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____霞んだ色彩で宝石と踊る____/274


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37: 雑草様 [×]
2020-11-27 03:49:48




「 ......... 」



真夜中、曽良は昼に来た芭蕉の部屋に訪れていた。勿論何も意味がないと言う訳では無い。昼に来た際、芭蕉の部屋に自身の愛用している筆を忘れてしまったのだ。それを気づいた時自分の愚かさと馬鹿さに頭を抱えてしまった。
そこから今に至る。

曽良は自分の筆を探そうと部屋を漁った。



「 .....無い 」



あの筆はそこまで大切にしている訳ではないのだが新しく買うのは面倒だし俳句を書く際とても不便だ。

漁っていくうちに芭蕉の引き出しを開けた。そこにはノートでも何でも無い、ただただ気持ち悪く好きだの愛してるだの愛の言葉が書かれた紙がびっしり詰まっていたのだ。
しかもその文は皆同じで失敗したのもあるのか全体的にごちゃごちゃと騒がしかった。



「 気持ちの悪い... 」



思わず声が漏れる。それほど気持ち悪く気色悪い。
しかし曽良の中の好奇心がざわめいた何故かみたいと言う欲望が溢れるそれにはあの曽良でも勝てなかった。



『 どうしたの?曽良君 』



声のせいか芭蕉が襖を開け此方に来た。音もしなかったしあまりにも突然の事で曽良は吃驚し思わずビクッ肩を震わせる。それしか今出来る事はせず紙の事は忘れておりみた事を隠す事が出来なかった。



『 ......見ちゃった?それ 』



「 .....誰宛に書いたんですか 」



芭蕉は此方を見ると少し眉を下げ困ったような顔をして指を差し曽良に解いた。その表情は困り顔のようだが何処か凛としており月明かりからか影がくっきりと残っていた。その時に曽良は恐怖を煽られそれを振り払うように目を反らし紛らわす為聞く。

芭蕉は此方へ足を踏み入れるとのっそのっそと近づいてくる。何も言わず無表情で。

そして曽良の前へ来ると相手に身長を合わせ立ち膝をすると曽良の鎖骨に手を乗せ自身の顔を耳元へ近付けるといつもの声とは裏腹の色気を感じさせる吐息混じりの低い声で言った





『 君宛だよ 』






    

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