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眼は口ほどに愛を説く/38


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自分のトピックを作る
21: ビオラ [×]
2023-10-27 21:29:37


階段から足を踏み外してしまった瞬間、僅かな落下感の直後には既に彼に支えられたあとで。視界が真っ暗な中、何が起こっているのか一瞬理解が出来なかったが、両肩に添えられた其れに自身の手を重ねると、その冷たく固い鎧に、鎧越しに伝わる力強い感覚にも安堵する。

「 えぇ、お陰様で。助かりましたわ。」

階段の手すりに腕を伸ばせば、ゆっくりと支えられていた身体を起こして礼を述べる。怪我の有無を心配してくれる相手には、無傷であることを示すために大きく頷き、少しばかり恥ずかしそうに笑って。

「 早速そそっかしい所を見せてしまってごめんなさいね。
私、少しぼんやりしてる事があるみたいで…何かあればビシッと言ってね。」

歩みを再開し階段を登りながらそう話すと、肩を竦めて笑って見せた。


22: ブローディ [×]
2023-10-28 17:35:39

主人に怪我が無かった事にひとまず安堵して、続いて階段を登る。昔から視界が闇に閉ざされたままの主人はこうした身近な危険に晒される機会も多かっただろう。かつての自分も夜間でも警備や戦いに赴く事があり、兜の狭まった視界も相まってほぼ何も見えない中で活動せざるを得ない事もあった。しかし暫くすれば夜目が効くようになる上、時間が経てば朝日が上り視界が開ける自分と、本当に何も見えず文字通り手探りで生きてきた主人とでは、比べ物にならないくらいの違いがある。その境遇に心を痛めつつも、これからは自分が率先して周囲に気を配り守らねばなるまい、と決意を新たにした。

「承知致しました。ビオラ様の為、私が最大限気を配りましょう」

23: ビオラ [×]
2023-10-28 18:42:11


「 ふふ、勿論、何かあった時は助けて貰えると嬉しいけれど、貴方にやって欲しい仕事は、主にこの家の管理と、私の仕事のお手伝いなの。材料集めを手伝ってもらったり、街へ出る時に付いてきてもらえると心強いわ。」

決意を新たに力強くの応えてくれる相手に再度礼を言いつつ、改めて仕事内容をざっくりと伝えながら、階段を上り切り広い廊下へ差し掛かる。
使用人がいない時は屋敷の掃除など全て1人でこなしていたし、必要な場合は魔法を使ってきたが、精霊の魔力も自身の体力も有限である上に、やはり盲目な自分が全て1人で行うには不便点が多い。おまけに、最近は街へ出る機会も増えているため、彼が付いてきてくれるならばこれ程心強いものはない。
そして、「何か仕事内容で気になる事があれば、いつでもなんでも聞いてね」と付け加えながら1室の扉の前で歩みを止めると、その扉を開けて室内へ。そこには大きなテーブルとソファ、天蓋付きの寝台などがあり、やはり古さは感じるものの広さも十分あり、上品な深緋色で揃えられた家具が揃っている。

「 この部屋を使って下さいな。隣には書斎も倉庫部屋もあるし、使い心地は私の保証付きよ。」


24: ブローディ [×]
2023-10-28 22:46:21

「力仕事には自信があります。体を動かす仕事であらば、私にお任せあれ」

騎士の頃に比べれば力は劣ってしまったが、それでも依然として他の人に比べれば力はある方だと自負している。この広い屋敷においても、自分に持てる力を遺憾無く発揮して問題なく仕事ができる筈だ。また自分には騎士として戦いを重ねた経験がある。万が一街で荒事になった際には、相手が歴戦の戦士や魔法使いでも無い限り簡単に遇らうことができるだろう。主人は魔法が使えるので荒事にも対応できるかも知れないが、しかしそれでもやはり騎士として主人をそういった事に巻き込みたくは無い。例え叶わぬ相手でも、いざとなれば我が身を盾に……と考えたところで、自分は一体何と戦っているのだ、と気付いて思考を打ち切った。
案内された部屋は、広い上に家具も備え付けられ、そのどれもが上品な色で調和を保っていた。使用人という立場からすれば、これは破格の扱いと言えるだろう。主人のその優しさに一礼しながら感謝の意を表した。

「非常に良い部屋です。落ち着いた雰囲気で、色使いにも美しさを感じます。このような素敵な部屋をいただけるとは、本当に幸福です」

25: ビオラ [×]
2023-10-28 23:34:40


「 頼もしくて助かるわ。」

力仕事に自信がある と言った相手に優しく笑い、続けて部屋を気に入ってくれたようで安堵する。
そして、一度部屋の外に出ると、浴室や空き部屋に至るまで一つ一つの部屋について簡単に説明していき、上階の案内が終われば再び1階へと戻ってくる。
「そうそう、私の部屋も教えておかないと」と思い出したように手を叩けば、奥の通路を渡り突き当たりの部屋へ。
その広さは他の部屋とほとんど変わらないが、壁の一部が丸ごと本棚になっており本が所狭しと並んでいる。他の家具はと言えば、寝台とその隣に置かれた小さなサイドテーブルと卓上ライトだけ。それと、部屋の奥に扉が1つ。

「 用があればいつでも入っていいのよ。
表や大広間にいない時は、大体部屋か、この仕事部屋にいるわ。」

そう言いながら部屋の中を進み、奥の扉に手をかける。開くと、そこはまるで温室のような形をしており、ガラス張りの空間のお陰で青い空や裏庭の景色がよく見える。
中心に置かれた大きなテーブルには、小瓶や小鉢、本などが積み重なっており、棚に至るまで様々な見た目の植物が置かれていた。


26: ブローディ [×]
2023-10-29 23:12:23

主人に連れられながら、案内された部屋の場所や用途を一つづつ頭のなかで思い返す。その全てをしっかりと記憶し、何度か自問自答して問題ないかを確かめた。そうして進んでいると、最後に案内されたのは主人の部屋だった。その部屋は質実ながらも壁一面に並んだ本が印象的で、華美な装飾こそ無いが、やはりどこか安らぐような情調を持つ部屋だと感じていた。
そして、仕事部屋として開かれた扉の奥は、自然と調和した美しい部屋だった。思わず、おお、と感嘆の声を漏らしながら周囲を見渡す。ガラス張りで開かれた空間は、周囲に配置された様々な植物と相まって、まるで自分が森の中で過ごしているかのような、癒しが得られるような場所だった。

「なんと、美しい。このような素晴らしい部屋であれば、お仕事の進捗も滞りなく進むことでしょう」

27: ビオラ [×]
2023-10-30 00:03:59


彼が感嘆の声を漏らし自慢の仕事部屋を褒めて貰えば、それはそれは嬉しそうに、それでいて少し照れくさそうにしながら口を開く。

「 私もとても気に入っているの。褒めて貰えて嬉しいわ。
私に全容は見えないけれど、昼間は太陽の暖かさがよく伝わって夜は穏やかな静けさに包まれる、素敵な場所よ。
…今更だけれど、酷く散らかっていないか心配だったの…
でも、貴方の反応を聞く限り、なんとか大丈夫だったというところかしら。」

ずっと屋敷に閉じこもり仕事をする中で、この場所では周りも気にせず自然を感じていられる。日光に当たることも出来るが、野風や雨に晒されることもなく、人に見られることもない。それが自分にとっては心底安心出来る。
ゆっくりとテーブルに近づけば、瓶に刺さった植物を1束摘み取り、その葉や茎の感触を指先で感じ取る。

「普段は、薬草や魔法植物の研究をしているの。他にも、調合とか加工とか色々やっているんだけど…。
どうしても、手伝ってもらわないと出来ないことも多くて、これまでは他の人にお願いしてた事もあったの。」


28: ブローディ [×]
2023-10-30 20:57:38

「成る程、主に植物の研究と加工を……」

何度か頷きながら再び周囲を見回す。この様々な植物はおそらく研究用に配置されているものだろう。これら一つ一つが薬草であったり何らかの魔法植物であると考えると興味が湧いてくる。座学は昔から嫌いではなく、己の知識を高める目的で積極的に学んでいた時もあった程だ。これらの植物がどのような作用を持っているのか、どんな風に自生しているのか、訊くことができれば、またその研究成果を書き認めた本があれば是非とも拝見しておきたいと感じたが、しかし質問責めする訳にも仕事成果を勝手に読むのも良くないと自重した。
代わりに、個人的に少々気にかかった部分を質問することにした。

「失礼ながら、お仕事を手伝われる方はどのような人柄や間柄なのですか?……ああいえ、他意はないのです。ただ、今後もし会う機会があるやも知れないと考えたので、粗相をしないよう少しばかり知っておきたいと思いまして」

29: ビオラ [×]
2023-10-30 21:52:02


「 使用人がいた時はその子にお願いしていたわ。
でも、その子はここでの仕事があまり好きではなかったから、簡単な事だけお願いしていたの。
納品の数とか見た目とか…植物の特徴記載に相違がないかとか…、どうしても目で見て確認しないといけないことは私だけじゃ無理だから、使用人が居なくなってからは、依頼主さんにそう言った最終確認とかを手伝ってもらっていたわ。街の薬屋さん、商人さんとかね。
でも、私もあまり街へは出ないし、街には私の噂があったりするから、気を遣われたり、少し怖がられたり、そういう雰囲気が、ちょっと、苦手なのよね。」

彼からの質問に一間ばかり考えれば、手にしていた植物の束を再度瓶に挿し回答を。
もっと研究や加工・調合自体を誰かと協力しつつ出来ればいいのだが、今のところそこまで手伝ってくれる人はおらず、依頼を受け、其れをこなし、最終的な確認だけ他者を交えて間違いの無いようにする、といったところだ。
前の使用人はこのような仕事に全く興味を示していなかったし、反対に職業柄は同じでも魔女に警戒していて深い交流が幅かれる事が多かった。
少し俯き気味に話終えるが、「でもね」とすぐさま顔を上げてにっこりと優しい笑顔を向けた。

「私の仕事、なんだか評判は悪くないみたいで、お仕事自体は増えているの。だから、街に行く機会も増える予定なのよ。」


30: ブローディ [×]
2023-10-30 23:16:39

少し前に、魔女は誤解されやすい、と説明されたばかりなので、街の主人に対する雰囲気があまり芳しくないと聞いて兜の中で僅かに表情を強張らせた。やはり魔法という超常の力を使う、自分達とは明確に異なる点が、噂の原点となっているのだろう。主人は目が見えないという点も合わさり、尚更噂や主人が苦手とする雰囲気が構築されていったのだろう。少し俯き気味な主人の姿を見て、今後街に行く際は、常に警戒するようにしなければ、と考えたところで、その考えは主人の笑顔と次に続く言葉で改められた。強張った表情を緩め、胸に手を当てて話し始める。

「それは良いことです。評判が良いという事は、ビオラ様がお仕事に誠実であられた証でしょう。今後、お仕事の手伝いや街に用事がある際は、是非とも私をお使いください。無論上げた評判を落とすような事は致しません。必ずやお役に立ってみせましょう」

前の使用人もいなくなり、依頼主に手伝って貰わねばならなかったというのは、さぞ苦労したことだろう。使用人がいなくなったことで、それがまた新たな噂を生み、街に対する苦手な意識を強める一因となったかもしれない。そのような苦労や心労を解消し、なるべく笑顔でいてほしい。そういった感情のもと、手伝いへの名乗りを上げた。興味のある主人の仕事を手伝ってみたいという俗人らしい感情も僅かにあったが、不敬だと思考の隅へと追いやった。

31: ビオラ [×]
2023-11-02 18:32:34

「……ありがとう。本当に、貴方は優しい人だわ。
もし、何か知りたいことややりたい事があったら何でも言って下さいな。私も、貴方の役に立てることは何でもしたいの。」

優しい声音で紡がれる相手の言葉を聞けば、ふわりと笑顔になって嬉しそうに此方の言葉が弾む。仕事の誠実さを褒められるのはとても嬉しいことであり、改めてそう言って貰えるも今後も頑張る糧になる。手伝いに関しても快く引き受けてくれるようで、彼がここに来てくれて良かったと心の底から思う。
そのかわりと言ってはなんだが、彼の望みも極力叶えてあげたい、と何か所望があれば言って欲しい、と付け加えておく。
そして、他に案内すべき事はあっただろうか、と暫く考えた後、特に自分からは必要なものは見つからず、もう1つ声をかけた。

「屋敷の案内は以上よ。
今日はまだ来たばかりだし、荷物なんかの整理もあるでしょう?お仕事は明日からでも問題ないし、ゆっくり休んでくださいな。」



32: ブローディ [×]
2023-11-03 12:47:01

「承知致しました。私はいついかなる場合でも参じます故、もし何かあればすぐにでもお呼びください。それでは、少しばかり失礼致します」

一時の暇を出され、その場で胸に手を当ててお辞儀をするとそのまま部屋を後にした。大きな音を立てぬように配慮された小さな足音で、案内された自分の部屋に向かいながら自らの主人について思いを巡らせていた。
新たな主人は優しい御方である、というのが今日を通しての印象である。自分を雇ってくれたことから、丁寧な説明や言葉遣い、好かれているのであろう精霊達の動きなど、今日一日だけで主人の穏やかで思いやりのある人柄がおおよそ把握することができた。今の自分にとって、このような素晴らしい主人と巡り会う事ができたのは本当に僥倖だったと心から感じている。“役に立てることなら何でもしたい”とまで自分に言ってくれた主人に報いる為にも、研鑽を重ねて立派な使用人として主人の名に恥じない働きを遂行したい、と決意を新たにした。
部屋に到着すると、まずクローゼットに外套を掛け、それから持ち物を整理し始めた。元からそこまで所持品が多い訳ではなかったので作業自体はそれほど時間をかけずに済んだ。一通り作業を終えたところで、小さく息を吐くとその場で自分の手を空にかざして何度か回転させた。一片の露出もない、完全に鎧で覆われた腕。手を出した際、主人は気にしなくてもいい、と言ってくれたが、いつかは理由を話さねばならないだろう。

33: ビオラ [×]
2023-11-03 14:00:31


部屋を後にする彼の足音に耳を済ませながら、其方の方を見つめ見送る。やがて部屋の中が静かになると、小さく息を吐いて近くにあった書物を探りペラペラとページを捲る。勿論、そこに書かれた文字を読むことは出来ないが、普段は魔法を使い“読み取って”いる。だが、今はそれをする事無く、ただの紙切れを捲りながら考えるのは、彼のこと。
真摯さに溢れた物言いや態度、そして強靭そうな肉体からも誠実な騎士として数々の戦場をくぐり抜けてきたに違いはない。しかし、この仕事に就くということは、恐らく騎士としては身を引いているはずだが、それでも彼の身体は鎧に包まれている─。
…と、ここまで考えると、書物を閉じるのと当時に思考を途切れさせ、ゆっくりと仕事部屋を後にする。
勝手な憶測で彼のことを勘ぐるなんて酷く不躾だし、彼が話したくないのならそれを問い詰める必要も無い。それに、彼だってよく知らない盲目の魔女の元で働くなんて、まだまだ不安もあるはずだ。

(……私はただ、良い主人でいなければ。)

そう胸の中で強く誓いながら、足先が出向いたのはキッチン。慣れた手つきで食材や器具を準備すれば、魔法を使うことはなく、せっせと何かを拵え始める。
暫くすれば、屋敷の中には美味しそうなシチューの香りが立ち込めるだろう。


34: ブローディ [×]
2023-11-03 20:42:45

しばらく壁にもたれ掛かり、腕を組んで考え事をしていた。そうしてどれ程の時間が経過しただろうか。ふと顔を上げると、ふわりと漂う美味しそうな香りが漂ってきた。食欲をそそられる香りだと感じたが、考えればこの屋敷には自分と主人以外には誰もいない。となると主人が料理を作っているのだろうか。魔法を用いているのかもしれないが、しかしそれでも火や刃物を使うのであれば万が一があってはいけないと部屋を飛び出し、案内された記憶を辿りながらキッチンへと早歩きで向かう。

「たしか、ここが……」

それほど時間をかけることなくキッチンへたどり着き、中の様子を確認しようと頭を覗かせれば、主人が器具を用いて料理をしている姿が見えた。何事もなさそうな姿に安堵しながらも、話しかけるためにゆっくり近付く。

「突然ながら失礼します。良い香りが漂ってきたもので、つい誘われてしまいました。私にも何か出来ることはありますでしょうか?」

35: ビオラ [×]
2023-11-04 10:52:23


「 ふふ、私がお腹空いちゃって、もし良ければ、一緒に昼食を如何かしら?」

スプーンで鍋の中身を掬い、少しばかり味見をしていると、ふと部屋の外からゆっくり近づいてくる気配と足音にピクリと反応した。その後、すぐにその正体を思考すれば途端に肩の力を抜き、次いで聞こえてきた声にはにこやかに上記を返す。
気が付けばもう昼食の時間を過ぎていたし、彼もきっとお腹が空いているのでないだろうか、とついつい作りすぎてしまった。
木製の皿を棚から取り出せば、相手がそこに立っているであろう所に差し出して、言葉に甘えるように頼み事を。

「それなら、シチューを取り分けてくれるかしら?紅茶やサラダもそこに用意しているから、客間に運んでくれると助かるわ。
私も、パンを焼いたらすぐに行きますね。」

調理台に用意されたティーセットやトレーに並べられたサラダの小皿なんかも指させば、なんだか楽しそうにハニカミながらバケットを切り分ける。
思い返せば、誰かとこうやって食事の準備をしたり、一緒に食事をするのも久しぶりなようで。


36: ブローディ [×]
2023-11-04 15:53:43

「では失礼ながら、ご相伴に預からせていただきましょう。ビオラ様も、火の取り扱いにはご用心を」

お誘いを快諾し、頼まれごとを一つづつこなして行く。ティーセットやサラダを慎重に客間へ運び、シチューを皿に取り分け、それらも客間へ並べる。勿論並べ方には気を遣い、食器の角度や距離、配置が理想的なものになるように整える。思えばこうして食事の準備をしたり、誰かと食事を共にすることは随分と久し振りだ。騎士を離れてからは基本的に安く購入できる質の悪いものや、粗悪なエールで餓えを凌いでいたので、しっかりした食事が採れる上にそれが主人の手作り、更には共に食事を行えるとなれば喜びも一入である。
やがて自分が納得の行く配置が仕上がると、腰に手を当てて何度か頷いた。我ながら完璧にできたつもりだ。

37: ビオラ [×]
2023-11-04 19:29:33


「お待たせしました。お手伝い助かりましたわ、ありがとう。
さぁさぁ、食べましょう。」

暫くして、小さなバスケットの中にこんがりと焼き目を付けたバケットを詰めて軽い足取りで客間へとやってくる。
頭上をくるくると楽しげに舞っていた精霊たちが、徐ににふわりとバスケットを持ち上げると、テーブルの中心へと其れを置いて、また楽しげに周囲をくるくると舞い始める。
其れにもお礼を述べれば、相手にも着席を促しつつソファーへと腰掛ける。
「召し上がれ」と微笑むと、次いで自分も挨拶を済ませて食器具を手に取ろうとテーブルの上に指先を滑らせる、が、一瞬その手が止まると、あらあら、と柔らかく口元を綻ばせ、ゆっくりと卓上を探り出す。それぞれの食器の位置、間隔、角度に至るまで気遣われているのが伝わり、実際にとても手に取りやすい配置になっていた。

「…ブローディさん、テーブルセットお上手なのね!ビックリしたわ。ふふ、なんだか貴族になった気分。」


38: ブローディ [×]
2023-11-05 00:01:17

客間に現れた主人の軽やかな足取りと、その頭上を飛び交う精霊の煌めきを見て、思わず兜の中で口角を上げた。主人も精霊達も本当に楽しそうにしており、その姿を見ていると此方も嬉しくなってくる。やはり出来ることならずっと今のように笑顔でいてほしいものである。今後も主人が笑えるように出来る努力を最大限行おうと思いながら、精霊達がバスケットをテーブルに置き、主人が先に着席したのを確認してからソファーへ腰掛けた。
主人が食器具を手に取ろうとして一瞬手を止めた姿に配置に失敗したかと眉を顰めたが、それは主人の笑顔と言葉ですぐに杞憂だと分かった。しっかり喜んでもらえた事に安堵しながらも、僅かに顔を綻ばせて答えた。

「お褒めの言葉、感謝致します。食事の用意を整えるのは久しく行なっていたかったものですから、少々不安でしたがお気に召されたようで何よりです。それにしてもビオラ様は聡明でいらっしゃいますね。貴族になった気分、とお褒め頂きましたが、まさしくその通り。かつて仕えていた領主様の意向により、騎士だけではなく執事や使用人としての仕事も行っていましたが、その仕事の中で貴族の食事会の準備を行う事があったのです」

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