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7186:
ロジャー・チェイス [×]
ID:abc583d49 2020-06-04 15:01:01
>7131 神楽 拓馬
>7137 蒼馬 瑠璃男
【キース(ハット)& ロジャー(ラビ)/大学・ノア】
「……なるほど。拓馬は黄色い食べ物が好きなのだな。この食いしん坊さんめ。」
再び拓馬の頭に『おやつ』を植え付けてしまったことにしまったと思いつつ「太っても知らんぞ」とその後に付け足して、目の前に対峙する脅威から緊張感は解こうとはしなかった。
拓馬と話をしている間に瑠璃男が先に行動に出ていた。
まだ影から飛び出してもいない魔物の尻尾ばかりを狙って斬り落としていく様子を見てキースは口を開いた。
「まて坊主……そう死に急ぐな。」
間合いを一気に詰めていく瑠璃男と、微動だに動こうとしない男に何かがおかしいと気づき始める。
__これは罠だ。
ここまで瑠璃男を誘き出すためのだ。男はまんまと瑠璃男を釣り上げたようだが、キャッチされる前にその魚はリリースさせてもらおうか……。そう察して行動に出た。
キースは杖をパフォーマーのように回転させる。すると杖自体がマジックハンドへと変貌を遂げて、瑠璃男に向かって一度素振りをすると柄の部分が蛇のように伸びていき挟む部分が獲物を捕らえようと口を大きく開いた。
そしてマジックハンドの挟む部分は瑠璃男を捕らえ胴体を挟み込んだ。キースは即座に引き上げ瑠璃男を空中へと空高く放り込んでそこでマジックハンドを元の杖に戻した。
「お前の行動はよく知っている。だから次に何をしようとし、次にどう出るのかも分かっている。」
『それは凄い……。奇術師が種明かしするとは驚いたものだ。』
キースはまるで瑠璃男をあのまま行かせていたらこの先にまっていたであろう未来を知っているかのように話す。
一方男の方は表情からは相変わらず一点の曇りも見せようとはしなかったが、声にはキースを奇術師と呼び軽蔑する声がにじみ出ていた。
『__楽譜を持っているな。それを渡してもらおうか。』
「何故だラビ……。久しぶりにこうして会えたというのにお前らしくもないぞ。__目的はなんなんだ。柔能く剛を制すお前にこんなものは必要としないはずだ。」
『……ハット。そこまで分かっている……なら、僕がなぜ楽譜を欲しがっているのかも分かっているはずだけど。』
キースは馴染みがあるように男をラビ呼び、男はキースにたいして神楽やベガの組織の者ですら聞いたこともない呼び名を口にした。それは異名である。そう呼び合うのは二人が顔馴染みだからであって……。
だからこそラビの行動を予測し瑠璃男が致命的なダメージを負う前に未然に防ぐ事ができたというわけだ。
二人は昔、同業者として仕事をしていた時期があった。それはキースがベガのボスに就任する前の昔の事だ。
しかし、お互いに異名で呼び合って話すものの、誰の目から見ても二人の間には溝があるように見えるのは明らかであった。
「まさか……目的は破壊か。」
『その通り。やっと分かってくれたみたいだね。話が早く済みそうで助かった。』
よく考えて見ろとキースに促して、必要としていないもを欲しがっている理由に辿りいたことが分かればラビは嬉々として剣を引き抜こうとしていた。
「まて、ここへ来る前に誰かと戦っていたのではないのか? __お前から硝煙と焦げた匂いがする。一流の殺し屋であるお前が痕跡を残してまで大学や建物の破損を避けて戦ったのだ。ここで争っては全てが水の泡となるぞ。」
しかし、キースによって衣服や体に付着した硝煙などの匂いやこれまでの行動を指摘しされれば、それまで眠らせていた大学に通う生徒や関係者達を目覚めさせたこともありラビに若干の躊躇が現れ、それは阻止されたのである。
『ハット……まさかそんな脅しが通用すると思ってやいないだろうね。』
「__脅しではない。交渉……いや、これは説得だ。吾輩は争いを止めに来ただけだ。知っての通りヒーローに転職したからな。世界の平和を守る義務が吾輩にはあるのだ。」
『……だからって鍵をおとなしく渡すと思うかい? こんなタヌキ(裏切り者)に?』
これまでの人生を振り返ればキースには反論の余地などなかった。過去の自分勝手な行動によって仲間を切り捨てて来たのだから。ラビもその大迷惑を被っている一人に過ぎない。
交渉どころか説得させるのは無理があるのかもしれない。しかし__。
「お前が吾輩を信用しないのは当然のことだ。信用されたいとも特に思わん。だが、お前が破壊するというならこの【楽譜の後半】はお前に託すことはできる。__因みに【楽譜の前半】はさっきの坊主が持っておるぞ。」
指をパチンと鳴らして楽譜を召喚させる。目の前に出された楽譜をラビは受け取ると魔獣にそれを預けさせた。
ラビはそっと横目を使って、呆れたようにキースの方を見ていた。
『今になってその事を打ち明けたという事は……』
「本来なら魔の契約を結ぶはずだったが坊主が変に警戒してやり損ねた。まあ、そのおかげで手のひらは返しやすかったぞ。」
『聞くだけ無駄だけど彼が気の毒だとは思わないの?』
「ちっとも思わん!! 口頭だけで約束事がまかり通るほど悪の世界は甘くはないわ!!」
『だろうね……。』
交渉を持ちかけたのはキースであることも、どんな交渉を持ちかけ瑠璃男を騙したのかもラビには手に取るように察しがついた。開きなおる元同業者を見れば相変わらずの横暴さにやれやれと溜息をついた。
「悪いな坊主そういうわけだ。これ(ノア)を破壊することは世界平和につながると思っている。故にだ……此奴(ラビ)の怒りに手を貸してやることにした。」
話が落ち着いてきたところでキースは神楽を庇うようにして背に隠して瑠璃男にそのように告げた。
ラビもキースの話を聞くなり敵視していた目線を瑠璃男へと向けた。力の発現か、日常を狂わされての怒りの炎か、焔の瞳は常に紅く、標的を追い続けようとしている。
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