉しいのに、言いたくても言えなくて心配もかけたくなくて、自分がどうしたいのかがわからない。そもそも、私ってなんか困ってんのかな……? 平のことになるといろいろ考え込んじゃうしわからんことだらけで、そういう意味では困ってるっちゃ困ってるけど……べつに何か嫌なことがあったとかじゃないしなあ。むしろ楽しいし。しいて言うなら、好きすぎて困ってる……? なんそれ絶対言えんわ。
もちろんそんな葛藤を本人に話す気なんてないから、誤魔化す一択なんだけど……何でもないよってさらっと返すにはもう手遅れな気がする。動揺して言葉に詰まりまくったし。即怪しまれるって私でもわかる。誤魔化すならちゃんとやらんと……せっかく平がこーやって言ってくれてるのに、すぐバレるような嘘ついちゃうのはさすがに心が痛いし顔に出そうだ。)
──ってはない。たぶん。ただなんかこう……私がどうしたいのかが自分にもわからんから、困ってるかどうかもよくわからん的な……?
(迷いに迷ってたっぷりと溜めた後に、誤魔化すとも打ち明けるとも決めきれなくて結局曖昧な返事をしてしまった。そもそも私、自己分析とか苦手なんよね。最近はマシになったはずだとはいえ、つい去年まではわりと自分の気持ちに無頓着に生きてきちゃったから。考えてることを言語化しろと言われたらそれこそ困ってしまう。
平のことは間違いなく好きだけど、じゃあ告ればいいだけなのかって言われると──現状脈ナシなのは明らかだし。とにかく一緒にいたいだけな気もするから、だったら変に付き合ったりしない方がこのままでいられるんじゃないかとも思ってしまう。焦って失うのが嫌で、必死に気持ち隠してる。そのくせ近付けば近付くほど“もっと”って気持ちが芽生えちゃったり、卒業が迫ってくるのが寂しかったり……。まともな恋愛がどんなのか知らんから、これがフツーなのかがわからないな……。
自分でさえわかってないことを人に伝えるっていうのがまずムズすぎて、伝わるわけないしわけわからんって逆に平を困らせちゃいそうだけど。聞いてきたのは平だし。あたふたとジェスチャーを交えながらたどたどしく言葉を紡いだ後は、平の反応を待つことしか出来そうになかった。)
191:
平 [×]
2024-10-26 23:07:27
(追いついてきた東とまだ余裕のある信号を渡りきって俺はどうしたもんかと視線だけ彷徨わせた。即断の多い東にしては妙に返事の歯切れが悪かったからだ。
ヒトに話してなんとかなる悩みは大抵もう自分で心が決まってることが多い。要は必要なのは間違ってないですよという後押しなのだ。本当になにかに悩んでいる場合はそもそも誰かに伝える事さえ覚束無いものだから。相談と言える段階にさえきていないから悩むわけだ。つまり、東は何かに困っているとすればそれは言葉にできるような段階にさえきていない可能性が高い。
あんな道の途中からぼんやりされた日には命さえ危ないのだからさすがに場所は選べと言いたいが、誰かいる時ってなんとなく歩くのを他人に任せがちになる気持ちはわかる。間違った道なのに先導する相手に特に何も考えずについていったりな。
俺が一緒だからついぼんやりとしてしまったとしたら――その程度には信頼して貰っていることになる。
自然と口元が綻ぶ。嬉しくないわけがなかった。)
……ごちゃっと考えると身動き取れなくなるから。思考する時は二択とかにするといいかもな。今やるかやらないかとか。これは好きか嫌いかとか。行くか行かないかとか。単純化して一個ずつ理解していくと言語化しやすいと思う。
(あくまで俺の場合は、だが。偉そうにアドバイスできるような立場でもないし自分自身要領よく生きている訳ではないのだから何を偉そうに、という気もする。でも、東が友人として信頼してくれているのならせめて何かのキッカケ作りはしてやりたかった。それがたとえ的外れでもなんでも危ない目に遭うよりは――……そういえば俺がキョドってた時には東が言ってた言葉があるか。なかなかいい事いうじゃねーかスダケン。)
……俺だけ見てろ。
(うっわ。口に出して言ってみたものの恥っっず。全然似合ってねーうえにちょっと声かすれたし。バッと口元を抑えてなかったことにしようとしたが結構はっきり言ってしまった。慌てて恥ずかしさを打ち消すために「なんて、スダケンならいうんじゃねーか」と小声で付け足した。きっと耳まで赤いだろう自分の顔は想像したくなかった。視線の先て明滅を始めた信号機のように俺の鼓動は高く鳴り響いた。)
192:
東 [×]
2024-10-27 02:56:57
えっわかりやす。平、超ちゃんとしてるじゃん──あ。
(思っていたよりも的確な答えが返ってきて、目をぱちくりさせて平を見上げた。二択で考える──たしかにそれなら気持ち整理しやすそうだし、なんか私にもやれそうに思えてめっちゃしっくりきた。言われてみれば納得しかなくてすぐにでも実行できそうなのに、これまで私には思いつきもしなかったしそもそもそんな風に思考の仕方を試行錯誤したこと自体なかったな。やっぱ平って、私と違ってちゃんといろいろ考えてるんだなぁ……なんて感心しかけてハッとする。
“平が”ってより、みんなそーやってちゃんと考えてる? ちゃんとしてないのって私だけ……?
“東はその「ギャンッ」ってくる人がきても怒らずに受け入れてきたから、そっちが「普通」になっちゃってるんだよ。”
いつかの鈴木の言葉がふと頭を過ぎる。──そうだ。私は友人関係にしても恋愛関係にしても、みんなみたいにちゃんと考えたり分析したりしながら向き合ってはこなかった。自分の意思もあんまりなくて、だからこそただ何となくで周りのノリに合わせて流されたり、ガンガン引っ張ってくれるような強引で頼りがいのある人にばっか惹かれちゃったり。何でも「まあいっか」って許しちゃうのも、相手に気遣わせないように変に遠慮しちゃう癖ついてたのも、こっちが我慢するのが一番手っ取り早く丸く収まるからで……考えなくて済むような環境にばかりいて、考えることを放棄しちゃってたとも言えるかもしれない。だとしたら一番私のこと雑に扱ってたのは、過去のクズ男たちでも私を利用してた友達でもなくてやっぱり私自身なんだよなぁ……。
私は、これから考えるべきなのかも。ちゃんとした恋愛するために──今までまともに考えずに流されてきた分、もっとちゃんと考えて人と向き合わんと。慣れないことしすぎると、また頭ごちゃりそうだけど……ちょっとずつ二択で考えるくらいなら、やれそうな気がする。)
ありが…………?
(思えば私がモヤッてる時は毎回、平がくれる一言でスッと心が軽くなってるな……なんて感謝しながら、早速さっきアレコレ考えちゃってたことをちょっとでもスッキリさせてみたくて、平に言いかけて言えなかった内容を思い浮かべてみる。
ん? 待てよ……。私、スダケンみたいな強そうな男がタイプなのに今めっちゃ平のこと好きになってるじゃん? 平に好きなタイプ聞くのって、本当に意味あるのかな? あんだけ悩んどいて今更って感じだけど……。じっと平を見つめてみる。意味あるか、ないか。これなら二択だけど──う~~~ん、わからん。でも、知りたいか知りたくないかだったら……、)
~~~!?!?
(平をガン見しながらまた考え込みそうになってたら、とんでもない爆弾が飛んできた。一瞬で身体中に熱を帯びてあんぐりしたままフリーズしてしまう。ドラマのスダケンのセリフ……いや知ってるし大好きだからそのセリフはわかるんよ。わかるんだけど、不意打ち過ぎてすぐには元ネタと結びつかなくてマジでビックリ──いやもう死ぬほどドキッとした。だって平、絶対キャラじゃないじゃん。ハッキリ言って、似合わなすぎて去年の私なら間違いなく爆笑してるくらい似合ってない。なのに、なんでこんな顔熱くなるんだろ。バッてそっぽを向きながら、思わず手で顔を覆ってしまう。平の方見れない。てか本当に平か今の……? 好きな相手が、絶対言わなさそうなかっこいいセリフをいきなり言ってくるのってズルくない……? 破・壊・力……!!
私が悶えてたら隣でなんかもごもご言ってる平の補足でやっと、あ~ドラマのアレかって気付いた。そっか、平は私がスダケン好きなの知ってるもんな。さっきのアドバイスもかなり的確だったのに、励ましの言葉まで私に合わせてくれてたのか。前々からみんなのことよく見てるなとは思ってたけど、私のこともめっちゃわかってくれてるじゃん……。また胸の奥をキュンとさせながら、さすがに爆笑する余裕はなかったけど嬉しさでクスッと笑みが零れた。)
──ふはっ。平とスダケンって遠すぎ。
193:
平 [×]
2024-11-01 13:00:33
(――ああああやっちまったやっちまったやっちまった。
そりゃな、わかってたさ。スダケンに限らず俺だけ見てろなんてそんなハードボイルドなセリフが似合うヤツ画面の向こう側にだってそうそういないだろう。キャラ的に言えばそれこそ対角線上に位置しそうな俺が似合う道理はない。わかっていた。せめて爆笑でもとれりゃまだマシだったがそれも無し……つーか一瞬ネタが伝わってなかったまである。
幸い途中で気づいてくれたみてーだから良かったものの『何言い出してんだコイツ』と目を疑うような東の視線を思い返すだけで頭のなかが真っ白になる気がした。)
うっせ――わかってるよ……。
(なんとかそれだけ言い返して顔を背けた。
考えてみりゃスダケンもどういう経緯でこんな罰ゲームみたいなセリフ吐く羽目になったんだろう。お前のせいですべったぞという謎の恨みが沸いてくる。それでもちらりと東をみれば少なくともキショいとまでは思われてなさそうでほっとする。
鬱々とした俺の気持ちを代弁するかのように翳った斜陽に対して街灯がほんのりと色を付け始めていた。
大型チェーンのコンビニには幾多も自転車が止められていて忙しさを物語っている。ゴストで食事をしていなければ東と寄るような提案もあったかもしれない。
すっかり満たされた腹具合を確かめるように胃のあたりを撫でる。夕飯はきっと入らない。まず気持ち的にも整理したい。感情がないまぜになっている今は何も考えたくなかったが。)
――じゃ……。
(いよいよ訪れた岐路。夜の空気を鼻腔に感じながら小さく手をあげる。
楽しく遊んだ後に感じる友達と別れる瞬間の寂寥感を多分に噛み締めながら東の顔をみる。今生の別れなどではないがしっかりと見ておきたかった。)
194:
東 [×]
2024-11-01 14:45:40
ん。……あ。直哉(役:スダケン)、あのあと記憶喪失になるんだよ。しかも、こんな感じで別れた後に。帰り道で事故って。
(分かれ道に辿り着き、何気ない調子でひらりと手を振り返して一度はそのまま歩き出そうとしたけど──ふと振り返って、めっちゃどうでもいいことを言ってしまった。たぶん何となく寂しくて、たった数秒の時間稼ぎのためだけに咄嗟に口をついて出たなんの意味もない報告。ドラマの中のあの名言が、たまたま今と似たシチュエーションだっただけ……いや、言うほど似てもないな。共通点、帰り道ってだけかも。
自分で言っといて、だから何なんって思ってしまった。マジで山もオチもない。まあ、ドラマ的には例のセリフが山場だったんだけどそうじゃなくて……。とにかく、言うだけ言っといてこれ以上は特に何も出てこない。ドラマ的には割とベタな展開かもしれんけど、さすがにこれを“平も気をつけて”で締めるには現実味ないっていうか不自然すぎるし。絶対ありえないとまでは言わんけど、普通に考えたらそんな展開起こり得ないし全く心配してない。本当に、ただ私が話したかっただけだ。)
まっそれだけ。んじゃね~。
(結局、なんか謎にドヤってドラマの展開話しただけになっちゃった。でも謎にスッキリした。私は1分1秒でも長く平といられたら、それだけで満足できるくらいには結構単純みたいだ。あれこれ考えちゃうことはあるけど、複雑そうに見えても案外単純にただ“好き”なだけなのかもしれない。あんなに別れが惜しかったのに、今この瞬間だけは平の顔を見て安心してしまった。
自然と明るい声色になりつつさっきよりも大きく手を振って、今度こそ平とは別の方向に歩き出そうとした。)
(/背後から失礼いたします。いつも解釈一致すぎる平をありがとうございます。毎回拝見するのを楽しみにしております。
そろそろきりのいいタイミングになりそうですが、次の場面のご希望などございますか? 原作が一気に卒業式まで飛んでしまうようで驚きが隠せないのですが……!
原作の時系列に合わせるか、高校生を続けながら原作で飛ばされてしまうことが確定しているエピソード(クリスマス、バレンタイン、ホワイトデーetc.)を補完していくか……大まかに分けるとこの2パターンかと思うのですが、どちらがお好みでしょうか。
こちらはいずれも対応可能ですしどちらも捨て難く決断できそうにないため、ご意見がありましたらお聞かせ頂けると嬉しいです。場面転換ですがこちらからでも構いませんし、お好みの展開で回してくだされば合わせます。)
195:
平 [×]
2024-11-02 14:25:43
いやそれだけって……縁起でもねー事いうなよ……。
(その理屈でいけばこのあと俺が事故るじゃねえかよ。いや俺は直哉じゃねーけど……。
どうでもいいけど『直哉』って名前の印象がめっちゃ悪くね? 呪霊とかになりそう。
どこか誇らしげに堂々とネタバレしていく東の顔をしっかりと見つめながら俺も口角を僅かに持ち上げて笑った。
呆れ半分。残り半分は――……。)
――…………。
(大きく手を掲げて離れていく東の姿を見送って、俺も帰路へと向かう。夜を予感させる空気に混じらせるようにボソリと一言。四文字のそれは音になる事をなく夜の街へと舞ってゆく風に掻き消えた――。)
(/こちらも背後から失礼致します。ご連絡ありがとうございます。当方の拙い平に、過分なお言葉を頂戴し恐縮するばかりです。
そんな中で申し上げるには大変心苦しいお話ではあるのですが、今回のお返事をもって終了とさせていただきたく存じます。
はじめにはっきり申し上げておきたいのは東背後様にはなんら落ち度はないという事です。
お察しいただいているかとは思いますが最近の私のお返事の速度は低下の一途を辿っております。課題などのリアル多忙と言えば聞こえはいいですが何もお返事できないほど分刻みで忙しいわけでもなく、しかしながら日々の疲労からそれ以上頭がもう働かず……早くお返ししたい意思はあれど上手くいかずという日々が続いておりました。
受験勉強をこなしながら互いのことを考えている平も東も凄いなあと思うことしきりです。
星の数ほどあるなりきりの中で東背後様のような素晴らしい方とめぐり逢える可能性は滅多になく、考えに考え抜きましたがこの結論に至りました。
日々、迅速なお返事と可愛らしく素敵な東をありがとうございました。頭の中で容易に想像が可能なくるくると動いて喋る東の言動は本当に毎日の楽しみでした。
何度『もういっそくっつけてしまっていいんでは』と思ったことか……!
打ち込んだ没レスの群れの中には告白パターンがいくつも眠っています。
最後に東背後様とタイラズマにどうか明るい未来が待っておりますように。
ありがとうございました。お返事は不要です。)
196:
東 [×]
2024-11-02 16:48:36
(/返信不要との事でしたがどうしてもお伝えさせて頂きたく、誠に勝手ながら最後にお言葉を返すことをお許しください。
はじめにお相手終了の旨、承知致しました。お相手様のプライベートとお気持ちが何より大切ですので、とても名残惜しく思いますが潔く受け入れます。
こんなになりきりが楽しくてお相手様からの返信が待ち遠しかったのは初めてで、それほどお相手様の平とのやりとりが日々の生きがいになっておりました。もちろんタイラズマ自体が大好きなコンビであるという前提がありますが、その上でお相手様としか紡げない尊い関係が本当に大好きでした。今思えば、楽しすぎるあまりに文章量が増えていきそれがご負担になっていたのではないかと反省もあります。
期間にすると短い間だったかもしれませんが、非常に充実したお時間をありがとうございました。お相手様のことはずっと忘れません。
最後に……こちらは返信ペースなど気にしませんし短めのやりとりにするなどご相談には出来る限り乗らせて頂きますので、またいつか余裕が出来て環境やお気持ちに変化があった際には、いつでも戻ってきてくださると嬉しいです。これは私側の一方的な気持ちですので、余談として聞き流していただいても構いません。
重ねてになりますが、お相手様の平と共有する時間が本当に大好きでした。ありがとうございました。)
197:
平 秀司 [×]
2024-11-25 01:01:30
…………いや、どう考えてもこの六角は使えねーだろ。
(――時が経つのはあっという間だ。あんなに寂しいと感じた卒業式、バイト先への挨拶、引越しの準備と手続き。大学合格の感動もそこそこに、時間のなさから半ばほとんど下見をせずに環境状況だけで決め打ちした安普請なアパートの一室で俺は組立式のガラステーブルと睨めっこしている。モノトーンの色調とデザインの良さでこの価格かと買ってはみたものの、付属のネジを止める六角レンチのサイズとネジ穴のサイズが微妙に合っていない。上下逆かとも思ったがそういう問題じゃない。あとひと息とかでもなくマジで入らねぇ。
付属の説明書に書かれた『正式な安心! 新生活にピッタレ!』という胡散臭い日本語がすべてを物語っていた。
フッと小さな笑いがダンボールだらけの部屋にこもれ出る。最後にはめる為に立て掛けておいたガラステーブルの天板が薄暗く反射して俺の顔を映す。
――鏡が昔から苦手だった。自分の姿をみたくなんてなかった。どれだけ着飾ったところでそれは虚飾でしかなく、中身に澱んだダサい自分と向き合う勇気がいつもなかった。
黒髪に戻した自分にはまだ慣れない。けれど――……今そこに映っている自分は。)
…………笑ってる場合じゃねーだろ。
(自分でセルフ突っ込みをいれる。持っていた六角レンチを放り投げて、俺はスマホを手に取る。明らかに噛み合わないネジ穴と六角を寄せあってカメラを起動。部屋が薄暗かったからか自動で反応したフラッシュでやたらくっきり取れた写真とほんの少しのメッセージを添えて。
『みろこれ。全然合わねーんだけど。』
……お前に笑ってもらえるならこんなトラブルも悪くない。
しゅぽん、と簡易な音で送信を確認して俺は腰を上げた。
荷解きはまだ終わっていない。けれど腹が減ってはなにもできない。幸いにして置くだけの小さな冷蔵庫は起動しているからとにかく近所の散策をしてこよう。
財布と携帯だけ手に取ってほとんど自然に、誰もいない部屋に『いってきます』を告げて靴を履く。そして閉めた扉に鍵。まだ覚束ない所作。
よし。いくか。
ほいっと調子よく中空に放った鍵をカッコよくキャッチしようとして、落とす。
「…………おまえはホントに。」
はぁと嘆息して拾い上げてから悪態をつく。
その鍵の先につけた小さなキーホルダーに。
そこには紅白のクマが俺をからかうように小さく揺れていた――。)
(/今日、この日を迎えられた記念に。他でもない、誰よりもあなたに感謝を。)
198:
東 紫乃 [×]
2024-11-25 03:11:17
──ん?
(卒業式以来久々に──って言っても、数週間ぶりとかなんだけど。とにかく体感久々に会う友人(まー言っちゃえばフツーにサト)とお茶してたら、唐突にスマホが鳴った。テーブルの上に置きっぱだったそれに視線を落とし、目に留まった漢字一文字に頬が緩みそうになってしまうのとほぼ同時に
“なに誰?例の推しピ?”
なんて、向かいの席に座ってるサトが身を乗り出して画面を覗こうとしてきたもんだから。“わーっ!”ってでかい声出しながらスマホを手繰り寄せ、必死に隠しつつメッセージを開いた。ここ店内だし、私めっちゃ不自然だろうし、てかいつの間に私の気持ちが同クラの子にバレてたんかも結局謎だけど。もー知らん。)
ふっ……なはは。なんこれ不良品?写真上手くてウケる~。
(明らかに無駄な映りの良さと添えられていたメッセージも相まって、写真に収められている傍から見ればくだらないようなトラブルにけらけらと声を出しながら笑ってしまった。目の前でサトが引いてるのが分かったけど、ウケるものはウケるんだからしゃーない。まだちょっと笑いながら、『わろた。どこ製だよそれ。』の一言と、謎のゆるい生き物が描かれた“どんまい”スタンプをテキトーに返しておこう。──なんか、いい意味で思ってたんと全然違ったな。一通り笑い尽くした後、メッセージに対する笑いとは違う別の笑みがふっと零れた。
あの日──卒業式が、てっきり最後なんだと思ってた。そうなったとしても悔いはないって、あの時本気でそう思ったけど……実際は今もこうして、当たり前みたいにあいつとメッセージを交わしている。それも、私からの一方通行じゃなくてわりとあいつからも。諦めなきゃって思ってたのに、一度は諦めるつもりでいたのに。あの日私の袖口を掴んできたあの手が、そうさせてはくれなかった。それからもずっと、他愛ないメッセージを送ればすぐに返事がきて、かと思えば今度は向こうから他愛ない内容が届いて──その度に嬉しくて、ああ好きだなって思う。それだけで胸がいっぱいで、募る思いを挙げればキリがないけど……今はまだ、このままでいい。このままがいいや。
画面を見つめたままぼーっとしてたら、そろそろ帰ろうという友人からの呼び掛けでふと我に返る。結局誰だったのかなんてついでに聞かれたけど、それはメッセージの話なのか推しピの話なのか。)
ん~?こいつ。
(機嫌がよくなっていた私は、席を立ちながら手にしていたカバンの隙間からポーチ……のチャックに付いてる青と白のそいつを、チラッと覗かせてしたり顔で見せつけた。案の定サトは“はあ?”って顔してきたけど、さすがにヒント出しすぎっしょ。てかもう答えじゃんこれ。恥っず。だから、これ以上は教えてやんないよ。)
(/原作の完結にアニメ化、おめでとうございます!そしてまさかの……夢のようなお時間を本当にありがとうございます。大切に大切に受け取りました。せめてものお礼にというのは烏滸がましいですが、お返事せずにはいられませんでした。お相手様に届くことを祈って──。)
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