自分のﾄﾋﾟｯｸを作る
12： 名も無き破壊者　[×]
2018-01-26 19:07:04

◆　6　◆

拝啓　救世主になりうる貴方へ

　私は、これから全人類を滅ぼしてやろうと思います。
さて、貴方はこのライトノベル作家もびっくりな書き出しにどう対応してくれるのでしょうか？嗚呼、今のでなんだ只の戯れ言だとお思いでしょう。しかし、私の持っている破壊スイッチで人類のみこの世からバイバイです。何とも呆気ない最後ですね。笑えます。
　この手紙が誰かに読まれることがあるのならば、読んだ貴方は幸運でしょう。いや、不幸と言うべきでしょうか。貴方が、この手紙を所持した状態で破壊が実行された場合、貴方は生き残ることが出来ます。1人、この広大な惑星を独り占めです。大きな権力を持たずとも、大金を積まずとも、悪事を働かさずとも貴方は帝王になれます。なにしろ、たった1人の人類ですから。
　そろそろ、この手紙を不気味に思ってきた所でしょうか。私は、貴方の今の表情を想像しながら執筆するとしましょう。
　貴方には、自分よりも大切な方が存在するのでしょうか。もし、居たとしてその方が目の前で殺されてしまったら？辛いでしょうか、悲しいでしょうか？その顔は、奇妙にも歪み、涙で世界が水面のように揺れてしまうのでしょうか？私には、その理屈が分かりません。なぜ、自分ではない誰かを愛することが出来るのですか。
　実に私は他人から干渉される事を恐れている臆病者なのです。だから、お偉いさんの胸ぐらを掴んでテレビ局の前で、人類滅亡を公言する勇気もありません。この行き用のない気持ちを手紙にぶつけて、さぞ貴方も困っているでしょう。ただし、もう私を止めることは誰にも出来ません。強いていえば、貴方からの返信、でしょうか。これで、今から貴方はヒーローです。そうですね、猶予は今から1年、という所でしょうか。此方にも色々準備がありますからね。なにしろ、一度破壊してしまったらもう二度と戻れないのですから。
　まだまだ書きたいのですが、そろそろこの紙に書くスペースが無くなってしまいましたので今回はこの辺にしておきましょう。貴方は私が納得する答えを出してくれるのでしょうか？ふふ、せいぜい頑張ってください。応援しています。

　　　名も無き破壊者より

◆“拝啓……”【指名制・手紙式】◆/37