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✠ ノアの箱舟 ✠【動物提供/無登録】/6


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1: 語り部 [×]
2017-09-05 00:15:13



【箱舟物語】


西暦も2000年以上が過ぎた今。
地上には邪悪な人間が蔓延った。幾度となく繰り返される戦争、無くならない差別、種族を問わない傲慢な虐殺。ありとあらゆる罪でこの世界は穢れてしまった。
──全てを一掃する必要がある。
神は大洪水を引き起こした。
水による破壊は40日と40夜続き、地上の全ての命が滅んだが、それでも150日が過ぎるまで水は勢いを失わなかった。
生き延びることが出来たのは、「神と共に歩んだ正しい人」こと賢人ノアとその家族、そして全ての動物のつがいだけだ。

だがいくつもの夜が過ぎたある日、賢人ノアの家族が病気にかかり、ひとりまたひとりと命を落とし始めた。
──このままでは人類が滅んでしまう。いや、大切な家族を失ってしまう!
賢人ノアは箱舟にない薬草を求めて鴉を放ったが、とまるところがなく帰ってきた。地上はまだ、全てが水に覆われたままだった。
次は、次こそは。そんな望みを託して鳩を放ったが、やはり同じように戻ってきた。賢人ノアは絶望しはじめる。
やがて7日後、もう一度鳩を放すと、鳩はオリーブの葉をくわえて船に戻ってきた。
更に7日経ってから鳩を放すと、鳩はもう戻ってこなかった。──地上の水は引いたのだ。

賢人ノアは箱舟を出た。
人のいない街。崩壊したビル。寂れた遊園地。横倒しになった電車がいくつも散らばる駅。
そこには荒れ果てた、一度終末を迎えて全てを失った世界だけがあった。
賢人ノアの心は痛む。
人間のみを襲った病いは、彼の家族のほとんどを滅ぼした。生き残ったたったひとりはまだ若いのに、こんな世界で生きていかねばならないのか。

しかし、賢人ノアは信心深い人物だ。彼は祭壇を築いて、神に対して供物を捧げた。
神は、まず賢人ノアが失った家族たちを楽園で祝福し、神でさえ病いを止められなかったことを詫びた。
そして賢人ノアと、たったひとり生き残った彼の孫、そして地上の全ての肉なるものに対し、全ての生きとし生けるものを絶滅させてしまう滅びの大洪水を、もう二度と起こさない事を契約した。

そしてもうひとつ。
死が近い賢人ノアは、彼の名を受け継ぐ若い孫が本当に独りぼっちになってしまうのを恐れている。
それを知る神は、全ての動物に「人の言葉を話す力」と、「人になり得る力」を与えた。
賢人ノアのただひとりの子孫が、寂しくなどならないように。
そして動物たちのだれかと愛を育んで、次の世代を遺せるように。
新たな創世の時代を迎えた今、人と動物は交わることを許されたのだ。

神はそれらの約束の証として、空に消えない虹をかけた。
その虹の根元には今、黄金の壺が眠っているという。
いつかまた、人間のみが滅びる病いが地上を襲った時のために、全てを癒す不老不死の薬をそこに隠しているそうだ──


「ねえ、つまり、あの子はノア・シニアのために虹の根元に向かおうとしているということ?」
「他の人類が全て滅んだせいもあって、祖父想いな子だからねえ。『黄金の壺』の中身はあの子とあの子の子孫のために用意されたものなのに、ご病気にかかった大老様のために使うつもりなんだよ」
「ふん、全く愚かなことです。後先を考えずに目の前のことばかりに執着する……これだから人間は嫌いなんだ。仕方がない、私が直々に出向いて警護してやることにしましょう」
「すっこんでろむっつりスケベ、あいつは僕の人間だ!」
「だめだよ、ノアはみんなのものだよ!?」
「ん、そうだよね、ノアはかっこいいもんね……私のこと、知っててくれてるかな……」
「ちょっとあんたたち何言ってんの?ノアはあたしのことがいちばん好きに決まってるじゃない!」
「いんや、残念ながらオレだね。あの麗しのかわいこちゃんの心はオレが必ず盗んでみせる。そしこのイケメンお兄さんと永久の愛の巣を築くのさ!」
「……どいつもこいつも馬鹿ばっかりだ。勝手にやっているが良い、黄金の壺は俺がいただく」


うら若いノア・ジュニアは、たったひとりの家族であるノア・シニアを救うため、黄金の壺を探しに行く旅の準備を始めていた。
だが、神によってノアと話せるようになった動物たちがそれを見過ごすはずもなく。

──ひとりの人間を動物たちが奪い合う、奇妙なハーレムが誕生する。





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