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2: ビギナーさん [×]
2020-11-09 10:09:48

あまり話したことのないクラスメイトに呼び出された。用件を聞こうとしたが、全員が集まってから話すと言われた。
約束の時間の5分前。集合場所の教室に入ると、既に4人の男子生徒がいた。

「お、中田も呼ばれたんだな」

そう言って、霧島が俺に向かって手を振る。
おっすと軽く挨拶してから、他の2人を一瞥した。
背の高い細身体型な男子と、ちょっと柄の悪そうなヤンキー男子。俺とは違うクラスの人だ。
しばらくすると廊下から足音が響き、教室の戸が勢いよく開かれた。

「みんな、今日は来てくれてありがとな!」

俺たちを呼び出した張本人、後藤だ。陽気な彼らしい第一声だな、と思った。

「で、わざわざこんなところに集めて何をするんだよ?」

ヤンキー男子が後藤を睨みながら訊ねた。どうやら、俺だけでなく全員が用件を知らされていないらしい。
その問いに、後藤は少しきまりの悪そうな表情を浮かべた。

「いやぁ、実はさオレ……バイトの面接落ちちゃったんだよね」

意味わかんねぇぞ、後藤。
この場にいる全員がそう思った。

「……うん、それで?」

背の高い男子が話の続きを促す。

「姉ちゃんに小遣いくれって頼んだら、その代わりにやってもらいたいことがあるってさ。でも、オレ一人じゃできないから、みんなに手伝ってほしいんだ。頼む!」

真剣に頭を下げる後藤。そんなに金に困っているのだろうか。クラスメイトのよしみで、協力してやりたいところだが……

「たしか、後藤のお姉さんってBL作家だったよな?」

霧島が若干表情を曇らせながら呟いた。対して、後藤はパッと明るい笑みを浮かべ、うんうんと頷く。

「そうだよ! だから、男だけで王様ゲームしてるところを実況してくれって頼まれたんだ! ちなみに報酬は5000円!」

「え、後藤……? それは、ちょっと……」

「てか、金目当てでダチに恥かかせんのかよ」

別クラスの2人から抗議されるも、後藤は普段と変わらない爽やかな笑顔で、

「そうだけど?」

『そうだけど?』???
俺の頭の中でクエスチョンマークが増殖していく。

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