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10946: 桐恵&紅葉&ユーリ [×]
ID:3d63c5bb6 2020-07-24 17:41:07

  >疾風さん&蘭花さん、斑鳩刹那さん

西のアジトに辿り着いた一行だが、ふと刹那を見るとスマホでメールを打っていた。
そして程なくして送信が終わると徐に上を向く刹那。
その瞳には心なしか涙が溜まっている様に見えた。

「……その様子から察するに、肉親か親友に現状でも伝えていたか?」

桐恵も馬鹿ではない。
寧ろこれ以上無く頭は回る方である。
刹那がどんな心境で西の組織に入る事を決意したかなど大概は理解しているつもりだ。

「………今の立場がどうであれ刹那は刹那だ。君が君である限り、私もユーリも、紅葉も禁忌も君を見捨てる事など無い。きっと、送信相手もわかってくれるさ。」

それは桐恵なりの励ましだったのかも知れない。

そんな中蘭花が指差す先の人形が目に入る。
かなりの精巧な出来である事は桐恵も瞬時に理解するが、同時に何かが足りないとも感じていた。

「なぁ、この人形には話す機能は付けないのか?これ程の精巧な出来なんだ。折角だから付属するのも悪くないと思うのだが。」

人形を見てまず感じた第一印象を蘭花に質問する。
確かに精巧なのだが反応が今一つ淡々とし過ぎていた。

そんな考えを持ちつつもあっという間に蘭花の部屋にたどり着く。

その部屋を見て、それぞれが多大な反応を示していた。

「オタクな中国娘。…………蘭花。出来るな。」
「……よく分かりませんが、凄く可愛らしい部屋ではありませんか。」
『……凄い。』

何を隠そう、桐恵とユーリは程度は違えど一般的に言うオタクであった。
紅葉はオタクという訳では無いが、単純に部屋の内装が可愛らしいと感じた様だ。
やはり紅葉の感性はどこか独特なもの感じる。

「…っと、こうしている場合では無いな。ホラ、着いたぞ。」

蘭花の部屋のベッドに抱え込む疾風を静かに下ろす桐恵。
その際に必然的に二人の顔が近付く。

あどけないその寝顔。
普段の彼女からは考えられないその純粋な顔は何処か尊ささえ感じさせるものがあり、彼女をベッドに寝かせた後も桐恵は暫く疾風の寝顔を見つめていた。

「……こうして見ていると、子供の様に純粋だな。」

彼女の抱える過去の闇と自身の抱える過去の闇。
それはあくまで理由の一端だったのかも知れない。

だが、彼女は初めてありのままの私を見てくれた。
それ以降彼女とはウマが合い話す様になっていった。

「………お願いだから、無茶だけはするなよ……。」

そんな彼女の寝顔を見つめていた桐恵は誰にも聞こえない程の小さな声でポツリと呟く。
どれだけ彼女を想っているのか。
そんな桐恵の一端が垣間見える瞬間でもあった。

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