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         枯れ草 [×]
2017-02-12 14:28:55
         
二‐続き
「ん?どうしたんだい?」
シリウスが言うと、エウロパはその美しく大きな瞳で真っ直ぐにシリウスを見ながら、真面目な表情で続けた。
「私たちは何の為に生きていると思う?」
拍子抜けだった。そんなことは、シリウスにとっては分かりきったことだったし、エウロパを含め、全ての新人類にとってもそうだろうと思っていた。
「この星の為だろう?未来の発展と幸福のためさ」
しかし、エウロパの表情は曇ったままだ。
「この星の為って…誰かが頼まれたの?この地球という星から」
シリウスのほうも段々と怪訝な顔になってきた。なんだ、子供みたいなことを言い出したな、と思ってしまった。
「それでも貪るだけの一生に意味や価値があると思うのかい?」
「そういうことじゃないわ」
エウロパはそこで一呼吸を置いたが、すぐにまた続けた。
「この星の為だなんて、結局人間のエゴじゃない。この星が何かを感じているか、考えているかなんて誰にも分からないわ」
シリウスは少し苛立ちを感じた。そこでぶっきらぼうに「どうしたんだよ」と言ってしまった。
「僕らは生まれてきた以上、何かの役に立たないといけないよ。そういう精神を失った人間はゴミだ。そんなの、何の意味もないどころか、有害以外の何物でもない一生じゃないか」
子供に諭すように言ったつもりだが、実際はむしろ子供っぽい言い方になってしまっていたかもしれない。だが、間違ったことを言ったとは全く思えなかった。
「努力は崇高なものだ。それをしないで、頑張っている人の足を引っ張り、貪るだけなんて最低だよ。それでこそ命は輝くし、僕等が生まれてきた意味だって、重たいものとなるんだ」
だから、はっきりと続けた。だけれど、エウロパも引かなかった。
「そういうことじゃないのよ」
スプーンを持つ手に、何となく力が入っているような気がした。
「貴方の言うことも分かるし、私もそう習ってきたよ。でも、私は私たちが傲慢になっているような気がしてならない」
そう言って、エウロパはどこか悔しそうに下唇を噛んだ。
            
     
   
        
     
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