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個人用・練習用
自分のトピックを作る
■:
雪月桜(月) [×]
2017-06-17 22:28:12
ここは『D灰短編小説集(bl)』の部屋です
主は以前「d灰短編小説(bl)」を書いていた者です。
久しぶりにやる気が起きたので、ゆるゆる亀進行で新たに書いていくつもりですのでよろしくお願いします。
なお執筆は主だけとなりますのでご了承ください。
荒らし・なりすまし・マナー違反等はおやめください。
ご意見・ご感想・リクエスト等はENDとタイトルの間にお願いします。
では、亀進行でスタート!
1:
雪月桜 [×]
2017-06-18 02:11:20
新月とともに
2:
雪月桜 [×]
2017-06-18 02:12:11
(ラビ神)
3:
雪月桜 [×]
2017-06-18 02:40:34
任務を終え、ラビが教団に着いたのは深夜だった。
コムイに報告を終え、私室に続く廊下でラビは不意に窓へ視線を向ける。
「今夜は月が見えないな」
窓辺に近寄り、空を見上げると星が煌めいていた。
星が出ているという事は、天気が悪いわけではないのだろう。
「星があるのに月がないなんて寂しいさ」
今宵が新月の晩であるのなら月が見えないのは当然で、それはラビにも理解できる。
だが、いつも当たり前にあるものがそこにない事は、僅かながら寂しさが滲むのだと言えるだろう。
そんな気持ちを思い人に重ね、ラビは再び歩みを進めた。
4:
雪月桜 [×]
2017-06-24 22:46:14
自室に向かう廊下には、等間隔に作られた窓から僅かな星明かりが落ちている。
いつもより淡い明かりは、ラビの心に悲壮感を滲ませていく。
虚しさを覚え部屋に近づくラビの背後から、不意に凛とした声が響いた。
「おい、馬鹿兎」
何度となく聞き、その度に色濃くなる愛しい声。
立ち止まりその声の主に悟られないよう、ラビは緩やかに振り返る。
振り返った先にいたのは、ラビの想い人、神田ユウだった。
「久しぶりさ、ユウも今帰り?」
5:
雪月桜 [×]
2017-06-25 15:19:05
少し疲れた様子を見れば、神田が任務を終えたばかりなのは明白と言える。
それを分かったうえで吐いた言葉は、動揺を悟られないために紡いだものでしかない。
「まぁな。お前もか?」
当たり障りなく返す神田の言葉に救われ、ラビは微笑し頷く。
その様子を肯定と判断し、神田は窓辺に寄りかかる。
実のところラビは少し気まずい気持ちだ。
先日ラビは、神田の部屋にていささか強引な態度を取って自身の思いをぶつけようとした。
神田の抵抗と自身の中の理性によって未遂に終わったが、そのさいラビは神田から強引に告白を促され、ラビの神田への思いを吐露させられた。
それだけならまだ良かったのだが、神田の返事は保留にされいまだ答えは貰えていない。
ラビの気持ちは知られているのに、神田の気持ちが分からないのは落ち着かないものだ。
6:
雪月桜 [×]
2017-06-25 16:23:14
気まずい空気に耐えきれずラビが自室に戻ろうとしたとき、神田から予想外の言葉が発せられた。
「時間があるなら、俺の部屋に来ないか」
視線を逸らし発した神田の言葉は、紛れもなくラビに向けたものだろう。
即座に反応できないラビに、神田は苛立ちを滲ませる。
「嫌なら良い」
「待ってユウ、時間もあるし、予定もないさ」
苛立ちを浮かべ立ち去ろうとする神田に、早足でラビは追いかけた。
必死に告げるラビの言葉に、神田は呆れたような声を発する。
「なら、早く来い」
歩みの速度は落とさないが、神田の声の感じは幾分か和らいだようだ。
7:
雪月桜 [×]
2017-07-08 02:00:07
慌てて追いかけたラビの足音と、先に歩を進めていた神田の足音が重なる。
他に足音が聞こえないという事は、このあたりを歩いているのはラビと神田だけなのだろう。
今なら、神田の気持ちを聞けるだろうか。
いや、廊下は一応公共の場なわけだし、いつ誰が通るかわからない。
苦悩しながら歩みを進めていると、ラビの目の前を歩いていた神田が急に立ち止まった。
前を見ていなかったラビは案の定、神田の背中に触れてしまう。
8:
雪月桜 [×]
2017-07-08 22:56:32
一瞬触れた事がきっかけとなり、ラビは意識が逸れていた事に気づいた。
だが気づいたのは、ラビだけではなかったようだ。
二人がいる場所は、神田の自室の前だった。
「どうかしたのか」
ドアノブに手をかけ扉を開き問う神田の声は、訝しげに聞こえる。
9:
雪月桜 [×]
2017-07-16 23:47:26
「いや、何でもないさ」
しかしラビは神田の言葉に小さく否定し、部屋に入るよう神田を促す。
神田自身納得したわけではないが、いつまでも廊下に立ったままでいるわけにもいかない。
疑問を浮かべつつも神田は室内に歩を進め、ラビを室内に招き入れた。
二人が部屋に入ったあと鍵をかけると、神田は上着を椅子の背にかけベッドに腰をおろした。
「座らないのか?」
神田の言葉にラビの肩が小さく揺れる。
ラビは自身の緊張に、内心苦笑を滲ませた。
促されたまま神田の隣に腰をおろすラビは、いたたまれない気持ちを抱く。
数秒の沈黙の後、口を開いたのは神田だった。
「このまえ、お前がこの部屋で言った事についてだが…」
10:
雪月桜 [×]
2017-07-17 00:48:16
神田の言葉にラビの鼓動が速度を上げる。
隣にいる神田には聞こえないとは思うが、意識せずにいられない。
告白の返事を聞きたい気持ちと、今すぐ逃げ出したい気持ちがラビの心に入り交じる。
「あれから、俺なりにお前の事を考えてみた」
「そっか、ありがとな」
神田の言葉にラビは苦笑を交える。
ユウがラビの事を考えてくれた。
ラビの気持ちに向き合ってくれた。
それはあの時、告白するまで得られなかったもので、今少しでもラビを意識している。
だからこのあとの言葉がどのようなものでも、ラビは受け止めたいと思う。
受け入れられない答えでも、受け止める事はしたい。
そんなラビの気持ちに呼応するよう、神田の喉から答えが溢れた。
11:
雪月桜 [×]
2017-07-17 01:22:37
「初めは…お前に言われて考えるようにしていた。俺が、お前をどう思っているか、意識するよう努力した…」
神田の言葉は、ラビの心に重く優しく響く。
ラビの気持ちに答えるよう、本気で向き合ってくれてきた事が伝わる。
静かに耳を傾けるラビに、神田は言葉を繋ぐ。
「だが、気づいたら俺は、意識せずともお前の事が気になるようになって、任務の時もお前が教団にいない時もお前を思うようになっていた。お前がもやしや他の奴と親しくしていると苛ついたり、嫌な気分になった…」
徒然とラビへの思いを語っていたが、不意に神田の声が解ける。
声を解いた神田は、ラビの瞳を見つめ一思いに告げた。
「俺は、恋愛というものが良くわからないが、この気持ちが好きと言うものなら、俺はお前の恋人になりたいと思う」
神田の瞳は羞恥に潤み、ラビの理性を脅かす。
「ありがとな、俺を好きになってくれて。俺もユウが好きさ。改めて言わせてほしい」
12:
雪月桜 [×]
2017-07-17 01:42:51
ラビは強引に神田を引き寄せ抱きしめる。
「ユウ、俺の恋人になってほしい」
神田の耳元で囁いた言葉は、甘く切ない。
懇願にも祈りにも似た言葉に、神田は力を込めラビから離れ答える。
「…そういう事は、相手の目を見て言うべきだろうが」
こんな時ですら真面目な神田に、ラビは苦笑いを浮かべた。
「ユウは真面目すぎさ…それで、返事は?」
「……俺もお前が、ラビが好きだ。…それぐらい、察しろ」
視線を逸らし告げた神田の言葉はいかにも彼らしく、ラビは再び神田を抱きしめる。
「なぁユウ、返事の代わりにユウからキスして…それで納得するから」
ラビの提案に神田の頬が薄紅となった。
羞恥で戸惑う神田をラビは優しく見つめる。
不意に神田がラビの襟を掴み引き寄せた。
勢い良く重なる唇、神田の薄く開いた口元から漏れる吐息が、口付けを表す。
13:
雪月桜 [×]
2017-07-17 01:53:19
「…っ、これでいいだろ」
二人の近い距離により、互いの心音が高く響き逢う。
一瞬の熱は神田とラビの思い故だろうか。
ならばこの思いを恋と、いや、愛と呼ぶのにふさわしいと言えるだろう。
この先、幾度新月の夜が来ても、目の前の月との別れが来ようとも、ラビの心に月は消えない。
今ここにいる愛しき人。
彼がラビの心に、消えることはないのだから。
14:
雪月桜 [×]
2017-07-17 01:53:59
end
15:
主 [×]
2017-08-06 02:47:10
上げます
16:
雪月桜 [×]
2017-08-13 00:21:57
月に映えるは白き花
17:
雪月桜 [×]
2017-08-13 00:49:42
(神ア)
18:
雪月桜 [×]
2017-08-23 02:40:12
その日神田は談話室にて、とある人物を待っていた。
(モヤシの奴、いつまで待たせるつもりだ)
任務の報告を終え、科学班を立ち去る間際コムイに告げられた言葉は、部屋に戻る予定だった神田の予定を変更する。
『そういえば、アレン君が探してたよ?もし見かけたら談話室に来てほしいって言ってたから行ってあげて。何か渡したい物があるんだってさ』
神田としては早々に自室にて体を休めたいのだが、アレンが神田を探し、何か用があるというのを意味もなく断る事は出来ない。
これが馬鹿兎ならば、用があるなら勝手に部屋に来れば良いと思うのだが、アレンなら話は別だ。
最近自覚したのだがどうやら神田自身、アレンに恋愛感情を抱いている節がある。
アレンは男で、神田も男。
決して可愛いげのある性格ではないと思っていたし、そもそもエクソシストが恋愛にうつつを抜かすのは良くないと理解していた。
19:
雪月桜 [×]
2017-08-23 02:55:16
だが、一度芽生えた感情は、燃え広がる炎とはよく言ったもので、神田とてそれは変わらない。
いや、既にその炎を自ら消す気はもはやないと言ってもいいだろう。
そんな思考を巡らせていると、室内に待ち人の足音と声が耳に届いた。
「神田!お待たせしました!」
勢いよく開かれた扉から現れたアレンは、かなり急いで来たらしく呼吸が荒い。
その動作に微かに驚いた神田の瞳には、呼吸を整えるアレンの姿が写る。
視線に気づかれる前に、冷静さを取り戻した神田の正面には、苦笑を浮かべるアレンの表情があった。
「やっときたか、で、何のようだ」
視線を逸らし告げる神田の態度は、僅かにアレンの機嫌を悪くする。
20:
雪月桜 [×]
2017-08-25 03:55:56
「これ、任務の時拾って持ったままだったので、大事なものでしょ?」
アレンが差し出してきたのは、先日任務中に無くした使い慣れている髪紐だった。
いったいどこで落としたのかと思っていたが、アレンが持っていたらしい。
「そうか、確かに俺のだ」
笑顔を浮かべるアレンの手から髪紐を受け取り、確認をするとどうやら間違いなさそうだ。
諦めていた物が手元に戻るのは嬉しい。
今ならば、アレンに何らかの礼をしても良いかもしれない。
「…礼は何がいい」
「お、お礼ですか?」
間を置いて告げた神田の言葉に、アレンは驚きの声をあげた。
だがアレンからの言葉は、受け取れない物だった。
「んー、じゃあモヤシ呼び禁止!で」
「はぁ?モヤシはモヤシだろうが」
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