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1対1のなりきりチャット
自分のトピックを作る
■:
ユビキリ [×]
2016-09-20 10:10:52
_ 胎児よ胎児よちょん切られてどう生きる _
/大正浪漫/見世物/アングラ/病んでれ/依存愛/ショタロリ/BNL/喰い合い/
貴方の髪と僕の髪で蝶々結びしました。
えぇ、そうです、二度と離れぬやうにと。
1:
ユビキリ [×]
2016-09-20 10:12:17
散ル櫻に焦がれた心。小指で交わした契り、赤い糸を紡ぐ宵
晩秋の風が貴方の髪を揺らめかし、掴めぬ貴方を恋うて乞うて
夢に迷い子、無情に無常と向かいの鴉が一様に敬礼し「右習え右」
ラヂオはブー…ンと情報を語るのを止め、部屋の片隅で鼠が死んだ
約束したでしょう、指切りげんまんしたでしょう、
_ ねぇ、 ほら。 ゆびきった _
⇒大正時代に拗れた恋慕、儚く散るか足掻いて散るか、バッドエンド前提の儚き恋
見世物小屋に働くその人を気の迷いか恋慕か焦がれて見受けしたのが運の尽き。
えぇ、えぇ、その人の愛情と言うのは自分ばかりか人の命すら惜しげも無く燃やすのです。
湖畔に二人で沈む日は、そうと遠くじゃないのかもしれません。
■■■
提供
→ 見世物小屋で働き生き凌いでいた少年(10才程)
貴方に対して異常な執着と捨て身の愛情を持ち、身勝手に縋る。
募集
→ 提供子を見受けした男性(20代後半から30代前半程)
病み尽くし貪る程の異常執着依存愛を向けられる
■■■
→ ロル100~の長ロル(小説ロル、多少の確定ロル可能。置きレス推奨)
ろり子でもしょた子でも基本は攻め気質です。ろり子を選択の場合でも攻められる事を前提に
進め方を相談できる方
■■■
2:
ユビキリ [×]
2016-09-20 10:16:21
(/この度はお声掛けを有難う御座います。早速になってしまいますが、提供いたしますしょた子の内面外見などに好みやご希望、避けて欲しい物なの有りましたら教えて頂けると有難く思います。
簡単に考えておりますのは気が強く我儘なロングヘアの男の娘かおつむの弱いぼんやりとした本能的の短髪少年のどちらかで考えておりました。こうして欲しいなどのご希望が有ればお気軽にお伝え頂ければと思います)
3:
匿名さん [×]
2016-09-21 00:12:40
(/募集板の19220です。この度は当方の我が儘を受け入れてくださりありがとうございます!
しょた子様への希望は前者のような男の娘で黒髪、少女のような妖艶さと少年らしい危うさの滲む蠱惑的な美少年だと嬉しいです。内面は主様が思い描かれている通り我が儘で、可愛い自分が媚びを売れば何だって手に入ると理解しているしたたかなほど強気な子。それ故に欲しいものが手に入らないとどうして良いかわからず病的なまでの執着を見せる…というお子様を想像しているのですがあくまで妄想ですので、気が強ければどんな性格でも構いません。
また既存のキャラクターで申し訳ないのですが、漫画「少女椿」に登場するカナブンという男の娘が大好きでして、もし可能でしたらその子のような容姿や雰囲気のお子様をお願いしたいです…!
長々と書き連ねてしまいすみません、同じくこちらのキャラに対する萌え萎えやご要望も教えていただいてよろしいでしょうか?現在いくつか考えている案では
・美しい物を好み、しょた子様のことも所持品のひとつとして購入。あくまで物や飼い猫のように愛でる冷ややかな耽美主義のエゴイスト。
・少年or少女(または幼児)性愛をひた隠しにし、しょた子様を我が子のように可愛がりつつ密かに欲を抱く人道主義者ぶった歪んだ善人。
・情緒不安定の気があり、美しいしょた子様を衝動に任せて買ったもののどう接すれば良いかわからず持て余す陰鬱で不器用な男。
など癖のある面子ばかりなのですが、もっと普通の・別の男性が良いということでしたら喜んで考えさせていただきますのでご意見やご提案がありましたらぜひ仰ってくださいませ。)
4:
ユビキリ [×]
2016-09-21 01:30:05
(/ご移動と共に具体的な案をとても嬉しく思います。有難うございます!
カナブンは当方もとても好みのキャラなのですが、元々既存キャラのなりきりを不得手としておりまして出来る限り寄せようとは思いますがどうしても別物になってしまうことが予想されます…orzそれでも大丈夫でしたでしょうか><?
そして、多くの提案をして頂けて構想中のしょた子ならばどう絡むだろうかと考えたときに迷いに迷って一番発展しやすく、また折り畳み重ねていくような自分の為の身勝手な愛で振り回す事が出来そうな情緒不安定で不器用な彼にお相手をお願いしても宜しいでしょうか。
外見等に萌え萎えが無いのでPL様の扱いやすいように作っていただければと思います!)
5:
匿名さん [×]
2016-09-21 02:13:43
(/ご確認ありがとうございます!
紛らわしい書き方をしてしまい申し訳ありません。オリジナルのなりきりですので勿論カナブンとは全く違う、主様が作られたお子様にお相手していただきたいと思っております!見た目は美少女でも男児特有の刺々しさを持っていたり…という希望の男の娘像を上手く言葉でお伝えできず、つい既存キャラの名前を例として挙げてしまいましたがあくまでイメージですので主様のお好きなように作成していただいて構いません!お手を煩わせてしまい本当にすみませんでした…!
では当キャラは情緒不安定な男性で練らせていただきます。pfは早くても明日の深夜の提出になってしまいそうですが、しばらくお待ちいただけると有り難いです…!)
6:
ユビキリ [×]
2016-09-21 02:39:32
名前 艶
読み えん
性別 男
年齢 10程
性格 口が達者で肝が据わる、土壇場に怯みの動揺怯えを少しも出さず凛とし自分の弱みを器用に隠す。明朗快活と豪快なほど明るく、行動派。思い立てば直ぐに行動に移すが、吉と出るのか凶と出るのか分らない。悪知恵が働き、自分の事しか考えていない為度の過ぎた自己中。自分が楽しいことしか考えない悪癖の為、時に人を傷つける残虐非道な行為に至ろうと本人に悪気は無くあっけらかんとしてしまう。自惚れであったり自己愛に傾いた気が少々有るようで、可愛い自分が強請ればなんでも叶うだろうし許されると疑わない。同時に自分以外を見下してみる癖が有り、自分が一番でありそんな自分の事を持て囃すのも当然の事で自分が欲しいと願うならそれは手に入って当たり前なのだと考える。少しばかり鬼畜染みた志向を持ち、感覚や思考は既に演者ではなく人畜生の客の立場で有ると言える。楽しいことが好きだから、楽しくなるための努力は厭わないしその見返りに自分の願いがかなうなら万々歳。無邪気だからこそ底抜けの悪意と悪戯感覚で命を奪う残虐性を秘め、好きな物は言葉通りに全部を自分の手の内にしまい込みたい。何時も強気に眼を開き、伏せることなく前だけを見て口元には余裕を見せる釣り上げた笑みを、喋る言葉も行儀だって遠慮だって一つと持たない自由奔放で強か過ぎる程に負けん気が強い。何をするにも一番は自分じゃなければ嫌だと自尊心が高く、底抜けのプライドは絶対に誰彼へ弱みを見せず余裕綽々と強気な姿勢を崩さない。年上相手にも変わらない態度は生意気だと思われる筈だが、一環とした強かさに交えたさり気無い媚と甘えの織り交ぜで許され続けてきた器用な性分。愛されることが好きで、愛されることを当然だと思う反面で下心のない無条件の優しさに触れてしまえば弱い。口八丁で人見知りの欠片もなく図々しく馴れ馴れしい、意地悪でゆがみ切ったサディズムも加わり性格が良いとは世辞にも言えない。それでも愛嬌の塊で人の懐に入り込み、すり寄るのは才能と言えるほどに上手。隠しきれない猟奇的な面も加わり、本心で欲した貴方様の事を愛しくて恋うてしまってだから殺したいと渇望する。
容姿 艶やかな黒髪には紫陽花の花弁を一枚落としたように薄らと紫色が掛かる深みのある色を持つ。癖が無く手入れのされた髪は前髪が眉下でぱっつんと切りそろえられ、後ろ髪は下した時点で毛先が胸元に掛かる長さを持ち、それを器用に頭の高い位置で一本に纏めている。リボンには紫色を選び大きな形をした存在感のあるものを選ぶ。上のまつげが目尻に行くほど長く、左目の目じりの当たりに黒子が一つ。目の形は猫のような釣り目でアーモンドのように印象が強い。ぽてっとした唇は柔らかく頬もふっくらと丸みを帯びており、傷が一つとなく恰も愛されてきましたと言うのが感じられる外見。背丈は130㎝程で肌の色は健康で有ることが分かりやすく適度に焼けた子供らしい色をしており、体系も少年と少女の間を行くように柔らかい肉感と弾力を感じさせる若々しさを合わせた愛らしさと妖艶さを曖昧にする雰囲気を持つ。鮮やかな紫色の女児向け着物を纏い、金色白色で小花柄が描かれるそれに金魚のようなヒラヒラとする帯を白色と水色のものを重ねて巻く。紺色の鼻緒が使われた草履を履いて、着物の袖は動きやすいように肩のあたりで紐を使い括っている。いつだって人を小ばかにするように笑みを浮かべる口元は開けば犬歯が発達しており牙のように鋭く、生き物に食らいつけば息の根を止めるのに十分の働きを見せる。和洋入り混じる服装に拘りが有る訳じゃないが、自分が可愛くいられるならと言うのを一応は確りと考えている。服装や長い髪は女性的であっても、女性になりたい訳じゃない為動き方等は気を抜くと粗野で有り足癖も悪いため足の甲には擦り傷のようなものが重なっている。
備考 双子の姉がおり、二人で五体満足有触れた幼子が貪り尽くす悪食芸と言う演目で生きた蛇や鶏喰う所業を見せる事で生き長らえて来た。物心付いた頃から暮らす自分たちの世界の全てである見世物小屋での暮らしを姉は阿鼻叫喚の地獄と称したが、自分はそうは思わずに反抗し苛立ちを買い逃げようとするその姉すらも心の中で嗤っていた。落ちてる虫を踏みつけて殺めることと、鶏の首に食らいついて殺める事の違いが判らない。命に対しての感覚が狂っており麻痺しており鈍い。それでも自分を連れ出した貴方様が衝動的だったからか下心が見えないそんなお人だったからこそ、興味を持ち好奇心のままに付いて行く事を決める。ついて来る事を決めたのは自分なのだから、彼が自分を捨ててもここに残ることは自分の意志で許されると思っているため、遠慮もないし控えめさも無い。それでも今まで良くも悪くも賑わっていた空間から、自分の世界に貴方様だけになった為意識せずとも寂しく依存や執着の気が高まっている。大好きなものは全部自分の歯で噛み砕いて飲み込んで独り占めをしたいと思ってしまうため、今は大好きで仕方がない貴方様を独り占めしたいが独り占めをしてしまっては独りぽっちになってしまうと言う幼くあどけない我儘の葛藤を持っている。生きてるものを自分の手で殺めれば褒められたし可愛がられて来た訳で、命を奪うという行為が悪いこと言う意識がみじんもない。すでに刷り込みのように生肉と生き血はおいしいものだと感じている。年齢不相応な残虐性を持ちながら、年齢相応に無邪気でやんちゃな遊びたがり、構って貰いたがりの気持ちを持っている。貴方様が構ってくれなければ面白くなくて構ってくれるまで手を出すし、それでも自分を見てくれなければ遠慮なく苛立っていじける程、生粋の俺様思考。
ロルテ (茜色の夕日を背負い家の前で一人楽しそうに"たん、たん、"と弾むような足取りで土煙を上げ地面を踏みつけていればその足を止めて楽しそうにゲラゲラと腹を抱え「でっかい餌持ってたのにお生憎様!ぜーんぶ死んじまったや」落ちた金平糖を運ぶ蟻の群れをプチリプチリと踏みつぶしていたようで、周辺に蟻が全部いなくなったところで最後に一つ転がった金平糖をぐしゃり。と踏んで磨り潰し。半分程沈んだ太陽をぼんやり眺めれば「__つまんね。」遊んでほしい彼の姿が見えないから、その彼の事を一番に出迎えれるように家の入口で待ち惚けをしていたようで。とは言え、家の前と言う括りで一人きりで有れば遊べる種類も限られるというわけで言葉通り面白くなさを表すように片足をザザと蹴り上げて「早く帰って来いよな」片頬にぷっくりと酸素をため込んでは反対の目を細めて表情を顰め、面白くないと理不尽にも八当たるように繰り返される独り言を止めるため"ちぇ"と舌打ちのように呟き、身長以上に細く長く伸びている色濃い影をぼんやりながめ)
(/イメージに合うか不安ですが一先ずプロフィールが出来上がったので上げさせて頂きます!
ここはこうして欲しい等の訂正が有れば遠慮なく伝えて頂けるとありがたいです。
プロフの提出は全然急いでおりませんし、此方のトピ自体がゆっくり進行なのでお気になさらないでくださいー!)
7:
ユビキリ [×]
2016-09-26 16:57:45
(/大分流れてしまい探すのが大変になって参りましたので一度上げさせて頂きます。急かしている訳では有りませんのでお時間が出来、お手隙になった際にまた顔を出して頂ければ嬉しく思います。)
8:
匿名さん [×]
2016-09-27 17:51:11
名前 宇都木 密
読み うつぎ ひそか
性別 男
年齢 27歳
性格 薄っぺらい表面一つ愛想笑い一つ取り繕えず、いつだってジッと押し黙り陰欝な面構えを崩さぬ無愛想な男。酷い口下手で言わねばならぬ事を言えず言わぬでも良い事ばかりポロリと口から零れてしまう、だから貝のように押し黙っているのが世の為人の為に一等良いのだと寡黙に努める向上心の無い人間だが構われたがりの艶を拾ってからはおのずと口を開かねばならない機会が増えている。僅かな微笑さえ見せない癖に無表情という訳でも無く不機嫌な表情ばかり豊かなのは笑うほどの愉悦や幸福をこの世に見出だせない後ろ向きな生涯を送ってきた証であり、良い事があれば不吉の前触れに違いない。悪い事があればこれを期に人生の坂道を転げ落ちて行くに違いないと考える少々思い込みの激しい悲観主義者。大正浪漫と華やぐ世にもパッと咲いて散る花のような儚さと死臭ばかり嗅ぎ取って何とは無しに怯え、前時代にしがみつく頑固者でいる気は無いがやれハイカラと浮かれる気も無くひとり洋酒を抱え家に篭ってデカダンかぶれの自堕落な日々を送る暗い安寧こそ彼にとっての幸福。やや神経過敏のきらいがある密には外界も他人もあまりに刺激が強く、一人でそうして静かにしている分には何ら問題ないのだが、ひとたび他者や世間と触れ合えば洋杯になみなみと注いだ水をツンとつついた時のように心が乱れ、感情が溢れ、己でも予期せぬ方向へ気持ちが傾き突然大胆な行動を起こしたり突拍子のない思想に取り付かれる厄介な情緒不安定。その後無様に取り乱してしまった己を悔やみ鬱々と寝込むまでが一連の流れ。艶を身請けしたのも見世物小屋という強烈な刺激に揺さぶられた結果何時にも増してぶっ飛んだ衝動に駆られたせいであり、我に返ってから悔やまなかったといえば嘘になるが厄介事を何より嫌う男がその子を誰かに押し付けようとも、衣食住だけ与えて放っておこうともせずキチンと向き合う決意を抱けたのはこの不遇な子供をどうにかして救ってやらねばならんと一片の良心が燃え上がった為。案外そういった優しさやら慈愛やらの感情は兼ね備えているものの伝え方を知らない不器用さが邪魔をして中々誰にも理解はされない。艶を幸福にしてやりたいと願う気持ちは本当だけれどその子の残虐性に耐えられるかはまた別の話、時に辟易し時に恐怖し、その子がやって来てからというもの生来の考えすぎの心配性に一層拍車がかかっている。
容姿 鬱屈した性根を表すかの如くうねった黒髪は耳を覆う程に伸び、どれだけキッチリ撫で付けようとだらしなく頬に額に垂れ、近頃は美しく整えてみせようという気さえ失せたのか整髪料を使う機会も少なく軽く掻き上げておくばかりであとは目深に被った中折れ帽で雑に隠してしまっている。背丈は180に届くか否かと西洋人並に高く、骨格もまた確りとしておりしゃんとしていればそれなりの見栄えだがいつだって人目を逃れたい、誰の視界にも入りたくはないと老猫のように背を丸めずるりずるりと気怠く足を引きずって歩いていている。顔立ちもまた西洋の匂いが濃く香るもので掘りが深く、美醜に疎いカフェーの女中などには活動写真から抜け出たようだと持て囃されるが鋭角的に高い鼻もすっきりと痩せた頬も暗い顔つきに殊更影を落とすばかりで異国の華やかさとは程遠く、そのまま日陰に闇に溶け消えてしまいたいとでも言うような暗色づくめの装いと揃えて見ればある意味では白黒映画的な出で立ちである。肌も不健康に仄白く、不吉なまでに無彩色づくめの全身の中で唯一鮮やかなのはスッとナイフで裂いたかのような幅広い切れ長の目に嵌まるビードロと見紛う程の真っ青な眼球。混血児の証であるそれを隠すように瞳はいつ何時も伏せられ、念には念をと深く被った中折れ帽で隠され、人と目を合わすということはまず有り得ない。艶を引き取ってからというもの舶来品であるその帽子には不釣り合いな安っぽい紫のリボンが巻かれ、わざわざ口にするわけでも、無論艶にせがまれたわけでもないが滑稽なお揃いの髪飾りとしてただ何の気なしに飾りっぱなしにしてある。詰襟のシャツに絣の着物と袴という所謂書生服のような着こなしが常故に「何時まで学生気分で居るのだ」と笑われることもあるが別段その格好にこだわりがあるという訳ではなく、ただ和洋折衷の格好が流行りだと聞いたので真似をしてみただけ、笑われた所で他にどのような格好をすれば良いのか検討もつかぬと世間に馴染もうと努めても上手く行かない不器用さが滲み出る服装。薄着は落ち着かない性分で夏場でも羽織と胸まで垂らした襟巻きを脱がない。
備考 「卯ノ花 密事(うのはなみつじ)」の名で活動する物書き。当人は耽美派を自称するが、繊細な描写で綴られる文章は人間の暗部や心の闇をグロテスクなまでに描き出したものが多く怪奇小説や所謂エログロナンセンス的な作品として意図せぬ形で評価されている。周囲にそうあれと望まれれば従う他ない性分故にこの頃はおのずとそういった作風を心掛け、見世物小屋へと赴いたのもその猥雑にして色鮮やかな毒味を創作に取り入れる為。臆病者には濃厚すぎる血生臭い空気と下劣窮まりない客の熱気に瞬く間に気圧され辟易し、早々に逃げだそうと出口へ足を向けた刹那始まった悪食双子の芸に度肝を抜かれ、衝撃のあまり逃げる事も叶わず食い入るように見るはめとなったのが艶との出会い。血塗れの笑みにもどこか諦観の滲む童女のほうはただ哀れみをもって見守るだけであったが、もう一方のさも楽しげに鶏を食い殺し生き血を啜る艶の姿が見開いた眼に焼き付いた途端「誰がこの幼子をこれほどまでに歪めたのか」と怒りに両の拳を震わせ、あの子をこんな所に置いてはおけぬ、これ以上壊してなるものかと二十数年の生涯の中においても稀に見る強気さであの子を寄越せと団長に迫りそのまま身請けする。あぶく銭でひとりの子供を地獄から救ってやれるなら万々歳、これからは血染めの日々など悪い夢と忘れさせて真っ当な生活を送らせてやろうと一人前の慈悲だか正義感だかに燃えていたのも束の間のこと、女児を引き取ったつもりが蓋を開ければ男児であったとか小屋を出ても変わらない艶の残虐性だとか、様々な不足の事態に振り回され今や当初の熱もなく彼の存在に頭を悩ませない日は無い。それでもこの子の為に何かしてやりたいとは思うし哀れみや、よくよく見れば愛らしさだって覚える彼に試行錯誤しながらぎこちない愛情を注ぐ。頭一つ撫でられない代わりに土産物ばかりポンポン与える即物的な愛情表現や、生来の口下手故に気圧されがちの会話はさながら娘か反抗期の息子を前にした父親であり、実際歳に不釣り合いな妖艶さや残酷さにドキリとしつつも己が年相応に更正してやらねばと密かに決意する気持ちだけは立派な父親気取り。その割には自分の心が鬱々と落ち込んだ時には彼を放ったまま日がな一日布団で寝込むし手に終えないと嫌気が差せば彼を置き去りにアブサンや煙草の夢心地に逃げる彼に劣らぬ自己中心さを持つ。己の家族や生い立ちについて多くは語らないが"あいの子"でありながら高い教養を持ち文学の道へ進めたこと、いやにでかい庭付きの平屋に一人住んでいること、賭け出しの作家だというのに嗜好品に艶への土産物にと散財しても食うに困っていない様からはそれなりに裕福な背景が透けて見える。
ロルテ (沈み行く夕日の代わりと往来にポツリポツリ燃え始める瓦斯灯の火は嫁入り狐の提灯行列、百物語に灯す蝋燭、そんな奇々怪々の代物と映り久々の遠出だというのに原稿だけポンと出版社に押し付けてはそそくさ人力車に乗り込み華やぐ街に背を向ける。大正と言う真新しい世を急いで消費するかの如く苛烈に賑わう都市の喧しさ、虚勢じみた華やかさは己の目を耳をジクジクと痛めつけるばかりで一刻も早く家に帰りたいと選んだ乗り物は速いけれども寄り道ばかりの路面電車ではなくのろまだけれども真っ直ぐ家へと向かってくれる人力車。例の子供が隣に居れば、あれがチンチン甲高い警笛にはしゃぐ可愛いらしい幼稚さを持ち合わせているかはいざ知れず、我が子のように手を引いて電車のほうに乗せてやったかもしれないが。あの子は一体全体どこまで子供でどこまで大人なのか、どこまで男でどこまで女なのか皆目検討つかぬが故に何をしてやれば喜ぶのかさっぱりわからぬから、と溜め息を吐いて視線を落とすのはちょんと膝に乗せた小さなケェキの空き箱。今日だってあの子に持って帰る土産を買うのに酷く頭を悩ませたのだ。洒落た水玉のワンピィスと振り回して遊ぶのに手頃なブリキの玩具、店先をぐるりぐるりとさ迷いながらどちらか悩んでどちらも止めた。結局こうして、箱の中で爪をカリカリとやっている小さな小さな猫を一匹連れて帰ることにした。うちの猫が孕んでしまって、先生のお宅にはご親戚か、お知り合いか、どなたかのお子さんがいらっしゃったはずでしょう?一匹連れて帰れば喜ばれるのではないかしら。結局手ぶらで赴いた出版社にて鉢合わせた女性記者に期待を込めてそう囁かれ、良しと貰ってしまったその猫ならば気に入るのに男心も女心も無いだろう。何より命は潰して楽しむものでなく愛でて愛おしむものだという人道主義だとか、情操教育だとか、あの子供に欠けているものを与える良き師となりうるかもしれない。蓋の隙間からジッとこちらを見つめる扁桃型の瞳や艶々とした黒い毛を見下していれば「……お前の御主人はお前に良く似ているから、似た者同士、まあ、きっと上手くやれるさ。」差し込んだ指をカプリと噛まれつつ酷く楽天的な事を呟いてしまい、訝しげに振り返る車夫の目から逃れるべく後はもうずっと俯いて車が街外れの我が家へ走っていくのを待つことにして。やがて砂利の増えた道にガランガランと鳴る車輪の音で家のすぐ近所までやって来たことに気付くと、現か幻か、ゲラゲラ響く笑い声にふと顔を上げて「――止まれ、止めてくれ、此処で良い。もう降りる。」嗚呼、あの子が笑っている。そう思った時には己にも何故かは分からないけれども慌てて、と言っても眼下の車夫には相変わらずただの仏頂面に見えるだろうが、とにかく彼に玄関先でロクでもない一人遊びに耽っているであろうあの子の姿が見つかってはならぬと呼び止めそこから先はとぼとぼと歩いて向かうこととなり。最後の角を一つ曲がり、お天道様に背を向けて死々累々の蟻の群れを蹴る小さな姿が現れるとやはりこんな姿は世間様には見せられぬと男児の四肢に女児の美貌を浮かべた愛らしい彼を呆然と眺めて「――おい、艶。中で待っていなさいと言っただろう。子供一人で表に出るなんて……人さらいにでもさらわれてみろ、また見世物小屋に逆戻りだ。」まずはただいまと微笑んでやるべきであると頭では理解している。しかし言い付けを守らないばかりかまた殺生をしていた事だとか、小憎らしいほど可愛いらしくぷっくり膨れた頬が己の憂鬱を少しばかり煽ってしまい、ちょっとしたお小言を言ってやるつもりが口からぽつりと零れ出たのは己が日頃から忘れさせようと努めている見世物小屋の名。しまったと目深に被った帽子の下で苦虫を噛み潰したような顔を一つ浮かべては「……土産があるから中に入って、手を洗って待っていなさい。」子供の瞼にあの血生臭い日々が蘇ってしまわぬうちに別の言葉を被せてごまかして、ガサゴソ言うケェキの箱を抱えて一足先に玄関をくぐり。)
(/長らくお時間を頂いてしまい申し訳ありません。あまりに魅力的な艶様に衝撃を受け、艶様に相応しい男をと頭を悩ませている内にこんなにもお待たせしてしまい、ご迷惑をお掛けして本当にすみませんでした…挙げ句このような根暗男が出来上がってしまったのですが、性格上小説ロルや心情ロルが多めになってしまうロル含め不備やご要望等がありましたらすぐ修正致しますのでご指摘をお願い致します!)
9:
艶 [×]
2016-09-27 21:29:53
(/とても素敵なプロフィールの提出を有難うございます!惚れ惚れとする素敵な密さんにどう艶が絡み行くかを想像するだけで胸が高鳴ります。艶もPL様のイメージと離れたものじゃなかったようで安心しました!ロルも選ばれる言葉の美しさに見惚れこそすれ、不備など見当たりません。私の拙い文章が恥ずかしいばかりです…!少しでも釣り合いが取れるように頑張らせて頂きたい所存なのですが、始まりはロルテに続ける形と出会いからの始まりとどちらが宜しかったでしょうか。好みを教えて頂けると幸いです!)
10:
宇都木 密 [×]
2016-09-27 22:21:14
(/お褒めいただきありがとうございます!こちらの方こそ背後様の美しい言葉選びに見合うように、艶様の想像以上の可愛らしい毒気たっぷりの魅力に釣り合うようにと気張っておりましたのでそのように言っていただけて安心しました…!始まりはせっかくですので、見世物小屋での出会いの場面から始めていただきたいのですがよろしいでしょうか?こちらから始めた方が進めやすければ新しくロルを書いて参りますのでよろしくお願い致します。)
11:
艶 [×]
2016-09-28 00:52:49
(繰り返される演目の順番待ち、既に欠伸が出る程見飽きた蛇を食べる姉の姿を補助をしつつ笑みの合間に細める瞳のその先で品性下劣とニヤ付く笑みを浮かべ興奮を見せる客人を覗き見て愉悦。飽く迄演目と割り切り口周りを血液で染める姉の姿に"辛気臭いの"と盛り上げの一つでもしてやりゃ良いのに、なんて詰まらなさを積み上げて。いよいよ姉が補助へ自分が主役の時間が巡りやって来ると途端、喜々と心底悦び待ち侘びたと言う表情でギラギラと熱を帯び獲物を目の前に吊り下げられているような理性の残らないそんな表情で舌なめずりを。先ずは何をするでもなくパチンパチンと拍手を煽るように自分のやりやすい感覚で両手を叩き、右へ左へ観客のギリギリまで距離を詰めては「さぁさぁ!もっとこっちへ身を寄せて!遠目で見ても近くで見てもお代は一律、どなたも此処へ。ほぉらほぉら、スリルと迫力は近くじゃないと欠伸が出ちまう!」お手を拝借お声を拝借、事前の蛇の生臭さに気力を削がれた人の心を持つ常人を再び気違いばかりのアンポンタンに戻しましょうと長い黒髪をあっちへこっちへ、賑やかに揺らして会場を駆け巡り。最初は控えめだった拍手の音が会場が沸き立つように大きくなった所で満足し釣り目の目元を一層と釣り上げるようにキュウと細め上げて檻の中に入れられていた鶏の首根っこを細い手に鷲掴み。ギイギイとこの世の終わりを表すえげつない鳴き声もなんのその、振り回すように自由奔放と時折観客にその鶏を戯れと仕掛けたりして悪意に満ちた悪戯で驚き声を上げて慄くその反応に心行くまでご堪能、ケラケラと無邪気な笑い声を高らかと上げては自身の高笑いを筆頭に尚々と盛り上がりを見せ沸き立つ会場内に再びライトアップされた中央へ弾むような足取りで帰れば其処からは早く、逃げようと蠢く足で擦り傷を少し付けられながらも微塵と気にする素振り無く形の良い鋭く尖る白い歯を鶏の首に突き立てて。白い鶏の羽が滴る血液を吸い込んで赤く染まり、暴れ狂う動きに合わせ周囲には天使でも撃ち殺されたように羽が舞い落ちて。着物も口周りも必要以上にベッタリと赤黒い血液塗れにしては、息をのむ客人へ対して挑発をするように口内に溜めた血液をぶーっと悪戯に吐きかけて。途端至る所で上がる絶句と悲鳴に何方が客人か分かったものじゃないと言うほど愉しそうな笑顔を纏って、再び首に歯を突き立てれば今度は見せるためと言うよりも命を奪うためにガリ、ゴリ、と喰い尽す音を響かせて。数回の痙攣を伴った鶏がそのまま動くことなくグッタリとし、死骸に変わったところで首が辛うじて繋がるその死骸を高らかと掲げて新鮮な血をシャワー替わりにするように屈託のない笑顔のままにその血を浴びて、この世の悪趣味を掻き集めたような地獄絵図を披露して見せて。演目の時間、すべての眼が自分に集まり注目され自分がこの世界の主役になれるこの時間を心から愛していると言うように口角を釣り上げれば無邪気ゆえの冷やかさを全身に纏うそんな笑顔を余韻と残して再び拍手を煽るように、導くように先に自分が拍手の真似事を手首で行ってから全身で拍手の音を満足するまで浴びた上で凛とした佇まいの一礼を見せ演目の終了として。袖に引き下がるその瞬間にだって芽生える悪戯心は抑えられずに掴んでいた鶏の死骸を客席に投げ捨てて。「あー!愉快。見たか?今の顔。__あんな阿呆面稀にしか見られやしない!」袖に戻ればキャッキャと楽しそうに誰に話すでもなく言葉を紡いで、事前に用意していたタオルを汲んでいた水に浸らせて顔に浴びた血液をゴシゴシと拭ってはそのタオルを手にしつつ何やら表で揉めているそんな声にピクリと耳を傾かせ。ベタベタとした血液が消えてサッパリとすれば興味本位にそこへ足を向かせ、悪いとも思わずにベッタリと壁に耳を当てて堂々たる聞き耳を、そこで聞こえたのがやれ身請けをしたいと言うその内容。更に聞き耳立てればその話題の中心は自分じゃないか!と爛々と目を輝かせて一体全体どんな奴が自分を欲しがっているのか、そんな興味に勝てる筈もなくヒョコリと壁の隙間から目を覗かせて。隙間から見えたのは体を丸めてはいるが大きな背丈、顔は見られないが声の感じからそこまで老人でない事が伺えて。それにしてもあの男は何をどうしてこんなに怒っているのだろう、と梟のように頭をギイと捻るように拉げては疑問を持ち。"可哀想"と哀れむ訳でも"化け物"と恐れる訳でも"見るも愉快な百鬼夜行"と拍手喝采下品に笑うでもない、明確な怒りを持った強いその姿勢に初めての出会いだと心を擽られてしまい。今一度顔の汚れを取るようにタオルを使ってはそのタオルを頬り投げて売る売らないの売買取引をしている現場に現れて「金くれるって言うんなら遠慮しないで貰っちゃえば良いじゃんか。持ってて腐ったり困ったりするもんじゃ無いんだし」これ以上の金額を上乗せするために迷っている振りをしているのだろう、そんな団長の思惑を知りながら知らん振りをして愛嬌のある笑みや喋り口で声をかけて)
(/出会いからと言う事でキャラを出させて頂いたのですが、艶の持つ無邪気な悪意を表現するため演目から初めてしまいとても長くなってしまい申し訳無いです…orz PL様の負担のない長さまで抜粋し削っていただいて全く問題ありませんので無理して長さを合わせようなんて思わないで下さいませ!もし読むのが負担でしたら書き直しますので遠慮なく伝えて下さい…!)
12:
艶 [×]
2016-09-28 22:43:45
(/連投を申し訳ないです…!当方イラストを描くことが趣味でして、とても素敵なキャラデザの密さんを一層とイメージできるようにと完璧なる自己満足なのですが勝手ながらお絵かきさせて頂きました…!もし此処のイメージが違う等あれば今後の参考にしたいので教えて頂けると嬉しいんです!一緒に艶のイメージも載せるのでこんな雰囲気かと参考程度になれば…!
https://pbs.twimg.com/media/CtYIZ2CVYAA6srt.jpg
https://pbs.twimg.com/media/CtYIYgRVUAASnxk.jpg)
13:
宇都木 密 [×]
2016-09-30 05:46:31
(先生、見世物はもう御覧になりまして?、馴染みの女性記者がいやに愉しげに問いかけた一言により赴かざるを得なくなったその場所というのはいつの間に街へとやってきたのか如何にもキナ臭い見世物小屋なる代物であった。鬼に達磨に蛇女、おどろおどろしいのぼりよりも、そこへ群がる人々の群れに気圧され立ちすくめどもきっと御話のお役に立ちますわ、と近頃とんと進まぬ筆の調子まで引き合いに出して勧める記者の微笑を思い出せば引くに引かれずエイヤと足を踏み入れ、途端あれよあれよと言う間にもみくちゃになって流されていき気付けば舞台のど真ん前。息つく暇もなく眼前からはさながら百色眼鏡の如く目まぐるしく現る奇形怪物の哀愁漂う禍々しさが、隣背後からは野次に悲鳴にと沸き立つ人の生臭い熱気が押し寄せ、それらの凄まじい波に揉まれジッと耐えるだけの時間がどれ程過ぎて行ったのか。手も足も知恵も足りている風なのにどういう訳か煌々と照る舞台に上げられ、悪食と銘打ち蛇を食わされる可憐な童女が現れても己の心はとうとう愉悦を見出だす事なくおのが不幸を世間様へのサアビスと精一杯掲げる演者のいじらしさに、それを嘲り狂喜する客連中の行儀良く着飾ったコォトでもワンピィスでももはや覆い隠せぬ下劣さにぐったりと萎え切って、沸いて来る苦く酸っぱい唾液を嚥下するのも一苦労という有様まで追い込まれ。いわばこの奇怪至極の晒し物を実に愉快な娯楽と捉える世間への嫌悪というのか、否、今にグイと引っ張られ次なる演目は青い目のあいの子と吊るし上げられるやもしれぬという恐怖からか、兎にも角にも一刻も早くこの場所を去って平穏な自室に帰りたいとジリリと後ずさるように帽子を押さえて薄ら笑いする客畜生らの中を掻き分け進むが、ようやく見えた出口の細い光を掻き消す程キラキラと眩い声に脳髄をぶっ叩かれたようになって振り向けば「――あぁ……嗚呼、嘘だろう?」そこには己の無口も破られざるを得ない、輝かんばかりの賑やかさ。まるでようやっと遊びに行っておいでと許しを得られた幼子のように舞台を跳ね回り、否々、野に放たれた子犬のように無邪気に駆け回り客にじゃれつくやんちゃな少女の姿はどこか湿っぽい愉悦に満ち満ちた小屋の中にはあまりに似つかわしくなく思わず呆然と棒立ちになり。己はいつの間にやら外へと出ていて、通りでかけっこする子供の姿でもぼうっと眺めているのだろうか。先程の風景があまりに刺激的だったものだから、表で遊ぶ子供の姿に小屋の舞台の残像が被って見えてしまっているのだ――そう己を騙せてしまいそうなくらいの、微笑ましいとさえ評せる光景はしかし、小さな手に捕らえられた鶏のギイッという断末魔によってまやかしだと気付かされる事となる。何故ならば演目の名は「悪食双子」。小さく形良く、涎に艶々と光る犬歯はまるで真珠のようだと思う間もなく鶏の喉笛を食い破り、噴き出した血に染まり、獣の獰猛さで骨を砕いて行った。ガリゴリ言う骨の音に思わず己の喉元まで苦しくなり手を添えれば、血飛沫に濡れた顔で同じく首を押さえる客共を愉快がるように子供は満面の笑みを浮かべる。その歯を見せつけて笑う顔の何と愛らしく幸福そうな事か!泥んこ遊びの屈託無さでビチャビチャと生血を被り、満足げに拍手喝采雨霰と求める姿には片割れの童女が見せた憂いも何もあったものではない。あれは、鬼か何かか。角も無ければ体も白く小さいけれども、そうとでも思わねば10に届くかどうかというくらいの子供が血みどろ遊びにキャッキャとはしゃぐ訳が無い。……そこで、はたと気付く。あの子は箱櫃児、所謂生来の奇形では無く、成長期に歪んだ形の"型"に詰められ育てられる事で人工的に作られる奇形なのだ。見世物小屋という歪んだ箱に詰められ育てられ、いずれ血を好み肉を愛する化け物へと変化するよう仕向けられた子供なのだ。たった今あの子が引っ込んでいった舞台の後ろでも誰か大人が今日は一等良かったぞと血塗れのあの子を褒めたたえて歪んだ倫理観をヨシヨシと一層ねじ曲げているに違いない、そうしてあの子が正真正銘の化け物と成り果てるのを今か今かと舌なめずりして待っているに違いない、何故か?それが、歪んだ存在が金になるからだ。思考が数分かけてそこまで至ると萎んだ心もゾクリと怒りに奮い立ち、とんでもない巨悪の尻尾を捕えたような心地で先程のように惨めったらしく客を避けたりせずズンズン小屋の奥へと進んでいき、やがて一目見てお偉い様とわかる男を見つけて詰め寄っていけば「――鶏を殺させた子供を出せ。あの子は私が連れて帰る、金ならいくらだって出してやる。こんな血生臭い、薄汚れたゲテモノ小屋に閉じ込めて悪虐ばかり教え込むお前達よりかは余程大切に育ててやるさ、とっとと此処へ連れて来い。」顔は、上げない。けれども己の喉はこれほどまでに頼もしく長く声を出せるのかと自分自身さえ驚く勢いでタンカを切ってやり、あぁそうだ、たった今から己があの子を救い出し、真っ当な道へと手を引いていってやらねばいかぬのだ。それが彼奴らとも野次馬客連中とも違う、真っ当な大人が子供に対して果たすべき義務なのだと生まれて初めて感じる正義感とやらに背中を押されいつもよりかは心持ちぐいと背筋も正す。しかし怒る言葉も右から左へといった様子でいやしかし、御覧の通りあれはウチの一座には欠かせませんで、と何やら渋る男に今一度強い言葉を浴びせて押し付けた財布の上に酒代の詰まった巾着まで乗せてから子供を連れて来るよう訴え。あの子を渡されるまではテコでも動いてやるものか。そう決意して拳まで固く握ったというのに、寄越せ寄越さぬの問答の合間に突如子供のほうからひょっこり顔を出してくると虚を突かれ、目を隠すのも忘れて年相応に愛嬌たっぷりの笑みをまじまじと見下ろし。それから今が好機とその細っこい腕を捕らえると呼ぶには弱々しく掴んで「……良いか、よく聞きなさい。その金と引き換えに、お前はこの小屋を出ていくんだ。見世物ごっこは終いにして、ただの子供としてうちへ来ると良い。鶏の代わりに洋食でも焼き菓子でも食わせてやる、芸の代わりに小学校でも、女学校でも行かせて何でも教えてやる。それで構わないだろう?」子供と触れ合う機会など片手で数えられる程度も無いだけに、目を合わせてしゃがんでやるだとか、猫撫で声を使ってやるだとか、そういった気遣いの類は一切出来ずにただただ猫めいて小生意気そうな瞳を見据えながら語りかけるのが精一杯。きっと金だけ払ってサッサと連れて行ったって構わないとは分かっているし、事が上手く運ばなければそうする選択も厭わぬつもりではある。それでもこの子が心底納得して此処を離れると言ってくれるのが一等良い、と拙い精一杯の言葉を操って、その心を引き寄せようと奮闘し。やがて喋り慣れない舌が引き攣り続く言葉も見つからなくなるともどかしくも目を逸らし、何度か唇を結んで、開いてを繰り返してから「――お前は、見世物になってはいけないんだよ。」たった一言最後に零し、未だ胸中に溢れているというのに行き場のない想いをぎゅうと柔肌を握る指先に込めて、後はもうふっつりと黙り込むばかりであり。)
(/スタートありがとうございます、演者としての艶様の姿をたっぷりと堪能させていただけて感無量でございます!あまりに鮮やかで愛らしい姿にこちらもついお返事が増えてしまい、その上大半が心情ロルという非常に進めづらい形になってしまい申し訳ありません…!こちらこそ削る、読み飛ばすなど背後様の負担にならないように扱っていただけると有り難いです!また読みにくい、進めにくいような点がありましたら修正しますのでいつでもご指摘お願い致します。
そして文章だけでなくイラストでも艶様を堪能させていただけるとは…!お美しい絵柄もあって無邪気な笑顔なのに名前通り艶っぽく…こんな子があんな悪食芸をしていたかと思うともう…心臓がバクバクして止まりません!!
描いていただいた密も本当に、イメージ通りどころかこちらの想像以上に密そっくりでびっくりしました!!笑 雰囲気も帽子の影から覗く碧眼もまさしく密そのもので感激しております!笑顔の艶様と並んだら掻き消されそうなくらいの暗さがまた理想そのもので…!もう何度も何度も見返してしまっているので、よろしければ2枚とも保存させていただいてもよろしいでしょうか!?)
14:
艶 [×]
2016-09-30 12:08:38
うん。いいよ、金払ったんだろ?兄ちゃん面白そーだし(手を掴まれて送られる言葉、よりも何より自身の誇る演目を見て気分を害したと言うように怒るその感覚に興味を抱き。本来、此処に来る人非人は多くが人間の内に秘める残虐性をおっぴろげる為、心から浴びる血しぶきや下劣な奇形を待ち望んで見下して、こんな生き方をしない自分は何処までも幸福なのだと束の間の愉悦に多かれ少なかれ浸っている筈。にも拘らず、彼は何を言っているのだ。ちらり、と盗み見た団長の手の内には分厚い財布、それだけでは飽き足らず巾着まで来たもんだ!これが自分の価値だと一目で理解をし、今後の生きる場が生活環境が大きく異なると言うのに何も考えていないかのような短すぎる間であっけらかんと返事を返し。伏せられるその面は髪や帽子に遮られ、今一とはっきり見えやしないが少しだけ覗いたその瞳の澄み切る蒼。その青に心惹かれ、同時にそれを喰えばどんな蜜が中に詰まっているのだろうと浮上する興味を抑えきれずにニコニコと底抜けの笑顔を浮かべて。彼が最後に残す言葉の意味は自身の持つ常識と懸け離れ過ぎた、端から人の言葉を理解しようと心を寄せる気持ちが薄いとは言え全く意味が分からないとそんな感想すら持ちながら。ただ、言葉の意味は理解できなくとも自分に触れるその手の何かを語るような力加減に芋虫が這うようなむず痒さを、それが邪な企みの無い素直な人の心なのだと知るには未だ人の感情も善悪の正しい常識も無くて。心を引っ掻くこそばゆさに口元をモゴモゴと、体を一度ブルッと震わせてから遠慮交じりの繋がりを土足で踏み荒らすように両手をバッと広げてから自分に触れていたその腕に勢いよく力強く、ギュウとひっついて「姉ちゃんにサ、お前の芸は辛気臭いって。見てるだけで赤子も眠っちまうョって、伝えといてよ。……アー!あと、今月分の小遣いはサ俺にはもう必要無いみたいだからって猫糞すんじゃねーぞ!ちゃあんと、ちゃんと!その金で美味い肉でも買ってサ可愛い俺の事でも思ってミンナで泣きっ面晒ながら食らってよ」受け取った時点で返す気が無いだろう財布を握る団長に顔を向ければ言葉に合わせて業とらしい欠伸の真似事を交えて、オギャアと生まれてから対として良くも悪くも比較を受けてはこの世を生きて来た姉への伝言を一つ。それからハッと思い出したようにちゃっかりと、抜け目なく自身の給料の行方まで指示を出せばカラカラと豪快な笑い声を上げ。「兄ちゃん、兄ちゃんが買ったのは言う事を大人しく聞くだけの可愛い可愛い畜生じゃないって忘れんなよう。俺は可愛いし教えられりゃ芸だって何でもやるけど、つまんない事は嫌いなんだ。」まるで忠告でもするような喋り口、彼にどこまでの考えが有るのかはわからないが愛玩用に自分を買ったなら御門違い(彼の言葉にそういった類の感情は見えない為、杞憂に過ぎないが)自分は端から良い子じゃないのだと宣戦布告でもするように口の立つ生意気な言葉を、対照的に屈託も悪意も無いのだと言うニコニコとした無垢なる笑顔で伝え。グイと力強くひっつく腕を引っ張って先に足を踏み出すと数歩前だけを見て歩いたところでピタリと進ませる足を止めて一度だけ振り返り、多くの電球に照らされる年季が入った薄汚い暖簾が夜風に靡くその姿、阿鼻叫喚を安い絵の具で書き連ねた有り触れた看板、思い出に縋りつくだとか寂しい寂しいと後ろ髪引かれるだとかは何もないが、それでも自分の世界の全てだったと言う事に嘘も偽りも無いようで。お喋りな口も流石に何かを述べる事が出来ずに蕾固くギュと口角を落としてそんな自分の家だった場所を真ん丸の眼に反射させる程数秒見つめ、それでも子供だからか艶の性格かはわからないが気持ちの整理はその数秒だけ、閉ざした口元から力を抜いて怖い物なんて何もないと言うようにゆぅるり笑みを浮かばせてから目一杯に酸素を腹に突っ込めて"__じゃーなア!達者で生きろよお!ロクデナシの盆暗ども!"ぎゃんぎゃん、と喚き立つほど大きな声で最後の悪戯置き土産と何とも雑で共演者を見下した挨拶を行って。ポツリポツリと離れた感覚で作られる電灯の頼りない小さいあかりは今まで盛大に照らされる電球の下で生きた自分にとってちっぽけで。そんな闇に紛れちゃならないと闇を撫でるように夜の持つ綺麗で落ち着いた沈黙を持つ彼にひっつく腕は無意識に力が籠りぴぃひょろろと祭囃子の音も宴は終わりと静まるのを遠くに聞いて、時折強く吹く夜風に乱れ髪を揺らしながら「兄ちゃんでっけぇなあ。何食ったらそんなでかくなれるんだ」沈黙は嫌だ、嫌いだと言葉にするわけじゃないがそうなのだろう。頭の中にシンと音が広がるのを止めるように本当は名前を教え名前を聞いてとしなければならない質問事項は多く有る筈だが、気の利いた順序で行うなんて事は出来ず「ウチにもいたんだぜ、兄ちゃんみたいに…兄ちゃんよりもーっちっとでっけぇ姉ちゃんが。きづいたらいなくなっちまったケド」巨人と言う演目で出ていた演者を思い出しては別に何か懐かしい素敵な思い出話が有る訳じゃ無く、思い出したことをただ話したいと言うように言葉をつづけて「…なー!なあ!兄ちゃん家って遠いのかぁ?いっぱい歩く?」それこそ猫の鳴き声のように少年少女の間を行く声は甲高く、彼の気を引く事が出来れば話題なんて何でもいいのだと言うようにとってつけたような疑問を向けて)
(/読み辛いだなんてとんでもございません!とても素敵な文章と密さんが何を考えてどう動くのかが見えるように分りやすい文章で艶もくるくると考える事無く気儘に動いてくれてます…!
そしてイメージに沿っていたようで安心致しました!!顔が隠れているけれど素敵なご尊顔をどうしても描きたいと我儘が出過ぎてしまいました…!並んだ時にパッと対照的な雰囲気が出るような二人を是非また描きたいと思っているのですが、描いた際には此方にてお披露目しても宜しかったでしょうか…!保存して頂けるなんてとても嬉しいです!もちろん大丈夫なんですー!!)
15:
宇都木 密 [×]
2016-10-01 05:11:33
(息を殺して口を閉じ、後は小さな頭が蝶々のようなリボンを揺らしてこくりと頷くのを待つばかり。それまではテコでも動かぬと先の決意を今一度固めギリリと下駄の歯を地面に食い込ませてやるが、足元の土がえぐれるより早く子供が頷くと我が儘なものでそれはそれで面食らい身じろきを一つ零してしまい。演説家でも詩人でもないのだから別段己の決死の長台詞を聞いてくれと願う訳ではないがそれにしたって躊躇の無い、はたしてこの子は己の訴えの何処から何処まで理解して物を言っているのかとある種の不信まで抱いてしまうくらいの素早さに静かに動転し、狼狽し、よもやこの馬鹿でかいだけの図体にそれこそ愉快な見世物と飛びついているだけではあるまいな。そんな具合に思考が疑りの渦に飲まれかけている所へギュウとひっつかれれば石膏の如く身を硬くして、例の鶏の要領で骨をガリゴリやられるのではと無邪気に開いた口の犬歯を注視しつつ「そうか」とやっとのことでたった一言、やはりあの鶏と同じく首を絞め上げられた心地で絞り出す。その一言さえ子供の口から発せられる見世物口上顔負けの賑やかさでアッと言う間に塗り潰されてしまうのだからたまったものではない。ただもうじっと、やたらと熱い子供の体温と饒舌の前には己のちっぽけな正義主張など手も足も出せないまま押し黙らされ、姉様とその他皆様へ残される言葉を薄ボンヤリと拝聴するしか術が無いと目玉ばかり幾らか動かしてこのいやに粗野な少女の表情一つ身振り一つを今後の為にと観察し。その癖、彼女の言葉を借りて言うならば可愛い笑顔がこちらを向くと反発しあう磁石さながらに己は明後日の方向へと顔を反らして「――無論、分かっているさ。お前が犬か猫の子のように可愛いかろうが、人の子は畜生には決して成り得ない。そもそも芸なんぞは――」僅かばかりの対話能力を駆使して返事をしたというのに、お前のボソボソ言う声など聞こえないと嘲るように突然グイと小屋の外まで引っ張り出されてはどちらが買い手か分かったものじゃない。往来を行く人様の目には、珍品収集家であらせられる何処ぞのお嬢様が見世物小屋から西洋由来の大男をひとつ買い取ったと映るのでは。前を行く子に引きずられつつ極めて自己中心的な被害者意識を膨らませるが、しかしふと足を止めて背後の地獄を見つめるその子の様子が目に入ると我に返り、妙な里心に目覚めてしまう前にあの忌ま忌ましい小屋から少女を救い出さねばならんと己が使命を思い出してはきゃんきゃんと子犬めいて挨拶を吠える様を見届けてから今度は自分から歩みを進め。やがてひゅうどろ鳴りながら遠ざかる笛の音に、遂にやったのだ、とうとう一世一代の善行を成し遂げたぞと爽快に堂々胸を張るでもなく一時伸ばした背筋も再び丸まる安堵を覚え、眼前に伸びるぼうっと瓦斯灯が照らすばかりの細道を地獄から這い出る蜘蛛の糸とでも喩えたくなる我ながら上出来の心地で帰路につくがその余韻にさえ浸らせぬのが子の喧しさ。はしゃいだ声が宵闇に吸い込まれ、シンと心に優しい静寂が戻ったと思えば水面にポチャンと石を投げ込むようにまたあれこれと喋り出す。何か質疑応答ならばまだしもよくもこれだけ一人で話していられるものだと畳みかける言葉に少々グッタリとする呆れに見舞われ始めた頃、ナーナー猫みたいに一層声を張り上げる子供がようやっと一つ問いかけを投げかけてくるとその口調が今までのこまっしゃくれた口ぶりから一転、年相応に幼かったものだからつい俯けていた顔をそっちへ向けて「――歩かない。……いや、今夜は歩く。それでも十分か、二十分かそこらでもう私の家だ。」空いている手を懐に突っ込んでようやく有り金全てあの小屋に置いて来た事に気付き南無三、これでは市電にも何にも乗れやしないと答えてやった一言をすぐさま苦々しく歪めた顔で引っ込めるはめになり。しかしまぁ、さほど長くはない家路をあれこれ問答に費やすのも悪くは無い。瞼の裏に今だこびりつく見世物小屋の熱に脳髄を狂わされたのか、珍しく前向きに己の過ちを捉えてやって「歩き疲れたら言いなさい。」まずはやんややんやはしゃぐ彼女を制する代わりに、言ったところでどうしてやるというのか、おぶったり抱えたりしてやれば良いのか、意味合いは今ひとつ分からぬままそっと形式的な気遣いを。「……それから、私は兄さんと言う程若くはないんだ。こんな格好をしていたって直に二十八になる。お前がいくつかは知らないが、お前の兄さんになるには大分老けているだろう?……密というのが私の名前だから、嫌でなければそれで呼ぶと良い。」それから眼下の子供の姉様が喰らった蛇がズルリと這う様を思わせる低い地声を、先刻のように張り上げる訳でも無く見下ろすふっくら白い頬に剥き出しの華奢な腕に被せるように発しながら一先ず名に歳に順繰りに素性を明かしていき。そして、がらん。ごとん。引きずる下駄が気怠く二歩ぶん鳴るだけの間を置いて、意を決し夜気を短く吸い込んでから「それで、お前にも何か名前はあるのか。」と、非人道的なゲテモノ小屋といえども流石にアレだのオマエだのと呼ばれ続けていたはずは無い。それこそ悪食だの余程反吐の出る名前でなければ馴染みのある名で呼んでやった方が良いだろうと、ひっつかれているせいだけでなく返事を聞き逃すまいと相手の方へ顔をを傾けたまま静かに尋ね。)
(/こちらこそ密の自分の思考に引き篭りがちな性格では放っておくと内面描写ばかりになってしまうので、艶様がくるりくるりと奔放に振り回してくださる事で何とかバランスが取れたりと本当に助けていただいております!今回も行動描写が少なめで申し訳ないのですが、家に着くまでもうしばらくお待ちいただけると有り難いです…!
我が儘なんてとんでもございません、脳内のイメージをこんなにも素敵なイラストにしていただき光栄でございます…!お言葉に甘えて2枚とも大切に保存させていただきました、ありがとうございます!!艶やかな絵柄で再び描かれる二人を楽しみにお待ちしております、その際は是非また拝見させてくださいませ!)
16:
艶 [×]
2016-10-01 17:02:20
(問い掛けて置きながら家の場所は彼がいれば隣を歩くだけで到着できると鷹を括り、家までの道のりはまた明るくなってから落ち着いて教えて貰えば良いし何より今は一人勝手に何処かへ行く事なんてこれっぽっちも考えていないから彼の居ない散歩道なんて別段興味も無くて。滅多に経験できない夜を連れて散歩をするような普段とは全く違う遠足に心をウキウキとご機嫌な物に変え、やれ星が綺麗だとか秋が来ちまうから風が冷めたいやとか、頭の中は忙しなく次は何の話題を送ろうと彼の心遣いも甚だに多くの考えで埋め尽くし、溢れんばかりの話題のせいで折角の返事は右から左と流してしまい。それでも耳馴染の良い低くて聞き取りやすいその声が自分にとって今後一番大事になる年齢や名前と言った彼の情報を落として来た為パチパチと大袈裟な動きで瞬きを繰り返してから散漫仕掛けた意識を確りと彼だけに集中させて、教えられてないのだから当然と学が無ければ彼の名の意味する字面も意味も検討が付かずにただ繰り返す様にその名を何度か自身の脳内に刻み込む様に繰り返して。賑やかな口をキュと結び暗闇も手伝って確りと確認の出来ないその顔を見上げては引っ付くため目一杯に絡めていた腕をいつだって賑やかに引っ付いた時と同様と勢い任せにパッと手放して「ヒソカ!俺の事持ち上げておくれよ」へへ、と悪戯でも企んでいるようなそんな悪い笑顔で目を細めて口角をにんまりと上げ、鼻の下を指の背で軽く擦っては抱えて貰う事を強請る様に両腕を万歳と空へ掲げて。タンと土を踏みしめて雪駄の踵を宙に浮かせば背伸びをするように目一杯と体を伸ばして早く早くと甘えせがむそんな雰囲気のまま頼りない街灯や月の朧な光では見えない彼のその面を、今一度澄み切った水を閉じ込めて宵闇の薄暗く安心する落ち着きで覆い被せたあの蒼を見たいと期待に胸を膨らませ。脹脛に力が入る、滅多に背伸びなんてしないのだから不慣れな使用の筋肉がプルプルと震えるその中で尋ねられたその問いかけごとに勿論焦らす気持ちなんて微塵も持たず、下手をすれば嗚呼、まだ教えて無かったか!やれウッカリ!とでも言いたげな表情でペロリと舌を覗かせて「馬鹿にすんなよなぁ!名前くらい持ってら。俺は艶って言うんだ。むつかしい字だから書けないけど、艶やかに演技を魅せろって。だから艶、…アー、うう。何歳なのかはわかんねぇや」静かな夜を鈴でも転がしているように凛々と弾ける程賑やかに、自分の呼ばれていたその名称をジャーンと誇る様に胸を張ってから答えて。先に堂々と胸を張り伝えてしまったからか、途中で自分の年齢が分からないことに気づいてしまい少々バツが悪いと言う様子で震えていた脹脛から力を抜いてペタンと両足を確り地面に触れさせ土を蹴り、彼が教えてくれた情報に応えるように自分の紹介が出来ないと言う事が負けん気が強い性分のせいで聊か悔しいと負けた気持ちになってしまったのか、ズリリと足を前から後ろへ滑らせて口をツンと尖らせればピンと閃いたように曇った表情を簡単に明るい物に変化させ「__そうだ!!ヒソカが決めてくれれば良い。俺は何歳にする?ヒソカが決めてくれたら今度から名前も年齢もちゃんと!あっちの主人にもこっちの夫人にも説明できる」爛々、煌々、と二つの眼球に星屑を埋め込んだみたいに輝かせては息を吸い込む間もなく年齢とはそう言う物じゃないにも拘らずそんな事どうでもいいのだ、二の次なのだ、そう言わんばかりに自分の詳細を彼に作って貰う様に言葉を続け。「マーいいや。今は俺を持ち上げて、ヒソカの目線と同じ世界を俺にも見させてくれよう」すっかり止めてしまった足、その足を使い彼の真ん前に通せん坊と立ち竦み。綺麗なその着物を小さい手の平に閉じ込めるようギュウと握りしめて、夜飯を抜かれた犬猫が朝食を待ち侘びる飢えすら滲ませた空気を纏って「お願い!おねがい!頼むってば」なんて我儘を我慢せず堪える素振り一つ持たずに聞き分けの悪いそんな悪餓鬼宛らと同じ言葉ばかりを繰り返し、本当は高い視線なんて興味は無い。自分が抑えきれない興味を持つのは手の届かない彼の顔、強いて言うなら蒼色の眼球。金平糖にだってあんな綺麗な青色は見た事無いぞとその蒼を思い出しては両の犬歯が震えるようにウズウズとして。ああ、早く、それ早く、髪や帽子に邪魔されて良く見えないその顔を俺に見せてくれと荷解きをする前のように紙を一枚ずつ剥がしていくような、中に何が包まるのかを待ち侘びる一番楽しいそんな心境で喚くような繰り返しの言葉を止めて顎をちょんと彼の腹部あたりに置けばそのまま見上げるように顔を上げて、やっぱり暗くて良く見えやしないと残念がる感情を上手に隠し「おねがい」なんて言葉だけは愛らしく、あと一歩を押す為に猫撫で声で甘ったるい舌足らずな口調を用いて普段可愛がられるために行ってきた自身にとっては魔法の一言を向けて。)
(/艶は執着心と共に収穫癖として自分の欲した物を実感できる形で傍に置いて安心をするので密さんと二人きりの生活が始まって行けば少しずつとその異常な面が出せると思いますので今暫く喧しいだけの奔放な姿だけで待って頂ければ…!奔放が為か子供だからかぐるぐると考えてくれる密さんの感情の十分の一程も理解しようとせずに自分の感情が百と押し付けてしまうので厳しく接して頂いて全然大丈夫ですので!
そしてそのお言葉を頂けて本当にありがたく思います…!恐らく確実にまた書かせて頂きます…! それでは背後は一度消えますので何か有りましたら直ぐお呼びくださいませ!)
17:
宇都木 密 [×]
2016-10-02 17:57:37
(密。たった一字のその名は己の暗く惨めったらしい素性を、陰欝な性質を白日の下に晒すには十二分の響きを孕み、口にすればいつだって胸の悪くなるような苦味が生じ苦渋の表情を強いられる。だのにその名を脳裏に焼き付けるべく写真機の如くパチパチ瞼を下ろし、妙ちくりんな名前と嘲る事もせず繰り返すばかりの子供の姿を見れば、嗚呼、この子は本当に悪い芸だけを教え込まれて生きて来たのだと言葉の意味合い一つ知らぬ無知に哀れみと奇妙な安堵を覚えてこっそりと溜め息。何故って、こんな調子で物事の何処から何処までが可笑しな事で、何処から何処までが正しい事なのかてんで判別つかないのなら「世間一般」だとか「健全な文化人としてあるべき姿」だとか、そういった類の基準からはどうにも外れているらしい己の不格好さも後ろ指ささずにいてくれるはずではないか。無論然るべき教育はいずれ施すとして、一先ず今はその無知を好ましく思いながら突如パッと腕を離れた彼女を俯き加減で見守るが、こちらの問いに答えるより早くニマニマ悪どい笑顔で突拍子も無い我が儘を訴えてくるとその中身にも、呼び捨てられた己の名にも度肝を抜かれて思わずふらりと後ろへ身体を引き。持ち上げろ?つまり抱いて歩けとせがんでいるのか、先刻歩き疲れたら言うようにと教えたばっかりに。それにしては体を目一杯使ってこちらの両腕を求める姿に疲労の色など一片たりとも見当たらず、ようやく呼び名を明かす声もまた然り「艶……艶美、妖艶の、艶か。子供の名前にしては些か早熟じゃないか。」高々と夜気に爆ぜるシャランシャランと振り回した鈴の音のような喧しさに掻き消えるのは承知の上で名を確かめれば呼称にさえ染み付く猥雑の匂いにぐっと眉を寄せる。確かにこの子供はこちらへ伸ばす四肢だけ見ても同じ年頃の少女が持つずんぐりした野暮ったさも無く、どこか少年のように伸びやかで、そこに女の柔さもちゃんとくっつけているものだから何とも婀娜っぽい――それはあくまで客観的な描写であり、己が彼女の肉体を汚らわしい目で見ているだとか、それ故に持ち上げてやるのを躊躇っているのだとか、そんな馬鹿な意味では勿論無いのだが――兎に角年不相応な艶やかさは認めざるを得ないだけに、そのいわば"商品価値"に目をつけて下卑た名を授けた連中への嫌悪にしかめっ面を更に歪めた次第であった。と、そんな調子で一人機嫌を悪くしている間にも子供、艶は俯けた視界の隅で拗ねたり笑ったり、死にかけの裸電球さながらにチカチカ忙しない百面相を繰り広げている様子。二つの眼へパッと眩む程の光が灯ったかと思いきや自分の齢を決めておくれとまたもすっ飛んだ無知を見せてくれる姿に、流石にこれは厄介と常識という枠が無いだけに何処までも飛躍していく思考の手綱を握ってやらねば、まずは重苦しい咳ばらいを一つ。「……良いか、艶。年というのは人様が容易く決められるものじゃない。木にも年輪というものが有るだろう、そうやってお前の骨身に刻まれているのが――」頭の中の知恵の引き出しを手当たり次第にひっくり返してどうにかそれらしい説教を用意して、しかし、これもまた無邪気な気まぐれによって無視をされてしまうばかりか次なる我が儘のためにギュウと着物を引っつかまれれば二の句を継げないどころか肺まで身を硬くしたらしく息を吸って吐く、ただそれだけの事さえままならず強張った面を明後日の方へと逸らし。元より弱者の性とでも言うのか、他人に何かを望まれると大人しく服従し言いなりになる性質であったしそれが何事においても楽な手段と承知しているがこれは少々訳が違う。何せ通りすがりと肩がぶつかっただけで酷く落ち着かない心地になる人嫌い、ならぬ人体嫌いなのだ。幼子相手でも腕一本掴んだり掴まれたりが精一杯、それなのに体全部を持ち上げてくれと来ればあいわかったとは頷けずだんまりをもって否定の意とするも眼下の艶はお願いお願いと喚くばかり。どだい俺の事情なんぞ気にも留めていないんだろう、いじけにも似た気持ちで一層口を固く閉ざしてやり、いつか浅草かどこかの公園でこんな風に延々と擦り寄って来た野良猫がいたものだとボンヤリ回想へ逃げ込んでいると腹にちょんとこそばゆい感触。よもやまさかよじ登る気では、恐る恐るといったていで首を戻しソロソロと視線を下げて、そうしてくっついているのが艶の小さな顎とわかればそこから這い上がってくる甘く粘っこい声にゾワリと肌が粟立って。そこから生じる感情は庇護欲や欲情の類では当然、無い。小屋の演者を前に抱いた在るべき手足が無い、もしくは在るはずのないものが在る不自然への得体の知れぬ恐怖。年端も行かぬ少女が本来持ち得ぬ媚びもまた同等の薄気味悪さを濃く匂わせ、恐怖のあまり動転してとでも表せば良いのか半ばやけくそに、不気味な術を止めさせたいがために着物の帯の辺りをむんずと掴んで力任せに持ち上げてやり「――満足か。」あんまり軽いものだから勢い余ってよろめいた。じんわりしみてくるような温さと、己の体に比べたらふやけたように頼りない肉の柔らかさにおののいてまた目つきが険しくなった。それでもそら、ちゃんと持ち上げてやったぞと確り一言口にする。けれどもこれからどうしたら良いのかさっぱり見当付かず、丁度己の詰襟の高さに艶の束ねた髪が揺れる位置で彼女をぶら下げたまま「それで、どうすれば良いんだ。このまま歩けば良いのか、肩車でもしろと言うのかハッキリしろ。」先の見えない困惑から唸るように声を発して、手をくすぐる金魚のヒレめいた着物のこそばゆさから一刻も早く逃れたいと願い。)
(/了解しました!子供らしいやんちゃな姿が目に焼き付いているほど後々の異常さに翻弄されると思いますので、もうしばらくは無邪気な喧騒を本体共々たっぷりと堪能させていただきます!密も密で自分の内面ばかり見つめているせいで、厳しくしつけようとしたかと思えば艶様を手に負えないと匙を投げて背を向けたり、自分一人の思考に閉じこもったりと子供に負けず劣らずのエゴをぶつけてしまいがちですのでそういった場合は剥き出しの感情で振り向かせてただければ幸いです…!
それではこちらも一度引っ込ませていただきます、長々と失礼致しました!)
18:
艶 [×]
2016-10-03 00:40:32
(強請っては見た物の体が浮く事は無く、それでいて自分の願いが叶わないなんて万が一にも考えておらず。逸らされていた顔が再び自分に向いた事でその期待は一層と高まり、そうして細い彼の両腕が自分を持ち上げれば"あは"と口をパッカリ開きながら喜々たる声を上げて、最初に与えられた不安定なよろめきすら愛しいと自分の願いが叶った事を喜び頭を空っぽにして、怒られる事なんてその時心配すりゃ良いのだ。不思議なもので両腕を絡ませていた時より躊躇い交じりに持ち上げられる今の方が顔が近いと言うだけで心までも近くに思え、電灯の頼りない明かりで真っすぐに作られる切り絵のような二つの影法師を戯れと目尻を細めて確認し「やぁっと捕まえた」落ちる事も厭わずにグイと片手を彼の肩に置いてもう片方の手で彼の顔に掛かる立派な帽子を掴み取り、肌障りの良い帽子に使われるのはきっと自分じゃお目に掛かれないほど上等の物に違いない。そんな物の価値観を知らなければ関係なく、無知とは時に頂上知らずの無敵なのだと手に取った帽子を自身の頭に被せて、大きなそれは少し動くと落としてしまいそうになり。落とさないように気を付けつつ漸く確りと、落ち着いて覗き込む事が出来た彼の面を真ん丸に見開いた大きな瞳に映し込み、言葉通り焼き尽くすほど真正面に確りと向き合い見つめれば先の彼の言葉を借りて「ン、まんぞくだ!」と想像して居たよりももっともっと、一寸驚いてしまうほど綺麗な青に心を奪われるように未だ見ぬ味に涎すら滴らせるそんな気持ちで、今まで自分が見て来た青はどれだけ安い物だったのだろうと自身の価値観が変るほど綺麗なその目に焦がれ、嗚呼ほしい。そう思った頃には持ち上げられる体に反動を付けて上半身を彼へ近づけて大きく開いた口をガチンと歯の音を立てる程大きく一噛み、鶏とは訳が違う距離感が上手く掴めずに当然だが瞼に守られる綺麗な青を喰らう事など叶わず歯茎を痺れさす程ジワリと響く痛みに思わず顔をグシャリと顰めて"いってぇ"と顎がピリピリと痛みを訴えるのに合わせて堪えきれずに苦い言葉を漏らし、独り言も呆気無く夜の空気に呑まれて消えれば「__ヒソカの目んたま綺麗だから片っぽだけおくれ」鶏の首のように自分の歯で噛み付こうと思えば好きなだけ歯を立てられる場所じゃない自分の欲した彼の蒼、まるで飴玉を一つだけ下さいなと駄菓子屋で欲しがるみたいな軽くて些細な事と言う雰囲気で帽子を落とさぬように被り直しつつ"へへ"と悪意無き笑みを浮かべ。顔は届かないが伸ばせば腕は届くと髪に覆われる彼のその顔へ手の平を伸ばし、骨に皮がくっ付くみたいに無駄な肉が感じられないそんな顔にぺたぺたと片手を触れさせて「俺。此処が気に入ったあ」見下ろすほどじゃない、だけども下からだと見上げても覗く事の出来ない彼の顔を確り覗く事が出来てそれだけじゃなく触れる事だって叶うのだと、砂利道を自由に駆け回る事より気に入ったと落されない程度に足先をご機嫌と揺らして。味見をする事は叶わなかったが、隠されていた彼のその顔を覗けたことで堀の深い鼻の形や伏せるような睫毛が長い事を知れたと充実感に満たされて。痩せた頬に触れさせたままだった手の平に伝わるのは少し冷たくてひんやりとした、だけれどもそれが妙に心地良い温もりで。張りつめていた訳でも警戒していた訳でも無いが、それでも持ちうる全ての環境を捨てて彼に自分の全てを託して付いて行くと決めるには賽子を振るようにどう転ぶか分らない不安がほんのりと有ったのか。名前だって舌の根が乾かないついさっき教えられたばかり、そんな彼の顔を真正面から確り捉えて、自身の手の平で確かめるように触れたことで微かと有った不安は彼の冷たくて温かい体温にかき消され"くあぁ"と隠すことのない大欠伸のお披露目を。頬に当てていた手を今度は彼の髪に移動させれば指先にクルリクルリと絡めるように癖毛の髪を弄び「なーなー、このまま帰れる?おもてぇ?」微々たる不安が掻き消されれば演目の延長と自身のキャパを超える賑やかさの反動も加わり電池切れのように欠伸が止まらず大きい物から小さい物と繰り返され、加えて抱かれるように守られた環境で体が宙に浮く感覚は記憶が無いはずの母体の中を思わせるようにうつら、うつら、と程よい安心感を与えてしまい。先ほどしつこい程に食らわせた無遠慮の願い事とは違い、問いかけをするような口ぶりで一言それを向ければくるくると遊んでいた指先をスルスルスルと滑らせ這わせて自身の元へ戻し、このまま甘えて彼と同じ背丈のまま錆びるような古臭さと死んだように眠るこの町を揺り籠宜しくと揺られたいと言う思いと、もっともっと彼の事を知りたいと言う込み上げる興味関心探求心で少しでも多く未だ知らない事ばかりの彼を貪りたい、時間を無駄にしたくないと言う思いの葛藤を__引き戻した手の甲を使い自身の目元をゴシゴシと擦れば眠気を遠ざけるようにパチンと一度自分の頬を叩き「やっぱり何でもない!」今し方、もし重くないならこのまま未だ見ぬ家まで連れて行ってくれと言いかけたその言葉を飲み込んで「下して良いよ、ヒソカの腕ほそっちょれぇから折れたら困るもん」にっ、と口元に笑みを浮かべては生意気な減らず口を添えて悪戯に取り上げたその帽子を再び持ち主である彼の頭部へ返却し「__俺といっしょの時は隠さないでくれよ」トントンと自身の顔を指先で叩くように触れて顔を指示しながら、言葉を理解する能力は低いと自覚しているし人の感情について理解しようとしていない自覚も有るから、少しでも彼の事を理解できるように視覚としての情報を無意識の内に求めつつ(欲する蒼を一度でも多く眺めたいと不純な動機も孕ませながら)再び睡魔が来ないようにと口を忙しなく動かして)
19:
宇都木 密 [×]
2016-10-05 14:34:38
(街灯の明かりを借りて爛々たる光を灯す瞳はガラス片のようにギラギラ眩しく、帽子を奪われてしまったせいで容赦無く顔に注がれるその眩さに目を細め「そうか」と、満足と答えつつ己の肩を捕えたまま離さぬ小さな手の温さを持て余して溜息代わりに一言。人間の顔など見つめて何がそんなに面白いのか、今だって確り向き合っている振りをしながらその可憐な顔立ちではなく夜風にヒラリと羽ばたくようなリボンのきつい色合いだとか、下睫毛の延長線上へ何かの気まぐれめいてポツンと浮かぶ泣き黒子だとか、そういったものらに視線を逃がす己にはてんで理解出来ず"満足したなら降りてくれ"億劫ではあるが今一度口を開きそれだけ言ってから手を離さねば。しかし、そう目論むより早く幼い体が振り子時計顔負けに揺れ、剥きだしの牙(それが小指の先程も無い可愛らしい犬歯だと承知はしているけれども、唾液に濡れ、それこそガラス片のようにギラリと尖って煌めく様はただの歯と形容するにはあまりに凶暴であった)を己めがけて振り下ろすと喉笛を噛み千切り損ねた歯のガチンと鳴る音、ふっと鼻先をかすめる青臭い生き血の残り香に何をされたか理解するより早く本能が怯え、口どころか瞼までぐっと閉ざしてしまう。今の戯れは何だ。考える脳裏を過ぎるグッタリ折れた鶏の首、骨の砕かれる不吉な音に戦慄し、いよいよ心の臓まで凍りついてしまいそうな心地に追い込まれた己はしかし、思いもよらぬ一言にぬるま湯を浴びせられたかと錯覚する奇妙な温もりを感じて止めていた息をは、と短く吐いた。それは幼子が星を取ってくれとねだるのと大差ない、否、もっとずっと駄菓子を欲しがる程度に軽率な我が儘であったが、たとえたったそれっぽちの価値であれこの陰鬱の藻屑を沈める冬の湖めいて冷たい碧眼に見出だしてくれたという事実が凍てつきかけていた心身に酷く染みた。そうしてじんわりと胸にまで届いた温もりをむずがるみたいに早鐘を打ち出す心臓には、我ながら所謂"軽い"乙女のようだと恥じる思いもあるけれども、驚くべき事に万物に不幸の匂いばかり見出だす己が初めて感ずる幸福の予感めいたものが確かに小さく芽吹き始めたのである。そうして、――嗚呼もう、まだるっこしい思考などどうだって良いと考えたがりを放棄してまで胸中にうねる感情のままに彼女の体を望み通り抱き留めてやり「……眠いならもう寝なさい。話なら明日も明後日も、その次も、いつだって出来るじゃないか。」眠気を押しやりもう一丁と続く賑やかしいお喋り演目を静かに制し、この幸福の予感が永久に続くようにという祈りにも聞こえる言葉を万感の思いに掠れる声で紡ぎ出す。それから先ほど彼女がそうしていたのと同じく己の肩に掴まれるくらいの高さによいこらせと抱え直してから止めていた足をまた前へ前へ動かして、一つまた一つと街灯の下をくぐっていき「一期一会の演者と客じゃない。これから数年か、十数年かは分からないが、一つ屋根の下で暮らすはめになるんだ……そう焦る事は無い、違うか」慣れぬ持ち方が悪いのか数歩進んではまたひょいと抱え直し、歩いて抱えてを繰り返しながらもちっとも苦ではなく、不思議と先刻まであれほど毛嫌いしていた人体の柔さも温さもてんで気にならず、むしろ嗚呼心地良いと呟きたくなるくらいの心持ちで抱き続けながら己の言葉に首を傾げるようにしてこそりと頷き。その通り、今晩から数年はこうしてこの子供を抱えて生きる事になるのだから。それが己の使命責任と意気込んでいたのはいつの事やら、今やすっかり思わぬ幸運に降りかかられたような戸惑いと下駄の歯もぐらぐら浮足立つような心地に見舞われ、酒もやっていないのに憂鬱を雲散霧消させている。たった一言目玉が欲しいと言われただけで!我ながら呆れ返りつつも心というものは薄っぺらい羽毛と同じく舞い上がればふわりと宙をさ迷いなかなか戻ってこないもので、あちらへヒラヒラ、こちらへフラフラ揺れ動いた果てに一度は結んだ唇をまた開かせて「私は」とまずは再び喋られぬように一声発し、露にした目玉や暗い面構えのようにもう少しだけこの子供に己の存在を見せつけ、そして認めてもらいたい。そんな浅ましい願いに突き動かされたまま黒々した瞳を横目で見つめ「……私は、お前のようにべらべらと良くは喋れない。紙に言葉を綴る事は出来ても、話すとなるとてんで駄目なんだ。舌も喉もちっとも言うことを聞きやしない。きっとお前の姉さんより退屈で、欠伸が出る。話し相手としては落第の男だ」口にしてみればそれこそ退屈な、何ともありふれた告白。それでも恥ずべき汚点の一部を晒してやったと気持ちは妙に落ち着かず、子守唄にしては陰気だがまさしく欠伸の出そうな静けさで形の良い耳にそっと語りかけては再び足を止め、曰く細っちょろい両腕で確りと抱き直す。「……だがお前の話を、頼みを聞いてやる事は出来る。だから食い物でも何でも、欲しいものは言いなさい……こうして出来うる限りは叶えてやるから。」歩き始めるその前に浅く乗せられたままの帽子を取れば小さな頭へ無造作に被せ、顔を隠すなという願いを早速叶えて見せる己は純粋な慈愛でなく救ったはずの子供に自分の身の内の孤独を救って欲しいと願う惨ったらしい夢に突き動かされて行動している。きっと熱の覚めた明日の朝には羞恥に悶え頭を抱える事だろう。頭の隅では分かっているのに一時の感情の高波に飲まれてしまうのは昔から治らぬ悪癖で「いつかはこんな目玉もくれてやるさ」勢いに任せて吐き捨ててみればその呟きは案外甘く響き、もしも一番に欲してくれるのならば、なんて夢想を密やかに膨らませながらももう半月分は喋って言葉も尽き果てたと後はいくつかの曲がり角の向こうに我が家の姿が現れるまで黙々と足を動かして。)
20:
艶 [×]
2016-10-05 19:22:04
(抱き抱えるまでの時間を思えば下してくれと言う申し出はすんなり進むと踏んでいた、だからこそ言葉に出さなかった自分のもう一つの考えを汲まれて確りと抱き留められた事が不思議でならずに予想外だと鳩が間抜けにも豆鉄砲でも輪ゴムの鉄砲でも当てられたと分かり易い疑問を面に浮かばせて、それでも本来ならば迷いに迷うた選択肢、彼が抱えてくれると言うのに断る理由なんて有る筈も無く秋風の冷たさを掻い潜る様にこれまた人肌と言うには少し物足りない体温だが構うものかと落ちてしまわぬように両腕を彼の首周りへ絡ませて。そうだ、そうなのだ。何も急ぐことなんて無いじゃないか!彼の言葉で漸くと時間ならば余すほど与えられたのだと自覚して、時折止まり抱え直す微かな揺れもまた心地よい、揺り籠を眠れ眠れとあやすような優しいもの。追い払った筈の睡魔は簡単に舞い戻り、もぞりもぞりと身を縮ませれば肩口にこてんと頭部を預けて本当なら彼の語る言葉に対して茶々の一つや二つと合の手宜しく入れたかったが働かない脳みそと加えて重たい唇のせいで結局はくぐもる様な鈍い反応で"んー"だの"ん"だの先程と立場が逆転したかのような口足らず、黙っていては重たくて視界が翳む目を普段よりも多い頻度で瞬かせて焦点を合わせつつ、また欠伸を一つ。こんな優しい揺れが有るだなんて知らない。見世物小屋に足を運ぶ人間が大枚叩いて物を買った、その後どれ程おどろおどろとした扱いを受ける事やらと思っていた所の対面時、他とは違う空気を纏う彼は自分の持っていない何かを多く持っている。それが一般常識だとか人として当然の事と言ってしまえば終いだが、一般常識から隔離されて生きてきたのだ、まるで人間対妖怪か幽霊か意思疎通が出来るのが奇跡と言うくらいに跳ねっ返る思考の違いは少なかれ気付かざる得なく。風に乗る金木犀の優しい香り宛らと無条件と与えられる体温は口ほどに物を言うのだ。紡ぐ言葉は優しいとは言い難いぶっきら棒の癖に、それでもぶっきら棒なその喋り口に嘘が隠さるとも思えない。なんとも面白い男に買われたもんだと夢と現を曖昧に行き来する頭で描く。止めど止まない欠伸を堪える為か、咥える事で安堵を得るのか、頭を預けたまま彼の肩口の着物へかぷりと噛み付いて。壊す為でも殺める為でもない、言うなれば寝る前に親指を咥える癖を抜けられない幼稚さにも似たそんな意味合いで咥える口をもごもごと時折噛み合わせを自分の望む場所へ変えるように動かして。それでも欠伸が止まる訳じゃなければ布に歯を立てる事で大口を開ける事は無くなったが、堪えきれなかった分と言う様に時折体を小さく震わせて。(しってるよ)なんて思う程、この短い時間でも彼は喋る事を不得意としている事は伝わって。ちら、と見上げるように視線を薄目で視線を向ければ街灯の灯りが被さるとやっぱり欲してしまう綺麗な蒼が見え、尚も語られるのは恐らく彼の本心なのだろうと幼心にも理解が出来て。共に騒ぐことは叶わなくても、自覚が有るぎゃんぎゃんと騒々しい自分の話を聞いてくれるだとか遠慮をするなとでも言うような言葉は自分に対してどんな見返りを求めているのかと思わず勘ぐってしまう程、まるで自分を家族なのだからと言っているようで、不意に先ほどと同じ重量がぽすんと頭に被さったのが一押しと女児と比べてスラリと長い両手両足をぎゅうと、これまた自分の四肢ですら掴めてしまいそうな程、彼の細い体に目一杯絡めて「俺はわがままだよ。ヒソカが思ってるよりずーとずっと、我儘だし昼夜関係なく一人でだってくっちゃべら」あんなにも顔を隠すように使っていた帽子を自分に託してくれたことが嬉しくて未だ眠さの交じる少しだけ間延びした声で言葉を返し「でも金は掛からないって保障できんだ、食い物も着る物もちょっとありゃ十分。誰かが持ってた遊び道具を羨ましいなんて思ったことねぇもん」自分が欲しいのは掘り深い顔に宝石の如く埋まり姿を焦らす様に隠す蒼と、今みたいに自分を抱きかかえてくれる少し冷たいこの腕なのだと言葉にするには語彙が足らず目一杯にしがみ付き絡めた四肢から力を抜いて先ほどまで後ろに回していたその手を首周りから引き抜いて「言ったぞ、聞いたぞ。餓鬼だからと侮るな!約束したんだからな」にーい、と歯を見せる程大きく笑みを浮かばせて両手で彼のほっそりとした頬を包む様に触れ、彼からすれば言葉のあやか軽い心で告げたに違いないと決め付けるその発言を掴み「ヒソカが俺を手に余らせて捨てたってサ、約束守ってもらうまで絶対離しやしない」油断しては逸らされてしまうその眼に確りと自分の姿が反射して見えるように、そのためにも小さな手で確りと固定して。宣戦布告と告げる言葉は彼が嫌だと頭を振れど絶対にこの身を違う場所には置きやしないと脅すほどに確りと力強さを含み「もう手遅れなんだ」自分が欲しいと執着を持ったことか、何にせよ自分は彼が欲しいのだと今まで欲したことが無い人間が初めて何かを欲するのだからその気持ちは狂気に浸り無邪気純粋と微笑ましく言えた物じゃない、だからこそ呟きを一つ落とせば「おやすみ」と今度は再び火がともる様な明るさで眠る事を申告する挨拶を告げて、今は此処で我慢するとでも言うのか魅惑の色味で魅了する目を名残惜しむ様に見てから形の良いその唇へ自分の口をちうと重ねて、再びもぞもぞと自分にとって一番楽な体制と場所を探りゆったりとした足取りの優しい揺り籠に揺られて瞼を落としては夢の中へぶくぶくと落ちて行き)
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