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D灰短編小説集(bl)/25


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自分のトピックを作る
21: 雪月桜 [×]
2017-08-25 04:19:20

意地悪な笑みを浮かべるアレンの表情に、神田は拒否の言葉のついでにアレンの頭を軽く叩いてみる。
(モヤシのくせに髪質だけは良いな)
神田はそんな事を考え触れてみたのだが、それはアレンにとって予想外の行動だったらしく、訝しげな視線で見上げられた。
「だからアレンだっていっ……、なんか今日の神田変です、調子狂うんですけど」
アレンの呟く言葉に、やはり踏み込みすぎたかと神田は触れていた手を離す。
あくまで自然に見えるよう取り繕い、神田は近くのソファに座り先ほどの言葉を撤回した。
「気のせいだろう、いらないなら別にいい」
やはりらしくない事はするものではないと、神田は改めて自身に言い聞かせる。
「やっぱり、神田は神田です」
少し離れた位置のソファに腰をかけながら、アレンの口元からそんな言葉が聞こえた。
そして神田から顔を逸らし、アレンは小さな呟きを落とす。

22: 雪月桜 [×]
2017-08-27 01:25:46

「……じゃあ約束してください」
「なんだ」
その小さな呟きを聞き取り、神田はアレンの方を見つめた。
アレンの望む約束が何かはわからないが、聞く事なら出来る。
そして次の瞬間発せられた言葉に、神田は戸惑いを覚えた。
「もう教団から居なくなるな!バッッ神田!」
羞恥に頬を染めたアレンの声は、強く荒い。
突然の怒声に神田は苛立ちを覚えたが、すぐにその感情は収まる。
(モヤシなりに、俺の事を心配していたのかもしれないな)
こんな時、神田はどのような言葉を言えばいいかと悩む。
だがそれでも、一つだけ告げられる言葉があった。

23: 雪月桜 [×]
2017-08-27 02:33:37

「…悪かった」
人付き合いの苦手な神田は謝罪の言葉すらも雑だが、心配をさせてしまった事への謝罪に嘘はない。
「あ、いや、謝って欲しかったわけじゃないんですけど」
なぜかアレンは神田の言葉に驚きと焦りを覚えているようだ。
神田自身おかしな事を言った覚えはないのだが、どうしたのだろうか。
「すみません…」
焦りとともにソファから立ち上がっていたアレンは、小さく頭を下げ神田に謝罪の言葉を言う。
アレンの謝罪に神田の心に微かな驚きと、呆れの感情が彩る。
「何でお前が謝るんだ。まったく、そんな顔をするなモヤシがより貧相に見える」
からかうように慰めるように、神田の声がアレンに届く。
そんな言葉にアレンはムキになり噛みついてくる。
こんなじゃれあいが出来るのはいつまでだろうか。

24: 雪月桜 [×]
2017-08-27 02:46:16

遠くない未来、違う道を歩む日が来るのは事実だろう。
だからこそ、神田は早くアレンへの思いを伝えなくてはならない。
今夜は満月だ、何か口実をつけてアレンを誘ってみようか。
その時この気持ちをアレンに伝えられると良いのだが…。
「もう僕部屋にもどります!髪紐感謝してくださいバ神田!!」
アレンの怒声で我にかえった神田は、このタイミングを逃す手はないと確信した。
「待て、ちょっとつき合え。食堂に行くぞ」
逃がすまいとアレンの右手を掴む神田と、それに対して動揺するアレン。
二人が立ち去った談話室には、そんな二人の出来事が、そして神田の秘めた恋心だけが静かに溶けて消えていった。
これは神田がアレンに思いを告げる、数日前の出来事である。

25: 雪月桜 [×]
2017-08-27 02:47:18






   end

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