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自分のトピックを作る
13: 御鏡 [×]
2019-03-26 18:01:02

途中までながら出来たので投稿~!

「…?」

 不意に視線を感じ、ファウストは聴診器を動かす手を止める。
彼の前に座る患者が怪訝そうな顔をして、スケッチブックを
差し出した。

【どうした?】
「あ、いえ。お気になさらず…筆談をする辺り、声が出ない程、
咽喉が痛いンですネ?しかし、まだ風邪とは断定出来ませンから…
聴診は終えたので、次は視診と行きまショ!ささ、お口を
開けてくださいネ♪」

 彼の言葉に従って、患者は捲り上げていた服を下ろし、マスクを
外して口を開ける。ペンライトの光を当てれば、そこは赤く
腫れていた。

「うわ、すっごい…扁桃腺が滅茶苦茶腫れてますヨ…
一体何したらこうなるンですか?嗚呼、多分コレ
ただの風邪なンで、安心してくださいネ」
【仕事 忙しい 診療所 来る暇 ない。先生 言う 安心】

 接続詞のない文章。多少読み辛くはあるが、書く時間の
省略のためだろう。この患者に如何様な薬を出そうかと
ファウストが考えていると、また視線を感じた。

「……取り敢えず、お薬出しときますネ。普段なら一日分で
良いと思うンですけど、アナタの場合結構重症っぽいので三日分
出しときます。元気になったら、また来てくださいネ♪
じゃ、お大事に~!!」
【あざした】

 薬とスケッチブックとを持ち、怠そうにしながら診察室を
後にする男の背に向けて手を振る。男の姿が見えなくなった刹那、
ファウストは窓に小振りなメスを投げた。

「……ホント、誰なンでショ…ネ。私を見てるのは……」

 この数日、何度も視線を感じた。買い物をしている時、料理を
作っている時、診察をしている時…ふとした瞬間に感じた視線。

「ああああああもう駄目。癒しが欲しい…!!えぇと、
今日は患者サマも…もう居ませンネェ。良かった良かった…」

 自室の部屋の扉を開き、ベッドに倒れ込む。柔らかな羽毛が、
彼の身体を受け止めた…筈だった。

「んむ…先生、重いですぅ…」
「あいや、エマさん!?来てたンですか!」

 そこには、付近に住む大学生のエマが居た。彼女は良く
診療所に来ては、医学に精通するファウストの話を
聞きたがるのだ。何でも、将来は医者になりたいらしい。

「えへへ…だって、先生の話が聞きたくなっちゃったんですもの」
「全く…まあ良いですけどネ。で、今日は何の話を
聞きたいンですか?」
「先生の日常生活でのお話を聞きたいんです!」
「……ハイ?えぇと…正気ですか?」
「私は何時だって正気です!
それに…先生の事、もっと知りたいんです」

 その瞬間、あの視線と良く似た何かをファウストは感じ取った。
愛用する巨大なメスを咄嗟に掴み、目の前に立つ誰かに
突き立てる。すると、それはぐにゃと歪み、姿を変え始めた。
エマの代わりに、全身に包帯を巻いた女が、そこに現れる。

「痛ぁい……先生ったら酷いじゃない……アタシだって事、
解ってるでしょ…?手加減くらいしてよぉ……」
「…これはこれは、アリスさんでしたか。失礼しましたネ」
「…相変わらず、いけずなヒト…」

 金属の軋むような音と共に、アリスの首が時計回りに
360°回転する。それを見てファウストは、紙袋の下で
溜息を吐いた。

「…で、何の用ですか?」
「あのね…アタシ、素敵な物見つけたの…だから、キミの力で
何とかして欲しいな……って思って……」
「失礼ながら、全く話の筋が読めないのですが…」
「アタシ、とっても素敵な魔剣を見つけたの…でも、
強~い呪術式が掛かってて……キミなら、解けるでしょ…?」

 一瞬の間の後、盛大な音と共に窓が割れ、硝子片が辺りに
飛び散る。静かに殺気を放つ異形がそこに居た。

「あのね…それならそうと、ハッキリ言いなさい。アナタは些か、
物事を遠回しに言う事が多すぎる。もっと簡潔な言い回しを
見付けなさい。生憎、私だって毎日暇な訳ではないのだから…」
「ごめんなさい……で、先生…呪術式、解いてくれるの?」
「……嗚呼、一つの質問に答えて戴ければ、今すぐにでも
その魔剣の所に行って、呪術式を解いて差し上げますよ」

 殺気を収め、紙袋をそっと被り直して、彼は何時もの
"善良な医師"に戻る。彼はきっと紙袋の下で、怒りと憂いと
哀愁を混ぜたような表情をしている事だろう。

「……質問、どうぞ……」
「ええ、では問います。アナタの得意とする術式と、その性質を
理解した上で、問わせて貰います……何故あの子を選んだ?」
「…先生の、大切なヒトだって知った、から……じゃ駄目…?」

 その言葉に、思わずアリスが女である事を忘れて、ファウストは
彼女の胸倉を掴んだ。あまりの身長差に、アリスの身体が
宙に浮く。

「…そんな理由で、あの子を傷付けたんですか」
「……違う。アタシはただ、その子の……エマ、だっけ…?
頼みを聞いただけ……"もし自分が先生のために血を流したら、
どんな反応をするのか知りたい"……と、ここに来る道中に
出会って、話し込んで、頼まれた…おしまい」
「………信用出来るとでも?」

 まさに一触即発の空気が流れたその時、部屋の扉が開いた。

ここまでで~す…新キャラちゃんのpf↓
アリス
【本名】アリス・ヴェネッサ・カッセル
【性別】女
【種族】吸血鬼
【年齢】27歳(人間換算)
【身長】159cm
【体重】45.9kg
【誕生日】10月6日
【趣味】アンティーク品の収集
【好きな物】血 呪術式の掛かっていたもの 
      魔○と呼ばれる武器(魔剣・魔槍・魔斧etc…)
【嫌いな物】銀製品 呪術式 呪術式の使用者
【異性のタイプ】「…ファウスト先生みたいに、優しいヒト…
         …でも、先生は恋愛対象として見れない……」
【詳細】全身に包帯を巻いている陰気な女で、小さな箱を常時持っている。
    その箱は何とも奇妙な紋様が描かれており、彼女曰く
    「大事なヒトに貰った……パンドラの箱…」らしい。
    彼女は陰気な性格のため、良く「呪術式を好んでいる」と
    誤解されがちであるが、それは的外れだ。
    寧ろ彼女は呪術式を毛嫌いしている。
【口調】一人称はアタシ。二人称はキミ。何か一言でも喋ろうとする度に、
    良く間を置くのが特徴。誰に対しても上から目線で話すが、
    良く世話になっているためかファウストとメフィストに
    接する時のみ、敬意を感じ取る事が出来る。
    そんな彼女の口からは、時折何処か怯えたような言葉が
    紡がれる事がある。その際は、ただ黙って抱き締めるのが
    最善の選択だろう。

アリスの得意な術式(ファウストで言う転移術式)については続きで…
スケッチブックの人は本当にモブです。

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