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不思議の国の案内人 [×]
2023-01-08 19:18:29
「『ありす』、『ありす』。わたしの翅、わたしの太陽、わたしの花。あなたがいなければ、わたしは飛ぶことすらもできなくなってしまうの」
「ねぇ『ありす』、わたしはあなたのことがだぁい好きよ。でもあなたは自由だからこそ輝くの。どうか、遠くへ羽ばたいていってもわたしのことをお忘れにならないで」
「『ありす』、『ありす』。どうか帽子屋様と女王様にはお気をつけて。けれどもどうか怖がらないであげて。みんな『ありす』のことが大好きなだけなの、ただそれだけなの」
ピオラ / ♀ / 蝶(芋虫)
蜂蜜色のソバージュヘアを腰下まで伸ばした少女。大きな瞳はゆるりと垂れ気味で、瞳は陽だまりのような橙色。血色のいい色白の肌であどけなさが残る顔立ち。フリルをあしらった白いワンピース、白いソックスに黒のトゥシューズ。背中には大きなアゲハ蝶の翅が、頭頂部には黒い触角が一対生えている。身長は154cm。
纏う雰囲気に違わぬふわふわとした掴みどころのない性格。誰に対しても友好的で、剣呑な雰囲気を嫌い、平和と安寧を愛する。その性格柄か、『アリス』に望まれればサポートを積極的に行い、帰還の意志を告げれば手助けするだろう。アリスに抱くのは友愛とも恋情ともつかぬ芽のような愛情。ずっと傍にいてほしいと願いながらも、不思議の国を駆け回ったあの自由な姿をなによりも愛しいと思っている。
かつてアリスと接したことにより芋虫の殻を破って羽化した蝶。少しおかしくなってしまった不思議の国で最も正常な認識を保っている住民。『アリス』がアリスでないことにほんの少しだけ気が付いているため、たとえアリス本人でないと理解したとしても彼女に傷つけられることはないだろう。鳥のように自由で何物にも縛られずに己の人生を満喫するアリスに惹かれていた。
──────
「黙りなさい、『アリス』。私はもう独りも涙もうんざりなの。……わかったのなら、二度と姿を眩ませないように」
「あなたが去ったあの日から、ずっと後悔が消えないの。ああなるのなら、首を斬ってでも留めればよかった。……それとも、私を独りにしないで──そう泣き縋ったならば、あなたはいなくならなかった?」
「ウサギは狡猾よ、あれは主でさえも欺こうとするわ。かつて芋虫だった蝶は幼稚よ。手放すことこそを愛と嘯く。私はもう、間違わないわ。次こそは、首を斬り落としてでもあなたを離さない」
メア / ♀ / ハートの女王
膝下まで伸びた桃色の髪は毛先に向かうにつれて赤みがかったウェーブヘア。全てを諦めたような瞳はいつも相手を探るようなレッドベリルの色。日焼けを知らないかのように白い肌とすらりと伸びた手足を持つ少女。フリルと瑞々しい造花の薔薇、トランプがあしらわれた豪奢な深紅のドレス、薔薇を象った小さなルビーがバンプで輝くワインレッドのヒール。身長は158cm。
常に他を見下して威圧する傲慢な性格。刺々しさを感じさせる物言いを平然と行い、己に従わない者の首は容赦なく刎ねようとする。しかし実際は臆病な依存気質で、誰よりも打たれ弱く誰よりも壊れやすい。普段の態度はそれを隠すための蓑である。懐に入れた者には非常に甘いが、意に沿わぬようならば首を斬る冷酷さも秘めている。それは『アリス』とて例外ではないので、交流は慎重に行う必要があるだろう。
不思議の国の傲岸不遜で無慈悲な恐るべき女王。女王たる者、弱々しい姿など恥であるとの苛烈な教育により女王然とした姿に成長したが、仮面と素の軋轢に苦しんでいたところにアリスが現れ、唯一アリスだけが女王の心を氷解した。アリスにべったりと依存しており、次にアリスが離れようとした時には首を切り落としてでも引き留めようと画策している。唯一己の素を見て優しく寄り添ってくれたアリスに惹かれていた。
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「ああ『アリス』、我が伴侶。相も変わらず麗しいことで。気に入らないものがあったのならば、俺に言うといい。なに、茶会にでも招いてやるだけさ」
「どうした『アリス』、まさか今更怖気付いたと言う訳でもないだろう?イカれがさらにイカれればどうなるか、察せないお前じゃあるまいに。俺はこの不思議の国で最も狂った女、そんなこととっくに知っているだろう?」
「騎士は信じるな、アレは無害な皮を被ったただの獣だ。ウサギに気を許すな、奴は『アリス』のことすら見ていない。偶像をひたすらに押し付けているだけだ。──ああ、奴等が邪魔ならばそう言え、騎士狩りもウサギ狩りも楽しめそうだからな」
サンドラ / ♀ / 帽子屋
臙脂色のハンサムショート、怜悧な切れ長の眼と爽やかなスカイブルーの瞳を持つ。色白で大人びた顔立ちは中性的な印象。第二ボタンまで開けた麻色のワイシャツとサスペンダーで吊った黒のスラックス、よく磨かれたウイングチップの男性用革靴。頭には帽子屋を象徴するような黒のセンター・クリース・ハットを常に被っている男装の麗人。身長は180cm。
言動の節々に危うさが覗く獰猛な性格。相手を品定めする不躾な眼を隠そうともしない自己本位な性格で、興味がある相手にはよく絡むものの無関心な相手には一瞥もくれない、ある意味でわかりやすいハッキリとした一面を持つ。悦楽を好み、退屈を嫌い、混沌を愛する危険人物。『アリス』に対しては砂糖のように甘く接し、気紛れに助言したかと思えば次の瞬間には命を奪おうとするなど一貫しない態度を取る。
不思議の国にある広大な森の奥に建つ豪邸の女主人公。森に住まう猛獣たちの纏め役でもあり、調教師でもある。紅茶好きで頻繁にお茶会を開いており、お気に入りはその席へ招待することも。邪魔者を排除することは厭わず、スリルと駆け引きを好む。『アリス』は伴侶であるものの、ひとたび求めるアリス像から外れれば容赦なく危害を加えるだろう。決して怖気づかず、真っ向からぶつかってくる知的で勇敢なアリスに惹かれていた。
──────
「やぁ『アリス』、キミも大変だねぇ。なに、人生は山あり谷ありだ。猫の手も借りたいほどに切羽詰まったのならば呼んでごらん。でもそれまでは頑張りたまえよ」
「猫は気紛れなのさ。しかし他の住民はもっと気紛れだ。さて『アリス』、またキミの冒険譚が見られると思うと胸が踊るよ。ボクは傍観者らしく観賞させてもらうとしよう」
「あの蝶は芋虫にはもう戻らないだろう。なんていったって、彼女を羽化させたキミが戻ったのだから。帽子屋は──あれはいいね、見応えがある。知ってたかい?実の所、彼女と関わっている時、キミはいつも危ない橋を渡っているのさ」
ロンド / ♂ / チェシャ猫
薄桃色の短髪で、内側にはパープルのインナーカラー。大きな猫目で、好奇心が爛々と輝く金色。いつも緩く弧を描いている口からは時折鋭い牙が覗く青年。健康的な肌の色で、体躯は細身ながらも男性らしさが見える。だぼっとした桃色のパーカー、猫が引っ掻いたかのような黒いダメージジーンズ、履き古された赤いスニーカー。頭頂部には猫の耳、尾てい骨付近からは太い猫の尾が生えており、どちらもショッキングピンク色。身長は175cm。
自由気ままにして気紛れ、それでいて面白いことには目がない好奇心旺盛な性格。自らを傍観者と称する通り、基本的には遠くか傍で見守って手を出さないことが多い。しかし刹那主義なのでその場その場でコロコロと気分が変わり、その結果として干渉することも。荒事に関しては、眺めるだけならば好むが率先して加わることはしない。『アリス』へのスタンスは中立で、余程でなければ彼が直接危害を加えようとすることはないだろう。
神出鬼没なチェシャ猫。どこにいつ現れるのかは本人も含めて誰も予測することができないほどの気分屋として有名。時には侵入が到底不可能な場所にも易々と入り込むなど、その業はまるで魔法のよう。怠惰なため普段はふわふわと宙に浮かんでおり、地に足が付いた生活はあまり好まないようである。気分屋な彼のことすらも巧みに扱ってみせる器用でしたたかなアリスに惹かれていた。
──────
「よお『アリス』。オレ?オレは女王様の我儘で買出し中さ。まったく人遣いが荒いのなんのって。……そうだ『アリス』、いっそのことクーデターでも起こして女王様を引きずり下ろしてくれよ」
「オレはお前の騎士だよ『アリス』。みんな鬱陶しいからもう嫌だってなったら言ってくれよ。どこまででも連れて逃げてやるからな。お前の言うことならなんでも叶えてやる。だからオレ以外の騎士は作るな」
「猫は傍観者気取りなんだ。そのクセ中途半端に首を突っ込みたがるよくわかんない奴。女王は我儘放題のおっそろしい薔薇の女だし。さらに言えばこの世界は我儘なくせに傍観者だ。なのに変化を嫌うからつまんねぇよな」
アベル / ♂ / ハートの騎士
さっぱりと短く整えられた栗色の髪とアーモンドアイ、人懐こさが滲む朱色の瞳。僅かに日に焼けた肌と、騎士に相応しいがっしりとした体躯を持つ青年。黒のワイシャツに金の糸で薔薇の刺繍があしらわれた赤いベスト、その上にボタンがしっかりと留められた純白のランサー・ジャケット。純白のスラックスに黒のブーツ、そして腰には剣を下げた騎士風貌。身長は190cm。
誰に対しても友好的で人見知りとは無縁な性格。好意は存分に露にし、面倒見も良い兄貴肌、それに加えて人懐こく接する積極性を持つ。しかしその実は極度の飽き性であり、常に自分の心を満たしてくれるなにかを追い求める享楽主義者。それが一時であれど充足感を与えてくれるのならば罠にも自ら引っ掛かりにいき、主君すらも面白半分に裏切ろうとする。規律よりも充足感を優先するので危うい発言も零しがち。『アリス』ですらも面白さのためならば容易に切り捨てるが、その逆もまた然り。
ハートの女王に仕える騎士。人畜無害そうに見えてなによりも楽しさを優先する人間で、他の住民や『アリス』すらも玩具として見ている。助けを求める手を握った時と同じ笑顔で崖から突き落とすが、善悪の価値観を重要視していないだけなため当人からすれば悪意はない。退屈を嫌い、変化をなによりも尊ぶ。いつも新鮮な充足を与えてくれていた大胆で派手なアリスに惹かれていた。
──────
「これでもせめて心根だけは真面目に、を心掛けているのです。しかしいくら早く出ても障害が前に立ちはだかり、どれだけ気をつけようとも予想せぬ方向から厄介はやってくる。生まれつきの不幸体質なのですよ、僕は」
「アリスが帰ってしまったのは僕がいつまで経っても不幸の呪いを解けないせいなのでしょう。しかし今こうして『アリス』は戻ってきてくださいました。パンドラの箱の希望は、ようやっと僕に微笑みかけてくれたのです」
「騎士は僕を不真面目でいけ好かない腰抜けだと思っています。訂正すること既に百回余り、いい加減疲れました。猫は嫌いです。ウサギの天敵である捕食者ですし、僕の不幸体質に巻き込まれたら可哀想だとニヤニヤ笑ってアリスを遠ざけようとしてきますから」
オリバー / ♂ / 白ウサギ
真っ直ぐに伸びた白髪は顎までの長さで前下がり。吊り目、ルビーのような真っ赤な瞳は堅苦しい真面目さを感じさせる。常に細縁ラウンド型の眼鏡をかけており、白い肌と細身な体躯を持つ青年。白いワイシャツに黒いリボンタイ、チェッカー柄の黒のベストとスラックス、よく磨かれたホールカットシューズ。頭頂部には長いウサギの耳が、尾てい骨付近からはぼんぼんのようなウサギの尻尾が生えており、どちらも真っ白。身長は185cm。
生真面目で融通のきかない性格。何事にも真摯に取り組み、一度引き受けた物事はどんなものであれ責任感を持って成し遂げる。口調も丁寧で、常に敬語を用いる。しかし生まれつきの不幸体質故か非常にネガティブで自己肯定感が低く、ことあるごとに己を卑下しがち。またその反動か、『アリス』のことを過度に神格化し、愚直に崇拝を向ける傾向にある。盲目的である分、裏切られたと感じた際には闇に最も落ちやすい。
ハートの女王に仕える白ウサギ。ベストの内ポケットに懐中時計を入れており、頻繁に時間を確認する癖がある。生まれつきの不幸体質持ちであり、予測不可能な障害に邪魔をされて遅刻したり、アクシデントに巻き込まれやすい。アリスは彼の人生で唯一存在する幸福の具現。そのため、『アリス』を神として崇めて、期待と理想を押し付けるだろう。不幸体質を厭わず、自分を正面から見てくれた優しくてしっかり者のアリスに惹かれていた。
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