TOP > 1対1のなりきりチャット

業に火はつける / 悲恋 /13


▼下へ
自分のトピックを作る
■: И [×]
2016-12-09 23:34:48 


----------

「 綺麗 」

それは寂しさ

「 邪魔だ 」

それは強がり


背伸びをして、怖気付いて
ただ不器用なだけだったんだ。


『 だから、どうか神様

救ってあげてください 』

---------



1: И [×]
2016-12-09 23:37:41

□小話

----------
まず初めに、私の事はИと名乗っておこう
この家に生まれた純血の者だ。



時は現代---東京。
喧騒渦巻く都心から離れた郊外の森の奥に
大きな和風平屋の邸が見えてくる。

周りを立派な門に囲まれその威厳を示し、
庭には立派な日本庭園が広がっており、
四季折々の草花が出迎えてくれる。

そんな邸に住まう家系ははるか昔より、
日本の裏で支えべく動いている影の一族。

汚れ仕事等を請け負ってきた所謂----
悪の一族。
古い書物を漁ると、昔に妖…鬼を退治
した事から強さを持ち始めたらしい。

時代が流れるにつれ汚れ仕事は減ったが、
政治などに強い発言力を持っており、
重鎮としてあり続けている。


一族の名は『黒崎』。
そんな黒崎家は跡取り問題が勃発していた。
代々、女が代を継ぐことになるのがしきたり

先代、母が私を身篭った時現十六代目当主は
私になるはずであったが私は男であった
男は当主にはなれない、それが黒崎家。

生まれた私は何不自由なく育てられ
母は跡取りが居ないために十五代目当主
として立派に責務に努めていた。

男が生まれ跡取りが見つからないのは
稀なことではない。何度かあるのだ。

私も嫁を貰い受け、数年後嫁が身篭った
娘だと信じたが----生まれた子は男だった。

二代にも渡り当主となる子がいないのは
一族の恥だと、嫁は追い払われた。

私はそれに耐え切れず、息子を連れて
同じく家を出ていこうとしたが

息子は置いていけと言われ逆らえず
息子は置いて家を出た----

----------

それから数十年が過ぎて
あの置いていかれた子供は
忌み子とされた。

強い力と恐ろしい程の回復力、
黄金色の目に小さく覗く犬歯。

『鬼の子、忌み子----』
一族の強さの起源である
鬼の再来とされた。

畏怖の念と好奇な眼差し、
表に出してもらえず鳥籠で暮らす日々

それから数年後、
養子を貰うことになった。

また同じ事が繰り返さぬように
養子を取りその子を跡取りにすると。

拾われ連れてこられたのはまだ幼子、
まだ年相応の無邪気さ。

しかしそんなものは必要ない。
厳しく育てられ、幼子にしては
似合わない妙に大人じみたそれに
それに育てられた。


接点など殆ど無かったはずなのに
綻びはさらに糸を保釣らせた。

---、

2: И [×]
2016-12-09 23:42:31

□他

◻長期来られる方
◻上級者向け
◻長文推奨(描写最低250文字~)
◻心情、小説風ロル使用可
◻ストーリー
シリアス、恋愛、時にギャグ重視
◻バッドエンド(メアリーバッドエンド)
◻展開等相談しあえる
◻ゆっくりマイペース


---------
『化け物』×『幼子』
悲恋ストーリー

募集しました
お相手様↓
>>20149/名無しさん様
---------

遅くなりましたがトピ立て終了
致しました。
お相手様のpfを提出してもらい次第、
主の方のpfも提出致します。

↓pf参考/幼子

名前:(苗字は黒崎)
読み:
年齢:(8~10歳程度)
身長:
容姿:
性格:
備考:

----------
pf作成等にあたりまた他に質問等ありましたらいくらでもお聞きください。
気長にお待ちしております。

3: 20149 [×]
2016-12-10 09:41:32

(/遅くなりましてすみません。トピ建て及び参加許可ありがとうございます。さっそくpf作成にうつりたいのですが、その前に主様のこちらの幼子に対してのイメージ、大人びている、ということでしたがどのあたりまで大人びた言動を必要とされ、どこまで無邪気さ子供さを希望されてますか?そちらを含ませてたうえでpf作成していきたいと思っております。ご回答のほどよろしくお願いします。)

4: И [×]
2016-12-10 12:39:54


( / お待ちしておりました。私生活優先を考えておりますので自由気ままに、お時間がある時で構いません。ゆっくりと参りましょう。
さて、pf作成に関しまして、こちらが求めているものはそこまでは多くありませんが…、
幼さはまだ残しつつも大人びたような背伸びをするよう育てられている。
マセているわけではありませんが、その中でも年相応の子供さはまだ忘れていない。
上記のような事がだいたい残っていれば他は自由に作ってくれて構いません。
他にも設定に関してなど質問等ありましたらお申し付けください。)

5: 20149 [×]
2016-12-13 13:40:59

(/遅くなってすみません。背後の方少々忙しくしておりまして、明日の午後までにはpf上げますのでお待ちいただけたら幸いです。)

6: И [×]
2016-12-14 08:17:11


( / ゆっくりで構いませんよ。気長にお待ちしておりますね。 )

7: 20149 [×]
2016-12-14 16:28:28

名前:黒崎 華撫
読み:くろさき かなで
年齢:10歳
身長:約143cm
容姿:普段は着物を着るよう言われており、毎日違う柄の着物が用意されそれを着ている。学校は制服で通っている。背中まである黒髪は癖がなくサラサラしており、前髪は目の上で整えている。幼子にしては目元が少々つり上がっている、まつ毛が長く大人びた顔立ちだが、瞳の中にはまだ年相応の幼さが宿っている。目の色は黒。
性格:育てられた環境のせいか、言動は普通の10歳とは違う。 年相応の無邪気な心はいつの間にか心の奥で蓋をされ、残ったのは大人びたそれでしかない。ただ、時折見せる笑顔や言葉はまだ世界を知らず期待と不安に満ち足りた輝かしいものもある。
備考:深い理由も知らされずに連れてこられた先に待っていたのは、彼女自身が夢見た「あたたかさ」ではなく、常に周りの大人達から与えられるプレッシャーの嵐。何時しか心は深く閉ざすようになりふとした時にしか楽しみを感じることができなくなっていた。しかし、周りの大人から「忌み子」として忌み嫌われている彼には最初は恐怖という漠然とした感情しかなかったが、少しずつ心を開いていく。


(/遅くなってしまい本当に申し訳ありませんでした!やっとpf出来上がりましたので何かありましたらよろしくお願いします。)

8: И [×]
2016-12-14 17:22:45


主pf

名前:黒崎臣
読み:くろさき じん
年齢:二十六歳
身長:百八六cm

容姿:指通りの良い黒髪は襟足が肩につく程度、横の髪は顎の辺りまであり前髪は目の下辺りまであるために右側から適当に左右へ分けている。その為左目は少し隠れがち。切れ長の僅かな二重の涼しい目元は睫毛が短め、色は日本人にしては色素が薄く少し鈍めの黄金色をしており瞳孔はやや細め。通った鼻筋に薄い唇、口を開くと尖った小さな犬歯が覗く。外にあまり出してもらえず邸に篭りがちな為に色白で着痩せをする方だが脱げば細マッチョ体型、男性的に全体的に骨張った体格。服装は基本としてシンプルな物が多く色も落ち着いた暗めのものが多い。

性格:思った事や感じた事は良くも悪くも口にしてしまう事が多く良く言えば素直だが悪く言えば無神経。しかしそこに上手く表情が付いていかず、物静か、また感情を表に出す事が殆どなくその為に誤解を生みやすい。だが感謝の言葉などは上手く伝える事も出来ずに空回りしてしまう不器用さ。それでも根っ子は意外と優しく面倒見も良かったりするがそれを殆ど発揮しない。忌み子として扱われてきた故に近寄る者を酷く拒む傾向にあり、その見た目からとして周りからは恐れられている。

備考:一人称「俺」二人称「お前、呼び捨て」
望まれなくして生まれ、その昔一族の始まりとされる鬼の血を引いているとその異常なまでの身体能力が忌み子として呼ばれるようになる。
強さも速さも、聴覚嗅覚ですら人間を越えたそれは一族が危機に晒された時の盾として、両親に家へと置いていくよう言われその生家で育つ。
外に出ることを禁じられ、中学を卒業してからは家から出ることもなく友人もいない。
怒らせては何をされるか分からないと皆、腫れものに触れる扱いをしている。

----------


( /素敵な幼子のpfをありがとうございます。不備等見あたりません。
さっそくロルテもかねた絡み文の投下をお願いしたいのですが軽く補足を。
養子として連れてこられて少し経過しています(1~2年程度)ので邸の構造は“だいたい”は理解しています。
しかし『臣』は邸の奥深い部屋に閉じこもっている引きこもりなのでまだ出会っていません。故に“鬼”という存在も知りませんし出会ってもどういう人なのか理解できません。(徐々に知っていけたらな…と)
接点の仕方は様々に考えてくれて構いませんが部屋の存在自体を知らないので真っ先にその部屋で出会う…というのは申し訳ありませんが避けてくださいませ。
また、跡取りとして育って調教されていく過程の中で“鬼”“忌み子”の存在を知り現当主(後に名前を教えます。互いに必要な時に動かしていきましょう)から鬼の力を抑えることのできる呪術を目の当たりにします。それを『華撫』の方は“救う”ものだと勘違いしその呪術の伝授をするための儀式に参加しますが、とても厳しいもの(内容はなにか提案があれば構わず出してください)となります。
…そして、バッドエンド、メアリーバッドエンドとなっておりますが正しくその通りでして『臣』と『華撫』は命を落とします。
大雑把に申しますと、『華撫』を救うため火の海に飛び込み最期は共に…という形になっております。
元々は個人的に練っていた自己満足な小説が基盤となっておりますので事細かいかも知れませんがほかにも質問や提案ありましたらいつでも大歓迎ですのでよろしくお願い致します。 )


---------


「綺麗」
その一言は寂しさ
「邪魔だ」
その一言は強がり

ただ
「寂しかった」
ただ
「孤独だった」

『化け物』と『幼子』は
ただただ、不器用だった



----------

拾われた『幼子』
住まうは『化け物』

不器用で心に傷のある二人に
災難は見逃してくれない。

「来てくれるって、思ってた」
揺らめく炎のなか泣いているようにも
見える貴方の顔
「もう…ひとりにしない」
小さな小さな体を抱きしめて
崩れゆく視界のなかで

ふたりは笑っていた。

---------


9: 黒崎 華撫 [×]
2016-12-14 22:46:57


(学校からの帰り道、夕日が背中から夜の帷を告げると恐ろしいほどに伸びた自身の影は行き先を拒む様に歪んでも見えて歩く度に追いかけてくるその影は気を許せば足元を救われそうで、きゅっとカバンを持つ手に力を入れると、パタパタと目の前にいた数名のクラスメイトは立ち尽くす自分を見て、クスクスと笑いながら去っていく。こんなことは日常のことで、今に始まったことではない。それどころか、学校でも阻害者扱いを受けている。子供っぽくない、などと周りから言われるも、今更どのように子供に戻ればいいのか、正直分からない自分もいる。意識していなければふとした時に戻っていることもあるのだろうが、今の自分がすぐに引き戻してしまう。だから、どこでも独り。邸に帰っても、必要とされる時以外の大人達との接点はなく、それでも何時でもどこかで監視されているような感覚は消えなくて、気づくと頬に生温い感触があれば、俯いて見えていた足元に小さなしずくが落ちてきては、たまにこうして何かの蓋が崩れ落ちたかのようにうち側から何かが溢れ出しては、こうして涙となって外へと出ていく。ポタポタと零れ落ちるそれは誰にも受け止められることなく無数に地面に落ちては消えていく。きゅっと握りしめた手は痛いくらいで、肩を震わせて涙を拭いながら邸へと帰るといつものように出迎えがあり、玄関先では黒い着物に身を包みいつも眉間にシワを寄せている育ての親とも言うべき女性が立っており、腫れた目元を見てさらに機嫌を損ねた表情をさせ黙って去っていく。それを見れば静かに靴を脱いで部屋へ、と思ったが邸の奥にある物置として使われている部屋へと入ればその隅で蹲って)


(/ロル上げてみました!あと、1つ質問なのですが華撫は成長して歳をとりますか?少しずつ知っていく過程で年月は流れていくと思いますが、華撫もそれに合わせて少しずつ大人になっていく、という設定はありでしょうか?)

10: 黒崎 臣 [×]
2016-12-15 20:01:31


(横にも奥にも無駄に広い邸は自身が生まれた生家であり育った家であるが幼少期より物心ついた頃には邸の奥深く、厨房も抜け、使用人の休憩室となっている部屋も通り過ぎさらに奥に襖に重々しい呪の式が施された札が数枚貼ってあり、誰から見ても近付いてはならない雰囲気を出している光の届かない薄暗い場所の部屋で過ごしており、出てはいけないと念をおされ、幼心にも“何故”なのかは見当がついていて。部屋の中も薄暗く、邸の一番奥故に窓は裏側、つまり光の届きにくい所にあるので夏は涼しいが冬は冷え込むようで、ひんやりとした冷気が立ち込めるがさして気にはしていない。壁の時計に目をやると時刻は夕方で無駄に人間よりも超越した身体は遠くから聞こえる台所の音でさえ微かに鼓膜へと届いていて、夕食の支度が始まっているのが容易に理解出来て。トイレや風呂などは部屋から出ないともちろん無理で邸内はそれなりに自由が効くものの、そこから一歩外に出ることは許されていなくて、畳の上に置いた文机で本を読んでいたが読み終えてしまい、また書庫から適当に持ってくるかと腰を持ち上げては立ち上がり。黒いYシャツにスラックスとラフな出立ちと不気味な程に整った顔つきと人間離れした黄金色の瞳はこの世のものではない。札は貼ってあれど一応弱いもので行き来は可能、静かに襖を開ければ遠くで聞こえた足音は現当主のもの、実の祖母であるが顔を合わすのは数年に一度ぐらいだが正直興味もなくて、襖を閉めて書庫へと向かおうと足を進めようとした所で僅かに聞こえた別の部屋の襖が閉まる音に足を止めて。微かに捉えた匂いや気配、足音は今までにないもので、客人だろうか、それにしてはなぜこんな邸の奥に来るのか。だが確かめに行ったとしてどうするのか、邸の女中などの使用人や実の祖母にですら畏怖と好奇の視線を浴びているというのに、無駄に関わる必要はないし、興味を抱く必要も無いのに気が付くと自然と足がそちらへと向いていて、音も無く静かに歩みを進めていけば目当ての部屋の前。薄い襖の向こうから感じる人の気配は何かに怯えているのか、悲しんでいるようにも思えるそれで右手を伸ばして取手に手を掛けて横に引こうとした所で、視線を落として。なぜこんなにも気が引かれるのか、興味でも好奇心でもない何とも言えない渦巻く感情がもどかしくてそれでも、苛立ちを抑える様にしながら襖を静かに開けて)


(/すてきなロルテのほうありがとうございます。こちらはブランクありありで分かりにくいかと思いますがお願い致します。
質問のほどもありがとうございます。
年齢の方はもちろんそれで構いません。少しばかり大人になった華撫も楽しみです。)

11: 黒崎 華撫 [×]
2016-12-15 21:36:01

ぅっ……ぅ、
(こんな物置でしか泣くことは許されない。それどころか本当は泣くことすらここでは許されていないのかもしれない。だが、こうして外れた感情の蓋を“元に戻す”ためにはこれ以外の方法が分からない。かといって誰かに他の方法を聞けるような環境でもない。小さな嗚咽を零しながら溢れ出る涙を手で拭っていると、キシリと廊下の床が軋む音が聞こえて、部屋にいないのを気にした女中が探しに来たのかもしれないと思い慌てて口元を抑えると、パタパタと足音が過ぎ去りるとホッと胸をなでおろすと。再び静寂が訪れると、夕日が円を描いた窓から差し込み部屋を茜色に染め上げる。光に照らされたところに微かに誇りが舞い、やがてはその動きも統一されていく。この部屋から出ればまたあの辛い日々がまっている。それはもう知っている。涙を全ておさまると再び足音が聞こえると、それはまるで今まで感じたことのない気配。背筋が凍りつくようなその気配は、確実に近づいており、ドクン、ドクン、と鼓動が早くなり本能が警鐘を鳴らすも、体はその場に捕らわれたように動かない、そしてその足音はこの自分がいる部屋の前で立ち止まっては、ドクン、と一段と鼓動が大きく跳ねる。そして、再び涙が瞳から頬を伝う。そして、襖に夕日がその影を映し出す。その大きな背丈に小さな悲鳴が漏れては慌てて口を両手でおさえて)


(/ありがとうございます。では、華撫も成長していく方向で進めていきたいと思います。成長する通過点はまた話し合いながらお願いします。)

12: 黒崎 臣 [×]
2016-12-16 20:39:18


(静かに開いた襖、その部屋は物置として使われていてすぐに鼻をつくような埃の臭いに少しだけ眉間へ皺を寄せるが、眼下で蹲っている幼子に気付き視線を落とすと僅かに目を見開いて。こんな子供が邸に居たのだろうか、何処かの客人の子供だろうかそれにてはこんな所にやってくるのは不自然で仕方ない、気が付けば元の無表情にも似た冷たいそのものへと戻っており嗚呼、そうかと跡取りの話を聞いたことがあったがこの幼子のことだったかと納得いき。先程聞こえた小さな悲鳴は自身へ対する恐れそのものだと実感しており、しかしそれならば都合よく忘れてくれるだろうと、接点など必要ない。もしも当主である祖母にその事が耳に入れば“また”面倒なことになってしまうのは分かりきっていること。だとすれば自身のこの行動すらも馬鹿馬鹿しいことでもあるのだが。ぼんやりと視線を落としていたが遠くから近付いてくる車のタイヤが砂利道を通る音、当主の気配が動いたのを感じ取れば今度こそ客人で間違いないだろうに、あの祖母のこと無駄に跡取りを見せようとする癖がある故にきっと女中にでも呼びに行かせることであろう。見せようとするのも、無駄の威圧感そのもので変わりなく、視線を少し自身の後方へとずらしつつ戻して「……戻れ。二度とこの場所に来るな」酷く冷たくて低く、その言葉と声から空気が凍ってしまうのではと思うほどで、突き放すそれはしかし、どこか微量の優しさも含んでいるようなそんな音色でぶっきらぼうに告げると書庫に寄るのも忘れそのまま踵を返して更に奥、自身の部屋へと戻っていき)


(/畏まりました。
相談、展開等お気軽に聞いてくれて構いませんのでよろしくお願い致します。)

13: 黒崎 華撫 [×]
2016-12-17 15:51:16

(生まれて間も無く自分は孤児院に出されたのだと聞いた。育児を放棄した理由も親の顔も知らないまま孤児院で育ち、胸の中にポッカリとした寂しさのような穴はあったが、それでも孤児院で一緒に過ごすお兄ちゃんやお姉ちゃん、妹や弟のような存在に囲まれてあたたかさを知ることが出来ていた。だけど、“それ”は突然やってきた。養子として半ば強制にとある邸へと連れて来られた。深い森の奥に異様な存在を放つ重厚な門構え、和風に描かれた家紋は“ヤドギリ”その花言葉は「征服」。殆どを黒で覆われた新しい暮らしの場所を見た時、怖いと感じた。
全てが冷たく、必要とされるのは「次期当主としての資格」のみ。それ以外の無駄な感情や価値観などは切り捨てられた。なぜ、自分なのかと考えても答えなど見つかるはずもない。そして、新しい学校でも、この広く寒い邸でも孤独になった。人目を避けて泣くことしか出来ない。それが、唯一のやっと見つけたたった1つの逃げ道だから。
空気が分かった。寒かった空気はさらに寒さを増して、その空気には恐ろしい殺気のようなものも感じ取れる。凛、と濃度を増す空気の中で呼吸することを忘れるな、と本能が体を鞭打つ。出なければ意識さえも吸い取られてしまいそうになる。視界に移りこんだ自分よりはるかに大きい男。金色の目をした男は、その気配からも普通の人間とは違うことは自分でも分かった。ただ、その獣のような鋭く金色に輝く瞳の奥に、鈍い感情の色が見えた気がした。と、瞬間に庭園の方から車の音が聞こえ、すぐに女中たちがバタバタと忙しそうに駆け巡り、1部で自分の名を呼ぶ声がした。きっと、また知らない人の前に立たされるのだろう。と考えていると、相手の口から放たれた言葉に一瞬だけ息を呑む。その言葉はどこか優しさを含んでいるようにも感じ取れたが、それ以上に悲しさが胸を締め付けた。
ぎゅっ、と胸元を握り締めては震える足を鼓舞し何とか立ち上がるが、この震えは相手にではなく、自分を見せびらかそうとする現当主たちへのもので「……ぃきたくないっ…」とどこか子供が愚図るように言うと、それでも現当主の威圧に体は怯え足は動き出して)

▲上へ

名前: 下げ

トリップ: ※任意 半角英数8-16文字
※画像を共有する場合は、外部の画像アップローダなどをご利用ください

規約 マナー
※トリップに特定文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます

【お勧め】
初心者さん向けトピック



[0]セイチャットTOP
[1]1対1のなりきりチャット
[9]最新の状態に更新
お問い合わせフォーム
(C) Mikle