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【短編小説】タイトル、お題、なんでも相談所/56


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23: 林檎 [×]
2019-04-13 19:55:41

データが……四回ぶっ飛んだ……泣きたい…… ( 泣け )





 いつからだろうか。昨日? 先月? 一年前? そんなことが分からないほど、本当に自然だったんだ。君に、愛しいという感情を持ち始めたのは。
 ふとした瞬間、君を可愛いと思った。愛しいと思った。前まではぼんやり可愛いとしか思わなかったけど、今は全く違う。
 これが世間で言う一目惚れやつ? ……いや、違うか。初めて会ったときは全然こんな感情なんて持ってなかった。何これ複雑。
 あれから毎日浮かぶ、解けない疑問を云々考えながらあの子を見つめる。
 一番最初に可愛いってすごく思う。そのあと色々細かいとこに目線がいって……ただの変態じゃないか。
 落ち着くために一旦あの子から目を逸らしつつ頬杖をつく。目を逸らしたってあの子の声が耳から離れないのは可笑しいだろうか?

 ごちゃごちゃと悩んでるとあの子がいる方から足音が聞こえてきた。もしかして、もしかしなくても。

「ね、みどり、ちょっといい?」

 さっきまで聞こえてきた声が耳に響く。声の主の方へ向くとやっぱりあの子。思わず変な声が出そうになった、可愛い。

「な、何?」

 頬杖をやめ、改めてあの子……菫を見る。菫の瞳にはぎこちない動きの自分が映っていることだろう。
 問いかければ相手はにっこりと笑い、その柔らかそうな片手を出す。その片手には、ほんの軽く装飾されたヘアゴムが二つ。
 え、なんて声が漏れた。こんな展開予想してなかったから。

「みどり、髪長いでしょ? だから必要かなって。少し飾った程度なんだけどね」

 えへへ、なんて笑いを零す君。可愛すぎか、優しいすぎか。
 脳が混乱していやがる。取り合えず差し出されたヘアゴムを受けとる。その時手と手が触れて鼓動が早まった。ドキドキというよりかはドッドッの方が近い、どうでもいいが。
 ありがとう、って呟く。すればどういたしまして、と言うようにして満面の笑みを浮かべる相手。
 触れた手と耳に熱が帯びる。熱を消そうと思っていても消えてくれない。
 会話なんてもの続かずに沈黙。そのまま菫は友達らしき人に呼ばれて連れていかれた。バカバカバカ、なんで話題出せないんだ。

 今でも鼓動は落ち着いてくれないし、さっきよりかマシになった熱もまだまだ引いてくれない。

 この感情は一体なんなの。

 その答えは一人では導けず、いつまでも自身の胸を絡み付いて離れてくれないらしい。





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