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逆転恋心 〆/67


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41: 御剣怜侍 [×]
2022-04-07 20:03:42


不安要素の一つだった料理が来るまでの談笑は構えていたほど難しくなく進んだ。そして、注文したものを乗せたワゴンが近づくとまたもや不安要素であった料理チョイスであったが、彼の上々な反応から見て的外れなチョイスをしていなかったようだ。ひとまずは上手く事が運んでいるようで一安心し、自分も頼んだワイングラスを手に取ってクルリと緩く回して、引き立つ香りを楽しんでから一口。値段だけあってノンアルコールでも鼻に抜けるような葡萄の香りと後味もすっきりしていて飲みやすいな。などと感想を抱いて一人満足そうに小さく頷いてナプキンで口を拭くと、今度は彼に高級車をたかられてしまった。恩人に金銭面を触れられると職業柄かどうにも悪い方に考えてしまって冗談として落としきれないためにぐっと眉間に深いシワを刻み込んで不機嫌そうな表情を作ったが、彼はそういう人間ではない。と判断して軽く首を振ってよろしくない考えを振り払うと

「…車はともかく、私はキミと同じ時間が過ごせるのなら何だって…何処だって構わない。だから、これを……」

そう言って懐から革製の小型財布を取り出すと、裏面に自分の携帯番号が書かれた名刺を一枚取り出してそれを彼に差し出した。プライベートで自分の携帯番号を教える事ですら経験が少ないので自然な電話番号交換の申し出だったのかはわからないが、今回のようにならないために前もって約束ができるよう連絡手段をお互い持っておくのが良いだろう。これは、そういった合理的考えからやった事だ…と何だか友人との純粋な連絡交換のはずなのに邪な気持ちが入り組んでいる気がして、いつの間にか言い訳がましい事を心の中でしながら、これまで彼に言われた冗談に返すようニヤリと不敵に笑んで

「証拠品以外のことなら相談に乗ろう、いつでも連絡してくれ」



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