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25: しゅ-まい [×]
2017-04-12 22:21:27








俺のアパートに住み着くようになって暫く経った頃、事件は起きた。


段々と夏が近付き、夜でも暑くなる日が続いた時だ。
いつものように華夏が俺の部屋にやって来ては寛ぎ、一緒に話をしていると華夏は徐に髪の毛を一つ結びにする。夏も近付いて暑かったのだろう..
普段、あまり見慣れない姿は、結ばないよりかは幾らかスッキリとして見えた。

『 はぁ.. 暑い、暑いのは苦手だなぁ 』

そう言いながら一つ結びにした華夏は暑さに耐えかねて、冷蔵庫へと足を運ぶ。この時、普段は結んでいないから見えなかったがチラリと首元が見えた。
そして冷蔵庫へ向かう華夏の後ろ姿..
見つめようと思っていた訳じゃないのに俺は“ あるモノ ” に目が移る。

.. 背中へと続いている傷。

もしかしてと、思った俺はさり気なく傷の事について聞く。

「 なぁ..その傷、大丈夫か? 」

『 ── う、うん。大丈夫 』

後ろを向いているので表情は見えないが、明らかにいつもと態度が違う。きっと何かを隠している。
でも、深く聞いても良いのだろうか..
迷っていると華夏の方が先に口を開いた。

『 この傷、手当てしてくれたのは直くんなんだよね。ずっと言えなくてごめんね..  』

「 それってつまり ── 」

『 うん、そうだよ。あの時アパートの前に倒れていたのは私なんだ 』

バレたと分かったのかその後、華夏はなんで倒れていたのかを話してくれた。俺の通う学校の紋章だけを覚えていてそれで、俺を探す為に学校に入ったらしい。
ただ、人間ではないと言う事が怖くて、嫌われたくなくてずっと言えなかったんだと教えてくれた。

 ( 本当にバカだな、華夏は )

「 華夏は華夏じゃんか。お前が “ 何 ” であろうと構わないよ 」


いつも一人で退屈していた日々に、華を添えてくれた。明るくしてくれた。優しさを貰った。そんな華夏を嫌いになる訳がない。
この気持ちは言わなかったが、華夏は顔がぐしゃぐしゃになるくらい泣いて、そして笑顔を見せてくれた。



「 ── これからも宜しく、華夏 」







 俺 と イタチ ( ? ) の同居生活。/ 完結。








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