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【長ロル使い】好きな表現を書き置きするトピ!【也民歓迎】/32


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自分のトピックを作る
■: 匿名さん [×]
2019-02-21 15:00:20 ID:804d1d4e1


長ロル使いの也民なら、
美しい文章への憧れは一入強いものですよね!

ということで、ここはそこいらで出会った心惹かれる表現/文章の情報共有トピです。タイトルや設立の経緯はそんな感じですが、その他カテに建てたことですし、也民以外の方の書きこみも歓迎します。
ネチケットを大切に、楽しく情報共有していきましょう!まずはトピ主の私が手本がてらに書きこみさせてもらいます!




1: 匿名さん [×]
ID:804d1d4e1 2019-02-21 15:17:45


──────────────
金閣は雨世の闇におぼめいており、その輪郭は定かでなかった。それは黒々と、まるで夜が結晶しているかのように立っていた。瞳を凝らして見ると、三階の究竟頂にいたって俄かに細まるその構造や、法水院と潮音洞の細身の柱の林も辛うじて見えた。しかし嘗てあのように私を感動させた細部は、ひと色の闇の中に融け去っていた。

(三島由紀夫/『金閣寺』新潮社/1956.10)
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2: 匿名さん [×]
ID:804d1d4e1 2019-02-21 15:25:38


──────────────
薄く切ったかりかりのトーストにバターを塗り、できたてのジャムをスプーンですくって載せ、ねぎらうように、まいにそれを渡しながら、おばあちゃんが言った。
まいは本当はとてもうれしかったのだけれど、できるだけさりげなく言った。

(梨木香歩/『西の魔女が死んだ』新潮社/1994.4)
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3: 匿名さん [×]
ID:804d1d4e1 2019-02-21 15:32:52


──────────────
彼女はオリーブをひとつ口に入れ、指で種をつまみ、まるで詩人が句読点を整理するみたいに、とても優雅にそれを灰皿に捨てた。

(村上春樹/『スプートニクの恋人』講談社/1999.4)
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4: 匿名さん [×]
ID:804d1d4e1 2019-02-21 15:37:45


雑談、文章の書き方/ロル回しに関する相談、感想、自薦の文章の私的解説、投稿のリクエスト(秀逸な風景描写をもっと!等)、いずれもこのトピックでは可とします。
出典は私ほど細かくしなくてもいいのですが、作者名だけは極力載せてほしいです。以上。



5: さすらいの旅人さん [×]
2019-02-21 16:05:23


みきちゃんにあいたかった。
とってもあいたかった。

どこ? どこ? どこ?
どこ? どこ? どこにいるの?

シロ、ってよんで。
あたまをなでて。


(菊田まりこ『いつでも会える』)


シンプルな文章がかえって心にきます(;_;`)



6: 常連さん [×]
2019-02-21 16:13:56

※ホラー、微グロ表現注意※


腰から下が最悪だった。(中略)皮膚はごわごわした黒い毛にびっしりと覆われ、腹部からは緑がかった灰色の長い触覚が二十本伸びて、赤い吸盤を力なく突き出していた。(中略)尻のそれぞれに埋もれた格好の、一種ピンクがかった繊毛のある球体は、退化した眼のように思える


『ダンウィッチの怪』H. P. Lovecraft

7: 常連さん [×]
2019-02-21 16:23:55

※残酷、死亡描写注意※


短い叫びと水音が同時に上がり、○○ちゃんは仰け反るようにして池に落ちました。(中略)○○ちゃんは、頭を下にした仰向けの姿勢からどうしても起き上がれませんでした。脚一本だけを水から突き出して、もがいているしかなかったのです。
水のなかで叫んでいるのがわかりました。声は全然聞こえないけど、あぶくがいっぱい。水が激しく揺れている間、私はそこに立ち、何も考えずにただ目を見開いていました。


『ユリゴコロ』沼田まほかる
※伏せ字はネタバレ防止のため

8: 常連さん [×]
2019-02-21 16:34:46



 キャンパスは今日もケータイをかける人々であふれている。エンドレスに続くお喋りと着信音のざわめき。彼女は踵を返すと何もなかったようにそのざわめきに合流し、ケータイをいじり始めた。
 その騒がしい群れの中にあの子の姿はない。ついさっきまで確かに存在していたあの子の姿は、何処にもない。

 そして、彼女の目に焼きついていたあの子の残像も、いつしか消えてしまった。


『友達登録』大野敏哉
※ネタバレ防止のため一部改変し投稿
※「彼女」「あの子」は原著では個人名

9: 常連さん [×]
2019-02-21 16:45:31

(/スペースに感謝です。また、リクエストとして静かにゾッとできるようなホラー描写が好きです。ご存じの方がいらっしゃったら、是非とも紹介をお願いします)

10: 名無しの也民さん [×]
2019-02-27 00:28:59



(/応援したいから上げ!!色んなきれいな文章を読んでみたいです!!私は情景や戦闘に、特に興味があります!!//)




11: メイジ2 [×]
2019-02-27 18:59:57

新しいスーツを着込んだミハイが離陸する
その瞬間 私は理解した
脚を収めると同時にミハイの機体は急激に機動した
これまで見てきたものと 明らかに違う鋭さ
ミハイは高G機動を繰り返し はるかな空の高みへと上昇していった
護衛機たちを置き去りにして
わたしは理解した
国を奪われた王であるミハイがなぜ地上のあらゆるものに 母国だとか
国への帰属というものに興味を示さないかを
それは
……大空こそが 彼の王国だったからだ


ACECOMBAT7 SKIES UNKNOWNの、ドクター・シュローデルの台詞。エースパイロットであるミハイの空への思い入れが代弁されている名言です。歓喜のようなミハイの全力の飛行機動の描写と、「大空こそが彼の王国」という表現に痺れます……


12: 匿名さん [×]
2019-02-28 21:11:46

>11、壮大な雰囲気や疾走感が伝わってきてカッコいい…//

13: 白い物書き [×]
2019-02-28 21:47:03




失ってばかりのような気がするけれど、それでも私の手にしているものは、ランドセルに詰め込めないくらいたくさんなのだ。 ( 中略 ) ランドセルを久しぶりに背負ってみようとした、腕が通らなかった。それでひとしきり、また笑った。静かな日曜の午後である。

( 『 presents 』/ 角田光代 / 2005 )





14: 白い物書き [×]
2019-02-28 21:51:43




私たちは泥クジラで生まれた。
この小さな世界で
私が外の世界を知り 最も戸惑ったのは
この島の外にも人々の人生が
渦巻いているということだった。
気の遠くなるほどの数の人々の中にも
それぞれに生きてきた軌跡がある。
それを想像すると圧倒される思いだった。
それは ただの生命ではなかった。
記録だ。

人ひとりにも膨大な記録が溢れている。
泥クジラの上だけでも
魂の記録は天に届くほど……
だから怖いのだ。
その記録が一瞬で消えるとはどういうことか。
どんなに恐ろしく悲しい想いをしても
私たちは記録者であることをやめたくはない。
私たちは私たちを 終わらせたくはない。

( 『 クジラの子らは砂上に歌う 』 / 梅田阿比 )





15: 感想さん [×]
2019-03-01 07:40:48


素敵な文がいっぱいで眼福だわ..

16: 雨ざらし [×]
2019-03-01 18:34:17




誘拐という言葉の意味を初めて教えてくれたのは姉だった。その意味が正しかったのかどうかはともかく、彼女が私の耳元に顔を寄せ、ほとんど吐息と変わらないくらいのささやき声で、「ゆう、かい」と口にした時の、唇の生温かさは今でもよく覚えている。目つきはいかにも意味ありげで、声にはぞくっとする秘密のにおいが立ちこめ、いくら子どもの私でも、これは気安く話題にしてはならない言葉なのだなと分かった。姉は私の首に腕を巻きつけ、おでこをくっつけ、できる限り体を密着させて二人の間に小さな暗闇をこしらえ、誘拐、という言葉がそこから外へ漏れないよう細心の注意を払った。そういう大げさすぎる用心深さが、かえって両親に怪しまれる原因になりはしないかと、私は気が気でなかった。



(『不時着する流星たち』/小川洋子/「誘拐の女王」より抜粋)





17: 匿名さん [×]
ID:804d1d4e1 2019-03-04 22:34:43


書き込んでくださった人の数だけ、文が好きな人がいるということと、キュンとくる美しい表現があるということが、とても嬉しいです(*´∪`*)



18: 雨ざらし [×]
2019-03-07 12:17:19




私の床下収納庫にも、もちろんジャムやピクルスの壜が入っている。
あの心躍る楽しい作業。壜を沸騰し、自然乾燥させる。木の葉や枝の切れっぱしの残るぴかぴか果実を丁寧に洗う。
初夏や初秋の午後いっぱいを使って、鍋でとろとろに煮込んだ甘い匂いのする時の恵みを、一つ一つ封じ込んでいく楽しさを、目の前の男は知らないのだろう。
お砂糖で煮た果実、酢漬けにした野菜。女にはとても愛おしく親しみのあるものなのに、男はどちらも下等なもののように見下し、自分たち高等な男には無縁だという顔をする。もっとも、彼らはそのツケを、のちのち心臓病や脳疾患でまとめて払うことになるわけだが。
私が爽やかな風を感じ、甘いジャムを煮る匂いを思い浮かべていると、彼が憎々しげに私を見た。



(『私の家では何も起こらない』/恩田陸/「私の家では何も起こらない」より抜粋)





19: 雨ざらし [×]
2019-03-07 12:40:52




本というのは、猫がページをめくるようにはできていない。これでは続きが読めない。が、猫のカラダというのは本をめくれるようにできている。
猫は前足をぺろぺろとなめる。そして本に向かって、ぺたん、と下ろす。それから足をそおっと持ち上げる。紙もいっしょなってあがってくる。ある高さまで来たら、勢いよく横にふる。
「ふぎっ」
するとページはぺらりとめくれ、新たなページが登場するのである。猫はうれしそうに一鳴きした。
「ふぎぃぃぃぃ」
一回でめくれた時は、とてもうれしい。



(『ツクツク図書館』/紺野キリフキ/「栞の部屋」より抜粋)





20: 真夜中のピエロさん [×]
2019-05-23 02:16:13

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